土地を貸す方法と注意点|収益化から税金対策まで徹底解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/31

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土地を貸すとは|メリット・デメリットと収益性の基本

使っていない土地の固定資産税負担が気になる、安定した収入源として土地賃貸を検討している。そんな土地所有者の方にとって、土地を貸すという選択肢は魅力的に感じられるかもしれません。

この記事では、土地を貸す方法の種類、借地料の相場、契約時の注意点、税金の扱いについて、国土交通省国税庁の公式情報を元に解説します。

初めて土地賃貸を検討する方でも、契約形態別の収益性とリスク、税金の計算方法を正確に理解できるようになります。

この記事のポイント

  • 土地を貸す方法には普通借地権・定期借地権・駐車場・太陽光発電等がある
  • 借地料の相場は固定資産税の2-5倍、または更地価格の2-3%が目安
  • 普通借地権は借主保護が強く、正当事由がないと契約終了・返還を求められない
  • 土地の貸付による収入は不動産所得として確定申告が必要(年20万円超の場合)
  • 契約前に境界確定、賃料改定条件の明記等で将来のトラブルを防止できる

貸し方の種類|普通借地権・定期借地権・駐車場・太陽光

土地を貸す方法は大きく分けて「借地権(建物を建てる目的)」と「建物を建てない活用」の2種類があります。

(1) 普通借地権と定期借地権の違いと選び方

国土交通省「借地借家法の解説」によると、借地権は以下の2種類があります。

項目 普通借地権 定期借地権
契約期間 30年以上(更新あり) 一般定期:50年以上
事業用:10-50年未満
建物譲渡特約付:30年以上
更新 あり(正当事由がないと更新拒絶不可) なし(期間満了で確実に返還)
地主の権利 弱い(借主保護が強い) 強い(契約期間で確実に返還)
収益性 権利金・借地料が高め 借地料は低めだが返還確実

選び方のポイント:

  • 将来土地を取り戻したい場合: 定期借地権を選択(契約期間満了で確実に返還)
  • 長期的に安定収入を得たい場合: 普通借地権(契約期間が長く、更新により長期収入が期待できる)
  • 事業用地として貸す場合: 事業用定期借地権(10-50年未満の期間設定が可能)

(2) 建物を建てない活用(駐車場・トランクルーム・太陽光発電)

2024年時点で、建物を建てない土地活用が増加しています。借地借家法の適用を受けないため、地主側の権利が強く、契約解除や返還請求がしやすいメリットがあります。

主な活用方法:

  • 駐車場: 月極駐車場、コインパーキング(初期投資が少なく、転用しやすい)
  • トランクルーム: コンテナ設置で賃貸収入を得る(駐車場より高収益)
  • 太陽光発電: 太陽光パネル設置で売電収入(固定資産税軽減対象外だが、安定収入)

借地料の相場と計算方法|固定資産税倍率法・更地価格割合法

(1) 借地料の計算方法5つと相場の調べ方

借地料の相場は地域・用途・契約形態により大きく異なります。以下の計算方法が一般的です。

1. 固定資産税倍率法

固定資産税額に一定倍率(2-5倍)を乗じる方法。最もシンプルで広く使われています。

  • 計算式: 年間借地料 = 固定資産税額 × 2-5倍
  • 例: 固定資産税10万円 → 年間借地料20-50万円

2. 更地価格割合法

更地(建物のない土地)の価格に一定割合(2-3%)を乗じる方法。

  • 計算式: 年間借地料 = 更地価格 × 2-3%
  • 例: 更地価格3,000万円 → 年間借地料60-90万円

3. 路線価割合法

路線価(相続税評価額の基準)に一定割合(1.5-3%)を乗じる方法。

4. 積算法

更地価格に期待利回り(1-3%)を乗じて算定。

5. 賃貸事例比較法

周辺の取引事例を参考にして決定する方法。

(2) 借地料の改定条件と契約書への記載

借地料は長期契約の中で経済情勢や固定資産税の変動により適正額が変わる可能性があります。契約書に以下の改定条件を明記しておくことで、将来のトラブルを防止できます。

  • 物価変動率(消費者物価指数等)に連動
  • 固定資産税の変動に連動
  • 3年ごと等の定期見直し条項

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土地を貸す際の税金|不動産所得・消費税・固定資産税の関係

(1) 不動産所得の計算と確定申告の必要性

国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」によると、土地の貸付による収入は不動産所得に分類されます。

不動産所得の計算:

不動産所得 = 総収入金額(地代・権利金・礼金・更新料等)- 必要経費

確定申告の必要性:

  • 給与所得者: 不動産所得が年20万円超の場合、確定申告が必要
  • 事業専従者: 不動産所得の金額に関わらず確定申告が必要

必要経費の例:

  • 固定資産税・都市計画税
  • 測量費用
  • 契約書作成費用
  • 修繕費・管理費

(2) 消費税の取り扱い(原則非課税・例外課税)

国税庁「No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など」によると、土地の貸付は基本的に消費税非課税です。

貸付形態 消費税
土地の貸付(一般) 非課税
1ヶ月未満の土地貸付 課税
駐車場(施設の貸付) 課税
青空駐車場(土地のみ) 非課税

契約時の注意点|借地借家法と契約解除の難しさ

(1) 普通借地権の正当事由と契約更新

普通借地権は借地借家法で借主が強く保護されています。地主側から契約更新を拒絶したり、契約解除を申し入れたりする場合、以下の「正当事由」が必要です。

正当事由の判断要素:

  • 地主が土地を自ら使用する必要性
  • 借主が土地を使用する必要性
  • 借地に関する従前の経過
  • 土地の利用状況
  • 立退料の提供

実務上、正当事由が認められるハードルは非常に高く、「地主が土地を必要としている」というだけでは契約終了や返還を求められないことが多いです。

(2) 境界確定・賃料未払いへの対応

境界トラブルの防止:

契約前に土地の境界を明確にし、測量図を用意しておくことで、隣地との境界争いを防止できます。測量費用は必要経費として計上できます。

賃料未払いへの対応:

借地料の未払いが発生した場合、催告→契約解除→明渡請求という流れになります。ただし、普通借地権の場合は契約解除が認められるまでに時間とコストがかかることが多いため、契約前に借主の信用調査を行うことが重要です。

まとめ|土地を貸す際のチェックリスト

土地を貸す方法には普通借地権・定期借地権・駐車場・太陽光発電等の選択肢があり、それぞれ収益性とリスクが異なります。借地料の相場は固定資産税の2-5倍または更地価格の2-3%が目安ですが、地域や用途により大きく変わります。

普通借地権で貸すと、借地借家法で借主が強く保護されるため、契約期間満了後も正当事由がない限り返還を求められません。将来土地を取り戻したい場合は定期借地権を選択することをおすすめします。

契約前に以下のチェックリストを確認し、専門家(宅地建物取引士、税理士)に相談しながら、無理のない土地活用計画を立てましょう。

契約前のチェックリスト:

  • 普通借地権と定期借地権の違いを理解し、将来の土地利用計画に合わせて選択
  • 借地料の計算方法を複数使って相場を確認
  • 境界を明確にし、測量図を用意
  • 借地料の改定条件を契約書に明記
  • 確定申告の必要性を確認(年20万円超の不動産所得)
  • 親族への無償貸付の場合は使用貸借契約書を作成

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よくある質問

Q1土地を貸したら固定資産税は安くなりますか?

A1貸すだけでは安くなりません。ただし、住宅用地として利用されれば、固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)の対象になる可能性があります。具体的には、住宅1戸あたり200㎡までの部分は課税標準が6分の1に、200㎡を超える部分は3分の1に軽減されます。借地上に住宅が建つかどうかで変わるため、詳細は税理士への相談を推奨します。

Q2借地料の相場はいくらですか?

A2借地料の相場は固定資産税の2-5倍、または更地価格の2-3%が目安です。例えば、固定資産税が年10万円なら年間借地料は20-50万円、更地価格が3,000万円なら年間借地料は60-90万円となります。ただし、地域・用途・契約形態により大きく異なるため、周辺の取引事例を調べたり、不動産鑑定士に相談したりして決定することをおすすめします。

Q3普通借地権と定期借地権の違いは何ですか?

A3普通借地権は契約期間30年以上で更新があり、正当事由がない限り地主から契約更新拒絶や解約申し入れができません。一方、定期借地権は更新がなく、契約期間満了で確実に土地が返還されます。将来土地を取り戻したい場合は定期借地権、長期的に安定収入を得たい場合は普通借地権を選択するとよいでしょう。契約前に専門家(宅地建物取引士、弁護士)への相談を推奨します。

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