一戸建ての固定資産税はいくら?平均額と相場
一戸建てを購入する際、「固定資産税は年間いくらかかるのか」「新築と中古でどう違うのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、一戸建ての固定資産税の平均額、計算方法、新築住宅の軽減措置、築年数による変化、2024年度の税制改正まで、国土交通省や東京都主税局などの公的機関の情報を元に解説します。
一戸建て購入を検討している方、購入後の維持費として固定資産税の負担が適切か判断したい方に役立つ情報を提供します。
この記事のポイント
- 一戸建ての固定資産税の平均額は年間10~15万円
- 計算式は「固定資産税評価額×1.4%」、住宅用地の特例で200㎡まで課税標準額が1/6に軽減
- 新築住宅は3年間(長期優良住宅は5年間)、建物部分の税額が1/2に減額
- 築4年目で軽減措置が終了し、建物部分の固定資産税が約1.9~1.94倍に増加
- 2024年度は評価替え年で、材料費高騰により税額が上がる可能性がある
(1) 一戸建ての平均額(年間10~15万円)
AVANTIAによると、一戸建ての固定資産税の平均額は年間10~15万円です。
平均額の内訳:
| 項目 | 平均額 |
|---|---|
| 土地部分 | 5~8万円 |
| 建物部分 | 5~7万円 |
| 合計 | 10~15万円 |
注意点:
- 固定資産税評価額は公示価格の70%が一般的(AVANTIAによる)
- 土地と建物それぞれに課税される
- 実際の税額は評価額や自治体の税率により異なる
(2) マンション・土地との比較
SUUMOによると、一戸建てとマンションの固定資産税には違いがあります。
一戸建てとマンションの比較:
| 項目 | 一戸建て | マンション |
|---|---|---|
| 平均額(年間) | 10~15万円 | 8~12万円 |
| 建物評価額 | 高め(専有面積が広い) | 低め(共用部分の持分) |
| 土地評価額 | 高め(土地全体が対象) | 低め(敷地の持分のみ) |
土地のみの場合:
- 建物がないため、建物部分の固定資産税は不要
- ただし、住宅用地の特例は適用されないため、課税標準額が高くなる
(3) 物件種別による違い(カーポート・ガレージ・物置)
建物として認定されるカーポート、ガレージ、物置にも固定資産税が課税される場合があります。
課税対象となる条件:
| 項目 | 課税対象となる条件 |
|---|---|
| カーポート | 屋根と3方向以上の壁がある場合(建物と認定) |
| ガレージ・バイクガレージ | 屋根と壁で囲まれた構造の場合 |
| 物置 | 床面積が一定以上で、基礎工事がある場合 |
税額の目安:
- カーポート: 数千円~1万円程度/年
- ガレージ: 1~3万円程度/年
- 物置: 数百円~数千円程度/年
(※構造、面積、自治体の評価により異なる)
固定資産税の計算方法|土地・建物の評価と税率
(1) 基本的な計算式(固定資産税評価額×1.4%)
SUUMOによると、固定資産税の基本的な計算式は以下の通りです。
基本計算式:
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 税率(標準1.4%)
用語解説:
- 固定資産税評価額: 自治体が算定する課税の基準となる価格。土地は公示価格の70%程度、建物は再建築価格から経年減価を考慮して算定
- 税率: 標準税率は1.4%だが、自治体により独自の税率設定が可能
計算例(土地・建物の合計):
| 項目 | 固定資産税評価額 | 税率 | 税額 |
|---|---|---|---|
| 土地 | 1,000万円 | 1.4% | 14万円 |
| 建物 | 800万円 | 1.4% | 11.2万円 |
| 合計 | 1,800万円 | - | 25.2万円 |
(※軽減措置適用前の金額)
(2) 住宅用地の特例(200㎡まで1/6、200㎡超1/3)
SUUMOによると、住宅用地には課税標準額を軽減する特例があります。
住宅用地の特例:
| 土地の面積 | 軽減率 |
|---|---|
| 200㎡まで | 1/6(小規模住宅用地) |
| 200㎡超 | 1/3(一般住宅用地) |
計算例(土地1,000万円、面積150㎡の場合):
課税標準額 = 1,000万円 × 1/6 = 約167万円
固定資産税 = 167万円 × 1.4% = 約2.3万円
注意点:
- 住宅用地の特例は土地部分のみに適用される
- 建物部分には適用されない
- 空き家でも住宅が建っていれば特例が適用される(ただし、管理不全空き家に指定されると適用外)
(3) 都市計画税との違い
東京都主税局によると、都市計画税は固定資産税とは別に課税される税金です。
都市計画税の特徴:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税対象 | 市街化区域内の土地・建物 |
| 税率 | 標準0.3% |
| 軽減措置 | 新築住宅の減額措置は適用されない |
計算例(固定資産税評価額1,800万円の場合):
都市計画税 = 1,800万円 × 0.3% = 5.4万円
合計税額:
- 固定資産税: 25.2万円(軽減措置適用前)
- 都市計画税: 5.4万円
- 合計: 30.6万円
新築住宅の軽減措置|3年間の減額制度
(1) 減額期間と減額率(一戸建て3年間、税額1/2)
国土交通省によると、新築住宅には固定資産税の減額措置があります。
新築住宅の減額措置:
| 項目 | 一戸建て | マンション等 |
|---|---|---|
| 減額期間 | 3年間 | 5年間 |
| 減額率 | 建物部分の税額が1/2 | 建物部分の税額が1/2 |
| 適用期限 | 2026年3月31日までの新築 | 2026年3月31日までの新築 |
| 床面積要件 | 50㎡以上280㎡以下 | 50㎡以上280㎡以下 |
減額例(建物部分の評価額800万円の場合):
| 年数 | 減額措置 | 建物部分の税額 |
|---|---|---|
| 新築~3年目 | あり(1/2) | 5.6万円 |
| 4年目以降 | なし | 11.2万円 |
(2) 長期優良住宅の特例(5年間)
東京都主税局によると、長期優良住宅には減額期間が延長される特例があります。
長期優良住宅の減額措置:
| 項目 | 一戸建て | マンション等 |
|---|---|---|
| 減額期間 | 5年間 | 7年間 |
| 減額率 | 建物部分の税額が1/2 | 建物部分の税額が1/2 |
長期優良住宅の認定基準:
- 耐久性: 劣化対策等級3以上
- 省エネ性: 断熱等性能等級5以上
- 維持管理・更新の容易性: 維持管理対策等級3以上
(3) 申告手続きと必要書類
東京都主税局によると、軽減措置の申告手続きは以下の通りです。
申告手続き:
| 住宅種別 | 申告の要否 | 必要書類 |
|---|---|---|
| 一般住宅 | 申告不要(東京23区等) | なし |
| 長期優良住宅 | 申告必要 | 認定通知書の写し |
注意点:
- 自治体により手続きが異なる場合があるため、詳細は自治体の固定資産税課にご確認ください
- 都市計画税は軽減措置の対象外
築年数による固定資産税の変化|経年減価と評価替え
(1) 経年減価補正の仕組み
LIFULL HOME'Sによると、建物の固定資産税評価額は経年減価補正率により築年数に応じて下がります。
経年減価補正の仕組み:
- 固定資産税評価額は3年ごとに見直される(評価替え)
- 築年数に応じて評価額が段階的に減少
- 木造住宅は最終的に約20%まで評価額が低下
構造別の経年減価:
| 構造 | 最終的な評価額(新築時の) |
|---|---|
| 木造 | 約20% |
| 鉄骨造 | 約30% |
| 鉄筋コンクリート造 | 約40% |
(2) 築年数別シミュレーション(新築・築30年・築40年・築50年)
築年数による固定資産税の変化をシミュレーションします。
前提条件:
- 木造一戸建て
- 土地評価額: 1,000万円(面積150㎡)
- 建物評価額: 800万円(新築時)
- 税率: 1.4%
築年数別シミュレーション:
| 築年数 | 建物評価額 | 建物部分の税額 | 土地部分の税額 | 合計税額 |
|---|---|---|---|---|
| 新築(軽減措置あり) | 800万円 | 5.6万円 | 2.3万円 | 7.9万円 |
| 4年目 | 約750万円 | 10.5万円 | 2.3万円 | 12.8万円 |
| 築30年 | 約300万円 | 4.2万円 | 2.3万円 | 6.5万円 |
| 築40年 | 約200万円 | 2.8万円 | 2.3万円 | 5.1万円 |
| 築50年 | 約160万円 | 2.2万円 | 2.3万円 | 4.5万円 |
(※概算値。実際の税額は自治体の評価により異なる)
(3) 築4年目の税額増加(軽減措置終了の影響)
オウチーノによると、築4年目で固定資産税が急に上がる理由は、新築から3年間の軽減措置が終了するためです。
築4年目の税額増加:
- 新築~3年目: 建物部分の税額が1/2に減額
- 4年目以降: 減額なし(通常の税額に戻る)
- 増加率: 約1.9~1.94倍(建物部分のみ)
増加例(建物評価額800万円の場合):
| 項目 | 新築~3年目 | 4年目以降 | 増加額 |
|---|---|---|---|
| 建物部分の税額 | 5.6万円 | 11.2万円 | +5.6万円 |
| 土地部分の税額 | 2.3万円 | 2.3万円 | 変動なし |
| 合計税額 | 7.9万円 | 13.5万円 | +5.6万円 |
2024年度の税制改正|評価替えと負担調整措置
(1) 評価替えによる税額変化(材料費高騰の影響)
MONEYIZMによると、2024年度は3年に1度の評価替え年で、材料費高騰の影響により固定資産税が上がる可能性があります。
2024年度の再建築費評点補正率:
| 家屋の種類 | 補正率 |
|---|---|
| 木造家屋 | 1.11倍 |
| 非木造家屋 | 1.07倍 |
税額への影響:
- 新築住宅の評価額が上昇する可能性
- 既存住宅も経年減価補正後の評価額が上昇する場合がある
(2) 負担調整措置の延長(2029年3月31日まで)
税理士法人山田&パートナーズによると、2024年度税制改正で負担調整措置が3年間延長されました。
負担調整措置の概要:
- 評価額が急激に上昇した場合に、税負担の増加を緩和する措置
- 適用期間: 2024年4月1日~2029年3月31日
新築住宅の減額措置の延長:
- 新築住宅の固定資産税減額措置が2年間延長
- 適用期限: 2026年3月31日まで
(3) 管理不全空き家への影響(軽減特例適用外)
MONEYIZMによると、2023年の空き家対策特別措置法改正により、管理不全空き家に指定されると固定資産税の軽減特例が適用されなくなります。
管理不全空き家の影響:
- 住宅用地の特例(1/6または1/3)が適用されない
- 固定資産税が最大6倍になる可能性
管理不全空き家の判定基準:
- 建物が著しく破損している
- 周辺環境に悪影響を与えている
- 適切な管理が行われていない
対策:
- 定期的な点検・修繕
- 必要に応じて解体・売却を検討
まとめ:固定資産税の負担を把握するためのポイント
一戸建ての固定資産税の平均額は年間10~15万円です。計算式は「固定資産税評価額×1.4%」で、住宅用地の特例により200㎡まで課税標準額が1/6に軽減されます。
新築住宅は3年間(長期優良住宅は5年間)、建物部分の税額が1/2に減額されます。築4年目で軽減措置が終了し、建物部分の固定資産税が約1.9~1.94倍に増加するため、事前に税額の変化を把握しておくことが重要です。
2024年度は評価替え年で、材料費高騰により税額が上がる可能性があります。また、管理不全空き家に指定されると固定資産税が6倍になるリスクがあるため、空き家の適切な管理が必要です。
実際の税額は物件の評価額や自治体の税率により異なるため、詳細は自治体の固定資産税課にご確認ください。税金の計算や軽減措置の適用については、税理士への相談もご検討ください。
