失敗しない不動産会社の選び方|信頼できる業者を見極める10のポイント

公開日: 2025/10/27

信頼できる不動産会社を選びたい方へ

不動産の売買を検討する際、「どの不動産会社に依頼すべきか」「悪徳業者を避けたい」「大手と地元業者の違いは何か」と迷われる方は少なくありません。

この記事では、信頼できる不動産会社を見極める10の具体的チェックポイント、大手と地元業者の違い、避けるべき業者の特徴を解説します。

国土交通省の宅建業者検索システムやネガティブ情報等検索サイト等の公的機関の情報を活用し、客観的な判断基準を提供します。

この記事のポイント

  • 宅建業免許番号・行政処分歴を国交省の公式サイトで確認し、信頼性を判断
  • 免許番号の()内の数字は更新回数(5年ごと)で、営業年数の目安になる
  • 大手は全国ネットワーク・広告力、地元は地域密着の情報力・柔軟な対応が強み
  • おとり広告・強引な勧誘・説明不足・高額な仲介手数料請求は避けるべき業者の特徴

信頼できる不動産会社の10のチェックポイント

信頼できる不動産会社を見極めるには、以下の10のチェックポイントを確認しましょう。

  1. 宅建業免許番号の確認: 国交省「宅建業者等検索サイト」で免許の有無を確認
  2. 免許番号の更新回数: ()内の数字が大きいほど長く営業(5年ごと更新)
  3. 行政処分歴: 国交省「ネガティブ情報等検索サイト」で過去5年分の処分情報を確認
  4. 宅地建物取引士の在籍: 事務所に専任の宅建士が必要、免許証の掲示義務
  5. 媒介契約書の交付: 専属専任・専任・一般の違いを説明してくれる
  6. 査定根拠の説明: 周辺取引事例、公示地価等の具体的データを提示
  7. レスポンスの速度: 質問への回答が24時間以内
  8. 重要事項説明の丁寧さ: リスク・デメリットも説明
  9. 報酬額の明示: 法定上限(売買価格×3%+6万円+消費税)を超えていないか
  10. 実績・口コミの確認: Googleマップ、不動産ポータルサイトのレビュー

これらのポイントを一つずつ確認することで、信頼できる不動産会社を見極めることができます。

宅建業免許番号と行政処分歴の確認方法

宅建業免許番号と行政処分歴は、不動産会社の信頼性を判断する最も重要な公的情報です。

宅建業免許番号の見方

宅建業免許番号は「国土交通大臣(5)第12345号」または「東京都知事(3)第67890号」等の形式で表示されます。

免許の種類:

  • 国土交通大臣免許: 2以上の都道府県に事務所を構える業者
  • 都道府県知事免許: 1都道府県内のみに事務所を構える業者

()内の数字の意味:

  • 更新回数を示す(5年ごとに更新)
  • 例:(5)なら25年営業、(1)なら5年未満

国土交通省の宅建業者等検索サイトで、免許の有無・代表者名・事務所所在地を確認できます。

行政処分歴の検索手順

国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで、過去5年分の処分情報(業務停止・免許取消・指示処分等)を検索できます。

検索方法:

  1. 業者名または免許番号を入力
  2. 過去5年分の処分情報が表示される
  3. 処分内容(業務停止期間、違反内容等)を確認

注意点:

  • 処分歴があること自体が即座に「悪徳業者」を意味するわけではない
  • 処分内容(重大な違反か、軽微な手続き違反か)と是正状況を確認すべき

媒介契約書・査定根拠・重要事項説明の確認ポイント

不動産会社と契約する際、媒介契約書・査定根拠・重要事項説明の内容を丁寧に確認することが重要です。

3種類の媒介契約の違い

媒介契約には以下の3種類があります。

項目 専属専任媒介 専任媒介 一般媒介
複数社への依頼 不可 不可
自己発見取引 不可
レインズ登録 5営業日以内 7営業日以内 任意
報告義務 1週間に1回以上 2週間に1回以上 なし

(出典: 不動産流通機構

どれを選ぶべきか:

  • 売却なら専任媒介: レインズ登録義務で広く情報共有、定期報告で進捗把握
  • 一般媒介: 複数社に依頼できるが、報告義務がなく放置されるリスク
  • 専属専任: 自己発見取引も不可なので柔軟性に欠ける

査定根拠の説明

信頼できる不動産会社は、査定根拠を具体的なデータで説明してくれます。

説明すべき内容:

  • 周辺取引事例(類似物件の成約価格)
  • 公示地価・路線価
  • 物件の築年数・立地・設備等の評価
  • 市場動向(需要と供給のバランス)

「この価格なら売れます」と断言するだけで、根拠を示さない業者は避けるべきです。

重要事項説明の丁寧さ

重要事項説明は、宅建業法で義務付けられた契約前の説明です。宅建士が重要事項説明書(35条書面)を用いて、物件の権利関係・法令制限・設備・契約条件を口頭で説明します。

信頼できる業者の特徴:

  • リスク・デメリットも正直に説明
  • 専門用語を分かりやすく説明
  • 質問に丁寧に回答
  • 説明を急がせず、十分な時間を取る

(出典: 三井のリハウス

大手不動産会社vs地元業者の比較

大手不動産会社と地元業者には、それぞれメリット・デメリットがあります。

大手不動産会社のメリット・デメリット

メリット:

  • 全国ネットワークで広い顧客層にアプローチ
  • 広告力(ポータルサイト、チラシ、テレビCM等)
  • システム化された対応(オンライン内見、電子契約等)
  • 知名度・ブランド力で安心感

デメリット:

  • 担当者の転勤で担当変更の可能性
  • マニュアル対応で柔軟性に欠ける場合
  • 仲介手数料が上限いっぱい(交渉の余地が少ない)

地元業者のメリット・デメリット

メリット:

  • 地域密着の情報力(未公開物件、地域の評判等)
  • 柔軟な対応(営業時間外の相談、細かな要望への対応)
  • 長期的な関係構築(売却後もサポート)
  • 仲介手数料の交渉余地あり

デメリット:

  • 対応エリアが限定的
  • 広告力が大手に劣る(売却時の露出が少ない)
  • 知名度が低い(初見で信頼しにくい)

選択基準

売却の場合:

  • 大手:広告力で早期売却を狙う
  • 地元:地域情報で適正価格を見極める

購入の場合:

  • 大手:幅広い物件情報にアクセス
  • 地元:未公開物件・掘り出し物を探す

高額物件(1億円以上)の場合:

  • 大手:富裕層ネットワークで買主を探す

地方物件の場合:

  • 地元:地域密着で詳細情報を提供

(出典: 住まい教科書

いずれの場合も、最終的に担当者の質が最重要です。

避けるべき不動産会社の特徴とトラブル事例

以下の特徴がある不動産会社は避けるべきです。

おとり広告(既に成約済み・架空の物件)

おとり広告とは、実際には取引できない物件(既に成約済み・架空・取引意思なし)を掲載して客を誘引する不当表示です。不当景品類及び不当表示防止法違反で行政処分・公正取引委員会の措置命令対象です。

見分け方:

  • 相場より大幅に安い物件
  • 問い合わせると「その物件は成約済み、別の物件を紹介します」と言われる

強引な勧誘(即決を迫る・他社批判)

特徴:

  • 「今日中に決めないと他の人に取られる」と即決を迫る
  • 「他社は信用できない」と一方的に批判
  • 複数回の訪問・電話で契約を迫る

説明不足(デメリットを隠す・専門用語のみ)

特徴:

  • 物件のデメリット(事故物件、再建築不可、周辺環境の問題等)を隠す
  • 専門用語だけで説明し、質問しても曖昧な回答
  • 重要事項説明を急ぎ、十分な時間を取らない

高額な仲介手数料請求(法定上限を超える)

仲介手数料の法定上限は、売買価格×3%+6万円+消費税(400万円超の場合)です。

例:

  • 3,000万円の物件なら上限105.6万円(税込)
  • これを超える請求は宅建業法違反

(出典: 国民生活センター国民生活センター(高齢者トラブル)

まとめ:信頼できる不動産会社の3つの見極めポイント

信頼できる不動産会社を選ぶには、以下の3つのポイントを確認しましょう。

  1. 公的情報で確認: 宅建業免許番号・行政処分歴を国交省のサイトで確認
  2. 担当者の対応で判断: レスポンス速度・説明の丁寧さ・リスク開示の有無
  3. 複数社を比較: 査定根拠・媒介契約内容・報酬額を複数社で比較

大手と地元業者はそれぞれメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。最終的に担当者の人柄と誠実さが最重要です。

おとり広告・強引な勧誘・説明不足・高額な仲介手数料請求は避けるべき業者の特徴です。不安な場合は国民生活センター(消費者ホットライン188)や各都道府県の宅建業協会に相談しましょう。

信頼できる不動産会社と長期的な関係を築くことで、売買後もサポートを受けられる安心感があります。

よくある質問

Q1宅建業免許番号の()内の数字が大きいほど良い業者ですか?

A1必ずしもそうではありません。()内の数字は更新回数(5年ごと)を示し、営業年数の目安にはなりますが、老舗でも質が低い業者も存在します。免許番号の更新回数と併せて、行政処分歴(国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで確認)・口コミ・担当者の対応も総合的に確認することが重要です。

Q2仲介手数料は値引き交渉できますか?

A2可能です。法定上限(売買価格×3%+6万円+消費税)はあくまで上限であり、下限規定はありません。特に地元業者は交渉の余地がある場合が多いです。ただし、値引き交渉により対応の質が下がる可能性もあるため、「他社ではこの金額」と具体的な根拠を示して交渉することをおすすめします。

Q3専属専任・専任・一般媒介のどれを選ぶべきですか?

A3売却なら専任媒介が一般的です。レインズ登録義務で全国の宅建業者に情報共有され、定期報告(2週間に1回)で進捗を把握できます。一般媒介は複数社に依頼できますが、報告義務がなく放置されるリスクがあります。専属専任は自己発見取引(友人・知人への直接売却)も不可なので柔軟性に欠けます。

Q4不動産会社のトラブルはどこに相談すべきですか?

A4国民生活センター(消費者ホットライン188)、各都道府県の宅建業協会、不動産適正取引推進機構に相談可能です。悪質な場合(おとり広告・強引な勧誘・法定上限を超える仲介手数料請求等)は、都道府県の宅建業指導担当部署に通報することで行政処分の対象になる可能性があります。