金消契約とは?住宅ローンにおける位置づけ
住宅ローンの本審査が通過した後、「金消契約」という言葉を耳にして、「何をする契約なのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、金消契約(金銭消費貸借契約)の内容、契約までの流れ、必要書類、注意点を、国税庁や金融機関の公式情報を元に解説します。
金消契約の仕組みを理解し、スムーズに契約を進められるようになります。
この記事のポイント
- 金消契約は正式な借入契約で法的拘束力があり、これにより住宅ローンが確定する
- 本審査承認後、融資実行日の1週間〜1ヶ月前に実施される
- 必要書類は本人確認書類、実印、印鑑証明書、住民票、収入印紙など
- 契約後は内容変更が原則不可、転職や新規借入は融資取消のリスクあり
- 電子契約対応なら印紙税(最大6万円)が不要で来店不要のメリット
(1) 金消契約は正式な借入契約(法的拘束力あり)
金消契約(金銭消費貸借契約)とは、金融機関からお金を借りる際に締結する正式な契約です。
借入金額・金利・返済期間などの条件を定め、法的拘束力を持つ本契約です。
審査通過は「借りられる見込み」が立った段階であり、金消契約によって初めて住宅ローンが正式に確定します。
(2) 住宅ローンの流れ(事前審査→本審査→金消契約→融資実行)
住宅ローンの基本的な流れは以下の通りです。
- 事前審査(仮審査):借入可能額の目安を確認
- 本審査:正式な審査、通過すると借入が内定
- 金消契約:金銭消費貸借契約を締結(本契約)
- 融資実行:住宅ローンの資金が振り込まれる
金消契約は、本審査と融資実行の間に行われる重要なステップです。
金消契約(金銭消費貸借契約)の基本知識
(1) 金消契約の内容(借入金額・金利・返済期間等を定める)
金消契約では、以下の内容が定められます。
- 借入金額: 実際に借りる金額
- 金利: 適用される金利タイプ(固定金利・変動金利)と利率
- 返済期間: 何年で返済するか(最長35年など)
- 返済方法: 元利均等返済・元金均等返済のどちらか
- 遅延損害金: 返済が遅れた場合の違約金
- 期限の利益喪失: 契約違反時に残債務を一括返済しなければならない条件
これらの条件は契約書に明記され、契約後の変更は原則できません。
(2) 抵当権設定契約との違い
金消契約と同時に行われることが多いのが、抵当権設定契約です。
- 金消契約: お金を借りる契約
- 抵当権設定契約: 土地・建物を担保にする契約
抵当権設定契約により、万が一返済できなくなった場合、金融機関は担保の土地・建物を競売にかけて債権を回収できるようになります。
司法書士が抵当権設定の登記手続きを行い、費用は5〜10万円程度が目安です。
(3) 電子契約と紙契約の違い(印紙税の有無)
金消契約には、紙の契約書と電子契約の2つの方法があります。
| 項目 | 紙契約 | 電子契約 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 必要(最大6万円) | 不要 |
| 来店 | 原則必要 | 不要(一部金融機関) |
| 対応金融機関 | ほぼ全て | 一部のみ |
電子契約に対応した金融機関なら、印紙税が不要で来店も不要になるメリットがあります。詳しくは金融機関に確認してください。
金消契約までの流れとタイミング
(1) 金消契約は融資実行日の1週間〜1ヶ月前に実施
金消契約は、融資実行日の1週間〜1ヶ月前に行われることが一般的です。
本審査承認後、金融機関から金消契約の日時が連絡されます。
契約日までに必要書類を準備する必要があるため、1〜2週間程度の余裕を見ておくことを推奨します。
(2) 金消契約当日の流れ(契約内容の説明→署名押印→書類授受)
金消契約当日の流れは以下の通りです。
- 契約内容の説明: 金融機関の担当者が契約書の内容を説明
- 内容確認: 借入金額・金利・返済期間などを再確認
- 署名押印: 契約書に実印で署名押印
- 書類授受: 契約書の控えや抵当権設定関連書類を受け取る
- 司法書士の同席: 抵当権設定の登記手続きのために司法書士が同席する場合が多い
契約時間は1〜2時間程度が目安です。
(3) 金消契約から融資実行までのスケジュール
金消契約から融資実行までのスケジュールは以下の通りです。
- 金消契約日: 融資実行日の1週間〜1ヶ月前
- 融資実行日: 物件の引き渡し日と同日が一般的
- 抵当権設定登記: 融資実行日前後に司法書士が手続き
融資実行日は物件の引き渡し日と調整されるため、不動産会社や売主との連携が重要です。
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金消契約に必要な書類と準備
(1) 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
本人確認書類として、以下のいずれかが必要です。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 健康保険証(2点必要な場合あり)
金融機関によって要求される書類が異なるため、事前に確認してください。
(2) 実印と印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
金消契約には実印と印鑑証明書が必要です。
印鑑証明書は発行後3ヶ月以内のものが求められます。
実印を登録していない場合は、市区町村の窓口で印鑑登録を行ってください。
(3) 住民票(新住所変更後のものが必要)
住民票は、新住所への変更後のものが求められることが多いです。
購入する物件の住所に住民票を移してから取得する必要があります。
ただし、金融機関によっては旧住所の住民票でも可能な場合があるため、事前に確認してください。
(4) 通帳・届出印
住宅ローンの返済口座となる通帳と届出印が必要です。
金融機関によっては、返済口座を新規開設する必要がある場合もあります。
(5) 収入印紙(借入額に応じた金額:1,000万円超5,000万円以下で2万円)
金銭消費貸借契約書には、借入額に応じた収入印紙を貼付する必要があります。
印紙税額は以下の通りです。
| 借入額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
(参考: 国税庁「印紙税額一覧表」)
電子契約の場合は印紙税が不要です。
(6) 書類の準備期間と取得タイミングの注意点
書類の準備には1〜2週間程度の余裕を見ておくことを推奨します。
特に、印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)と住民票(新住所変更後)の取得タイミングに注意してください。
金融機関によって必要書類が異なるため、担当者に確認することが重要です。
金消契約時の注意点と契約後の禁止事項
(1) 契約内容の確認(金利タイプ・返済期間・借入金額を再確認)
金消契約時には、契約書の内容を必ず確認してください。
特に以下の項目は重要です。
- 借入金額: 申込時と相違ないか
- 金利タイプ: 固定金利・変動金利のどちらか、利率は何%か
- 返済期間: 何年で返済するか
- 返済方法: 元利均等返済・元金均等返済のどちらか
不明点があれば、契約前に必ず金融機関の担当者に質問してください。
(2) 契約後は内容変更が原則不可
金消契約後は、契約内容の変更が原則としてできません。
金利タイプや返済期間を変更したい場合は、契約前に決定する必要があります。
契約後の変更は、金融機関の承諾が必要で、再審査や手数料がかかる場合があります。
(3) 金消契約後の転職・新規借入は融資取消の可能性
金消契約後から融資実行までの間は、以下の行為を避けてください。
- 転職: 収入が変わると融資が取り消される可能性
- 新規借入: カーローンやクレジットカードのキャッシングなど
- クレジットカードの新規発行: 信用情報に影響
これらの行為により、融資が取り消されるリスクがあります。
(4) 収入印紙の貼付漏れのペナルティ(過怠税:印紙税の3倍)
収入印紙の貼付漏れは、印紙税法違反となり、過怠税(印紙税の3倍)のペナルティが課されます。
例えば、2万円の印紙税の場合、過怠税は6万円(2万円×3倍)になります。
収入印紙は金融機関が用意する場合もありますが、自分で用意する場合は必ず正しい金額の印紙を購入してください。
(5) 不明点は金融機関や司法書士に確認する
金消契約は法的拘束力のある重要な契約です。
不明点や疑問点があれば、契約前に必ず金融機関の担当者や司法書士に確認してください。
契約後のトラブルを避けるため、慎重に契約内容を確認することが重要です。
まとめ:契約内容の確認を徹底する
金消契約は、住宅ローンを正式に借りるための本契約で、法的拘束力があります。本審査承認後、融資実行日の1週間〜1ヶ月前に実施されます。
必要書類は、本人確認書類、実印、印鑑証明書、住民票、収入印紙などです。印鑑証明書は発行後3ヶ月以内、住民票は新住所変更後のものが求められることが多いため、早めに準備してください。
契約後は内容変更が原則不可で、転職や新規借入は融資取消のリスクがあります。電子契約対応なら印紙税が不要で来店不要のメリットがあります。
金消契約は重要な契約のため、契約内容をよく確認し、不明点は必ず金融機関や司法書士に確認しましょう。慎重に契約を進めることで、安心して住宅ローンを利用できます。
