不動産登記費用はいくら?登録免許税と司法書士報酬の相場

公開日: 2025/10/26

不動産登記費用の内訳とは

不動産売買や相続で登記が必要になった際、「登記費用はいくらかかるのか」「何にお金がかかるのか」と疑問に感じる方は少なくありません。

この記事では、登記費用の内訳(登録免許税、司法書士報酬、実費)、登録免許税の計算方法、軽減措置、司法書士報酬の相場を、法務省国税庁の公式情報を元に解説します。

初めて登記手続きを行う方でも、必要な費用を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 登記費用は①登録免許税(国税、法定)、②司法書士報酬(相場、自由化)、③その他実費の3つで構成される
  • 登録免許税は固定資産税評価額×税率で計算され、所有権移転登記は売買2%・相続0.4%、抵当権設定登記は借入額の0.4%
  • 住宅用家屋の軽減措置により、所有権移転0.3%、抵当権設定0.1%に軽減可能(令和9年3月31日まで)
  • 司法書士報酬の相場は所有権移転3-9万円、抵当権設定3-6万円程度(2025年時点)

登録免許税とは

登録免許税は、不動産の登記申請時に納付する国税です。国税庁によると、法定費用のため自分で登記しても必ず発生します。

登録免許税と司法書士報酬を混同しないよう注意が必要です。

項目 性質 発生条件
登録免許税 国税(法定) 必ず発生
司法書士報酬 専門家報酬(自由化) 専門家依頼時のみ

登録免許税の計算方法と税率

登録免許税は「固定資産税評価額×税率」で計算されます。

所有権移転登記の税率

原因 税率
売買 2.0%
相続 0.4%
贈与 2.0%

抵当権設定登記の税率

住宅ローンを組む場合、抵当権設定登記が必要です。税率は借入額の**0.4%**です。

固定資産税評価額の確認方法

登録免許税の計算基準となる固定資産税評価額は、市場価格の約7割が目安です。以下の方法で確認できます。

  • 固定資産税納税通知書: 市区町村から送付される通知書に記載
  • 固定資産税評価証明書: 市区町村の窓口で取得可能(手数料300円程度)

売買価格ではなく、固定資産税評価額が計算基準である点に注意してください。

住宅用家屋の軽減措置

一定要件を満たす住宅用家屋は、登録免許税の軽減税率を適用できます。

軽減後の税率

登記の種類 通常税率 軽減税率
所有権移転登記(売買) 2.0% 0.3%
抵当権設定登記 0.4% 0.1%
土地の所有権移転(売買) 2.0% 1.5%

(出典: 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表

軽減措置の要件

国税庁パンフレットによると、以下の要件を満たす必要があります。

  • 床面積: 50㎡以上
  • 築年数: 新築または築年数制限内(昭和57年以降築造等)
  • 自己居住用: 取得後1年以内に登記し、居住すること

適用期限

軽減措置は以下の期限まで延長されています。

  • 建物の所有権移転・抵当権設定: 令和9年3月31日まで
  • 土地の所有権移転(売買): 令和8年3月31日まで

この記事は2025年時点の情報です。最新の制度は国税庁公式サイトでご確認ください。

司法書士報酬の相場

司法書士報酬は2003年に自由化され、各事務所が独自に設定しています。

2025年時点の相場

登記の種類 報酬相場
所有権移転登記(売買) 3-9万円
所有権移転登記(相続) 5-10万円
抵当権設定登記 3-6万円
抵当権抹消登記 1-3万円

(出典: 2025年最新 司法書士の費用・料金相場

報酬は登記の複雑さ(共有名義、複数物件等)や事務所の規模により変動します。複数の司法書士事務所から見積もりを取ることを推奨します。

その他実費

司法書士報酬以外に、以下の実費が発生します。

  • 登記事項証明書取得費: 1通600円
  • 郵送費・交通費: 数千円程度

合計で1-2万円程度が目安です。

自分で登記する場合との比較

法律上、自分で登記することは可能です。

自分で登記するメリット

  • 司法書士報酬を削減: 3-10万円程度を節約できる

自分で登記するデメリット

  • 時間・労力: 書類作成、法務局での手続きに数日かかる
  • ミスリスク: 書類不備や記載ミスがあると修正に費用がかかる可能性
  • 専門知識: 抵当権設定、共有名義等の複雑なケースは専門知識が必要

きただ司法書士事務所の解説によると、相続登記等の簡単なケースは自己登記も検討できますが、抵当権設定等の複雑なケースでは専門家依頼が安全です。

費用vs時間・労力・リスクのバランスで判断してください。

登記費用のシミュレーション例

具体的な登記費用をシミュレーションします。

ケース:物件価格2,000万円、住宅ローン3,000万円

前提条件:

  • 固定資産税評価額: 2,000万円(建物1,000万円、土地1,000万円)
  • 軽減措置適用
  • 司法書士に依頼

登記費用の内訳:

項目 計算 金額
所有権移転登記(建物) 1,000万円 × 0.3% 3万円
所有権移転登記(土地) 1,000万円 × 1.5% 15万円
抵当権設定登記 3,000万円 × 0.1% 3万円
登録免許税 合計 - 21万円
司法書士報酬 所有権移転6万円 + 抵当権設定4万円 10万円
その他実費 証明書取得費・郵送費等 1.5万円
総額 - 32.5万円

軽減措置を適用しない場合、登録免許税は約84万円(建物20万円+土地20万円+抵当権12万円+土地32万円)となり、約4倍になります。

物件価格や借入額により費用は変動するため、事前に司法書士に見積もりを依頼してください。

まとめ

不動産登記費用は、登録免許税(法定)と司法書士報酬(相場)で構成され、物件価格や登記種類により変動します。

登録免許税は固定資産税評価額×税率で計算され、所有権移転登記は売買2%・相続0.4%、抵当権設定登記は借入額の0.4%です。住宅用家屋の軽減措置により、所有権移転0.3%、抵当権設定0.1%に軽減可能です(令和9年3月31日まで)。

司法書士報酬の相場は所有権移転3-9万円、抵当権設定3-6万円程度(2025年時点)です。複数の司法書士事務所から見積もりを取ることで費用を抑えられます。

複雑なケース(抵当権設定、共有名義等)では専門家依頼が安全ですが、簡単なケース(相続登記等)は自己登記も検討できます。費用vs時間・労力・リスクのバランスで判断してください。

信頼できる司法書士に相談しながら、無理のない費用計画を立てましょう。

よくある質問

Q1登記費用は住宅ローンに含められますか?

A1基本的には含められません。登記費用は現金で用意する必要があります。ただし、一部金融機関では「諸費用ローン」として別途借入が可能です。この場合、住宅ローンより金利が高い傾向があるため注意が必要です。物件価格2,000万円・住宅ローン3,000万円の場合、登記費用は30-40万円程度が目安です。

Q2登録免許税と固定資産税の違いは何ですか?

A2登録免許税は登記申請時に一度だけ納付する国税です。一方、固定資産税は不動産所有中に毎年納付する地方税です。計算基準は同じ固定資産税評価額ですが、目的と頻度が異なります。登録免許税は所有権移転時等に発生、固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税されます。

Q3司法書士に依頼せず自分で登記できますか?

A3法律上は可能です。ただし、書類作成や法務局での手続きに時間と労力がかかり、ミスすると修正に費用がかかる可能性があります。相続登記等の簡単なケースは自己登記も検討できますが、抵当権設定等の複雑なケースは専門家依頼が安全です。司法書士報酬は3-10万円程度ですが、時間・労力・リスクを考慮して判断してください。

Q4軽減措置の要件を満たさない場合の登録免許税はいくらですか?

A4所有権移転登記は固定資産税評価額の2%、抵当権設定登記は借入額の0.4%です。例えば、建物評価額1,000万円の場合、所有権移転で20万円、3,000万円借入なら抵当権設定で12万円となります。軽減適用時(所有権移転3万円、抵当権設定3万円)の約4倍になるため、軽減措置の要件を満たすことが重要です。床面積50㎡以上、新築または築年数制限内等の要件を確認してください。