土地の分筆とは?|登記上で土地を分ける手続きの基本
土地を相続で分けたい、土地の一部を売却したい、と考えた際に「分筆」という言葉を耳にすることがあるでしょう。しかし、「分筆とは何か」「どのような手続きが必要なのか」と疑問に感じる方も多いはずです。
この記事では、土地の分筆の基本、分筆が必要な場面、手続きの流れ、費用相場、メリット・デメリットを、法務局や土地家屋調査士会の公式情報を元に解説します。
土地の分筆を検討している方が、手続きの流れや費用を理解し、適切な判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 分筆とは登記簿上で1つの土地を複数に分ける手続き(分割とは異なる)
- 相続・売却・担保設定・地目変更時に分筆が必要
- 手続きは土地家屋調査士に依頼するのが一般的
- 費用は10万〜100万円(境界確定の有無、面積、立地により変動)
- 接道義務(道路に2m以上接する)を満たす必要があり、満たさない場合は建築不可能に
(1) 分筆と分割の違い(登記変更の有無)
分筆とは、登記簿上で1つの土地(一筆)を複数の土地に分ける手続きです。「分割」は登記変更を伴わない物理的な区分ですが、「分筆」は法務局で登記手続きを行い、それぞれ独立した土地として登記されます。
| 項目 | 分筆 | 分割 |
|---|---|---|
| 登記変更 | あり | なし |
| 法的効力 | 独立した土地 | 同一の土地 |
| 手続き | 土地家屋調査士 | 不要 |
(2) 分筆登記の法的位置づけ
分筆登記は、不動産登記法に基づく手続きです。分筆後、それぞれの土地は独立した「筆」として登記され、所有権や抵当権を個別に設定できるようになります。
(3) 筆(ひつ)とは何か
筆(ひつ)とは、土地の数を表す単位です。1筆、2筆と数えます。登記簿上、1つの土地は1筆として記録され、分筆により2筆、3筆と増えます。
分筆が必要な場面|相続・売却・担保設定のケース別
(1) 相続時に土地を分ける
相続により土地を複数の相続人で分ける場合、分筆が必要です。分筆により、それぞれ独立した土地として登記され、単独所有にすることで売却や活用の自由度が高まります。
2024年4月から相続登記が義務化されたため、分筆を伴う相続手続きの重要性が増しています。
(2) 土地の一部を売却する
土地の一部を売却する場合、分筆が必要です。分筆により、売却する部分と残す部分を明確に区分できます。
(3) 土地の一部を担保に入れる
住宅ローン等で土地の一部を担保に入れる場合、分筆が必要です。分筆により、担保に入れる部分と残す部分を区分できます。
(4) 地目を変更する(宅地・農地等)
土地の一部の地目を変更する場合、分筆が必要です。例えば、農地の一部を宅地に変更する場合、分筆により地目を別々に設定できます。
分筆の手続きと流れ|土地家屋調査士への依頼から完了まで
(1) 境界確定測量(隣地所有者との合意)
分筆の前提条件として、土地の境界を隣地所有者と確定する必要があります。境界確定測量では、隣地所有者立会いのもと、土地の境界を測量し、合意を得ます。
境界確定に時間がかかる場合があり、隣地所有者との合意が取れない場合は手続きが長期化する可能性があります。
(2) 分筆測量と登記申請書類の作成
境界確定後、分筆測量を行い、分筆後の各土地の面積や形状を測量します。土地家屋調査士が登記申請書類を作成します。
(3) 法務局への分筆登記申請
土地家屋調査士が法務局へ分筆登記を申請します。申請後、法務局で審査が行われ、問題がなければ分筆登記が完了します。
(4) 手続き期間(最短10日、最長2〜3ヶ月)
分筆の手続き期間は、最短10日、最長2〜3ヶ月程度です。境界確定測量が完了していれば短期間で済みますが、隣地所有者との合意が取れない場合は長期化する可能性があります。
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分筆費用の相場|10万〜100万円の内訳と変動要因
(1) 土地家屋調査士報酬(測量費用含む)
分筆費用の大部分は、土地家屋調査士への報酬です。測量費用を含め、10万〜100万円程度です。
(2) 登録免許税(分筆後の筆数×1,000円)
分筆登記時に納める税金として、登録免許税があります。分筆後の土地の筆数×1,000円です。例えば、1筆を2筆に分筆する場合、2,000円です。
(3) 費用を左右する要因(面積・立地・境界確定の有無)
分筆費用は、以下の要因により大きく変動します。
- 境界確定の有無: 境界確定測量が完了している場合は費用が安く、未完了の場合は高くなります
- 土地の面積: 面積が大きいほど測量費用が高くなります
- 立地: 都市部や複雑な形状の土地は費用が高くなります
- 隣地所有者との合意の難易度: 合意が難しい場合は時間と費用がかかります
| 境界確定の状況 | 費用相場 |
|---|---|
| 境界確定済み | 10万〜30万円 |
| 境界確定必要 | 50万〜100万円 |
土地家屋調査士への見積もり依頼を推奨します。
分筆のメリット・デメリット|税金・活用・リスクの全体像
(1) メリット(共有名義の解消・自由な売却・相続対策)
共有名義の解消: 分筆により共有名義を解消し、単独所有にすることで、売却や活用の自由度が高まります。
自由な売却: 土地の一部を売却できるため、必要な資金を調達しやすくなります。
相続対策: 相続時に土地を分けることで、相続人間のトラブルを防げます。
(2) デメリット(接道義務・無道路地リスク・固定資産税)
接道義務: 建築基準法で、建物を建てるためには道路に2m以上接している必要があります。分筆により接道義務を満たさない土地ができると、建築不可能になります。
無道路地リスク: 分筆により無道路地(道路に接していない土地)ができると、利用価値が大幅に下がります。
固定資産税: 分筆後の土地に建物がない場合、住宅用地の特例(1/6軽減)を受けられず、固定資産税が増加する可能性があります。
(3) 建築基準法の注意点(2m以上の接道義務)
建築基準法や自治体条例により、接道義務の詳細は異なる場合があります。分筆前に、自治体の建築指導課へ確認することを推奨します。
まとめ|分筆を検討する際の重要ポイント
土地の分筆とは、登記簿上で1つの土地を複数に分ける手続きです。相続・売却・担保設定・地目変更時に必要で、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
費用は10万〜100万円程度で、境界確定の有無、面積、立地により大きく変動します。分筆前に土地家屋調査士への見積もり依頼を推奨します。
分筆により共有名義を解消できる一方、接道義務を満たさない土地や無道路地ができると利用価値が下がります。建築基準法や自治体条例を事前に確認し、専門家(土地家屋調査士、税理士)に相談しながら進めることが重要です。
分筆を検討している方は、自治体の建築指導課や土地家屋調査士に相談し、適切な判断を行いましょう。
