分譲マンションの固定資産税|計算方法・評価額の仕組み・軽減措置を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/13

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分譲マンションの固定資産税が気になる理由

分譲マンションを所有、または購入を検討している方にとって、毎年かかる固定資産税は無視できない維持費です。物件価格だけでなく、保有し続けるうえでの年間コストを把握することが、長期的な資金計画に欠かせません。

この記事では、分譲マンションの固定資産税の仕組み、計算方法、軽減措置の活用方法を、信頼性の高い情報源を元に解説します。初めてマンションを購入する方、毎年届く納税通知書の見方がわからない方でも、正確に理解できる内容になっています。

この記事のポイント

  • 固定資産税は評価額×標準税率1.4%で計算、マンションの場合は年間10-30万円が相場
  • 新築マンションは5年間税額が半額になる軽減措置あり(長期優良住宅は7年間)
  • 住宅用地の特例で土地の評価額が1/6に軽減されるが、申請期限(翌年1月31日)を守る必要がある
  • マンションは戸建てと比べ建物評価額が高く(建物比率70%)、同価格なら税額が高い傾向
  • 3年ごとの評価替えで税額が変動する可能性があり、2024年は評価替え年

(1) 毎年の維持費として年間10-30万円が相場

固定資産税は、毎年1月1日時点でマンションを所有している人に課される地方税です。新築マンションの場合、年間10-30万円程度、中古マンションは10-20万円程度が目安となります。

物件価格や立地によって税額は変動しますが、住宅ローンや管理費・修繕積立金とは別に、毎年必ず発生するコストとして資金計画に組み込む必要があります。

(2) 軽減措置の申請を怠ると本来の6倍の税額になるリスク

住宅用地の特例では、200㎡以下の土地は評価額が1/6に軽減されます。しかし、この軽減措置は自動では適用されません。

マンション購入後、翌年1月31日までに自治体へ申請する必要があり、申請を怠ると本来の6倍の税額を支払うことになります。購入時に不動産会社や司法書士から案内がある場合もありますが、最終的には所有者自身の責任で手続きを行う必要があります。

(3) 3年ごとの評価替えで税額が変動する可能性

固定資産税評価額は、3年ごとに見直されます。直近では2024年が評価替え年にあたり、商業地を中心に評価額が上昇する傾向が見られました。

マンションの場合、建物の評価額は経年とともに減少しますが、立地や市況によって土地の評価額が上昇することもあります。このため、毎年4月頃に届く納税通知書で税額の変化を確認することが重要です。

固定資産税の基礎知識と計算方法

固定資産税を正確に理解するには、課税の仕組みと計算式を知っておく必要があります。以下、固定資産税の定義、計算方法、納税時期について解説します。

(1) 固定資産税とは:毎年1月1日時点の所有者に課される地方税

固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に対して市町村が課税する地方税です。所有している限り、毎年納税義務が発生します。

課税主体は市町村(東京23区の場合は東京都)であり、税額や納付方法は自治体によって若干異なる場合があります。

(2) 計算式:固定資産税評価額×標準税率1.4%

固定資産税の計算式は以下の通りです。

固定資産税 = 固定資産税評価額 × 標準税率1.4%

固定資産税評価額は、総務大臣の定める基準に基づき、市町村長が決定します。一般的に、土地は時価の70%程度、建物は再建築価格の50-70%程度とされています。

標準税率は1.4%が基本ですが、自治体によっては異なる税率を設定している場合もあります(例:財政難の自治体が1.5%に設定するケースなど)。

計算例

項目 評価額 税率 税額
土地 500万円 1.4% 7万円
建物 1,500万円 1.4% 21万円
合計 2,000万円 - 28万円

この例では、評価額2,000万円のマンションに対し、年間28万円の固定資産税が課されます。

(3) 納税時期と支払い方法(年4回分割払い)

固定資産税の納税通知書は、毎年4月頃に所有者の住所へ郵送されます。納税は年4回の分割払いが一般的で、納期は自治体によって異なりますが、おおむね以下のスケジュールです。

  • 第1期:4月-6月
  • 第2期:7月-9月
  • 第3期:10月-12月
  • 第4期:翌年1月-3月

支払い方法は、金融機関窓口、コンビニエンスストア、口座振替、クレジットカード、スマホ決済などが利用できます。一括払いも可能ですが、分割払いによる利息等はかかりません。

マンションの固定資産税評価額の仕組みと調べ方

マンションの固定資産税評価額は、土地と建物で評価方法が異なります。また、マンションは戸建てと比べて建物評価額の割合が高い点が特徴です。

(1) 土地と建物の評価方法の違い

固定資産税評価額は、土地と建物で以下のように算出されます。

土地:路線価(道路に面した土地の1㎡あたりの評価額)×面積
建物:再建築価格(同じ建物を新築する場合の費用)×経年減点補正率

土地の評価額は市況によって変動しますが、建物の評価額は築年数が経過するごとに減少していきます。

(2) マンションの建物比率は約70%と高い

マンションと戸建てでは、土地と建物の評価額の比率が大きく異なります。

物件種別 土地評価額 建物評価額
戸建て 約70% 約30%
マンション 約30% 約70%

マンションは、敷地全体を戸数で按分するため、土地の持ち分が小さく、建物評価額が高くなる傾向があります。このため、同じ価格帯でも戸建てよりマンションの方が固定資産税が高くなることが多いです。

(3) 固定資産税評価額の調べ方(納税通知書・証明書取得)

固定資産税評価額を確認する方法は以下の2つです。

1. 固定資産税納税通知書で確認
毎年4月頃に郵送される納税通知書に、土地・建物それぞれの評価額が記載されています。

2. 固定資産税評価証明書を取得
納税通知書を紛失した場合や、購入前に評価額を確認したい場合は、市役所(東京23区の場合は都税事務所)で固定資産税評価証明書を取得できます。手数料は300円程度です。

(4) 鉄筋コンクリート造の法定耐用年数47年と評価額の関係

マンションの多くは鉄筋コンクリート造(RC造)で、法定耐用年数は47年です。一方、木造戸建ての耐用年数は22年です。

法定耐用年数が長いほど、建物の評価額が下がりにくく、固定資産税も高い水準を維持します。このため、築年数が同じでも、マンションの方が戸建てより税額が高くなる傾向があります。

軽減措置と特例の活用方法

固定資産税には、住宅用地の特例や新築住宅の軽減措置など、税負担を抑える制度が複数あります。適用条件と申請方法を正しく理解し、期限内に手続きすることが重要です。

(1) 住宅用地の特例(200㎡以下1/6、200㎡超1/3)

住宅用地の特例は、住宅が建っている土地の評価額を軽減する制度です。

土地面積 軽減率
200㎡以下(小規模住宅用地) 評価額を1/6に軽減
200㎡超(一般住宅用地) 評価額を1/3に軽減

この特例により、土地の固定資産税は大幅に減額されます。

注意点:この特例は自動では適用されません。マンション購入後、翌年1月31日までに自治体の税務課へ申請が必要です。申請を怠ると、軽減なしの税額(本来の6倍)を支払うことになります。

(2) 新築住宅の軽減措置(5年間半額、長期優良住宅は7年間)

新築マンションには、一定期間、建物の固定資産税が半額になる軽減措置があります。

住宅種別 軽減期間 軽減内容
一般の新築マンション 5年間 建物の税額が1/2
長期優良住宅のマンション 7年間 建物の税額が1/2

長期優良住宅とは、耐震性や省エネ性など一定の基準を満たした住宅で、認定を受けることで軽減期間が延長されます。

適用条件

  • 床面積が50㎡以上280㎡以下
  • 居住用部分が全体の1/2以上

(3) 軽減措置の申請手続きと期限(翌年1月31日まで)

新築住宅の軽減措置や住宅用地の特例は、自治体への申請が必要です。申請期限は、原則として翌年1月31日までです。

申請に必要な書類は自治体によって異なりますが、一般的に以下が求められます。

  • 固定資産税軽減申請書(自治体の税務課で入手)
  • 建物の登記事項証明書
  • 長期優良住宅の場合は認定通知書のコピー

申請を忘れると軽減が受けられないため、マンション購入後は速やかに手続きを行いましょう。

(4) 2024年度税制改正:軽減措置の延長と最新情報

2024年度の税制改正により、以下の措置が延長されています。

  • 固定資産税軽減措置:2026年3月31日まで延長
  • 負担調整措置(評価替えで税額が急激に上昇しないよう緩和する制度):2027年3月31日まで延長

また、2023年度にはマンション長寿命化促進税制が新設され、大規模修繕を行ったマンションに対して固定資産税の減額措置が設けられました(2025年3月31日まで)。

税制は改正される可能性があるため、最新情報は自治体の税務課や国税庁の公式サイトで確認することをおすすめします。

戸建てとマンションの固定資産税比較

同じ価格帯の物件でも、戸建てとマンションでは固定資産税の額が異なります。ここでは、その理由を詳しく解説します。

(1) 同価格ならマンションが高い傾向の理由

同じ価格の戸建てとマンションを比較すると、一般的にマンションの方が固定資産税が高くなります。

理由は、マンションの建物評価額が戸建てより高いためです。マンションは建物比率が約70%、戸建ては約30%であり、建物評価額が大きいほど固定資産税も高くなります。

(2) 土地・建物比率の違い(戸建て70%:30%、マンション30%:70%)

戸建てとマンションの評価額の内訳は以下の通りです。

物件種別 土地評価額 建物評価額
戸建て 約70% 約30%
マンション 約30% 約70%

マンションは敷地全体を戸数で按分するため、1戸あたりの土地持ち分が小さくなります。その分、建物評価額が高くなり、固定資産税も高額になる傾向があります。

(3) 耐用年数の違い(木造22年、RC47年)が評価額に与える影響

建物の法定耐用年数も、固定資産税に影響します。

構造 法定耐用年数 評価額の推移
木造(戸建て) 22年 早く下がる
鉄筋コンクリート造(マンション) 47年 ゆっくり下がる

木造戸建ては22年で評価額が大きく減少しますが、RC造マンションは47年かけて減少するため、築年数が同じでもマンションの方が評価額が高く、固定資産税も高くなります。

まとめ:固定資産税を理解して適切に納税する

分譲マンションの固定資産税は、評価額×標準税率1.4%で計算され、年間10-30万円程度が相場です。新築マンションは5年間(長期優良住宅は7年間)税額が半額になる軽減措置があり、住宅用地の特例で土地の評価額も1/6に軽減されます。

ただし、これらの軽減措置は自動では適用されないため、購入後は翌年1月31日までに自治体へ申請する必要があります。申請を怠ると、本来の6倍の税額を支払うことになるため注意が必要です。

マンションは戸建てと比べて建物評価額が高く、同価格なら税額が高い傾向にあります。また、3年ごとの評価替えで税額が変動する可能性もあるため、毎年4月頃に届く納税通知書で確認することが重要です。

詳細な税額や申請手続きについては、市町村の税務課や税理士への相談をおすすめします。正確な情報を把握し、適切に納税することで、長期的な資金計画を立てやすくなります。

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よくある質問

Q1分譲マンションの固定資産税はいくらかかりますか?

A1新築マンションで年間10-30万円、中古マンションで10-20万円が目安です。計算式は「固定資産税評価額×標準税率1.4%」となります。新築の場合、軽減措置の適用で5年間は建物の税額が半額になるため、初年度は比較的低く抑えられます。ただし、物件価格や立地によって評価額が異なるため、詳細は自治体の税務課にご確認ください。

Q2固定資産税評価額の調べ方は?

A2毎年4月頃に届く固定資産税納税通知書で確認できます。通知書には土地・建物それぞれの評価額が記載されています。紛失した場合や購入前に確認したい場合は、市役所(東京23区の場合は都税事務所)で固定資産税評価証明書を取得可能です。手数料は300円程度で、本人確認書類があれば即日発行されます。

Q3新築マンションの軽減措置はいつまで有効ですか?

A3一般の新築マンションは5年間、建物の固定資産税が半額になります。長期優良住宅の認定を受けた場合は7年間の軽減が適用されます。適用条件は、床面積が50㎡以上280㎡以下、居住用部分が全体の1/2以上です。軽減期間が終了すると、建物の税額は通常の水準に戻るため、資金計画に組み込んでおくことが重要です。

Q4軽減措置の申請は必要ですか?

A4はい、住宅用地の特例や新築住宅の軽減措置は、自己申請が必要です。申請期限は原則として翌年1月31日までで、申請を怠ると軽減が適用されず、本来の6倍の税額を支払うことになります。申請に必要な書類は自治体によって異なりますが、一般的には固定資産税軽減申請書、建物の登記事項証明書などが求められます。マンション購入後は速やかに手続きを行いましょう。

Q5戸建てとマンションどちらが固定資産税が高いですか?

A5同じ価格帯であれば、一般的にマンションの方が固定資産税が高い傾向にあります。マンションは建物評価額が高く(建物比率約70%)、鉄筋コンクリート造で法定耐用年数が47年と長いため、評価額が下がりにくいためです。一方、木造戸建ては土地評価額が高く(土地比率約70%)、建物は22年で評価額が大きく減少します。このため、築年数が経過するほど戸建ての方が税額が下がりやすくなります。

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Room Match編集部

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