住宅ローンの事前審査とは?流れ・必要書類・通過のポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/21

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住宅ローンの事前審査とは|物件購入前に知っておくべき重要ステップ

住宅購入を検討する際、「物件探しと並行して住宅ローンの事前審査を受けるべきか」「事前審査で何を確認されるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、住宅ローンの事前審査の目的、本審査との違い、流れと必要書類、通過のポイントを、国土交通省住宅金融支援機構の公式情報を元に解説します。

初めて住宅購入する方でも、事前審査の全体像を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 事前審査は購入予算の把握と物件購入の本気度を証明するための重要なステップ
  • 事前審査は簡易的な審査(即日〜3日)、本審査は詳細な精査(1〜2週間)で内容が異なる
  • 本審査落ちの確率は約5%程度。事前審査通過後の転職・退職等は本審査に影響
  • 審査項目は完済時年齢・返済負担率・信用情報・勤続年数が重視される(国土交通省調査)
  • 複数金融機関への同時申込(3社程度まで)で金利条件を比較できる

事前審査の目的と役割|なぜ事前審査が必要なのか

事前審査(仮審査)は、本審査の前に行われる簡易的な審査です。申込者の年収・返済負担率・信用情報等を確認し、借入可能額の目安を提示します。

(1) 購入予算の把握(借入可能額の確認)

事前審査により、「年収に対していくらまで借入できるか」を把握できます。返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)を基に、金融機関が借入可能額を算出します。

住宅金融支援機構のフラット35では、年収400万円以上は35%以下、400万円未満は30%以下が基準です。

(2) 物件購入の本気度の証明

売主に対して「住宅ローンの承認を得ている」ことを示すことで、購入申込時の交渉が有利になります。特に人気物件では、事前審査の承認済みの購入者が優先される傾向があります。

(3) 事前審査→物件申込→本審査→融資実行の全体の流れ

住宅ローンの全体の流れは以下の通りです。

ステップ 内容 期間
1. 事前審査 簡易的な審査(年収・信用情報確認) 即日〜1週間
2. 物件申込 売買契約締結 -
3. 本審査 詳細な審査(書類精査・担保評価) 1〜2週間
4. 金銭消費貸借契約 正式な借入契約 -
5. 融資実行 物件引渡し・ローン実行 -

事前審査と本審査の違い|審査内容・期間・必要書類を比較

事前審査と本審査では、審査内容・期間・必要書類が異なります。

(1) 審査内容の違い(簡易審査vs詳細精査)

事前審査は、年収・返済負担率・信用情報を中心とした簡易的な審査です。一方、本審査は、提出書類を詳細に精査し、担保評価(物件の価値)、団信加入審査(健康状態の確認)を含みます。

(2) 審査期間の違い(即日〜3日vs1〜2週間)

事前審査は、ネット銀行ではオンラインで即日〜3日で結果が出ることが多く、対面での申込では3日〜1週間が目安です。

本審査は、書類精査や担保評価に時間がかかるため、1〜2週間程度が一般的です。

(3) 必要書類の違い

事前審査では、本人確認書類(運転免許証・健康保険証等)と収入証明書(源泉徴収票・確定申告書等)が主な必要書類です。

本審査では、住民票、印鑑証明書、売買契約書、重要事項説明書、物件の登記簿謄本等、より詳細な書類が必要です。

(4) 事前審査通過後に本審査で落ちる確率は約5%

事前審査に通過すれば本審査の通過率は高いですが、100%ではありません。本審査落ちの確率は約5%とされています。

事前審査後の転職・退職、新たな借入、申告内容の相違等が原因で本審査に落ちる可能性があります。

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事前審査の流れと必要書類|申込から承認までのステップ

事前審査の具体的な流れと必要書類を確認しましょう。

(1) 事前審査の申込手続き

事前審査は、金融機関の窓口、インターネット、不動産会社経由で申込可能です。近年はネット銀行を中心にオンラインで事前審査が完結できるサービスが増加しており、審査期間の短縮傾向にあります。

(2) 必要書類(本人確認書類・収入証明書等)

事前審査の必要書類は以下の通りです。

書類の種類 内容
本人確認書類 運転免許証、健康保険証、パスポート等
収入証明書 源泉徴収票(給与所得者)、確定申告書(自営業者)
既存ローンの情報 自動車ローン、カードローン等の残高・返済額

(3) 複数金融機関への同時申込のメリット

事前審査は複数の金融機関(3社程度まで)に同時申込しても問題ありません。金利条件や審査基準を比較でき、有利な条件を選べるメリットがあります。

ただし、申込履歴は信用情報に6ヶ月間記録されるため、極端な多数申込は避けるべきです。

(4) オンライン完結の事前審査サービス

ネット銀行を中心にオンラインで事前審査が完結できるサービスが増加しています。書類のアップロードのみで審査が進むため、店舗への来店が不要で、即日〜3日で結果が出ることが多いです。

事前審査を通過するポイントと落ちる理由|審査基準を徹底解説

事前審査の審査項目と、審査に落ちる理由を確認しましょう。

(1) 審査項目(完済時年齢・返済負担率・信用情報・勤続年数)

国土交通省の「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、審査項目で最も重視されるのは「完済時年齢」(98.4%の金融機関が審査項目に)です。

主要な審査項目は以下の通りです。

審査項目 内容 金融機関が重視する割合
完済時年齢 住宅ローンを完済する時点での年齢(80歳未満が一般的) 98.4%
健康状態 団信加入の可否(健康状態の確認) 96.8%
担保評価 物件の価値(借入額に対する担保の十分性) 96.7%
年収 申込者の年収(安定した返済能力の確認) 95.6%
返済負担率 年収に対する年間返済額の割合 92.1%

(出典: 国土交通省

(2) 事前審査に落ちる主な理由

事前審査に落ちる主な理由は以下の通りです。

  • 信用情報の問題: クレジットカードや携帯料金の延滞履歴、自己破産歴等
  • 返済負担率が高い: 他のローン(自動車ローン・カードローン等)の返済額が多い
  • 勤続年数が短い: 転職直後(勤続1年未満)
  • 収入が不安定: 自営業者で収入の変動が大きい
  • 借入希望額が高い: 年収に対して借入額が過大

(3) 信用情報の確認と改善方法

信用情報(個人のクレジットカードやローンの利用・返済履歴)は、CIC・JICC等の信用情報機関が管理しています。

事前審査前に信用情報を開示請求し、延滞履歴等がないか確認することをおすすめします。延滞がある場合は、完済してから5年間は記録が残るため、注意が必要です。

(4) 他のローンの完済と返済負担率の見直し

他のローン(自動車ローン、カードローン等)は事前に完済しておくと返済負担率が下がり、審査に有利になります。

返済負担率の計算例は以下の通りです。

年収500万円の場合:

  • 住宅ローン年間返済額: 150万円
  • 自動車ローン年間返済額: 30万円
  • 返済負担率: (150万円 + 30万円) ÷ 500万円 = 36%

フラット35の基準(年収400万円以上は35%以下)を超えてしまうため、自動車ローンを完済すれば返済負担率が30%に下がり、審査に通りやすくなります。

(5) 事前審査後の転職・退職は本審査落ちの原因

事前審査後の転職・退職は本審査落ちの原因になります。審査期間中は勤務先を変えないことが重要です。

やむを得ず転職する場合は、事前に金融機関に相談し、再審査が必要かを確認しましょう。

まとめ|事前審査をスムーズに進めるために

住宅ローンの事前審査は、購入予算の把握と物件購入の本気度を証明するための重要なステップです。事前審査は簡易的な審査(即日〜3日)、本審査は詳細な精査(1〜2週間)で内容が異なります。

審査項目は完済時年齢・返済負担率・信用情報・勤続年数が重視されるため、事前に信用情報を確認し、他のローンを完済しておくことが有利です。

複数金融機関への同時申込(3社程度まで)で金利条件を比較し、有利な条件を選びましょう。詳細な審査基準や個別の相談については、住宅ローンアドバイザーやファイナンシャルプランナーへの相談もおすすめします。

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よくある質問

Q1事前審査にかかる日数はどのくらいですか?

A1一般的に即日〜1週間程度です。ネット銀行ではオンラインで即日〜3日で結果が出ることが多く、対面での申込では3日〜1週間が目安です。余裕を持ったスケジュールで申込むことをおすすめします。審査期間は金融機関や申込時期により異なるため、事前に確認しましょう。

Q2事前審査に通れば本審査も必ず通りますか?

A2通過率は高いですが100%ではありません。本審査落ちの確率は約5%とされています。事前審査後の転職・退職、新たな借入、申告内容の相違等が原因で本審査に落ちる可能性があります。事前審査通過後は勤務先を変えず、新たな借入を避けることが重要です。

Q3複数の金融機関に事前審査を申し込んでも大丈夫ですか?

A33社程度までの同時申込は問題ありません。金利条件や審査基準を比較でき、有利な条件を選べるメリットがあります。ただし、申込履歴は信用情報に6ヶ月間記録されるため、極端な多数申込は避けるべきです。住宅ローンは同時契約が考えにくいため、複数申込が原因で審査に落ちることは一般的にありません。

Q4事前審査に落ちた場合、どう対処すればいいですか?

A4まず信用情報の確認(CIC・JICC等で開示請求)、他のローン(自動車ローン・カードローン等)の完済、借入希望額の見直しが有効です。延滞履歴がある場合は完済してから5年間は記録が残るため注意が必要です。また、住宅ローンアドバイザーやファイナンシャルプランナーへの相談もおすすめします。

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