リゾートマンションが格安で売られている理由
「10万円でリゾートマンションが買える」という広告を見て、魅力的に感じる方は少なくありません。しかし、なぜそこまで格安なのか、購入後にどのようなコストがかかるのか、不安に感じることもあるでしょう。
この記事では、リゾートマンションが格安で売られている背景、購入のメリット・デメリット、購入前の確認ポイント、ローンと税制優遇について、価格.comマガジン、MONEY PLUS、SUUMOジャーナルなどの信頼できる情報源をもとに解説します。
セカンドハウスや投資用として格安リゾートマンションを検討している方でも、メリット・デメリットを理解し、慎重な判断ができるようになります。
この記事のポイント
- リゾートマンションは1万円~100万円程度で購入可能だが、管理費・修繕積立金が月5万~10万円と高額で、年間60万~120万円の維持費がかかる
- バブル崩壊後の需要減少、高額な管理費、売却困難により、格安で売られている
- 前所有者の滞納管理費・修繕積立金(数百万円の場合も)は法的に新所有者が支払い義務を負う
- 売却が非常に困難で、買い手が見つからず処分に苦労する可能性が高い
バブル崩壊後の需要減少:3,000万円が数十万円に
価格.comマガジンによると、リゾートマンションはバブル期に3,000万円以上で販売された物件が、現在は数十万円で売られています。
バブル崩壊後、別荘需要が大幅に減少し、リゾートマンションの価格が暴落しました。現在でも1万円~100万円程度で購入可能な格安物件が市場に存在します。
高額な管理費・修繕積立金の負担:月5万~10万円
リゾートマンションが格安で売られている最大の理由は、高額な管理費・修繕積立金です。東急リゾートによると、リゾートマンションの管理費は1㎡あたり約800円(25㎡で月2万円)、通常マンションは1㎡あたり200円(25㎡で月5千円)です。
管理費・修繕積立金を合わせると、月5万~10万円、年間60万~120万円の維持費がかかる物件も珍しくありません。
管理状態の悪化と建て替えの困難さ
リゾートマンションは所有者の多くが遠方に住んでおり、管理組合の運営が難航しがちです。修繕積立金が不足している物件も多く、管理状態が悪化している場合があります。
建て替えには所有者の5分の4以上の同意が必要ですが、リゾートマンションは所有者が多く合意形成が困難で、建て替えが進まないという問題もあります。
売却困難により手放したい所有者が増加
MONEY PLUSによると、リゾートマンションは売却が非常に困難です。高額な維持費が広く知られるようになり、買い手が見つかりにくくなっています。
所有者は手放したくても買い手が見つからず、格安で売りに出す状況が続いています。
格安リゾートマンションのメリット
リゾートマンションにはデメリットも多いですが、一定のメリットもあります。ここでは購入のメリットを解説します。
低価格での別荘所有:1万円~100万円で購入可能
価格.comマガジンによると、リゾートマンションは1万円~100万円程度で購入可能です。熱海エリアでは250万円前後、那須・軽井沢・箱根等のリゾート地にも多数の物件があります。
初期費用を抑えて別荘を所有できる点は、大きなメリットです。
充実した共用施設:温泉・プール・テニスコート・スポーツジム等
リゾートマンションには、温泉・プール・テニスコート・スポーツジム等の共用施設が充実しています。これらの施設を自由に利用できる点は、戸建て別荘にはない魅力です。
ただし、これらの共用施設の維持費が高額な管理費の原因となっている点には注意が必要です。
戸建て別荘より管理の手間が少ない
長谷工の住まいによると、リゾートマンションは戸建て別荘よりも管理の手間が少ない点がメリットです。
戸建て別荘は庭の手入れ、外壁の補修、防犯対策などを自分で行う必要がありますが、リゾートマンションはこれらを管理組合が代行してくれます。
テレワーク普及でワーケーション需要が増加
イエウールによると、テレワークの普及により、ワーケーションや第二のオフィスとしての需要が増加しています。
越後湯沢・金沢等の一部エリアでは、リモートワーク普及により需要が回復し、価格が若干上昇している物件もあります。
セカンドハウスとしての税制メリット
月1日以上利用すればセカンドハウスとして認定され、固定資産税の軽減措置を受けられます。詳細は後述します。
格安リゾートマンションのデメリットと注意点
リゾートマンション購入には多くのデメリットと注意点があります。購入前に必ず確認してください。
高額な維持費:管理費・修繕積立金が月5万~10万円(年間60万~120万円)
お金の窓口によると、管理費・修繕積立金を合わせて月10万円も珍しくありません。年間で60万~120万円の維持費がかかります。
物件価格が10万円でも、10年保有すれば維持費だけで600万~1,200万円かかる計算になります。格安で購入できても、長期的には高額な負担となる点に注意が必要です。
売却が非常に困難:買い手が見つからず処分に苦労
イエウールによると、リゾートマンションは別荘としての機能のみで需要が低く、売却が困難です。
SUUMO売却ガイドでは、静岡県伊東市のTさん(60代)がバブル時代のリゾート物件を売却する際、5回の値下げを経てようやく買主を見つけた実例が紹介されています。
売却困難を前提に、長期保有を覚悟する必要があります。
滞納管理費の引き継ぎリスク:前所有者の滞納分(数百万円の場合も)は新所有者が支払い義務
お金の窓口によると、前所有者の滞納管理費・修繕積立金は法的に新所有者が支払い義務を負います。
滞納額が数百万円に達する場合もあり、購入前に必ず滞納状況を確認する必要があります。不動産会社や管理組合に問い合わせて、滞納額を確認してください。
修繕積立金の不足:大規模修繕時に一時金の追加負担が発生
お金の窓口によると、修繕積立金が不足している物件が多く、大規模修繕時に一時金の追加負担が発生する可能性があります。
一時金が数十万円~数百万円に達する場合もあり、購入前に修繕積立金の残高と長期修繕計画を確認することが重要です。
定住禁止の物件もあり:事前に管理規約の確認が必須
物件によっては定住禁止の場合があります。SUUMOジャーナルによると、事前に管理規約を確認する必要があります。
定住可能な物件でも、日常生活の利便性が低く、車が必須となる場合が多い点にも注意が必要です。
日常生活の利便性が低く車が必須
リゾートマンションは観光地や別荘地に建てられているため、スーパー・病院・学校などの生活施設が遠い場合が多く、車が必須となります。
購入前の確認ポイント:管理費・修繕積立金・滞納リスク
リゾートマンション購入前に、以下のポイントを必ず確認してください。
管理費・修繕積立金の金額と推移:1㎡あたり約800円(25㎡で月2万円)が目安
東急リゾートによると、リゾートマンションの管理費は1㎡あたり約800円が目安です。25㎡の場合、月2万円程度です。
過去10年の推移を確認し、急激に値上げされていないかチェックしてください。値上げが続いている物件は、将来的にさらに高額になる可能性があります。
長期修繕計画の確認:25~30年程度の計画があるか
長期修繕計画は、マンションの大規模修繕の時期・内容・費用を定めた計画です。25~30年程度の計画があるか、計画通りに修繕が実施されているかを確認してください。
計画が古い場合や、計画通りに修繕が実施されていない場合は、将来的な修繕費用の負担が大きくなる可能性があります。
修繕積立金の不足状況:将来の一時金負担リスク
重要事項調査報告書で、修繕積立金の残高を確認してください。不足している場合、大規模修繕時に一時金の追加負担が発生する可能性があります。
前所有者の滞納管理費の確認:法的に新所有者が支払い義務
前所有者の滞納管理費・修繕積立金がある場合、法的に新所有者が支払い義務を負います。不動産会社や管理組合に滞納額を確認してください。
滞納額が数百万円に達する場合もあり、購入価格が格安でも、滞納額を含めると高額になる可能性があります。
管理組合の財政状況と運営状態
管理組合の財政状況(収入・支出・積立金残高)と、運営状態(総会の開催状況・理事会の活動状況)を確認してください。
運営が機能していない管理組合の場合、修繕計画が進まず、建物の劣化が進行する可能性があります。
物件の立地と周辺環境:熱海・那須・軽井沢・箱根等のエリア別特徴
SUUMOジャーナルによると、熱海エリアでは250万円前後の物件があります。那須・軽井沢・箱根等のエリアにも多数の物件があります。
エリアによって需要・価格・維持費が異なるため、複数のエリアを比較検討することをおすすめします。
リゾートマンションのローンと税制優遇
リゾートマンション購入時は、通常の住宅ローンが使えない場合が多く、税制も通常の住宅とは異なります。
住宅ローンは原則使えず:セカンドハウスローンやフラット35が必要
長谷工の住まいによると、リゾートマンション購入には住宅ローンは原則使えず、セカンドハウスローンやフラット35の利用が必要です。
セカンドハウスローンの金利:通常の住宅ローンより高い場合がある
セカンドハウスローンは、通常の住宅ローンより金利が高い場合があります。金融機関によって条件が異なるため、複数の金融機関で見積もりを取ることをおすすめします。
セカンドハウスとしての税制メリット:月1日以上利用で固定資産税の軽減措置
月1日以上利用すればセカンドハウスとして認定され、固定資産税の軽減措置を受けられます。ただし、利用実績を証明する必要がある場合があります。
売却時の税制:3,000万円の特別控除が使えず、譲渡所得税が高額になる可能性
イエウールによると、リゾートマンション売却時は、居住用財産の3,000万円の特別控除が使えず、譲渡所得税が高額になる可能性があります。
売却時の税金についても、事前に税理士への相談を推奨します。
まとめ:格安リゾートマンションは買いか?
リゾートマンションは1万円~100万円程度で購入可能ですが、管理費・修繕積立金が月5万~10万円と高額で、年間60万~120万円の維持費がかかります。
年間維持費60万~120万円を許容できるか
格安リゾートマンション購入の最大の判断基準は、年間維持費60万~120万円を許容できるかです。10年保有すれば600万~1,200万円、20年保有すれば1,200万~2,400万円の維持費がかかります。
初期費用が格安でも、長期的には高額な負担となる点を理解した上で、判断してください。
売却困難を前提に長期保有を覚悟できるか
売却が非常に困難なため、長期保有を覚悟する必要があります。「数年後に売却すればいい」という考えは非現実的です。
2024年のトレンド:一部エリアで需要回復、慎重な購入判断が必要
イエウールによると、2024年現在、テレワークの普及により一部エリアでは需要が回復しています。ただし、高額維持費のリスクが広く知られるようになり、慎重な購入判断が必要です。
専門家への相談:宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士
リゾートマンション購入時は、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、税理士などの専門家への相談を推奨します。
特に、管理費・修繕積立金の妥当性、滞納管理費のリスク、長期的な資金計画、税制については、専門家の意見を聞くことで、後悔しない判断ができます。(執筆時点:2025年)
