60坪の土地の固定資産税が気になる理由
土地を所有していると毎年かかる固定資産税。「60坪の土地だと固定資産税はいくらになるのか」「60坪を超えると税金が倍になると聞いたが本当か」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、60坪(約200㎡)の土地にかかる固定資産税の計算方法、軽減措置の仕組み、60坪を超えた場合の税額変化を、総務省の公式情報を元に解説します(2025年時点)。
この記事のポイント
- 60坪(約200㎡)は小規模住宅用地と一般住宅用地の境界線
- 小規模住宅用地(200㎡以下)は課税標準額が評価額の1/6に軽減
- 60坪を超えても土地全体の税金が倍になるわけではない
- 新築住宅は3年間(耐火・準耐火は5年間)、建物の固定資産税が1/2に軽減
固定資産税の基本的な仕組み
(1) 固定資産税の計算方法(税率1.4%)
固定資産税は以下の計算式で算出されます。
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)
標準税率は1.4%ですが、自治体によって異なる場合があります。
(2) 課税標準額と評価額の違い
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 評価額 | 固定資産の価格を評価したもの(3年ごとに見直し) |
| 課税標準額 | 税金計算の基礎となる額(軽減措置適用後) |
住宅用地の場合、評価額に軽減措置が適用され、課税標準額が減額されます。
(3) 都市計画税との違い
都市計画税は市街化区域内の土地・建物に課される税金で、標準税率は0.3%です。固定資産税と合わせて課税されます。
60坪の土地にかかる固定資産税の計算例
(1) 住宅用地として利用する場合
60坪(約198㎡)の土地に住宅を建てた場合、小規模住宅用地の特例が適用されます。
計算例(評価額2,000万円の場合):
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 評価額 | 2,000万円 |
| 課税標準額 | 2,000万円 × 1/6 = 約333万円 |
| 固定資産税 | 333万円 × 1.4% = 約4.7万円/年 |
軽減措置がなければ28万円/年となるため、約23万円の節税効果があります。
(2) 更地・駐車場として利用する場合
住宅を建てていない更地や駐車場は、住宅用地の軽減措置が適用されません。
計算例(評価額2,000万円の場合):
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 評価額 | 2,000万円 |
| 課税標準額 | 2,000万円(軽減なし) |
| 固定資産税 | 2,000万円 × 1.4% = 28万円/年 |
住宅を建てることで固定資産税を大幅に抑えられます。
小規模住宅用地と一般住宅用地の軽減措置
(1) 小規模住宅用地(200㎡以下)の軽減(1/6)
住宅1戸につき200㎡(約60.5坪)までの部分は「小規模住宅用地」として、課税標準額が評価額の1/6に軽減されます。
- 対象: 住宅用地のうち200㎡以下の部分
- 軽減率: 課税標準額 = 評価額 × 1/6
- 都市計画税: 課税標準額 = 評価額 × 1/3
(2) 一般住宅用地(200㎡超)の軽減(1/3)
200㎡を超える部分は「一般住宅用地」として、課税標準額が評価額の1/3に軽減されます。
- 対象: 住宅用地のうち200㎡超の部分
- 軽減率: 課税標準額 = 評価額 × 1/3
- 都市計画税: 課税標準額 = 評価額 × 2/3
(3) 新築住宅の軽減措置(3年間1/2)
新築住宅の場合、建物の固定資産税が3年間(耐火・準耐火構造は5年間)、1/2に軽減されます。
- 適用期間: 新築から3年間(耐火・準耐火は5年間)
- 長期優良住宅: 5年間(マンションは7年間)に延長
- 期限: 2026年3月31日まで延長されている(2025年時点)
4年目以降は軽減措置がなくなるため、税負担が増加することに注意してください。
60坪を超えた場合の税額の変化
(1) 60.5坪超で軽減率が変わる仕組み
「60坪を超えると固定資産税が倍になる」という話がありますが、これは正確ではありません。
200㎡(約60.5坪)を超える部分のみ、軽減率が1/6から1/3に変わります。土地全体が倍になるわけではありません。
(2) 61坪と60坪の税額差シミュレーション
例: 評価額3,000万円の土地(1㎡あたり約15万円)
| 土地面積 | 小規模部分(1/6) | 一般部分(1/3) | 固定資産税 |
|---|---|---|---|
| 60坪(198㎡) | 198㎡ × 15万 × 1/6 = 495万円 | なし | 495万 × 1.4% = 約6.9万円 |
| 61坪(201㎡) | 200㎡ × 15万 × 1/6 = 500万円 | 1㎡ × 15万 × 1/3 = 5万円 | (500万+5万) × 1.4% = 約7.1万円 |
差額は約2,000円/年程度です。61坪になっても税金が大幅に増えるわけではありません。
まとめ:60坪の土地を持つ際の税負担を把握する
60坪(約200㎡)は固定資産税の軽減措置において重要な境界線です。小規模住宅用地(200㎡以下)なら課税標準額が1/6に軽減され、大きな節税効果があります。
60坪を超えても土地全体の税金が倍になるわけではなく、超えた部分のみ軽減率が1/3に変わります。新築住宅の場合は3年間(耐火は5年間)建物の固定資産税が1/2になる軽減措置も活用できます。
固定資産税の詳細は自治体により異なるため、正確な税額は市区町村役場または税理士にご確認ください。


