投資用不動産の選び方・始め方|初心者が知るべきリスクと利回り

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/20

投資用不動産とは?初心者が知るべき基礎知識

不動産投資に興味があるものの、リスクや利回り、物件選びの基準が分からず、一歩踏み出せない方は少なくありません。

この記事では、投資用不動産の選び方、始め方、リスクと利回りについて、初心者にも分かりやすく実務的に解説します。

初めて不動産投資を検討する方でも、基礎知識を理解し、リスクを抑えながら投資をスタートできるようになります。

この記事のポイント

  • 投資用不動産の収益は「インカムゲイン」(家賃収入)と「キャピタルゲイン」(売却益)の2種類
  • 初心者は価格が手頃で融資負担が少ない区分マンションから始めるのがおすすめ
  • 諸費用は物件価格の7-10%が目安(仲介手数料、印紙税、登録免許税、ローン関連費用等)
  • 最大のリスクは空室リスク。立地条件(駅距離・周辺環境)を重視し賃貸需要の高いエリアを選ぶ
  • 事前準備不足が失敗の最大原因。ポータルサイト・書籍・セミナーで知識を習得することが重要

投資用不動産の目的(インカムゲインとキャピタルゲイン)

投資用不動産とは、家賃収入や売却益を目的とした不動産です。収益は大きく2種類に分類されます。

収益の種類 内容 特徴
インカムゲイン 不動産を保有して得られる家賃収入 安定した収益、不動産投資の主要な収益源
キャピタルゲイン 不動産を売却して得られる売却益 税金や手数料を考慮する必要がある

初心者は、税金や手数料の観点からインカムゲイン(家賃収入)を重視することが推奨されます。家賃収入は毎月安定して得られるため、資金計画が立てやすいというメリットがあります。

不動産投資が注目される理由

不動産投資は、以下の理由から注目されています。

  • 安定した収益: 家賃収入は株式配当と比べて変動が少ない
  • インフレヘッジ: 物価上昇時に不動産価格・賃料も上昇する傾向
  • レバレッジ効果: ローンを活用することで少ない自己資金で大きな資産を運用可能
  • 節税効果: 減価償却費や管理費等を経費計上できる

ただし、不動産投資にはリスクも存在します。空室リスク、災害リスク、金利上昇リスク等を理解した上で、慎重に判断することが重要です。

2024年の不動産投資市場動向

2024年の日本不動産投資市場は、前年比63%増の5兆4,875億円を記録し、9年ぶりの5兆円超えを達成しました。

主要トレンド(2024年):

  • ホテルセクターの好調: インバウンド完全回復を背景に1兆円を初突破
  • マンション価格の上昇: 不動産価格指数は前年比13.1%上昇し207.2%を記録
  • 国内投資家の活発化: 海外投資家が減少し、国内投資家が優良物件を購入するチャンスが増加

市場は活況ですが、今後の経済情勢により変動する可能性があるため、最新の動向を継続的に確認することが重要です。

投資用不動産の種類と特徴

投資用不動産には、主に3つの種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分の資金力やリスク許容度に合った物件を選びましょう。

区分マンション(初心者向け・低価格帯)

区分マンションとは、マンションの1室を所有して賃貸に出す投資方法です。初心者向けで、以下のような特徴があります。

メリット:

  • 価格が手頃(数百万円〜2,000万円程度)
  • 融資負担が少ない
  • 管理の手間が比較的小さい(管理会社に委託可能)
  • 立地条件の良い物件を選びやすい

デメリット:

  • 空室時の収入ゼロ(1室のみのため)
  • 管理費・修繕積立金の負担がある
  • 収益性は一棟物件より低い

初心者は、駅近の区分マンションから始めることで、リスクを抑えながら不動産投資の経験を積むことができます。

一棟アパート/マンション(高収益性・高難度)

一棟アパート/マンションは、建物全体を所有する投資方法です。初期費用は高いですが、収益性が高いという特徴があります。

メリット:

  • 収益性が高い(複数の部屋から家賃収入)
  • 空室リスクの分散(1室が空室でも他の部屋から収入あり)
  • 土地の所有権があるため資産価値が高い

デメリット:

  • 初期費用が高額(数千万円〜数億円)
  • 融資審査が厳しい
  • 管理の手間が大きい(建物全体の維持管理が必要)

一棟物件は、区分マンションで経験を積んだ後の次のステップとして検討することを推奨します。

戸建て賃貸(中間的な選択肢)

戸建て賃貸は、一戸建て住宅を購入して賃貸に出す投資方法です。区分マンションと一棟物件の中間的な選択肢です。

メリット:

  • ファミリー層に人気で長期入居が期待できる
  • 管理費・修繕積立金の負担がない
  • 土地の所有権があるため資産価値が高い

デメリット:

  • 空室時の収入ゼロ
  • 建物の修繕費が全額自己負担
  • 賃貸需要が地域により大きく異なる

戸建て賃貸は、賃貸需要のあるエリアを見極めることが成功の鍵となります。

物件選びのポイントと利回りの考え方

立地条件の重要性(駅距離・周辺環境)

不動産投資において、立地条件は最も重要な要素です。賃貸需要の高いエリアを選ぶことで、空室リスクを大幅に軽減できます。

高評価される立地の条件:

  • 駅距離: 主要駅から徒歩10分以内
  • 周辺環境: スーパー、病院、学校等の生活利便施設が近い
  • 治安: 犯罪率が低く、夜間でも安心して歩ける
  • 賃貸需要: 単身者向けエリア(ワンルーム)、ファミリー向けエリア(2LDK以上)を見極める

立地条件が良い物件は、多少価格が高くても長期的に安定した収益を得られる可能性が高くなります。

表面利回りと実質利回りの違い

不動産投資の利回りには、表面利回りと実質利回りの2種類があります。

利回りの種類 計算式 特徴
表面利回り 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100 諸経費を考慮しない簡易的な指標
実質利回り (年間家賃収入 - 年間経費)÷(物件価格 + 諸費用)× 100 諸経費を含めた正確な収益性

計算例:

  • 物件価格: 2,000万円

  • 年間家賃収入: 120万円

  • 年間経費(管理費・修繕積立金・固定資産税等): 30万円

  • 諸費用: 200万円

  • 表面利回り: 120万円 ÷ 2,000万円 × 100 = 6.0%

  • 実質利回り: (120万円 - 30万円) ÷ (2,000万円 + 200万円) × 100 = 4.09%

物件を比較する際は、実質利回りで判断することが重要です。表面利回りが高くても、経費が多ければ実際の収益は低くなります。

収益シミュレーションの方法

不動産投資を始める前に、収益シミュレーションを行い、長期的な収支を把握することが重要です。

シミュレーションに含める項目:

  • 家賃収入(空室率を考慮)
  • ローン返済額
  • 管理費・修繕積立金
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料
  • 修繕費(10年後の大規模修繕等)

LIFULL HOME'Sや楽待等の不動産投資ポータルサイトには、収益シミュレーションツールが用意されています。これらを活用して、現実的な収支を確認しましょう。

投資用不動産の諸費用と資金計画

購入時の諸費用(物件価格の7-10%が目安)

不動産を購入する際には、物件価格とは別に諸費用が必要です。諸費用は物件価格の7-10%が目安とされています。

物件種別 諸費用の目安
新築物件 3-7%
中古物件 6-13%
注文住宅 10-12%

例えば、2,000万円の中古区分マンションを購入する場合、諸費用は120万円〜260万円(6-13%)が必要となります。

諸費用の内訳(仲介手数料・印紙税・登録免許税・ローン関連費用)

諸費用の主な内訳は以下の通りです。

費用項目 内容 金額の目安
仲介手数料 不動産会社への手数料 (物件価格 × 3% + 6万円) + 消費税
印紙税 売買契約書に貼付 1万円(1,000万円超〜5,000万円以下)
登録免許税 所有権移転登記の費用 固定資産税評価額 × 2%(土地1.5%、建物2%)
司法書士報酬 登記手続きの代行費用 5〜15万円
ローン関連費用 融資手数料、保証料 融資額の2〜3%
火災保険料 10年一括払い 15〜30万円
不動産取得税 不動産取得時にかかる税金 固定資産税評価額 × 3%(軽減措置あり)

諸費用は物件種別や地域により大きく異なるため、購入前に不動産会社から詳細な見積もりを取得することを推奨します。

融資の基礎知識(自己資金比率・金融機関の選び方)

不動産投資では、ローンを活用することで少ない自己資金で大きな資産を運用できます(レバレッジ効果)。

融資の基礎知識:

  • 自己資金比率: 物件価格の20-30%を自己資金で用意することが推奨される
  • 金融機関の選び方: 民間金融機関(メガバンク、地方銀行)、政府系金融機関(日本政策金融公庫)
  • 審査基準: 物件の収益性、担保価値、借入者の年収・勤務先・信用情報

初心者向けの融資先:

  • 日本政策金融公庫: 民間金融機関より審査の間口が広く、初心者向けの融資先として有効

自己資金比率を高めることで、ローンリスクを軽減し、金利負担を抑えることができます。

不動産投資のリスクと回避策

空室リスク(最大のリスク)と対策

不動産投資の最大のリスクは空室リスクです。物件が空室の場合、家賃収入がゼロになりながらも、管理費や修繕費、ローン返済は継続します。

空室リスクの対策:

  • 立地条件を重視: 駅近、生活利便施設が充実したエリアを選ぶ
  • 賃貸需要の高いエリアを選ぶ: 単身者向けエリア、ファミリー向けエリアを見極める
  • 適正な賃料設定: 周辺相場より高すぎない賃料を設定
  • 管理会社の選定: 空室対策に強い管理会社を選ぶ(入居者募集力、リフォーム提案力等)

空室率を10%以内に抑えることができれば、安定した収益を維持できます。

その他のリスク(滞納・災害・金利上昇・建物老朽化)

空室リスク以外にも、以下のリスクが存在します。

リスクの種類 内容 回避策
滞納リスク 入居者が家賃を滞納するリスク 家賃保証会社の利用、入居審査の厳格化
災害リスク 地震、火災、水害等による建物損壊 火災保険、地震保険の加入、ハザードマップの確認
金利上昇リスク ローン金利が上昇し返済額が増加 固定金利の選択、自己資金比率を高める
建物老朽化リスク 築年数が経過し修繕費が増加 定期的なメンテナンス、大規模修繕の資金計画

これらのリスクを事前に理解し、対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることができます。

失敗事例から学ぶ教訓

「不動産投資家の9割が失敗する」と言われることがありますが、多くは事前準備不足が原因です。

よくある失敗事例:

  • 立地条件を軽視: 利回りだけで判断し、賃貸需要の低いエリアを選んでしまう
  • 諸費用を軽視: 諸費用を考慮せず、資金不足に陥る
  • 空室リスクを過小評価: 常に満室を想定し、空室時の収支悪化に対応できない
  • 悪質な業者を選ぶ: 割高な物件を購入したり、空室が長期化する

これらの失敗は、事前準備と複数の視点からの検討により回避できます。

まとめ:投資用不動産の始め方と次のアクション

初心者が最初にやるべき3ステップ

不動産投資を始める前に、以下の3ステップで準備を進めましょう。

ステップ1: ポータルサイトで市場を理解

  • LIFULL HOME'S、楽待、健美家等のポータルサイトで物件情報を確認
  • 地域別の利回り相場、物件価格帯を把握

ステップ2: 書籍で基礎知識を習得

  • 不動産投資の入門書を2-3冊読む
  • 利回り計算、税金、リスク管理等の基礎を学ぶ

ステップ3: セミナーに最低2つ以上参加

  • 複数のセミナーに参加し、異なる視点から投資スタイルを評価
  • 不動産会社の説明会、投資家向けセミナー等を活用

これらの準備を経て、自分に合った投資スタイル・物件種別を見極めましょう。

専門家への相談の重要性

不動産投資は、税金、法律、金融等の専門知識が必要です。投資判断は自己責任ですが、専門家への相談により、リスクを大幅に軽減できます。

相談すべき専門家:

  • 税理士: 確定申告、節税対策、減価償却の計算
  • ファイナンシャルプランナー: 資金計画、ライフプラン全体の中での投資判断
  • 不動産鑑定士: 物件の適正価格、収益性の評価
  • 宅地建物取引士: 契約内容の確認、重要事項説明

初心者は、信頼できる専門家に相談しながら、慎重に投資を進めることを推奨します。

よくある質問

Q1不動産投資の初期費用はどのくらいかかりますか?

A1物件価格に加えて諸費用が7-10%必要です。新築は3-7%、中古は6-13%が目安です。諸費用の主な内訳は、仲介手数料(物件価格の3%+6万円+消費税)、印紙税(1万円)、登録免許税(固定資産税評価額の2%)、司法書士報酬(5〜15万円)、ローン関連費用(融資額の2〜3%)、火災保険料(15〜30万円)等です。

Q2初心者はどの物件種別から始めるべきですか?

A2区分マンションがおすすめです。価格が手頃(数百万円〜2,000万円程度)で融資負担が少なく、管理の手間も比較的小さいためです。一棟アパート/マンションは初期費用が高額(数千万円〜数億円)で難度が上がります。区分マンションで経験を積んだ後、一棟物件を検討することを推奨します。

Q3不動産投資のリスクはどう回避すればいいですか?

A3最大のリスクは空室リスクです。対策として、立地条件(駅近、生活利便施設が充実したエリア)を重視し、賃貸需要の高いエリアを選びましょう。また、自己資金比率を高めることでローンリスクも軽減できます。空室率を10%以内に抑えることができれば、安定した収益を維持できます。

Q4不動産投資はローンを組めますか?

A4可能です。金融機関は物件の収益性や担保価値を審査します。日本政策金融公庫は民間金融機関(メガバンク、地方銀行)より審査の間口が広く、初心者向けの融資先として有効です。自己資金比率は物件価格の20-30%を用意することが推奨されます。自己資金比率を高めることで、金利負担を抑えられます。

Q5不動産投資で失敗しやすいポイントは何ですか?

A5事前準備不足が最大の原因です。よくある失敗は、利回りだけで判断し立地条件を軽視する、諸費用を考慮せず資金不足に陥る、空室リスクを過小評価する、悪質な業者を選ぶ等です。対策として、ポータルサイトで市場を理解し、書籍で基礎知識を習得、セミナーに最低2つ以上参加して複数視点を獲得することが重要です。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事