土地の仲介手数料の計算方法は?上限額・軽減方法・注意点を徹底解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/19

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土地の仲介手数料を正しく理解する

土地を購入または売却する際、「仲介手数料はいくらかかるのか」「どうやって計算するのか」「値引き交渉はできるのか」と疑問に感じる方は少なくありません。仲介手数料は不動産取引で大きな金額になる費用ですが、法律で上限が定められており、正しく計算すれば事前に金額を把握できます。

この記事では、土地の仲介手数料の計算方法、2024年7月の改正内容、建築条件付き土地の特殊ケース、値引き交渉の注意点を、宅地建物取引業法に基づいて解説します。

土地を購入・売却する方、建築条件付き土地を検討している方、仲介手数料のコストを抑えたい方が、正しい知識を身につけて無駄なコストを避けられるようになります。

この記事のポイント

  • 仲介手数料は成功報酬であり、契約不成立の場合は支払い不要
  • 400万円超の物件は「物件価格×3%+6万円+消費税」の速算式で計算できる
  • 2024年7月1日から800万円以下の物件は仲介手数料の上限が33万円(税込)に改正
  • 建築条件付き土地は土地部分のみ仲介手数料が発生し、建物部分には不要
  • 値引き交渉は法的に可能だが、サービス品質が低下する可能性もある

1. 土地購入・売却の仲介手数料とは:成功報酬の仕組み

仲介手数料は、不動産会社が売買を仲介した際に受け取る報酬です。

(1) 仲介手数料とは:不動産会社への成功報酬

仲介手数料は、不動産会社が行う以下のようなサービスに対する報酬です。

不動産会社が提供するサービス:

  • 物件の調査・査定
  • 買主・売主の募集
  • 物件の広告・宣伝
  • 内覧の案内
  • 価格交渉の仲介
  • 契約書類の作成
  • 重要事項説明
  • 契約手続きのサポート
  • 引き渡しまでのフォロー

これらのサービスに対して、売買契約が成立した際に報酬が支払われます。

(2) 契約不成立の場合は支払い不要

仲介手数料は成功報酬であり、以下の場合は支払い不要です。

  • 売買契約が成立しなかった場合
  • 物件を紹介されたが購入しなかった場合
  • 査定だけを依頼した場合

ただし、媒介契約の内容によっては、特別な広告費用などが発生する場合があるため、契約内容を事前に確認することが重要です。

(3) 宅地建物取引業法による上限規定

仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が定められており、この上限を超えて請求することは違法です。

上限規定の原則:

  • 法律で定められているのは「上限」であり、下限はない
  • 不動産会社は上限以下であれば自由に設定できる
  • 上限を超える請求は違法

2. 土地の仲介手数料の計算方法:上限と速算式

仲介手数料の計算方法は、物件価格により異なります。

(1) 物件価格による3つの計算方法

宅地建物取引業法では、物件価格を3つの区分に分けて上限を定めています。

物件価格 仲介手数料の上限(税抜)
200万円以下の部分 物件価格×5%
200万円超〜400万円以下の部分 物件価格×4%
400万円超の部分 物件価格×3%

(出典: 宅地建物取引業法)

例えば、500万円の土地の場合、以下のように計算します。

  • 200万円以下の部分: 200万円×5% = 10万円
  • 200万円超〜400万円以下の部分: 200万円×4% = 8万円
  • 400万円超の部分: 100万円×3% = 3万円
  • 合計: 21万円(税抜)
  • 消費税10%を加算: 21万円×1.1 = 23.1万円(税込)

ただし、この計算方法は複雑なため、400万円超の物件には速算式が用意されています。

(2) 400万円超の速算式:物件価格×3%+6万円+消費税

400万円超の物件の場合、以下の速算式で簡単に計算できます。

速算式:

仲介手数料(税込)= (物件価格×3% + 6万円) × 1.1

計算例(3,000万円の土地):

  • 仲介手数料(税抜)= 3,000万円×3% + 6万円 = 96万円
  • 消費税10%を加算: 96万円×1.1 = 105.6万円(税込)

この速算式は、上記の3段階計算を一度に行うための簡略化した式です。

(3) 2024年7月改正:800万円以下の特例(上限33万円)

2024年7月1日から、低廉な空き家等(800万円以下の物件)の仲介手数料上限が変更されました。

改正の内容:

  • 改正前: 物件価格による計算(例:500万円なら23.1万円)
  • 改正後: 800万円以下の物件は上限33万円(税込)

(出典: 売買の窓口「2024年7月から不動産売買の仲介手数料が改定!」

改正の目的:

  • 低価格帯の物件(空き家等)の流通促進
  • 不動産会社が低価格帯の物件でも適正な報酬を得られるようにする

注意点:

  • 2024年6月30日以前の契約は旧制度が適用される
  • 800万円超の物件は従来通りの計算方法

3. 具体的な計算例:物件価格別のシミュレーション

主要な物件価格帯での仲介手数料を計算してみましょう。

(1) 1,000万円の土地の場合:39.6万円(税込)

計算:

  • 仲介手数料(税抜)= 1,000万円×3% + 6万円 = 36万円
  • 消費税10%を加算: 36万円×1.1 = 39.6万円(税込)

(2) 3,000万円の土地の場合:105.6万円(税込)

計算:

  • 仲介手数料(税抜)= 3,000万円×3% + 6万円 = 96万円
  • 消費税10%を加算: 96万円×1.1 = 105.6万円(税込)

(3) 5,000万円の土地の場合:171.6万円(税込)

計算:

  • 仲介手数料(税抜)= 5,000万円×3% + 6万円 = 156万円
  • 消費税10%を加算: 156万円×1.1 = 171.6万円(税込)

仲介手数料の早見表:

物件価格 仲介手数料(税込)
500万円 23.1万円
1,000万円 39.6万円
2,000万円 72.6万円
3,000万円 105.6万円
4,000万円 138.6万円
5,000万円 171.6万円

この早見表を参考に、自分のケースでの仲介手数料を事前に把握しておくことができます。

4. 建築条件付き土地の仲介手数料:違法請求に注意

建築条件付き土地を購入する際は、仲介手数料の扱いに特別な注意が必要です。

(1) 建築条件付き土地とは:建築業者指定の土地販売

建築条件付き土地とは、以下のような特徴を持つ土地販売の形態です。

建築条件付き土地の特徴:

  • 土地を購入する際、指定された建築業者で建物を建築することが条件
  • 一定期間内(通常3ヶ月)に建築請負契約を結ぶ必要がある
  • 建築条件を満たせない場合、土地の売買契約は白紙解除される

(出典: SUUMO「建築条件付き土地とは?」

(2) 土地部分のみ仲介手数料が発生(建物部分は不要)

建築条件付き土地の仲介手数料は、土地部分のみに発生します。

仲介手数料の考え方:

  • 土地部分: 仲介行為が発生するため、仲介手数料が発生
  • 建物部分: 建築業者が指定されており、仲介行為が発生しないため、仲介手数料は不要

計算例:

  • 土地価格: 2,000万円
  • 建物価格: 2,000万円(建築条件付き)
  • 仲介手数料: 土地部分(2,000万円)のみに対して計算
    • (2,000万円×3% + 6万円) × 1.1 = 72.6万円(税込)

(出典: 不動産情報バンク「建築条件付き土地購入時の要注意点!」

(3) 違法な請求パターンと対処方法

一部の悪質な業者は、建物部分にも仲介手数料を請求する違法行為を行う場合があります。

違法な請求パターン:

  • 土地+建物の合計価格(4,000万円)を基に仲介手数料を計算
    • (4,000万円×3% + 6万円) × 1.1 = 138.6万円(税込)← 違法
  • 正しい計算(土地部分のみ): 72.6万円(税込)
  • 差額66万円が違法に請求される

対処方法:

  1. 契約書で土地価格と建物価格を明確に分けて記載されているか確認
  2. 仲介手数料の計算根拠を確認
  3. 土地部分のみで計算されているか確認
  4. 違法な請求を受けた場合、都道府県の宅建業担当部署に相談

5. 仲介手数料を軽減する方法:値引き交渉と無料業者の注意点

仲介手数料を軽減する方法はいくつかありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。

(1) 仲介手数料の値引き交渉は可能か?(法的には可能、実務上の注意点)

仲介手数料の値引き交渉は、法的には可能です。

値引き交渉のポイント:

  • 媒介契約前に交渉する: 契約後の値引き交渉は困難
  • 複数の不動産会社を比較: 競争により値引きの可能性が高まる
  • 根拠を示す: 物件の状態、市場相場などを踏まえて交渉

(出典: 武蔵コーポレーション「仲介手数料の値引き交渉」

値引き交渉のリスク:

  • サービス品質の低下: 広告費を削減される、物件紹介の優先度が下がる等
  • 物件紹介の減少: 他の顧客を優先される可能性
  • 囲い込み: 売却時に他社への情報提供が遅れる可能性

仲介手数料の値引き交渉は可能ですが、サービス品質に影響する可能性があるため、慎重に判断する必要があります。

(2) 仲介手数料無料・半額の仕組み(両手仲介の活用)

仲介手数料無料・半額を謳う不動産会社が増えています。

仕組み:

  • 両手仲介: 売主と買主の両方から仲介手数料を受け取る
  • 買主側の仲介手数料を無料・半額にしても、売主側から満額受け取れば収益を確保できる

(出典: イエウリ「仲介手数料が無料になるのはなぜ?」

両手仲介の例:

  • 売主側から: 物件価格3,000万円×3%+6万円 = 96万円(税抜)
  • 買主側から: 0円(無料)
  • 不動産会社の収益: 96万円(税抜)を確保

(3) サービス品質低下のリスク(囲い込み・優先度低下)

仲介手数料無料・半額の業者を利用する際の注意点は以下の通りです。

リスク:

  • サービス品質の低下: 広告費削減、内覧対応の簡素化等
  • 囲い込み: 売却時に他社への情報提供が遅れる、売主の利益が損なわれる
  • 物件紹介の優先度低下: 有料顧客を優先される可能性

業者選びのポイント:

  • サービス内容を十分に確認
  • 口コミや評判を調査
  • 複数の業者を比較
  • 媒介契約の内容を確認

仲介手数料無料・半額は魅力的ですが、サービス品質を十分に確認することが重要です。

6. まとめ:仲介手数料の正しい理解で無駄なコストを避ける

土地の仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限が定められており、400万円超の物件は「物件価格×3%+6万円+消費税」の速算式で簡単に計算できます。

2024年7月1日から、800万円以下の低廉な空き家等の仲介手数料上限が33万円(税込)に改正され、低価格帯の物件の流通が促進されることが期待されています。

建築条件付き土地の場合、土地部分のみに仲介手数料が発生し、建物部分には不要です。違法に建物部分も請求する業者には注意が必要で、契約書で土地価格と建物価格が明確に分けて記載されているか確認しましょう。

仲介手数料の値引き交渉は法的に可能ですが、サービス品質が低下する可能性もあります。媒介契約前に交渉するのがベストタイミングで、物件紹介の優先度が下がるリスクも考慮してください。

仲介手数料無料・半額の業者は両手仲介で収益を確保しているため合法的ですが、サービス品質や囲い込みのリスクを十分に確認することが重要です。

不動産取引は個別事情により異なるため、宅地建物取引士などの専門家に相談しながら、最適な業者選びと取引を進めましょう。

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よくある質問

Q1土地の仲介手数料はどうやって計算しますか?

A1400万円超の物件は「物件価格×3%+6万円+消費税」の速算式で計算できます。例えば3,000万円の土地なら、(3,000万円×3%+6万円)×1.1=105.6万円(税込)です。200万円以下の部分は5%、200万円超〜400万円以下の部分は4%、400万円超の部分は3%の段階的な計算方法もありますが、速算式が簡単です。仲介手数料は成功報酬であり、契約不成立の場合は支払い不要です。

Q2建築条件付き土地の仲介手数料は建物部分も必要ですか?

A2土地部分のみ仲介手数料が発生し、建物部分は不要です。建築業者が指定されているため、建物部分に仲介行為は発生しません。例えば、土地価格2,000万円+建物価格2,000万円の場合、仲介手数料は土地部分(2,000万円)のみに対して計算され、72.6万円(税込)になります。違法に建物部分も請求する業者がいるため、契約書で土地価格と建物価格が明確に分けて記載されているか確認してください。

Q3仲介手数料の値引き交渉はできますか?

A3法的には可能ですが、サービス品質が低下する可能性があります。媒介契約前に交渉するのがベストタイミングで、複数の不動産会社を比較することで値引きの可能性が高まります。ただし、値引き交渉をしすぎると、広告費を削減される、物件紹介の優先度が下がる、囲い込みが発生するなどのリスクがあるため、慎重に判断する必要があります。

Q4仲介手数料無料の業者は信頼できますか?

A4両手仲介で売主側から手数料を受け取っている場合が多く、合法的です。売主と買主の両方から仲介手数料を受け取る両手仲介を活用し、買主側の仲介手数料を無料・半額にしても、売主側から満額受け取れば収益を確保できます。ただし、サービス品質が低下する可能性や囲い込み(売却時に他社への情報提供が遅れる)のリスクがあるため、サービス内容を十分に確認し、口コミや評判を調査することが重要です。

Q52024年7月の改正で何が変わりましたか?

A52024年7月1日から、800万円以下の低廉な空き家等の仲介手数料上限が33万円(税込)に変更されました。これにより、低価格帯の物件でも不動産会社が適正な報酬を得られるようになり、空き家等の流通促進が期待されています。改正前は物件価格による計算(例:500万円なら23.1万円)でしたが、改正後は一律33万円(税込)が上限です。2024年6月30日以前の契約は旧制度が適用されます。

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Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

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