土地を売却する理由と全体の流れ
土地の売却を検討している方の中には、「何から始めればいいのか」「どのくらい税金がかかるのか」「不動産会社はどう選べばいいのか」と不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、土地売却の全体の流れ、必要書類、税金(譲渡所得税)、不動産会社の選び方を、国税庁やHOME4Uなどの公式情報を元に解説します。
初めて土地を売却する方、相続した土地の処分を検討している方に、失敗しないための実践的な知識を提供します。
この記事のポイント
- 土地売却は6つのステップ(事前準備→査定→媒介契約→販売活動→売買契約→引渡し)で進み、期間は3〜6ヶ月が目安
- 境界が未確定の場合は売却前に確定測量を実施すると、トラブル防止とスムーズな取引が可能
- 土地の所有期間が5年超なら税率20.315%、5年以下なら39.63%となり、大きな差が生じる
- 2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内に登記しないと10万円以下の過料
- 複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額だけでなく実績・エリア精通度・担当者の対応で総合的に判断する
(1) 土地売却の6つのステップ(事前準備→査定→媒介契約→販売活動→売買契約→引渡し)
ホームズによると、土地売却は以下の6つのステップで進みます。
| ステップ | 内容 | 期間目安 |
|---|---|---|
| 1. 事前準備 | 必要書類の収集、境界確定測量 | 1〜2ヶ月 |
| 2. 査定依頼 | 複数の不動産会社に査定依頼 | 1週間 |
| 3. 媒介契約 | 不動産会社と媒介契約締結 | 1週間 |
| 4. 販売活動 | 広告掲載、内見対応 | 1〜3ヶ月 |
| 5. 売買契約 | 買主と売買契約締結 | 1週間 |
| 6. 引渡し | 決済、所有権移転登記 | 1ヶ月 |
各ステップで必要な準備を怠ると、トラブルに発展する可能性があるため、順を追って進めることが重要です。
(2) 売却にかかる期間(3〜6ヶ月が目安)
仲介売却の場合、査定依頼から引渡しまで3〜6ヶ月程度が目安です。境界確定測量が必要な場合は1ヶ月〜半年追加でかかります。
買取(不動産会社が直接購入)なら1〜2週間で完了しますが、売却価格は仲介より2〜3割安くなります。
必要書類と事前準備
(1) 権利証(登記識別情報通知書)の確認
HOME4Uによると、権利証(登記識別情報通知書)は再発行不可のため、紛失した場合は司法書士による本人確認情報作成が必要です(別途費用)。
権利証の役割:
- 売主本人しか保有していない重要書類
- 所有権移転に必須
- 紛失した場合の対処: 司法書士による本人確認情報作成(費用5〜10万円)
権利証は売却前に必ず確認してください。
(2) 固定資産税納税通知書・評価証明書
固定資産税精算金の計算や所有権移転登記の登録免許税計算には、固定資産税納税通知書・評価証明書が必要です。
入手方法:
- 固定資産税納税通知書: 毎年4〜6月に市区町村から郵送
- 評価証明書: 市区町村の窓口で取得(300〜400円)
(3) 境界確定測量の重要性(費用30〜80万円、期間1ヶ月〜半年)
HOME4Uによると、確定測量の費用は100㎡以下の土地で30〜50万円程度、官民査定が必要な場合は60〜80万円程度です。
境界確定測量のメリット:
- トラブル防止: 引渡し後の隣地トラブルを防げる
- スムーズな取引: 買い手がつきやすい
- 正確な面積: 売却価格を正確に算出できる
確定測量には1ヶ月〜半年ほどかかるため、土地売却を検討する場合は早めに依頼してください。
(4) 紛失した場合の対処法(司法書士による本人確認情報)
権利証を紛失した場合、司法書士による本人確認情報作成で対応できますが、別途費用(5〜10万円)と時間が必要です。
価格査定と不動産会社選び
(1) 複数社への査定依頼(一括査定サイトのメリット・デメリット)
複数の不動産会社に査定を依頼することで、適正な売却価格を把握できます。
一括査定サイトのメリット:
- 手軽に複数社の査定を比較できる
- 無料で利用可能
一括査定サイトのデメリット:
- 営業電話が多数かかってくる場合がある
- 査定価格が高いだけで実際に売れるとは限らない
一括査定サイトは便利ですが、査定額だけでなく実績・エリア精通度・担当者の対応を総合的に判断してください。
(2) 不動産会社選びのポイント(実績・エリア精通度・担当者の対応)
不動産売却マスターによると、不動産会社選びでは以下のポイントを確認してください。
| ポイント | 確認内容 |
|---|---|
| 実績 | 土地売却の実績が豊富か |
| エリア精通度 | 売却予定地のエリアに詳しいか |
| 担当者の対応 | 質問に丁寧に答えてくれるか |
| 査定根拠 | 査定価格の根拠を明確に説明できるか |
査定価格が高いだけで不動産会社を選ぶと、実際にはその価格で売れず、長期間売れ残るリスクがあります。
(3) 大手と地元密着型の違い
大手不動産会社:
- メリット: 顧客数が多い、広告力が強い
- デメリット: 担当者の異動が多い
地元密着型不動産会社:
- メリット: 地域人脈が豊富、柔軟な対応
- デメリット: 顧客数が限られる
大手と地元密着型の併用も可能です(一般媒介契約)。
(4) 媒介契約の種類(一般・専任・専属専任)
媒介契約には3種類あります。
| 契約種類 | 複数社と契約 | 自己発見取引 | レインズ登録義務 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介 | ○ 可能 | ○ 可能 | 任意 |
| 専任媒介 | × 1社のみ | ○ 可能 | 義務(7日以内) |
| 専属専任 | × 1社のみ | × 不可 | 義務(5日以内) |
一般媒介は複数社と契約できますが、専任媒介・専属専任媒介は1社のみです。専任媒介・専属専任媒介は「囲い込み」のリスクがあるため、注意が必要です。
売買契約から引渡しまで
(1) 売買契約時の注意点(重要事項説明・契約不適合責任)
ナカジツによると、2020年の民法改正により「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更され、売主の責任範囲が拡大しました。
契約不適合責任:
- 土壌汚染・地下埋設物等の問題があれば売主が責任を問われる
- 引渡し後に発覚した場合、損害賠償請求や契約解除のリスク
土地の欠点(地盤沈下、擁壁の老朽化等)は正直に告知してください。
(2) 手付金の授受
売買契約時に買主から手付金(売却価格の5〜10%)を受け取ります。
手付金の役割:
- 契約成立の証
- 買主の契約解除時は手付金を放棄
- 売主の契約解除時は手付金の倍額を返還
(3) 決済と所有権移転登記
引渡し時に、残代金の授受と所有権移転登記を同時に行います。
決済の流れ:
- 買主が残代金を支払う
- 売主が権利証・鍵を引き渡す
- 司法書士が所有権移転登記を申請
(4) 固定資産税の精算
固定資産税は1月1日時点の所有者が納税義務者です。引渡し日を基準に売主と買主で精算します。
精算例(引渡し日7月1日、固定資産税年額10万円の場合):
- 売主負担: 1月1日〜6月30日(181日分)= 約4万9,600円
- 買主負担: 7月1日〜12月31日(184日分)= 約5万400円
税金(譲渡所得税)と諸費用
(1) 譲渡所得税の計算方法(所有期間5年で税率が変わる)
国税庁によると、譲渡所得税の税率は所有期間により異なります。
| 所有期間 | 税率 | 内訳 |
|---|---|---|
| 5年以下(短期) | 39.63% | 所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63% |
| 5年超(長期) | 20.315% | 所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315% |
計算式:
譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率
(2) 特別控除(3,000万円・5,000万円)
国税庁によると、特別控除が適用される場合があります。
| 特別控除 | 適用条件 |
|---|---|
| 3,000万円 | 居住用財産(マイホーム)を売却 |
| 5,000万円 | 公共事業のために土地を売却 |
特別控除を適用することで、譲渡所得を大幅に圧縮できます。
(3) 取得費・譲渡費用の詳細
取得費:
- 土地を購入した際の代金
- 購入手数料(仲介手数料、登記費用等)
- 買った値段がわからない場合: 売却額の5%を取得費とする概算取得費の制度あり
譲渡費用:
- 仲介手数料
- 測量費
- 印紙代
- 立退料
- 取壊し費用
(4) 仲介手数料(売却価格の3%+6万円+消費税)
仲介手数料の上限は以下の通りです。
| 売却価格 | 仲介手数料上限 |
|---|---|
| 3,000万円 | 105.6万円(税込) |
| 5,000万円 | 171.6万円(税込) |
2024年7月から800万円以下の物件は特例があります。
(5) 確定申告の必要性
譲渡所得が発生した場合、翌年に確定申告が必要です。特別控除適用でも申告が必要なため、忘れずに行ってください。
土地売却の注意点とトラブル防止
(1) 境界未確定のリスク(隣地トラブル)
境界確定をせずに売却すると、引渡し後に隣地所有者とトラブルに発展し、最悪の場合訴訟になるリスクがあります。
(2) 契約不適合責任(土壌汚染・地下埋設物)
土壌汚染・地下埋設物は引渡し後に発覚するケースが多く、契約不適合責任により損害賠償が必要になる可能性があります。
(3) 2024年相続登記義務化(3年以内に登記)
ナカジツによると、2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内に登記しないと10万円以下の過料が課されます。
(4) 囲い込みのリスク
専任媒介契約・専属専任媒介契約で依頼された物件を、他の不動産会社に紹介しない「囲い込み」により、売却機会を逃すリスクがあります。
(5) 重要事項の告知義務
重要事項の告知義務を怠ると、契約解除や損害賠償請求に発展する可能性があるため、土地の欠点は正直に伝えてください。
まとめ:土地売却を成功させるために
土地売却は、事前準備→査定→媒介契約→販売活動→売買契約→引渡しの6つのステップで進みます。期間は3〜6ヶ月が目安で、境界確定測量が必要な場合は追加で1ヶ月〜半年かかります。
譲渡所得税は所有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%です。3,000万円特別控除等の特例があるため、税理士への相談を推奨します。複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額だけでなく実績・エリア精通度・担当者の対応で総合的に判断してください。
境界確定測量を実施し、契約不適合責任を理解したうえで、誠実な取引を心がけることが、土地売却を成功させるカギです。


