登記費用の相場はいくら?登録免許税と司法書士報酬の目安を解説

公開日: 2025/10/27

登記費用の相場とは?

不動産の売買・相続・贈与で登記が必要になる際、「登記費用がいくらかかるのか」は多くの方が気になるポイントです。

この記事では、登記費用を「登録免許税(実費)」と「司法書士報酬」の2つに分けて解説します。法務局国税庁の公式情報を元に、初めての方でも登記費用の相場を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 登記費用は「登録免許税(実費)」と「司法書士報酬」の2つから成る
  • 登録免許税は登記の種類によって異なり、所有権移転(売買2.0%・相続0.4%等)、抵当権設定(債権額の0.4%)等の税率がある
  • 司法書士報酬は登記の種類や不動産の数によって変動し、所有権移転5-10万円、抵当権設定3-5万円が相場
  • 自分で申請する場合は司法書士報酬が不要だが、複雑なケースでは書類不備のリスクあり

登録免許税の相場と計算方法

登録免許税は、登記を行う際に国に納める税金です。

所有権移転登記の税率(売買・相続・贈与)

法務局によると、所有権移転登記の税率は以下のとおりです。

登記の種類 課税標準 税率 備考
売買 固定資産評価額 2.0% 住宅用家屋の特例で1.5%に軽減(期限付き)
相続 固定資産評価額 0.4% 法定相続人への移転
贈与 固定資産評価額 2.0% 親族間の無償譲渡等

(出典: 法務局

計算例(売買)

  • 固定資産評価額:2000万円
  • 税率:2.0%
  • 登録免許税:2000万円 × 2.0% = 40万円

抵当権設定登記の税率

住宅ローンを組む際に必要な抵当権設定登記の税率は、債権額(借入額)の0.4%です。

計算例

  • 借入額:3000万円
  • 税率:0.4%
  • 登録免許税:3000万円 × 0.4% = 12万円

軽減措置(住宅用家屋の特例)

住宅用家屋の特例を適用すると、所有権移転登記(売買)の税率が2.0%→1.5%に軽減されます。

適用要件

  • 床面積50㎡以上
  • 取得後1年以内の登記
  • 自己居住用
  • 築年数要件(耐火建築物25年以内、木造20年以内、または耐震基準適合)

軽減措置には期限があるため(2025年時点では2027年3月末までの期限となっています)、国税庁の公式サイトで最新情報を確認してください。

司法書士報酬の相場

司法書士報酬は、登記手続きを司法書士に依頼する場合の費用です。報酬規定が撤廃され自由化されているため、事務所によって異なります。

所有権移転登記の報酬(5-10万円)

日本司法書士会連合会の報酬アンケート結果(2022年度実施)によると、所有権移転登記の司法書士報酬は5-10万円が相場です。

報酬は以下の要因で変動します。

  • 不動産の数(1個・複数個)
  • 登記の複雑さ(共有名義、抵当権の有無等)
  • 地域(都市部は高め、地方は安め)

抵当権設定登記の報酬(3-5万円)

抵当権設定登記の司法書士報酬は3-5万円が相場です。

その他の登記(住所変更等)の報酬

登記の種類 報酬相場
住所変更登記 1-2万円
抵当権抹消登記 1-3万円
相続登記 5-15万円

相続登記は、相続人の数や不動産の数によって報酬が大きく変動します。

報酬の見積もりを複数社に依頼

報酬規定が撤廃されているため、複数の司法書士事務所に見積もりを依頼し、報酬体系を比較することをおすすめします。

自分で申請する場合との比較

登記は自分で申請することも可能です。

自分で申請するメリット・デメリット

メリット

  • 司法書士報酬(5-15万円)が不要
  • 費用を抑えられる

デメリット

  • 法務局で必要書類の確認・提出が必要(平日のみ)
  • 書類不備があると再提出が必要で時間がかかる
  • 複雑なケース(相続登記、抵当権設定等)では書類作成が困難

司法書士に依頼するメリット・デメリット

メリット

  • 確実・迅速に手続きが完了
  • 書類不備のリスクなし
  • 平日に法務局へ行く必要なし

デメリット

  • 司法書士報酬が発生

どちらを選ぶべきか

以下のケースでは、司法書士への依頼をおすすめします。

  • 相続登記(相続人が複数いる、遺産分割協議が必要等)
  • 抵当権設定登記(金融機関が司法書士を指定する場合が多い)
  • 売買の所有権移転登記(金額が大きく、ミスが許されない)

一方、住所変更登記や抵当権抹消登記等の簡単なケースは、自分で申請することも可能です。

登記費用を抑えるポイント

登記費用を抑えるには、以下の方法があります。

①軽減措置の適用要件を確認

住宅用家屋の特例を適用すれば、登録免許税が軽減されます。適用要件を確認し、期限内に登記を行いましょう。

②複数の司法書士事務所に見積もりを依頼

司法書士報酬は自由化されているため、複数社に見積もりを依頼して比較しましょう。報酬体系を明確に説明してくれる事務所を選ぶことをおすすめします。

③自分で申請できるケースを見極める

住所変更登記や抵当権抹消登記等の簡単なケースは、自分で申請することで司法書士報酬を節約できます。

ただし、複雑なケースは専門家に依頼することを推奨します。書類不備で時間がかかったり、登記が受理されなかったりするリスクがあります。

まとめ

登記費用は、登録免許税(実費)と司法書士報酬(依頼する場合)の合計です。

登録免許税は税率が法定されており、所有権移転登記(売買2.0%・相続0.4%等)、抵当権設定登記(債権額の0.4%)等の税率があります。司法書士報酬は自由化されているため、複数社に見積もりを依頼して比較しましょう。

軽減措置の適用要件も確認し、費用を抑える工夫をしてください。複雑なケースは、信頼できる司法書士に相談しながら、確実に手続きを進めることをおすすめします。

よくある質問

Q1登記費用は住宅ローンに含められますか?

A1基本的には含められません。登記費用は現金で用意する必要があります。ただし、一部金融機関では諸費用ローンとして別途借入可能です。この場合、金利が通常の住宅ローンより高いため注意が必要です。詳細は金融機関にご確認ください。

Q2登録免許税の軽減措置はどんな要件がありますか?

A2住宅用家屋の特例では、床面積50㎡以上、取得後1年以内の登記、自己居住用、築年数要件(耐火建築物25年以内、木造20年以内、または耐震基準適合)等の要件があります。適用されると税率が2.0%→1.5%等に軽減されます。

Q3自分で登記申請する場合の注意点は?

A3法務局で必要書類の確認・提出が必要です(平日のみ)。書類不備があると再提出が必要で時間がかかります。複雑なケース(相続登記、抵当権設定等)は司法書士への依頼を推奨します。簡単なケース(住所変更登記等)は自分で申請可能です。

Q4司法書士報酬は全国一律ですか?

A4報酬規定が撤廃され自由化されているため、事務所によって異なります。都市部は高め、地方は安めの傾向があります。複数の事務所に見積もりを依頼し、報酬体系を比較することをおすすめします。