中古戸建てとは?購入のメリットを理解しよう
住宅購入を検討する際、「新築と中古、どちらがいいのか」「中古戸建てのメリット・デメリットは何か」と悩む方は多いでしょう。特に、予算を抑えながら広い住空間を手に入れたいと考える方にとって、中古戸建ては魅力的な選択肢です。
この記事では、中古戸建て購入のメリット・デメリット、選び方のポイント、購入時の注意点、諸費用を、国土交通省等の公式情報を元に解説します。
この記事を読めば、中古戸建てが自分に合っているか、どのような物件を選ぶべきかを判断できるようになります。
この記事のポイント
- 中古戸建ては新築より価格が安く、物件選択肢が多い、立地の良い物件が見つかりやすい
- デメリットは築年数による劣化、修繕費用がかかる可能性、住宅ローン減税の条件が厳しいこと
- 選び方のポイントは築年数(20-30年が目安)、立地・周辺環境、耐震性能の確認
- 購入時の注意点はホームインスペクション(住宅診断)の実施、修繕履歴の確認、契約不適合責任の有無
- 諸費用は物件価格の5-10%が目安で、仲介手数料・登記費用・火災保険等が含まれる
中古戸建て購入のメリット
価格が安い(新築より2-4割安い)
中古戸建ての最大のメリットは、新築より価格が安いことです。不動産市場の調査によると、一般的に新築より2-4割安く購入できます。
例:
- 新築戸建て:5,000万円
- 中古戸建て(築15年):3,000-4,000万円
同じ予算で、新築より広い住空間や立地の良い物件を選べる可能性があります。
物件選択肢が多い
中古戸建ては、新築と比べて物件数が多く、選択肢が豊富です。エリア・間取り・価格帯等、自分の希望に合った物件を見つけやすいでしょう。
特に、人気エリアでは新築物件が少ないため、中古戸建てが現実的な選択肢になります。
立地の良い物件が見つかりやすい
中古戸建ては、駅近・商業施設近く等、立地の良い物件が見つかりやすいです。新築は郊外に建てられることが多いため、立地を重視する方には中古戸建てがおすすめです。
国土交通省の調査によると、住宅購入者の約8割が立地を重視しています。
実物を見て購入できる
新築の建売住宅や注文住宅では、完成前に契約することが多く、実物を見ずに購入するリスクがあります。中古戸建ては、実物を見て購入できるため、日当たり・風通し・周辺環境を事前に確認できます。
リフォーム・リノベーションで自分好みにできる
中古戸建ては、リフォーム・リノベーションで自分好みにカスタマイズできます。間取り変更・設備更新等、自由度が高いです。
リフォーム費用を含めても、新築より安く抑えられる場合があります。
中古戸建て購入のデメリット・リスク
築年数による劣化(修繕費用がかかる可能性)
中古戸建ては、築年数が経過しているため、劣化が進んでいる可能性があります。外壁・屋根・設備等の修繕費用が必要になる場合があります。
リフォーム業界の一般的な相場として、築20年以上の物件では以下の修繕が必要になることが多いです。
| 修繕箇所 | 目安費用 | 
|---|---|
| 外壁塗装 | 80-150万円 | 
| 屋根修繕 | 50-100万円 | 
| 給湯器交換 | 20-40万円 | 
| キッチン・浴室リフォーム | 100-300万円 | 
耐震性能が低い可能性(1981年以前は旧耐震基準)
1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物は、旧耐震基準で建てられています。旧耐震基準(震度5強程度の地震を想定)は、新耐震基準(1981年6月1日以降、震度6強-7程度の地震で倒壊しない水準)より耐震性能が低いため、大地震時の倒壊リスクが高まります。
旧耐震基準の物件を購入する場合は、耐震診断・耐震補強工事を検討してください。
住宅ローン減税の条件が厳しい
2022年の税制改正以降、2025年10月時点では、中古戸建ては住宅ローン減税の条件が新築より厳しいです。以下の条件を満たす必要があります。
| 建物種別 | 築年数要件 | 
|---|---|
| 耐火建築物(マンション等) | 築25年以内 | 
| 非耐火建築物(木造戸建て等) | 築20年以内 | 
| 新耐震基準適合住宅 | 築年数不問(耐震基準適合証明書が必要) | 
築年数が古い物件では、住宅ローン減税を受けられない場合があります。
瑕疵担保責任(契約不適合責任)の期間が短い
新築住宅には10年間の瑕疵担保責任(契約不適合責任)がありますが、中古戸建ては売主により異なります。
| 売主 | 責任期間 | 
|---|---|
| 不動産会社(宅建業者) | 2年以上 | 
| 個人 | 原則3ヶ月(契約により異なる) | 
個人間売買では、瑕疵担保責任が免責される場合もあるため、注意が必要です。
中古戸建ての選び方のポイント
築年数(20-30年が目安)
中古戸建ての築年数は、20-30年が目安です。この範囲であれば、価格が安く、修繕費用も比較的少なく抑えられます。
築15年以内の物件は、新築に近い状態ですが、価格が高めです。築30年以上の物件は、価格が安いですが、修繕費用が高額になる可能性があります。
立地・周辺環境(駅距離、学校、商業施設)
立地・周辺環境は、住みやすさに直結します。以下のポイントを確認しましょう。
- 駅距離: 都市部では徒歩10分以内が理想ですが、郊外ではバス便や車の利用も視野に入れて検討しましょう
- 学校: 子どもがいる場合、小学校・中学校の距離を確認
- 商業施設: スーパー・コンビニ・病院等の利便性
- 治安: 警察署・交番の有無、犯罪発生率
耐震性能の確認(1981年以降は新耐震基準)
耐震性能は、安全性に直結します。1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物は、新耐震基準で建てられており、旧耐震基準より耐震性能が高いです。
旧耐震基準の物件を購入する場合は、耐震診断・耐震補強工事を検討してください。費用は100-300万円程度です。
修繕履歴の確認
売主に修繕履歴を確認しましょう。外壁塗装・屋根修繕・設備交換等の履歴があれば、今後の修繕費用を抑えられる可能性があります。
修繕履歴がない場合は、ホームインスペクション(住宅診断)を実施し、現状を把握することをおすすめします。
ホームインスペクション(住宅診断)の実施
ホームインスペクション(住宅診断)は、専門家が建物の劣化状況・欠陥の有無を調査するサービスです。費用は5-10万円程度で、購入前に実施することをおすすめします。
ホームインスペクションにより、以下を確認できます。
- 基礎・外壁・屋根の劣化状況
- 雨漏り・シロアリの有無
- 設備(給湯器・エアコン等)の動作確認
中古戸建て購入時の注意点
契約不適合責任の有無
契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)とは、売買契約の内容に適合しない場合(雨漏り・シロアリ被害等)、売主が責任を負う制度です。
個人間売買では、契約不適合責任が免責される場合があるため、契約前に確認してください。不動産会社(宅建業者)が売主の場合は、2年以上の責任期間が法律で義務付けられています。
既存住宅売買瑕疵保険の加入
既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅購入後に瑕疵(雨漏り・構造的欠陥等)が見つかった場合、修繕費用を補償する保険です。
保険加入には、ホームインスペクションの実施が必要です。保険料は5-10万円程度で、購入前に加入を検討しましょう。
住宅ローン審査(築年数により融資額が減額される場合)
築年数が古い物件では、住宅ローン審査が厳しくなる場合があります。金融機関により異なりますが、築20年以上の木造戸建ては融資額が減額される可能性があります。
事前審査で融資可能額を確認し、自己資金を準備しておくことをおすすめします。
中古戸建て購入の諸費用
中古戸建て購入時の諸費用は、物件価格の5-10%が目安です。主な諸費用は以下の通りです。
| 項目 | 内容 | 目安額 | 
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 物件価格の3%+6万円+消費税 | 100-150万円 | 
| 登記費用 | 登録免許税・司法書士報酬 | 30-50万円 | 
| 火災保険 | 10年一括払い | 20-30万円 | 
| 不動産取得税 | 固定資産税評価額の3% | 30-50万円 | 
| 印紙税 | 売買契約書・住宅ローン契約書 | 2-6万円 | 
| ホームインスペクション | 建物診断 | 5-10万円 | 
例:
- 物件価格3,000万円の場合
- 諸費用合計 = 187-296万円程度
諸費用は基本的に住宅ローンに含められないため、自己資金で用意する必要があります。
まとめ:専門家に相談して安心して購入しよう
中古戸建ては、新築より価格が安く、物件選択肢が多い、立地の良い物件が見つかりやすいというメリットがあります。一方、築年数による劣化、修繕費用がかかる可能性、住宅ローン減税の条件が厳しいというデメリットもあります。
選び方のポイントは、築年数(20-30年が目安)、立地・周辺環境、耐震性能の確認です。購入時の注意点は、ホームインスペクション(住宅診断)の実施、修繕履歴の確認、契約不適合責任の有無です。
諸費用は物件価格の5-10%が目安で、仲介手数料・登記費用・火災保険等が含まれます。信頼できる不動産会社や住宅診断士に相談しながら、安心して購入しましょう。
