不動産相続の手続き完全ガイド│必要書類・流れ・期限を徹底解説
親が亡くなり不動産相続が発生した際、「手続きの流れが分からない」「必要書類は何か」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、不動産相続の手続きの流れ、必要書類、期限、専門家への依頼を法務省・国税庁の公式情報を元に解説します(2025年10月時点の情報)。
2024年4月から相続登記が義務化され、申請期限は3年以内、違反すると過料10万円以下が課される可能性があるため、早期手続きが重要です。
この記事のポイント
- 2024年4月から相続登記が義務化(申請期限3年以内、過料10万円以下)
- 手続きの流れは時系列で①相続発生→②遺産分割協議→③相続登記→④相続税申告(10ヶ月以内)
- 必要書類は戸籍謄本(被相続人の出生から死亡まで連続)・住民票・固定資産評価証明書・遺産分割協議書等
- 相続登記は自分でもできるが、複雑なケースは司法書士に依頼を推奨(費用5-15万円程度)
- 相続税の基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人数、超えた場合は申告が必要
2024年4月施行:相続登記義務化の重要性
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。これは不動産登記法の改正によるもので、相続により不動産を取得した場合、相続開始から3年以内に相続登記を申請する義務が課されます。
義務化の内容
- 申請期限: 相続開始から3年以内
- 罰則: 正当な理由なく申請しない場合、過料10万円以下
- 過去の相続も対象: 2024年4月以前に相続した不動産も、2027年3月31日までに登記が必要
早期手続きの重要性を強調し、期限超過によるペナルティを回避しましょう。
不動産相続手続きの全体の流れ(時系列)
不動産相続の手続きは、以下の時系列で進みます。
1. 相続発生(死亡届の提出)
相続発生後7日以内に、市区町村役場に死亡届を提出します。
2. 遺産分割協議(相続人全員で合意)
相続人全員で「誰がどの財産を相続するか」を話し合います。全員の合意が必要で、協議書に全員が実印で押印します。
遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停・審判が必要です(詳細は後述)。
3. 相続登記(3年以内)
不動産の名義を亡くなった人から相続する人の名義に変更する手続きです。法務局に申請します。
期限: 相続開始から3年以内
4. 相続税申告(10ヶ月以内)
遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合、相続税の申告が必要です。
期限: 相続開始から10ヶ月以内
必要書類チェックリスト(取得先・取得方法)
不動産相続の手続きに必要な書類を、取得先・取得方法も含めて具体的にリスト化します。
相続登記に必要な書類
- 戸籍謄本・除籍謄本: 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要(本籍地の市区町村役場で取得)。婚姻・転籍等で本籍地が変わっている場合、複数の市区町村役場から取得する必要があります。ケースによっては取得先が多数になる場合があります
- 住民票: 被相続人の除票、相続人の住民票(市区町村役場で取得)
- 固定資産評価証明書: 不動産の評価額を証明する書類(市区町村役場で取得)
- 遺産分割協議書: 相続人全員が実印で押印(自分で作成、または司法書士に依頼)
- 印鑑証明書: 相続人全員の印鑑証明書(市区町村役場で取得)
- 登記申請書: 法務局に提出する申請書(法務局で取得、またはオンライン作成)
相続税申告に必要な書類
- 相続税申告書: 国税庁のサイトからダウンロード可能
- 財産目録: 不動産・預貯金・株式等の一覧(自分で作成、または税理士に依頼)
- 評価証明書: 不動産の評価額を証明する書類
相続登記の手続き(法務局への申請方法)
自分でできる場合
相続人が1人、または遺産分割協議がすでにまとまっている場合は、自分で相続登記を行うこともできます。
手順:
- 必要書類を準備
- 登記申請書を作成(法務局のサイトにひな形あり)
- 法務局に申請
専門家に依頼すべき場合
以下のケースでは、司法書士に依頼することを推奨します。
- 遺産分割協議がまとまらない
- 相続人が多数いる
- 海外在住者がいる
- 不動産が複数ある
司法書士報酬は一般的な目安として5-15万円程度が相場です(地域・物件により異なる)。
相続税の申告(基礎控除額と申告が必要なケース)
基礎控除額の計算
相続税の基礎控除額は、以下の式で計算します。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数
計算例:
- 法定相続人が2人の場合: 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
- 法定相続人が3人の場合: 3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円
法定相続人の数は、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹等により決まります。養子縁組や相続放棄の扱い等、詳細は税理士に確認してください。
遺産総額がこれを超えると申告が必要です。
申告が必要なケース
遺産総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要です。
申告期限: 相続開始から10ヶ月以内
期限を過ぎると、加算税・延滞税が課される可能性があるため、早めに税理士に相談してください。
専門家への依頼(司法書士・税理士・弁護士)
司法書士(相続登記)
役割: 相続登記の手続きを代行
費用目安: 一般的な目安として5-15万円程度
税理士(相続税申告)
役割: 相続税の申告書作成・提出を代行
費用目安: 一般的な目安として遺産総額の0.5-1.0%程度
弁護士(遺産分割協議)
役割: 遺産分割協議がまとまらない場合、調停・審判を代理
費用目安: 一般的な目安として着手金20-50万円程度
遺産分割協議がまとまらない場合の対応
遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停・審判が必要です。
調停
家庭裁判所の調停委員が間に入り、話し合いを仲介します。調停が成立すれば、調停調書が作成されます。
審判
調停が不成立の場合、家庭裁判所が審判で遺産分割を決定します。
この段階では、弁護士に依頼することを強く推奨します。
まとめ:早めの手続きが重要
2024年4月から相続登記が義務化され、申請期限は3年以内、違反すると過料10万円以下が課される可能性があります。
手続きの流れは時系列で①相続発生→②遺産分割協議→③相続登記→④相続税申告(10ヶ月以内)です。必要書類は戸籍謄本(被相続人の出生から死亡まで連続)・住民票・固定資産評価証明書・遺産分割協議書等を準備してください。
相続登記は自分でもできますが、複雑なケースは司法書士に依頼を推奨します(費用5-15万円程度)。相続税の基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人数で、超えた場合は申告が必要です。
早めに必要書類を準備し、専門家(司法書士・税理士・弁護士)に相談しながら手続きを進めましょう。
