土地の固定資産税の仕組みと計算方法|軽減措置と節税対策を徹底解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/22

土地の固定資産税とは?負担が重いと感じる理由

土地を所有していると、「毎年の固定資産税が思ったより高い」「更地のままにしておくと税金が跳ね上がった」と驚かれる方は少なくありません。

この記事では、土地の固定資産税の計算方法、住宅用地の軽減措置、更地と住宅用地の税額比較、節税対策を、総務省等の公式情報を元に解説します。

固定資産税の仕組みを正しく理解することで、適切な土地活用や税負担の軽減策を検討できるようになります。

(1) 固定資産税の基本と課税対象

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・建物・償却資産の所有者に課される地方税です。総務省によると、標準税率は1.4%ですが、自治体により異なる場合があります。

市町村が所有者を登録し、納税通知書を交付します。納付時期は年4回(6月・9月・12月・2月)に分けて行うのが一般的ですが、自治体により異なる場合があるため確認が必要です。

(2) 市町村税収の約41%を占める重要な財源

総務省によると、2023年度の固定資産税収は約9兆8,073億円で、市町村税収の約41%を占めています。

このため、固定資産税は市町村にとって極めて重要な財源であり、学校・道路・福祉サービス等の公共サービスを支える基盤となっています。

(3) なぜ更地の税負担が重いのか

更地の固定資産税が高く感じる理由は、住宅用地の特例が適用されないためです。住宅が建っている土地は、固定資産税評価額の1/6~1/3に軽減されますが、更地にはこの軽減がありません。

そのため、更地は住宅用地の3~6倍の税額になる場合があります。相続した土地や空き地の税負担が重いと感じる場合は、この特例の有無が大きな要因です。

固定資産税の計算方法と評価額の決まり方

(1) 計算式:課税標準額 × 税率(1.4%)

固定資産税の計算式は以下の通りです。

固定資産税 = 課税標準額 × 税率(標準1.4%)

課税標準額は、固定資産税の計算基礎となる金額です。住宅用地の特例が適用される場合は、固定資産税評価額より低くなります。

固定資産税評価額は、固定資産税の基礎となる評価額で、地価公示価格の約70%を目安として算定されます。

(2) 固定資産税評価額の調べ方(課税明細書・全国地価マップ)

固定資産税評価額は、以下の方法で確認できます。

確認方法 詳細
固定資産税課税明細書 毎年4月頃に送付される明細書に記載
固定資産税評価証明書 市町村役場の税務課で取得(手数料300円程度)
全国地価マップ 購入前におおよその固定資産税路線価を確認可能

(出典: SUUMO

購入前に「全国地価マップ」で固定資産税路線価を確認することで、おおよその税額を把握できます。

(3) 地価公示価格の70%を目安とする評価

固定資産税評価額は、地価公示価格の約70%を目安として算定されます。これは、売買取引価格(時価)よりも低く設定されており、税負担を緩和する仕組みです。

評価は3年に1度見直されます(評価替え)。2024年度は評価替えの年にあたり、2023年1月1日時点の地価公示価格等を基に再評価されています。

住宅用地の特例と軽減措置

(1) 小規模住宅用地(200㎡以下):評価額の1/6

住宅が建っている土地のうち、200㎡以下の部分は小規模住宅用地として、固定資産税評価額の1/6に軽減されます。

例えば、評価額3000万円の土地(180㎡)の場合:

  • 課税標準額 = 3000万円 × 1/6 = 500万円
  • 固定資産税 = 500万円 × 1.4% = 7万円

この特例により、更地の場合(42万円)と比べて35万円の軽減となります。

(2) 一般住宅用地(200㎡超):評価額の1/3

200㎡を超える部分は一般住宅用地として、固定資産税評価額の1/3に軽減されます。

例えば、評価額4500万円の土地(300㎡)の場合:

  • 200㎡以下の部分:課税標準額 = 3000万円 × 1/6 = 500万円
  • 200㎡超の部分:課税標準額 = 1500万円 × 1/3 = 500万円
  • 合計課税標準額 = 1000万円
  • 固定資産税 = 1000万円 × 1.4% = 14万円

この特例により、更地の場合(63万円)と比べて49万円の軽減となります。

(3) 申請方法と提出期限(1月31日まで)

住宅用地の特例を受けるには、HOME4Uによると、土地取得の翌年1月31日までに市町村役場へ「固定資産税住宅用地申告書」を提出する必要があります。

既に住宅が建っている土地を購入した場合は、自動的に特例が適用される場合がありますが、新築の場合は申請が必要です。詳細は自治体の税務課にご確認ください。

更地と住宅用地の税額比較と注意点

(1) 具体的な計算例(評価額3000万円の場合)

HOME4Uによると、評価額3000万円の土地(180㎡)の場合、更地と住宅用地では以下のように税額が大きく異なります。

土地の状況 課税標準額 固定資産税(土地) 建物の固定資産税 合計
更地 3000万円 42万円 - 42万円
住宅用地 500万円(1/6) 7万円 2.8万円 9.8万円

(出典: HOME4U

更地は住宅用地の約4.3倍の税額になります。このため、相続した土地を更地のままにしておくと、税負担が大幅に増加します。

(2) 1月1日時点の土地の状況が基準

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地の状況で課税されます。このため、建物を解体・建築するタイミングが重要です。

  • 12月末に解体: 翌年は更地として課税(税額増加)
  • 1月初旬に解体: 当年は住宅用地として課税(税額据え置き)

建物の建て替えを検討する場合は、1月1日を基準に解体・建築のスケジュールを調整することで、税負担を軽減できる場合があります。

(3) 駐車場やコインパーキングは特例適用外

更地のまま放置すると税負担が重いため、駐車場やコインパーキングにして活用する方法がありますが、これらは住宅用地の特例が適用されません

あくまで「住宅が建っている土地」でなければ特例は適用されないため、税額は更地と同じです。賃貸住宅を建てる等、住宅用地としての活用を検討する必要があります。

固定資産税の節税対策と評価替えの仕組み

(1) 3年に1度の評価替え(2024年度は評価替えの年)

MONEYIZMによると、固定資産税評価額は3年に1度見直されます(評価替え)。2024年度は評価替えの年で、2023年1月1日時点の地価公示価格等の70%を目安に評価されています。

地価が上昇しているエリアでは、評価替えにより税額が増加する可能性があります。逆に、地価が下落しているエリアでは税額が減少する場合もあります。

評価替えの年は、固定資産税課税明細書で評価額の変動を確認し、必要に応じて自治体の税務課に問い合わせることを推奨します。

(2) 建物を建てるタイミングの工夫

住宅用地の特例を最大限活用するには、建物を建てるタイミングが重要です。

  • 1月1日までに住宅を建てる: 翌年から住宅用地の特例が適用される
  • 1月2日以降に住宅を建てる: 当年は更地として課税され、翌年から特例適用

相続した土地や購入した土地に住宅を建てる場合は、1月1日を基準にスケジュールを調整することで、税負担を軽減できます。

(3) 免税点(課税標準額30万円未満)の活用

総務省によると、課税標準額の合計が土地30万円未満の場合、固定資産税は課税されません(免税点)。

小規模な土地や評価額の低いエリアでは、この免税点により固定資産税が発生しない場合があります。ただし、建物や他の土地と合算して30万円以上になる場合は課税されます。

まとめ:土地の固定資産税を理解し適切に対応する

土地の固定資産税は、課税標準額×1.4%で計算されます。評価額3000万円の更地なら年42万円、住宅用地(200㎡以下)なら約7万円と、住宅用地の特例により大幅に軽減されます。

更地は住宅用地の3~6倍の税額になるため、1月1日時点で住宅が建っていることが重要です。駐車場やコインパーキングにしても特例は適用されません。

2024年度は3年に1度の評価替えの年で、地価上昇エリアでは税額が増加する可能性があります。建物を建てるタイミングを工夫することで、税負担を軽減できる場合もあります。

固定資産税の詳細は自治体の税務課や税理士にご相談いただき、適切な土地活用と税負担の軽減策を検討しましょう。

よくある質問

Q1土地の固定資産税はいくらかかる?

A1課税標準額×1.4%が基本です。評価額3000万円の更地なら年42万円ですが、住宅用地(200㎡以下)の特例が適用されると約7万円に軽減されます。住宅用地は評価額の1/6(200㎡以下)または1/3(200㎡超)に減額されるため、更地と比べて税額が3~6倍異なります。詳細は固定資産税課税明細書または自治体の税務課でご確認ください。

Q2固定資産税はいつ払うのか?

A25~6月に納税通知書が届き、年4回(6月・9月・12月・2月)に分けて納付するのが一般的です。自治体により納付時期は異なる場合があるため、通知書で確認してください。一括払いや口座振替も可能です。納付期限を過ぎると延滞金が発生する場合があるため、期限内の納付を心がけましょう。

Q3固定資産税評価額はどこで確認できる?

A3毎年4月頃に送付される「固定資産税課税明細書」で確認できます。また、市町村役場の税務課で「固定資産税評価証明書」(手数料300円程度)を取得することも可能です。購入前におおよその税額を知りたい場合は、「全国地価マップ」で固定資産税路線価をチェックすることを推奨します。詳細は自治体の税務課にお問い合わせください。

Q4更地のままだと税金が高いのはなぜ?

A4住宅用地の特例が適用されないためです。住宅が建っている土地は、固定資産税評価額の1/6(200㎡以下)または1/3(200㎡超)に軽減されますが、更地にはこの軽減がありません。そのため、更地は住宅用地の3~6倍の税額になります。1月1日時点で住宅が建っていることが重要で、駐車場やコインパーキングにしても特例は適用されません。

Q52024年度の評価替えで税額は上がる?

A53年に1度の評価替えで、2023年1月1日時点の地価を基に再評価されます。地価が上昇しているエリアでは税額が増加する可能性があり、地価が下落しているエリアでは税額が減少する場合もあります。評価替えの年は、固定資産税課税明細書で評価額の変動を確認し、必要に応じて自治体の税務課に問い合わせることを推奨します。

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Room Match編集部

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