東京都の固定資産税が重要な理由
不動産を所有していると、毎年必ず支払う必要がある「固定資産税」。東京都では、税額がどのように決まるのか、どのような軽減措置があるのか、正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、東京都の固定資産税の税率、計算方法、軽減措置、納付時期などを、東京都主税局の公式情報を元に詳しく解説します。
不動産所有者・購入検討者の方が、固定資産税の仕組みを理解し、適切な資金計画を立てられる内容となっています。
この記事のポイント
- 東京都の固定資産税は1.4%、都市計画税は0.3%が標準税率(2025年時点)
- 東京23区では東京都が一括して課税し、納税通知書は都税事務所から4~5月に送付
- 小規模住宅用地(200㎡以下)は課税標準が固定資産税1/6、都市計画税1/3に軽減
- 新築住宅は3年間(耐火等は5年間)税額が1/2に軽減される特例あり
- 2024年は評価替え年で、建築資材高騰の影響により木造1.11倍、非木造1.07倍の補正率が適用
東京都の固定資産税の基礎知識(税率・計算方法・課税の仕組み)
(1) 東京23区の課税の特徴(都税として一括課税)
固定資産税は本来、市町村税ですが、東京23区では東京都が一括して課税します。そのため、納税通知書は各区ではなく、都税事務所から送付されます。
(出典: 東京都主税局)
(2) 固定資産税と都市計画税の税率(1.4%と0.3%)
東京都の固定資産税と都市計画税の税率は以下の通りです(2025年時点)。
- 固定資産税: 課税標準額×1.4%
- 都市計画税: 課税標準額×0.3%
都市計画税は、都市計画区域内の土地・家屋の所有者に課される目的税で、都市計画事業・土地区画整理事業の財源となります。
(出典: 東京都主税局)
(3) 課税標準額の計算方法
固定資産税額は、以下の計算式で求められます。
固定資産税額 = 課税標準額 × 1.4%
都市計画税額 = 課税標準額 × 0.3%
課税標準額とは、固定資産税評価額に特例措置等を適用した額です。固定資産税評価額は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づき、東京23区では都知事が決定します。
固定資産税の軽減措置(住宅用地の特例・新築住宅の軽減)
(1) 小規模住宅用地の特例(200㎡以下は課税標準1/6)
住宅用地には、以下の特例措置が適用されます。
| 区分 | 固定資産税の課税標準 | 都市計画税の課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下) | 評価額×1/6 | 評価額×1/3 |
| 一般住宅用地(200㎡超) | 評価額×1/3 | 評価額×2/3 |
例えば、固定資産税評価額が3,000万円の200㎡以下の住宅用地の場合、課税標準額は以下の通りです。
- 固定資産税: 3,000万円×1/6=500万円
- 都市計画税: 3,000万円×1/3=1,000万円
税額は以下の通りです。
- 固定資産税: 500万円×1.4%=7万円
- 都市計画税: 1,000万円×0.3%=3万円
- 合計: 10万円
(出典: HOME4U)
(2) 新築住宅の税額軽減(3年間または5年間税額1/2)
新築住宅には、以下の軽減措置があります(一定要件を満たす場合)。
- 一般住宅: 3年間、税額が1/2に軽減
- 3階建以上の耐火・準耐火建築物: 5年間、税額が1/2に軽減
(出典: 東京都主税局)
(3) その他の軽減措置(耐震改修・小規模非住宅用地)
その他の軽減措置として、以下があります。
- 耐震改修: 一定の耐震改修工事を行った住宅は、3年間全額免除
- 小規模非住宅用地: 400㎡以下の非住宅用地は、20%減免
軽減措置の詳細や要件は、東京都主税局の軽減制度ページをご確認ください。
納付時期と納付方法(納期限・多様な納付手段)
(1) 納税通知書の送付時期(4〜5月)
納税通知書は、毎年4〜5月に都税事務所から郵送されます。納税通知書には、固定資産税・都市計画税の税額、納期限、納付方法等が記載されています。
(出典: 三菱UFJ銀行)
(2) 納期(6月・9月・12月・2月の年4回)
固定資産税・都市計画税の納期は、以下の通りです。
- 第1期: 6月
- 第2期: 9月
- 第3期: 12月
- 第4期: 2月
年4回の分割納付、または一括納付を選択できます。
(出典: 東京都主税局)
(3) 納付方法の種類(現金・口座振替・スマホ決済・クレジットカード)
納付方法は、以下の中から選べます。
- 現金: 金融機関・コンビニエンスストア・都税事務所で納付
- 口座振替: 事前登録で自動引き落とし
- スマホ決済: PayPay・LINE Payなど
- クレジットカード: オンライン決済
多様な納付方法が用意されており、ライフスタイルに合わせて選択できます。
2024年評価替えの影響と注意点
(1) 3年に1回の評価替え制度
固定資産税評価額は、3年ごとの評価替えで見直されます。次回の評価替えは2027年度です。
2024年度は評価替え年であり、土地・家屋の評価額が変更されました。
(2) 2024年の補正率(木造1.11倍、非木造1.07倍)
2024年は、建築資材高騰の影響により、以下の再建築費評点補正率が適用されました。
- 木造家屋: 1.11倍
- 非木造家屋: 1.07倍
これにより、一部の家屋で固定資産税額が上昇する可能性があります。ただし、東京都は小規模住宅用地・小規模非住宅用地の軽減措置を継続しています。
(出典: MONEYIZM)
(3) 特定空き家指定のリスク
特定空き家に指定されると、住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税額が最大6倍になる可能性があります。
特定空き家とは、倒壊等の危険、衛生上有害、景観を著しく損なう等の状態にある空き家を指します。空き家を所有している方は、適切な管理が必要です。
(出典: HOME4U)
まとめ:東京都の固定資産税で押さえるべきポイント
東京都の固定資産税は、課税標準額×1.4%、都市計画税は課税標準額×0.3%が標準税率です(2025年時点)。東京23区では東京都が一括して課税し、納税通知書は都税事務所から4~5月に送付されます。
小規模住宅用地(200㎡以下)は、固定資産税の課税標準が1/6、都市計画税の課税標準が1/3に軽減されます。新築住宅は3年間(耐火等は5年間)税額が1/2に軽減される特例があります。
納期は6月・9月・12月・2月の年4回、または一括納付を選択できます。納付方法は現金・口座振替・スマホ決済・クレジットカードなど多様な手段が用意されています。
2024年は評価替え年で、建築資材高騰の影響により木造1.11倍、非木造1.07倍の補正率が適用されました。次回の評価替えは2027年度です。特定空き家に指定されると住宅用地の特例が適用されず、税額が最大6倍になる可能性があるため、適切な管理が必要です。
固定資産税の詳細や軽減措置の要件については、東京都主税局の公式サイトをご確認いただくか、各都税事務所または税理士にご相談ください。
