住宅ローン長期金利の推移と選び方は?変動金利との比較・メリット・注意点

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/19

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

住宅ローンの長期金利とは

住宅ローンを検討する際、「固定金利と変動金利のどちらを選ぶべきか」「長期金利はどう動いているのか」と悩む方は少なくありません。2024年3月の日銀マイナス金利解除以降、金利は上昇基調に転じており、金利タイプの選択がこれまで以上に重要になっています。

この記事では、住宅ローンの長期金利の仕組み、推移データ、変動金利との比較、選び方のポイントを、公的データとともに解説します。長期金利の動向を理解し、自分のライフプラン・リスク許容度に合った金利タイプを選ぶための参考にしてください。

この記事のポイント

  • 住宅ローンの固定金利は10年国債利回り(長期金利)に連動する
  • 2024年12月時点で大手銀行の固定10年金利は平均2.446%(5ヶ月連続上昇)
  • フラット35の金利は1.970%(全期間固定)
  • 変動金利は0.6-0.7%で固定金利より低いが、金利上昇リスクがある
  • 金利タイプの選択は、ライフプラン・リスク許容度・返済能力で判断する

(1) 長期金利と短期金利の違い

長期金利とは、貸付期間1年以上の金利のことです。住宅ローンの固定金利は、10年国債利回り(長期金利の代表的な指標)に連動します。

短期金利とは、貸付期間1年未満の金利のことです。住宅ローンの変動金利は、短期プライムレート(銀行が信用力の高い企業に短期で貸し出す際の最優遇金利)に連動します。

HOME4Uによると、固定金利は10年国債利回りに連動するため、長期金利の動向を定期的に確認することが重要とされています。

(2) 住宅ローンの固定金利と変動金利の基礎知識

住宅ローンには、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2つのタイプがあります。

固定金利:

  • 一定期間または全期間、金利が固定される
  • 10年固定、全期間固定(フラット35等)がある
  • 金利は変動金利より高いが、返済額が確定し安心感がある

変動金利:

  • 金融情勢の変化に応じて金利が変動する(通常、半年ごとに見直し)
  • 金利は固定金利より低いが、金利上昇リスクがある
  • 短期プライムレートに連動

どちらを選ぶかは、ライフプラン・リスク許容度・返済能力によって判断します。

住宅ローン長期金利の仕組みと推移

(1) 長期金利は10年国債利回りに連動する

住宅ローンの固定金利は、10年国債利回り(長期金利の代表的な指標)に連動します。HOME4Uによると、2024年11月に長期金利は1.835%(2008年6月以来の高水準)を記録しました。

長期金利の動向が住宅ローンに与える影響:

  • 長期金利が上昇 → 固定金利が上昇
  • 長期金利が下落 → 固定金利が下落

長期金利は市場の需給や日銀の金融政策により変動するため、最新の動向を確認することが重要です。

(2) 長期プライムレートと短期プライムレートの違い

銀行が企業に貸し出す際の基準金利には、長期プライムレートと短期プライムレートがあります。

長期プライムレート:

  • 銀行が信用力の高い企業に長期(1年以上)で貸し出す際の最優遇金利
  • 10年国債利回りに連動
  • 住宅ローンの固定金利の基準になる

短期プライムレート:

  • 銀行が信用力の高い企業に短期で貸し出す際の最優遇金利
  • 日銀の政策金利に連動
  • 住宅ローンの変動金利の基準になる

住宅ローンの金利タイプを選ぶ際は、これらのプライムレートの動向も参考にしてください。

(3) 2024年の長期金利推移:マイナス金利解除の影響

2024年は、日銀の金融政策が大きく転換した年です。SBI新生銀行によると、以下の政策変更が行われました。

日銀の政策変更:

時期 政策変更 影響
2024年3月 マイナス金利解除 短期金利が上昇
2024年7月 利上げ 政策金利を0.25%に引き上げ
2025年1月 利上げ 政策金利を0.50%に引き上げ

これらの政策変更により、長期金利も上昇基調に転じました。HOME4Uによると、2024年11月には長期金利が1.835%(2008年6月以来の高水準)を記録しています。

(4) フラット35の金利推移データ

フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。SBIアルヒによると、フラット35の金利推移は以下の通りです。

フラット35の金利推移:

時期 金利 前月比
2021年(最低水準) 1.2%台 -
2024年11月 1.940% +0.010%
2024年12月 1.970% +0.030%

フラット35の金利も、長期金利の上昇に伴い上昇傾向にあります。2025年以降も上昇が予想されるため、早期の借入検討が有利な場合があります。

長期金利と変動金利の比較

長期金利(固定金利)と変動金利を、金利水準・返済総額・リスクの観点で比較します。

(1) 金利水準の違い:固定10年2.4%、変動0.6-0.7%

三菱UFJ銀行によると、2024年12月時点の住宅ローン金利の相場は以下の通りです。

金利タイプ別の金利相場:

金利タイプ 金利相場 特徴
変動金利 0.6-0.7% 金利が低いが上昇リスクあり
固定10年 1.9-2.3% 10年間金利固定、以降は再選択
固定10年(大手銀行平均) 2.446% 5ヶ月連続上昇中
フラット35(全期間固定) 1.970% 全期間金利固定で安心

変動金利は固定金利より約1.8%低いですが、金利上昇リスクがあります。固定金利は金利が高いですが、返済額が確定し安心感があります。

(2) 返済総額のシミュレーション

借入額3,000万円、返済期間35年の場合、金利タイプによる返済総額の違いをシミュレーションします。

返済総額のシミュレーション:

金利タイプ 金利 月々返済額 総返済額 変動金利との差額
変動金利 0.6% 約78,000円 約3,276万円 -
固定10年 2.4% 約104,000円 約4,368万円 +約1,092万円
フラット35 1.97% 約98,000円 約4,116万円 +約840万円

変動金利の場合、月々の返済額は低く抑えられますが、金利上昇リスクがあります。固定金利の場合、月々の返済額は高いですが、返済額が確定し安心感があります。

(3) 金利上昇リスクの違い

三菱UFJ銀行によると、金利が1%上昇すると、借入額3,000万円の場合、月々の返済額は約2万円、総返済額は約840万円増加します。

金利1%上昇時の影響(借入額3,000万円、返済期間35年):

項目 金利0.6%の場合 金利1.6%の場合 増加額
月々返済額 約78,000円 約98,000円 +約20,000円
総返済額 約3,276万円 約4,116万円 +約840万円

金利上昇リスクを考慮し、シミュレーションツールで複数のシナリオを試算することが重要です。

長期固定金利のメリットとデメリット

(1) メリット:金利固定で返済額が確定、将来の計画が立てやすい

長期固定金利のメリットは以下の通りです。

メリット:

  • 返済額が確定: 全期間の返済額が確定し、将来の計画が立てやすい
  • 金利上昇リスクを回避: 金利上昇局面でも返済額が変わらず安心
  • 心理的な安心感: 金利変動に一喜一憂せず、安心して生活できる

住宅金融支援機構によると、金利のある世界での住宅ローン選びでは、金利上昇への備えとして固定金利が有力な選択肢とされています。

(2) デメリット:変動金利より金利が高い、金利低下の恩恵を受けられない

長期固定金利のデメリットは以下の通りです。

デメリット:

  • 金利が高い: 変動金利より金利が約1.8%高い
  • 金利低下の恩恵を受けられない: 金利が下がっても返済額は変わらない
  • 繰り上げ返済手数料: 銀行によっては繰り上げ返済手数料がかかる場合がある

金利が安定または下落する局面では、変動金利の方が有利になる可能性があります。

住宅ローン金利タイプの選び方

(1) ライフプランとリスク許容度で判断する

住宅ローンの金利タイプは、ライフプラン・リスク許容度・返済能力で判断します。

判断基準:

要素 固定金利向き 変動金利向き
リスク許容度 低い(安定を重視) 高い(リスクを取れる)
収入の安定性 安定した職業 収入が増加見込み
返済期間 長期(20年以上) 短期(10年程度)
繰り上げ返済 予定なし 予定あり
子育て費用 今後増加予定 ピークは過ぎた

自分のライフプランとリスク許容度を考慮し、最適な金利タイプを選んでください。

(2) 長期固定金利が向いている人

長期固定金利が向いている人の特徴は以下の通りです。

向いている人:

  • 金利上昇リスクを避けたい人
  • 返済計画を確定したい人
  • 収入の変動が少ない安定した職業の人(公務員、大手企業正社員等)
  • 子育て世帯や老後資金の計画を立てたい人
  • 長期間(20年以上)の返済を予定している人

SBI新生銀行によると、金利上昇時の対策として、固定金利への借り換えを検討するのも一つの方法とされています。

(3) 変動金利が向いている人

変動金利が向いている人の特徴は以下の通りです。

向いている人:

  • 金利上昇リスクを許容できる人
  • 収入が増加する見込みがある人
  • 繰り上げ返済を積極的に行える人
  • 返済期間が短い(10年程度)人
  • 金利動向を定期的にチェックできる人

変動金利を選ぶ場合は、金利上昇時の返済額シミュレーションを行い、返済可能な範囲を確認してください。

(4) シミュレーションツールで返済額を試算する

金利タイプを選ぶ際は、シミュレーションツールで返済額を試算することが重要です。多くの金融機関が無料のシミュレーションツールを提供しています。

シミュレーションで確認すべき項目:

  • 月々の返済額
  • 総返済額
  • 金利1%上昇時の返済額
  • 繰り上げ返済時の効果

シミュレーションを活用し、無理のない返済計画を立ててください。

まとめ:長期金利時代の住宅ローン選び

住宅ローンの固定金利は10年国債利回り(長期金利)に連動し、2024年12月時点で大手銀行の固定10年金利は平均2.446%(5ヶ月連続上昇)です。フラット35の金利は1.970%(全期間固定)で、変動金利は0.6-0.7%と固定金利より低いですが、金利上昇リスクがあります。

金利タイプの選択は、ライフプラン・リスク許容度・返済能力で判断することが重要です。長期固定金利は返済額が確定し安心感がありますが、金利が高いというデメリットがあります。変動金利は金利が低いですが、金利上昇リスクを許容できる人に向いています。

(1) 2025年以降の金利動向と注意点

2024年3月のマイナス金利解除、7月・2025年1月の利上げにより、金利は上昇基調に転じています。SBI新生銀行によると、2026年7-9月期に長期金利は1.63%まで上昇する見込みとされています。

2025年以降の金利動向:

  • 日銀の金融政策により金利は変動する可能性がある
  • 長期金利の上昇に伴い、固定金利も上昇傾向
  • 変動金利も今後上昇する可能性がある

金利動向は複数の情報源で確認し、最新情報を定期的にチェックすることが重要です。

(2) 専門家への相談のすすめ

住宅ローンの金利タイプ選択は、個人の返済能力・リスク許容度により適切な判断が異なります。詳細はファイナンシャルプランナー(FP)、銀行の住宅ローン担当者等の専門家にご相談ください。返済シミュレーション、ライフプランの作成、最適な金利タイプの選択については、専門家に相談することを推奨します。

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

広告

よくある質問

Q1フラット35と銀行の長期固定金利の違いは?

A1フラット35は住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利(最長35年)で、2024年12月時点で1.970%です。銀行の固定10年は平均2.446%で、10年経過後は変動金利か再度固定金利を選択する必要があります。全期間固定で返済額を確定したい場合はフラット35が有力な選択肢です。フラット35は団体信用生命保険の加入が任意で、銀行の住宅ローンは原則加入が必要という違いもあります。

Q2変動金利と固定金利はどちらがお得?

A2変動金利は0.6-0.7%で固定金利より低いですが、金利上昇リスクがあります。固定金利は2.4%程度で高いですが、返済額が確定し安心感があります。金利上昇局面では固定金利、金利安定局面では変動金利が有利になる場合がありますが、個人のリスク許容度・返済能力・ライフプランで判断することが重要です。シミュレーションツールで複数のシナリオを試算し、無理のない返済計画を立ててください。

Q3金利が1%上昇すると返済額はどれくらい変わる?

A3三菱UFJ銀行によると、借入額3,000万円、返済期間35年の場合、金利が1%上昇すると月々の返済額は約2万円、総返済額は約840万円増加します。例えば、金利0.6%で月々約78,000円の場合、金利1.6%になると月々約98,000円になります。金利上昇リスクを考慮し、シミュレーションツールで複数のシナリオを試算することが重要です。

Q4長期固定金利はどんな人に向いている?

A4長期固定金利は、金利上昇リスクを避けたい人、返済計画を確定したい人、収入の変動が少ない安定した職業の人(公務員、大手企業正社員等)に向いています。子育て世帯や老後資金の計画を立てたい人、長期間(20年以上)の返済を予定している人にも適しています。SBI新生銀行によると、金利上昇時の対策として固定金利への借り換えを検討するのも一つの方法とされています。

Q52025年以降の住宅ローン金利はどうなる?

A5SBI新生銀行によると、2024年3月のマイナス金利解除、7月・2025年1月の利上げにより金利は上昇基調に転じており、2026年7-9月期に長期金利は1.63%まで上昇する見込みとされています。今後も日銀の金融政策次第で変動するため、最新情報を定期的に確認することが重要です。金利動向は複数の情報源で確認し、借入時期のタイミングを慎重に判断してください。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事