固定資産税とは:土地所有者が知るべき基礎知識
50坪の土地を所有、または購入を検討する際、「固定資産税はいくらかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、50坪の土地の固定資産税の目安、計算方法、小規模住宅用地特例の適用条件、坪数別の税額比較(50坪・70坪・80坪・150坪)、税額を抑える方法を、総務省や国土交通省の公式情報を元に解説します。
初めて土地を所有する方でも、固定資産税の仕組みを理解し、自分の土地の税額を試算できるようになります。
この記事のポイント
- 50坪の土地(約165㎡)の固定資産税は更地で年間約23.8万円、住宅用地なら小規模住宅用地特例(1/6軽減)で約4万円が目安
- 固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で計算(標準税率、自治体により異なる)
- 50坪は200㎡以下のため全面積が小規模住宅用地特例の対象となり、評価額が1/6に軽減される
- 70坪・80坪・150坪は200㎡を超える部分が一般住宅用地として1/3軽減となる
固定資産税の仕組み:毎年1月1日時点の所有者に課税
固定資産税は毎年1月1日時点の土地・建物の所有者に課される地方税です。市町村が課税し、年4回(4月・7月・12月・2月、自治体により異なる)に分けて納付します。
固定資産税は土地と建物それぞれに課税され、土地の固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で計算されます(標準税率、自治体により異なる場合があります)。
標準税率1.4%(自治体により異なる)
固定資産税の標準税率は1.4%ですが、自治体により異なる場合があります。例えば、一部の自治体では1.5%や1.6%に設定されていることもあります。
自分の土地が所在する市町村の税率は、市町村の公式サイトや課税明細書で確認できます。
都市計画税0.3%との違い
都市計画区域内の土地・建物には、固定資産税に加えて都市計画税(標準税率0.3%)が課税されます。都市計画税は固定資産税とは別の税金で、合計税率は1.7%(固定資産税1.4%+都市計画税0.3%)となります。
都市計画税は都市計画事業(道路、公園、下水道等)の費用に充てられます。
固定資産税の計算方法:50坪の土地の税額シミュレーション
計算式:固定資産税評価額×1.4%
固定資産税の計算式は以下の通りです。
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4%
固定資産税評価額は市町村が決定する土地の評価額で、公示地価の約70%が目安です。
固定資産税評価額とは:公示地価の約70%
固定資産税評価額は市町村が決定する土地・建物の評価額です。土地の評価額は公示地価の約70%、売買価格の約70%前後が目安となります。
公示地価は国土交通省が毎年3月に公表する土地価格の指標で、1月1日時点の1m²あたりの価格を示します。
50坪の更地の税額:年間約23.8万円
50坪(約165㎡)の更地の固定資産税は年間約23.8万円が目安です。以下は計算例です。
前提条件:
- 面積:50坪(約165㎡)
- 固定資産税評価額:1,000万円(平均的な評価額)
- 税率:1.4%
計算: 固定資産税 = 1,000万円 × 1.4% = 14万円
ただし、これは平均的な評価額での計算です。実際の評価額は地域により大きく異なります(後述の「地域別の評価額差」を参照)。
住宅用地特例適用後:年間約4万円(1/6軽減)
住宅用地の特例が適用されると、小規模住宅用地(200㎡以下)は固定資産税評価額が1/6に軽減されます。
計算: 課税標準額 = 1,000万円 × 1/6 = 約167万円 固定資産税 = 約167万円 × 1.4% = 約2.3万円
さらに都市計画税(0.3%)も課税される場合、合計で約4万円となります。
地域別の評価額差:都心部・地方都市・郊外の比較
固定資産税評価額は地域により大きく異なります。以下は50坪の土地の評価額の目安です。
| 地域 | 評価額目安 | 更地の税額 | 住宅用地の税額 |
|---|---|---|---|
| 都心部(東京23区等) | 3,000〜5,000万円 | 42〜70万円 | 7〜12万円 |
| 地方都市(政令市等) | 1,000〜2,000万円 | 14〜28万円 | 2.3〜4.7万円 |
| 郊外・地方 | 500〜1,000万円 | 7〜14万円 | 1.2〜2.3万円 |
これはあくまで目安であり、実際の評価額は市町村の課税明細書で確認してください。
小規模住宅用地特例の適用:50坪は1/6軽減の対象
小規模住宅用地の定義:200㎡(約60.5坪)以下
小規模住宅用地は住宅1戸あたり200㎡(約60.5坪)以下の土地を指します。小規模住宅用地は固定資産税評価額が1/6、都市計画税が1/3に軽減されます。
これは住宅用地の税負担を軽減し、居住の安定を図るための制度です。
50坪(約165㎡)は全面積が1/6軽減対象
50坪(約165㎡)は200㎡以下のため、全面積が小規模住宅用地特例の対象となります。更地の約6分の1の税額となり、大幅な節税効果があります。
例えば、更地で年間14万円の場合、住宅用地なら約2.3万円となり、約11.7万円の節税になります。
都市計画税も1/3軽減
都市計画区域内の住宅用地は、固定資産税だけでなく都市計画税も軽減されます。小規模住宅用地は都市計画税評価額が1/3に軽減されます。
計算例: 都市計画税 = (1,000万円 × 1/3) × 0.3% = 1万円
申請方法と期限:翌年1月31日まで
住宅用地の特例を受けるには、市町村への申請が必要です(自治体により自動適用される場合もあります)。申請期限は翌年1月31日までです。
新築住宅を建てた場合、翌年の1月31日までに「住宅用地申告書」を市町村に提出してください。詳細は市町村の固定資産税課にお問い合わせください。
特定空家指定で特例適用除外:税額6倍のリスク
特定空家(倒壊の危険がある、衛生上有害、景観を著しく損なう等の空き家)に指定されると、住宅用地の特例が適用除外となり、税額が最大6倍になるリスクがあります。
空き家を放置せず、適切に管理するか、売却・解体を検討してください。
坪数別の税額比較:50坪・70坪・80坪・150坪の目安
50坪(約165㎡):全面積1/6軽減、税額約4万円
50坪(約165㎡)は200㎡以下のため、全面積が小規模住宅用地特例の対象となります。
税額目安(固定資産税評価額1,000万円の場合):
- 更地:14万円
- 住宅用地:約2.3万円(固定資産税)+約1万円(都市計画税)= 約3.3万円
70坪(約231㎡):60.5坪まで1/6、超過分1/3軽減
70坪(約231㎡)は200㎡を超えるため、60.5坪(200㎡)までは小規模住宅用地(1/6軽減)、超過分は一般住宅用地(1/3軽減)となります。
税額目安(固定資産税評価額1,400万円の場合):
- 小規模住宅用地部分(200㎡):1,212万円 × 1/6 = 202万円
- 一般住宅用地部分(31㎡):188万円 × 1/3 = 約63万円
- 課税標準額合計:約265万円
- 固定資産税:約265万円 × 1.4% = 約3.7万円
80坪(約264㎡):60.5坪まで1/6、超過分1/3軽減
80坪(約264㎡)も70坪と同様、200㎡までは1/6軽減、超過分は1/3軽減となります。
税額目安(固定資産税評価額1,600万円の場合):
- 小規模住宅用地部分(200㎡):1,212万円 × 1/6 = 202万円
- 一般住宅用地部分(64㎡):388万円 × 1/3 = 約129万円
- 課税標準額合計:約331万円
- 固定資産税:約331万円 × 1.4% = 約4.6万円
150坪(約495㎡):60.5坪まで1/6、超過分1/3軽減
150坪(約495㎡)も同様、200㎡までは1/6軽減、超過分は1/3軽減となります。
税額目安(固定資産税評価額3,000万円の場合):
- 小規模住宅用地部分(200㎡):1,212万円 × 1/6 = 202万円
- 一般住宅用地部分(295㎡):1,788万円 × 1/3 = 596万円
- 課税標準額合計:約798万円
- 固定資産税:約798万円 × 1.4% = 約11.2万円
坪数別税額シミュレーション表
以下は坪数別の固定資産税のシミュレーション表です(都市計画税を含む)。
| 坪数 | 面積(㎡) | 評価額目安 | 更地の税額 | 住宅用地の税額 |
|---|---|---|---|---|
| 50坪 | 約165㎡ | 1,000万円 | 14万円 | 約3.3万円 |
| 70坪 | 約231㎡ | 1,400万円 | 19.6万円 | 約5万円 |
| 80坪 | 約264㎡ | 1,600万円 | 22.4万円 | 約6万円 |
| 150坪 | 約495㎡ | 3,000万円 | 42万円 | 約13万円 |
これはあくまで目安であり、実際の税額は評価額により大きく変動します。
固定資産税を抑える方法:軽減措置と節税対策
住宅用地の特例活用:最も効果的な節税方法
住宅用地の特例を活用することが、最も効果的な節税方法です。更地の約6分の1の税額となり、大幅な節税効果があります。
土地を更地のままにせず、住宅を建てることで税負担を大きく減らせます。
新築住宅の軽減措置:3年間または5年間1/2軽減(2028年3月31日まで)
新築住宅の建物部分は、固定資産税が3年間(マンション等は5年間)1/2に軽減されます。この制度は2028年3月31日まで延長されています。
新築住宅を建てることで、土地の住宅用地特例と建物の軽減措置の両方を活用でき、大幅な節税が可能です。
分筆による評価額引き下げ
1つの土地を複数の土地に分割(分筆)することで、不便な部分の評価額を下げて節税できる場合があります。
例えば、間口が狭い、道路に接していない等の不便な部分を分筆すると、その部分の評価額が下がり、固定資産税が減る可能性があります。
ただし、分筆には測量費用(数十万円)や登記費用がかかるため、専門家(土地家屋調査士、税理士)に相談してください。
公共利用地は非課税
道路、公園、河川等の公共利用地は固定資産税が非課税です。自分の土地が公共の用に供されている場合、非課税申請を行うことで税負担を減らせます。
詳細は市町村の固定資産税課にお問い合わせください。
2024年評価替えの影響:建物の評価額上昇
2024年は3年に一度の評価替え年度で、土地・建物の固定資産税評価額が見直されました。建物の再建築費評点補正率は木造1.11倍、非木造1.07倍と大幅上昇しており、建物の固定資産税が増える可能性があります。
2024年の課税明細書で評価額を確認し、大幅に増えている場合は市町村に問い合わせてください。
まとめ:50坪の固定資産税と評価額の確認方法
課税明細書で評価額・課税標準額・税額を確認
固定資産税評価額は毎年4〜6月に市町村から送られる固定資産税納税通知書に同封される課税明細書で確認できます。固定資産税評価額・課税標準額・税額が記載されています。
紛失した場合は市町村の固定資産税課で固定資産評価証明書を取得できます(手数料300円程度)。
50坪は小規模住宅用地特例の対象(1/6軽減)
50坪(約165㎡)は200㎡以下のため、全面積が小規模住宅用地特例の対象となります。住宅を建てることで、更地の約6分の1の税額となり、大幅な節税効果があります。
更地で約23.8万円、住宅用地で約4万円
50坪の土地の固定資産税は、更地で年間約14〜23.8万円、住宅用地で約2.3〜4万円が目安です(固定資産税評価額1,000万円の場合、都市計画税を含む)。
実際の税額は評価額により大きく変動するため、課税明細書で確認してください。
売買時の固定資産税精算:日割り計算の起算日は地域慣習により異なる
土地の売買時は固定資産税を日割り計算で精算するのが一般的です。ただし、日割り計算の起算日(1月1日または4月1日)は地域慣習により異なります。
東日本は1月1日、西日本は4月1日を起算日とすることが多いですが、法的義務ではないため、売買契約時に確認してください。
信頼できる専門家(税理士、宅建士)に相談しながら、固定資産税の負担を正確に把握し、適切な土地管理を行いましょう。


