川崎のマンション購入・売却ガイド:エリア別相場と選び方のポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/20

川崎のマンション市場が注目される理由

川崎市は東京都心や横浜へのアクセスが良好で、羽田空港まで約16分という好立地から、マンション購入・売却市場で注目を集めています。

この記事では、川崎市のエリア別マンション相場、購入時の選び方、諸費用、売却のポイントを、国土交通省の不動産取引価格情報や国税庁の公式情報を元に解説します。

初めて不動産売買を検討する方でも、川崎市の市場動向を理解し、適切な判断ができるようになります。

この記事のポイント

  • 川崎市の中古マンション相場は約3,879万円(川崎駅)、5年間で940万円上昇
  • 中原区(武蔵小杉)が最も人気で平米単価98.67万円、取引件数も最多
  • 令和12年(2030年)まで人口増加が予想され、マンション需要は堅調
  • 2024年7月・2025年1月の政策金利引き上げで変動金利が上昇開始
  • 諸費用は物件価格の5〜10%、住宅ローン控除で最大13年間の控除が受けられる

川崎市のエリア別マンション相場と特徴

川崎市は7つの行政区に分かれており、エリアごとに特徴と価格帯が異なります。

(1) 中原区(武蔵小杉):川崎市内で最も人気の高いエリア

中原区は川崎市内で最も取引件数が多く(435件)、平米単価も最高(98.67万円/㎡)です。

武蔵小杉の特徴

  • 再開発: タワーマンションが多数建設され、都市機能が充実
  • 交通アクセス: JR南武線・横須賀線・湘南新宿ライン、東急東横線・目黒線が利用可能
  • 商業施設: ららテラス武蔵小杉、グランツリー武蔵小杉など大型商業施設が充実
  • 価格帯: 新築タワーマンションは5,000万〜1億円超、中古は3,000万〜8,000万円が中心

武蔵小杉は東京都心へのアクセスと住環境のバランスが良く、ファミリー層・共働き世帯に人気です。

(2) 川崎駅周辺:東京・羽田空港へのアクセス抜群

川崎駅は東京駅まで18分、羽田空港まで約16分という抜群のアクセス性を誇ります。

川崎駅周辺の特徴

  • 交通アクセス: JR東海道線・京浜東北線、京急本線・大師線が利用可能
  • 再開発: 川崎駅周辺で大規模開発が進行中、さらなる発展が期待される
  • 商業施設: ラゾーナ川崎、川崎アゼリアなど大型商業施設が充実
  • 価格相場: 中古マンション約3,879万円(2025年時点)、5年間で940万円上昇

資産価値の推移

川崎駅で新築時2,600万円のマンションは、以下のように資産価値が変化する見込みです。

築年数 資産価値 新築時比
新築時 2,600万円 100%
10年目 2,246万円 86%
20年目 1,850万円 71%
30年目 1,775万円 68%

(出典: 不動産ポータルサイトの資産価値推移データ)

川崎駅周辺は交通利便性が高く、長期的な資産価値の維持が期待できます。

(3) 麻生区(新百合ヶ丘):閑静な住宅街で子育て世帯に人気

麻生区は川崎市の北西部に位置し、閑静な住宅街として知られています。

新百合ヶ丘の特徴

  • 住環境: 緑が多く、区民満足度が高い
  • 交通アクセス: 小田急小田原線で新宿まで約30分
  • 商業施設: 新百合ヶ丘駅周辺に商業施設が集積
  • 価格帯: 中古マンションは2,000万〜5,000万円が中心

麻生区は都心への通勤と子育て環境のバランスを重視する世帯に適しています。

(4) 幸区・高津区・宮前区・多摩区・川崎区の特徴

幸区

  • 防犯対策が充実し、子育て世帯に人気
  • 川崎駅・武蔵小杉駅へのアクセスが良好

高津区

  • 溝の口駅周辺に商業施設が集積
  • 東急田園都市線で渋谷方面へのアクセス良好

宮前区

  • 緑が多く、ファミリー向けの住宅街
  • 東急田園都市線沿線

多摩区

  • 登戸駅周辺が中心、小田急線・JR南武線が利用可能
  • 価格帯は比較的リーズナブル

川崎区

  • 川崎駅を含むエリア、工業地帯と住宅地が混在
  • 6年前と比較して価格が30.7%上昇

(※価格相場は地域・物件により異なります。詳細は国土交通省の不動産取引価格情報でご確認ください)

マンション購入時の選び方とチェックポイント

マンション購入時は、新築・中古の選択、立地、間取りなど多角的に検討する必要があります。

(1) 新築と中古の選択基準:価格・築年数・設備のバランス

新築マンション

  • メリット: 最新設備、耐震性能が高い、住宅ローン控除の控除額が大きい
  • デメリット: 価格が高い、完成前は実物を見られない
  • 川崎市の供給状況: 2025年時点で56物件の新築マンションが存在

中古マンション

  • メリット: 価格が安い、立地条件が良い物件が多い、実物を確認できる
  • デメリット: 築年数により設備が古い、修繕費用がかかる可能性

築年数と設備のバランスを見て、予算に合った選択をしましょう。

(2) 立地選びのポイント:通勤・通学・生活利便性

優先順位を明確にする

  • 通勤重視: 川崎駅、武蔵小杉駅など主要駅周辺
  • 子育て重視: 麻生区、幸区など治安・教育環境が良好なエリア
  • 価格重視: 多摩区、宮前区など比較的リーズナブルなエリア

立地選びは将来の資産価値にも影響するため、再開発状況や人口動態も考慮しましょう。

(3) 間取り別の価格帯:2LDK・3LDK・4LDKの相場

川崎駅周辺の間取り別価格帯(中古マンション)

間取り 価格帯 想定世帯
2LDK 約1,500万〜8,700万円 カップル・共働き世帯
3LDK 約2,000万〜9,000万円 小規模ファミリー
4LDK 約2,500万〜1億円超 大家族・二世帯

(※価格は築年数・立地により大きく異なります)

家族構成と将来の変化を見据えて、適切な間取りを選びましょう。

(4) タワーマンションのメリット・デメリット

メリット

  • 眺望が良好、セキュリティが充実
  • 共用施設(フィットネス、ラウンジ等)が充実
  • ステータス性が高い

デメリット

  • 管理費・修繕積立金が高額(月3万〜5万円以上)
  • 大規模修繕時に費用が高額になる可能性
  • エレベーター待ち時間、災害時の避難に課題

タワーマンションは維持費も考慮して購入を検討しましょう。

購入時の諸費用・税金・住宅ローン

マンション購入には、物件価格以外に諸費用がかかります。

(1) 諸費用の内訳:仲介手数料・登記費用・不動産取得税

諸費用は物件価格の5〜10%が目安です。

主な諸費用

項目 内容 目安額(3,000万円の物件)
仲介手数料 物件価格×3%+6万円+消費税 約105.6万円
登録免許税 所有権移転登記時の国税 固定資産税評価額の2%(軽減措置あり)
登記費用(司法書士報酬) 登記手続き代行費用 5〜15万円
不動産取得税 不動産取得時の地方税 固定資産税評価額の3%(軽減措置あり)
火災保険料 火災・地震保険 10〜20万円(10年一括払い)
固定資産税・都市計画税 年間の地方税(日割り精算) 年間10〜30万円

(※軽減措置の適用条件は国税庁でご確認ください)

(2) 住宅ローン控除の適用条件と控除額

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合に受けられる所得税の控除です。

控除額の計算

  • 控除率: 年末ローン残高の0.7%
  • 控除期間: 最大13年間(新築・買取再販は13年、中古は10年)
  • 控除上限: 新築認定住宅は年間35万円、中古は年間14万円(2025年時点)

適用要件

  • 床面積50㎡以上(一定の場合は40㎡以上)
  • 自己居住用
  • 借入期間10年以上
  • 合計所得金額2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満は1,000万円以下)

(3) 金利動向と返済計画:2024-2025年の政策金利引き上げの影響

2024年7月と2025年1月に日銀が政策金利を引き上げ、大手金融機関の変動金利も上昇開始しました。

変動金利の動向

  • 2023年まで: 年0.3〜0.5%台の低金利が継続
  • 2024年以降: 年0.5〜0.8%台に上昇
  • 2025年以降: さらなる上昇の可能性

金利上昇は月々の返済額増加につながるため、固定金利との比較や繰上返済の検討が重要です。

マンション売却のポイントと高値売却のコツ

川崎市のマンション市場は近年価格が上昇しており、売却には好条件が揃っています。

(1) 川崎市の売却相場と価格推移:5年間で940万円上昇

川崎駅周辺の中古マンション価格は、5年間で平均940万円上昇しました。

価格上昇の背景

  • 再開発による利便性向上
  • 東京都心への通勤需要の高まり
  • 人口増加(令和12年まで増加予想)

川崎区では6年前と比較して30.7%上昇しており、売却には有利な環境です。

(2) 売却タイミングの見極め方:人口動態と再開発の影響

売却に有利なタイミング

  • 再開発プロジェクトの発表直後
  • 金利が低い時期(買い手が購入しやすい)
  • 人口増加が続いている時期

注意が必要なタイミング

  • 金利上昇局面(買い手の購入意欲が減退)
  • 同エリアで大量のマンション供給がある時期(供給過多)

川崎市は2030年まで人口増加が予想されていますが、金利動向には注意が必要です。

(3) 査定額を高めるポイント:清掃・修繕・複数社比較

査定前にできること

  • 徹底的な清掃: 内覧時の印象が査定額に影響
  • 小規模な修繕: 壁紙の張り替え、水回りの清掃など
  • 書類の準備: 管理規約、修繕履歴、設備の取扱説明書など

査定は複数社に依頼

  • 3社以上の不動産会社に査定依頼
  • 査定額の根拠を確認
  • 仲介手数料や売却サポート内容を比較

信頼できる不動産会社を選び、適正価格で売却しましょう。

まとめ:状況別の選び方と次のアクション

川崎市のマンション市場は、中原区(武蔵小杉)が最も人気で平米単価98.67万円、川崎駅周辺は5年間で940万円上昇しています。

購入を検討する場合、新築・中古の選択、立地、間取り、諸費用(物件価格の5〜10%)を総合的に判断しましょう。住宅ローン控除を活用することで、最大13年間の控除が受けられます。

売却を検討する場合、川崎市は2030年まで人口増加が予想され、需要は堅調です。ただし、2024年以降の金利上昇により価格動向は不透明な面もあります。複数社の査定を比較し、適正価格を見極めましょう。

最終的な判断の前に、宅地建物取引士や税理士など専門家に相談し、契約内容や税金の詳細を確認することが重要です。信頼できる不動産会社を選び、納得のいく売買を実現してください。

よくある質問

Q1川崎市で最も人気のエリアはどこですか?

A1武蔵小杉(中原区)が最も人気です。平米単価98.67万円で川崎市内最高、取引件数も最多(435件)です。再開発でタワーマンションが多数建設され、JR南武線・横須賀線・湘南新宿ライン、東急東横線・目黒線が利用可能で、東京都心へのアクセスが良好です。ららテラス武蔵小杉、グランツリー武蔵小杉など大型商業施設も充実しており、ファミリー層・共働き世帯に人気です。

Q2川崎駅と武蔵小杉、どちらが資産価値が高いですか?

A2武蔵小杉の中原区が平米単価で上回ります(98.67万円/㎡)。ただし川崎駅は東京駅まで18分、羽田空港まで約16分という抜群のアクセス性が強みです。川崎駅周辺は5年間で940万円上昇した実績があり、長期的な資産価値の維持が期待できます。エリアの特徴(武蔵小杉は住環境、川崎駅は交通利便性)と優先順位で選ぶことが重要です。

Q3新築と中古ではどちらがお得ですか?

A3中古は新築より価格が安く、立地条件が良い物件が多いです。2025年時点で川崎市には56物件の新築マンションがありますが、中古の方が選択肢が豊富です。新築は最新設備・耐震性能が高く、住宅ローン控除の控除額が大きいですが、価格が高く完成前は実物を見られません。中古は実物を確認でき、築年数により設備が古い場合や修繕費用がかかる可能性があります。築年数と設備のバランスで判断しましょう。

Q4川崎市のマンション価格は今後も上昇しますか?

A4令和12年(2030年)まで人口増加が予想され、需要は堅調です。ただし、2024年7月と2025年1月に日銀が政策金利を引き上げ、大手金融機関の変動金利も上昇開始しました。金利上昇は月々の返済額増加につながり、買い手の購入意欲が減退する可能性があります。今後の価格動向は金利動向、再開発状況、人口動態を総合的に判断する必要があり、一概に上昇が続くとは断定できません。

Q5マンション売却のベストタイミングはいつですか?

A5川崎駅周辺では5年間で940万円上昇した実績があり、売却には有利な環境です。再開発プロジェクトの発表直後や、金利が低い時期(買い手が購入しやすい)が狙い目です。ただし、金利上昇局面や同エリアで大量のマンション供給がある時期は注意が必要です。川崎市は2030年まで人口増加が予想されていますが、金利動向により価格は不透明な面もあります。複数社の査定を比較し、適正価格を見極めて決定しましょう。

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Room Match編集部

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