不動産査定サイトの選び方!仕組みとサービス比較

公開日: 2025/11/1

不動産査定サイトとは?仕組みを理解しよう

不動産の売却を検討する際、「オンライン査定サイトを使いたいが、仕組みや信頼性が分からない」と感じる方は少なくありません。

この記事では、不動産査定サイトの仕組み(AI査定、一括査定、匿名査定等のタイプ別)を整理し、それぞれのメリット・デメリットを比較します。選び方の判断軸(精度、個人情報の扱い、営業連絡の有無等)を明確に提示します。

国土交通省や各査定サイトの公式情報を元に、読者が自分のニーズに合ったサービスを選べる実用的ガイドです。

この記事のポイント

  • 不動産査定サイトは①AI査定、②一括査定、③匿名査定の3タイプに分類される
  • AI査定は即座に概算、営業なし、精度は参考程度
  • 一括査定は複数社に依頼、営業連絡あり、精度高い
  • 匿名査定は個人情報提供不要、概算のみ
  • 査定額はあくまで目安であり、実際の売却価格とは異なる

不動産査定サイトの基本的な仕組み

不動産査定サイトとは、ユーザーが物件情報を入力し、サイトが提携する複数の不動産会社に情報を橋渡しする役割を果たすサービスです。

ビジネスモデル

査定サイト自体は無料ですが、売却成立時に不動産会社から成功報酬を受け取る仕組みです。ユーザーは売却成立時に仲介手数料(物件価格×3%+6万円+消費税)を不動産会社に支払いますが、査定サイト自体への支払いはありません。

査定額はあくまで目安

査定額はあくまで売却予想額であり、実際の成約価格とは異なる場合があります。市場動向・買主との交渉次第で変動するため、査定額を鵜呑みにせず、複数社・複数サイトでの比較が重要です。

査定サイトのタイプ別比較(AI・一括・匿名)

不動産査定サイトは、以下の3タイプに分類されます。

AI査定:即座に概算、営業なし、精度は参考程度

AI査定とは、過去の取引データを機械学習で分析し、即座に概算価格を算出するサービスです。

メリット:

  • 即座に概算価格を表示(数秒〜数分)
  • 営業連絡なし(個人情報の入力が最小限)
  • 手軽に相場感を掴める

デメリット:

  • 精度は参考程度(建物の状態・日照等は考慮されない)
  • 売却には不向き(詳細査定が必要)

適している人:

  • まず相場を知りたい段階
  • 営業連絡を避けたい

一括査定:複数社に依頼、営業連絡あり、精度高い

一括査定とは、1回の入力で複数の不動産会社に査定依頼できるサービスです。

メリット:

  • 複数社の査定額を比較できる(相場把握)
  • 訪問査定で精度が高い(建物の状態・日照等を考慮)
  • 信頼できる不動産会社を見極められる

デメリット:

  • 営業連絡が増える(複数社から電話・メール)
  • 個人情報を複数社に提供

適している人:

  • 本格的に売却を検討している
  • 複数社を比較したい

匿名査定:個人情報不要、概算のみ

匿名査定とは、個人情報(氏名・電話番号)を提供せずに概算価格を知れるサービスです。

メリット:

  • 営業連絡なし(個人情報不要)
  • プライバシー保護

デメリット:

  • 概算のみ(詳細査定は別途必要)
  • 売却には不向き

適している人:

  • 個人情報を提供したくない
  • まず相場を知りたい段階

タイプ別比較表

タイプ 精度 営業連絡 所要時間 適している人
AI査定 低(参考程度) なし 数秒〜数分 相場を知りたい
一括査定 高(訪問査定) あり 1週間程度 売却を検討
匿名査定 低(概算のみ) なし 1-3日 個人情報保護重視

査定サイトを選ぶ判断基準

査定サイトを選ぶ際の具体的な判断基準を提示します。

提携不動産会社数とバランス(大手・地域密着)

提携社数が多いほど選択肢が広がりますが、質も重要です。不動産業界の一般的な目安として1,500社以上あれば十分とされています。

大手(全国ネットワーク、豊富な販売実績)と地域密着(地元の強み、きめ細かい対応)のバランスを確認しましょう。

対応エリア・物件種別

自分の物件が対応しているか確認が必要です。

  • 対応エリア: 都市部は全サービス対応、地方は対応エリアが限られる場合がある
  • 物件種別: マンション・戸建て・土地は全サービス対応、一棟物件・投資用物件は一部サービスのみ対応

個人情報の取り扱い方針とプライバシーポリシー

一括査定サイトは、入力した個人情報を複数の不動産会社に提供します。個人情報保護法に基づき、プライバシーポリシーを確認してください。

確認すべき項目:

  • 第三者提供の同意内容(どの不動産会社に提供されるか)
  • 個人情報の保管期間
  • オプトアウト(情報提供の停止)方法

営業電話の有無・連絡方法の指定

一括査定は複数社から営業連絡が来ます。営業電話を避けたい場合、以下の方法があります。

  • 机上査定を選択: 訪問査定より営業圧力が低い
  • メール連絡希望を明記: 備考欄に「電話連絡不可、メールのみ希望」と記載
  • 匿名査定サービスを利用: 個人情報を提供せずに概算価格を知れる

ただし、訪問査定(精度の高い査定)を受ける場合は、電話連絡が必要になるケースが多い点に注意してください。

査定サイト利用時の注意点とトラブル対策

査定サイト利用時によくあるトラブルと対策を整理します。

営業電話の増加リスク

一括査定は複数社から営業連絡が来ます。特に訪問査定を選択すると、電話連絡が増える傾向があります。

対策:

  • 机上査定を選択する
  • 備考欄に「メールのみ希望」と記載する
  • 依頼する会社数を3社程度に絞る

高すぎる査定額の提示に注意

媒介契約(不動産売却を依頼する契約)を取るために、相場より高い査定額を提示する会社があります。高額査定に惑わされず、査定根拠の説明を求めることが重要です。

公益財団法人不動産流通推進センターによると、宅地建物取引業法では査定根拠の説明義務が規定されています。

対策:

  • 複数社の査定額を比較し、平均値を把握する
  • 査定根拠(取引事例、市場動向等)の説明を求める
  • 高額査定を提示した会社には、根拠を詳しく質問する

査定額≠売却価格という認識

査定額はあくまで売却予想額です。実際の成約価格は市場動向・買主との交渉次第で変動します。査定額を鵜呑みにせず、複数社比較で相場感を掴むことが重要です。

不動産査定と不動産鑑定の違い

不動産の価格を知る方法には、無料査定(不動産会社)と有料鑑定(不動産鑑定士)の2種類があります。

項目 無料査定(不動産会社) 有料鑑定(不動産鑑定士)
費用 無料 20-40万円程度(目安)
実施者 不動産会社 不動産鑑定士
法的効力 なし あり
目的 売却の参考 相続税申告、裁判等

通常の売却では無料査定で十分ですが、以下のケースでは有料鑑定が必要です。

  • 相続税申告で土地評価が必要
  • 相続争いで公平な評価が必要
  • 離婚財産分与で財産評価が必要
  • 裁判で不動産の価値を争う場合

鑑定費用は物件の種類や規模により異なりますが、一般的な戸建て・マンションで20-40万円程度が目安です。詳細は国土交通省の不動産鑑定評価に関する法律をご確認ください。

まとめ:複数サイト・複数社で比較しよう

不動産査定サイトは、①AI査定(即座に概算、営業なし、精度は参考程度)、②一括査定(複数社に依頼、営業連絡あり、精度高い)、③匿名査定(個人情報不要、概算のみ)の3タイプに分類されます。

選ぶ際の判断基準は、提携社数、対応エリア、個人情報の扱い、営業電話の有無です。査定サイト利用時の注意点(営業電話増加、高すぎる査定額、査定額≠売却価格)を理解し、複数サイト・複数社での査定比較が重要です。

査定額の根拠説明を求め、信頼できる不動産会社を見極めることを強調します。

次のアクションは、複数の査定サイトで査定依頼を行い、査定結果を比較し、信頼できる不動産会社を選定することです。

よくある質問

Q1不動産査定サイトは本当に無料ですか?

A1査定自体は完全無料です。査定サイトは不動産会社から成功報酬を受け取るビジネスモデル(ユーザーが売却成立時に支払う仲介手数料の一部)です。ただし売却成立時には仲介手数料(物件価格×3%+6万円+消費税)が発生する点に注意してください。

Q2AI査定と一括査定、どちらを選ぶべきですか?

A2①まず相場を知りたい段階→AI査定(即座に概算、営業なし)、②本格的に売却を検討→一括査定(訪問査定で精度高い、複数社比較可能)を推奨します。両方を併用し、AI査定で相場感を掴んでから一括査定で詳細を確認する方法も有効です。

Q3査定サイトで営業電話を避ける方法は?

A3①匿名査定を選ぶ(個人情報不要、概算のみ)、②一括査定で机上査定・メール連絡希望を明記、③備考欄に「電話連絡不可、メールのみ希望」と記載する方法があります。ただし訪問査定(精度高い)を受ける場合は電話連絡が必要になるケースが多い点にご注意ください。

Q4査定額が会社によって大きく異なる理由は?

A4①査定基準の違い(取引事例の選定、市場動向の見方)、②営業戦略の違い(高額査定で媒介契約を取ろうとする会社もある)、③得意エリア・物件種別の違い(地域密着は地元の強み、大手は全国ネットワーク)が理由です。複数社比較で相場感を掴み、査定根拠の説明を求めることが重要です。

Q5不動産鑑定士の鑑定が必要なケースは?

A5①相続税申告で土地評価が必要、②相続争いで公平な評価が必要、③離婚財産分与で財産評価が必要、④裁判で不動産の価値を争う場合です。通常の売却では無料査定(不動産会社)で十分ですが、法的効力を持つ評価が必要な場合は有料鑑定(手数料20-40万円程度)を推奨します。