固定資産税が下がるタイミングはいつ?減額の仕組みを解説

公開日: 2025/11/6

固定資産税が下がるタイミングはいつ?

毎年春に届く固定資産税の納税通知書を見て、「いつになったら税金が下がるのか」と疑問に感じる方は多いでしょう。

この記事では、固定資産税が下がるタイミングとして①評価替え(3年ごと)、②新築減額の終了後、③経年劣化による評価減、④軽減措置の申請、という4つのパターンを、総務省の公式情報を元に解説します。

「自動的に下がる」場合と「申請が必要」な場合を理解することで、固定資産税の仕組みを正しく把握できます。

この記事のポイント

  • 固定資産税の評価替えは3年ごとに実施され、次回は2027年(令和9年度)
  • 建物の固定資産税は経年劣化で下がるが、残存価格(新築時の約20%)があるため一定期間後は下がらない
  • 新築住宅の減額措置は3年後(マンションは5年後)に終了し、税額が「本来の水準に戻る」
  • 土地の固定資産税は地価次第で上がることもあり、「3年ごとに必ず下がる」わけではない
  • 災害・耐震改修等の軽減措置は申請が必要で、自動適用されない

評価替えとは:3年ごとに評価額を見直す制度

固定資産税の評価替えとは、固定資産税の評価額を3年ごとに見直す制度です。総務省によると、基準年度(令和6年度・令和9年度等)に実施され、翌2年間は据置年度として原則として評価額を据え置きます。

基準年度と据置年度の違い

評価替えが行われる年度を「基準年度」と呼びます。令和6年度(2024年度)、令和9年度(2027年度)等が基準年度です。この年度に評価額が見直され、新しい評価額が固定資産税の計算に使われます。

基準年度の翌2年間は「据置年度」として、原則として評価額を据え置きます。ただし、地価下落がある場合は下落修正が行われることがあります。

次の評価替えは2027年(令和9年度)です。2025年(令和7年度)は据置年度のため、評価替えはありません。

評価替えで評価額が下がるとは限らない

評価替えは「評価額を見直す」制度であり、「必ず下がる」わけではありません。建物の固定資産税は経年劣化により下がる傾向がありますが、物価高・建築費高騰時は評価額が据え置かれるため、実際には下がらない場合があります。

土地の固定資産税は地価次第で上がることもあります。地価が上昇している地域では、評価替えで評価額が上がる可能性があります。

建物の固定資産税が下がる仕組み

建物の固定資産税は、経年劣化により評価額が下がる仕組みになっています。ただし、残存価格(新築時の約20%)があるため、一定期間経過後は下がらなくなります。

経年劣化による評価減

建物の固定資産税評価額は、経年減点補正率により築年数に応じて減額されます。木造・鉄骨造・RC造等の構造によって異なり、最終的に残存価格(20%)まで下がります。

エイブルによると、木造住宅の場合、築20年で評価額が約50%に下がり、築25年以降は残存価格(20%)で固定されます。RC造(鉄筋コンクリート造)の場合、築40年で残存価格に達します。

残存価格に達すると下がらない

残存価格(新築時の約20%)に達すると、それ以上は下がりません。このため、「古い家なのに税金が下がらない」という現象が発生します。

残存価格は、建物の最低評価額として設定されており、建物が存在する限り固定資産税がかかります。

新築住宅の減額措置:3年後・5年後に税額が「戻る」

新築住宅には、固定資産税を3年間(マンションは5年間)半額にする減額措置があります。ただし、この措置は「税金が下がる」のではなく、「軽減措置が終了して本来の税額に戻る」ことを意味します。

減額措置の適用期間

地方税法により、新築住宅(2026年3月31日までに建築)の固定資産税を以下の期間、半額にする措置があります。

  • 一般住宅:3年間
  • マンション(3階建以上の耐火・準耐火建築物):5年間
  • 認定長期優良住宅:5年間(マンションは7年間)

減額措置終了後は税額が「上がる」

減額措置が終了すると、税額が本来の水準に戻ります。これを「税金が上がった」と誤解する方が多いですが、正確には「軽減措置が終了して本来の税額に戻った」です。

例えば、新築時の固定資産税が年10万円(減額後5万円)だった場合、3年後には10万円に戻ります。この時、「税金が2倍になった」と感じますが、これは軽減措置の終了によるものです。

土地の固定資産税:地価次第で上がることもある

土地の固定資産税は、地価(公示価格の70%)を基準に評価額が決まります。地価が上昇している地域では、評価替えで評価額が上がる可能性があります。

住宅用地の特例(1/6・1/3軽減)

住宅用地には、固定資産税を大幅に軽減する特例があります。これは申請不要で、自動的に適用されます。

区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地(200㎡以下) 評価額の1/6 評価額の1/3
一般住宅用地(200㎡超部分) 評価額の1/3 評価額の2/3

(出典: 総務省

この特例により、住宅用地の固定資産税は大幅に軽減されています。ただし、この特例は「評価額を軽減する」ものであり、「税額を下げる」ものではありません。

地価が上昇すれば評価額も上昇

地価が上昇している地域では、評価替えで評価額が上がる可能性があります。都心部や駅近など、人気エリアでは地価が上昇しているため、固定資産税も上がる傾向があります。

逆に、地価が下落している地域では、評価額が下がり、固定資産税も下がる可能性があります。

軽減措置の申請:災害・耐震改修等

固定資産税には、災害・耐震改修・バリアフリー改修等による軽減措置があります。これらは自動適用されず、申請が必要です。

災害による減免措置

災害(地震・火災・風水害等)により住宅が被害を受けた場合、固定資産税の減免措置を受けられる可能性があります。災害減免法により、被害の程度に応じて減免されます。

減免を受けるには、市区町村の税務課に申請が必要です。被害の状況を写真で記録し、り災証明書を取得しておくことが重要です。

耐震改修・バリアフリー改修による減額

耐震改修工事(昭和57年1月1日以前に建築された住宅が対象)やバリアフリー改修工事を行った場合、固定資産税が減額される場合があります。

減額を受けるには、工事完了後3か月以内に市区町村の税務課に申請が必要です。工事内容・費用を証明する書類(契約書、領収書等)を準備しましょう。

申請を忘れると軽減されない

これらの軽減措置は、自動的に適用されません。申請を忘れると、軽減を受けられないため、工事後は速やかに市区町村の税務課に相談しましょう。

よくある誤解と正しい理解

固定資産税については、多くの誤解があります。正しい知識を持つことで、不要な不満を避けることができます。

誤解1:「3年ごとに必ず下がる」

誤りです。評価替えは3年ごとに実施されますが、評価額が必ず下がるわけではありません。建物は経年劣化で下がる傾向がありますが、物価高・建築費高騰時は据え置かれることがあります。土地は地価次第で上がることもあります。

誤解2:「新築減額終了後は税金が上がった」

誤りです。新築住宅の減額措置が終了しただけで、税額は本来の水準に戻っただけです。「税金が上がった」のではなく、「軽減措置が終了した」と理解すべきです。

誤解3:「古い家は税金がかからない」

誤りです。建物の評価額は残存価格(新築時の約20%)まで下がりますが、ゼロにはなりません。建物が存在する限り、固定資産税がかかります。

まとめ:固定資産税が下がるタイミングを理解しよう

固定資産税が下がるタイミングは、①評価替え(3年ごと、次回は2027年)、②建物の経年劣化(残存価格まで)、③軽減措置の申請(災害・耐震改修等)です。

新築住宅の減額措置は3年後(マンションは5年後)に終了し、税額が本来の水準に戻ります。土地の固定資産税は地価次第で上がることもあり、「必ず下がる」わけではありません。

軽減措置を受けるには申請が必要です。災害・耐震改修・バリアフリー改修を行った場合は、速やかに市区町村の税務課に相談しましょう。

疑問点があれば、市区町村の税務課に問い合わせることをおすすめします。固定資産税の仕組みを正しく理解し、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1固定資産税の評価替えはいつですか?

A13年ごとに実施されます。基準年度は令和6年度(2024年度)、令和9年度(2027年度)等です。次の評価替えは2027年(令和9年度)で、2025年(令和7年度)は据置年度のため評価替えはありません。評価替えで評価額が必ず下がるわけではなく、建物は経年劣化で下がる傾向がありますが、物価高時は据え置かれることがあります。

Q2新築住宅の減額措置はいつまで続きますか?

A2一般住宅は3年間、マンション(3階建以上の耐火・準耐火建築物)は5年間、認定長期優良住宅は5年間(マンションは7年間)です。2026年3月31日までに建築された住宅が対象です。減額措置終了後は税額が本来の水準に戻るため、「税金が上がった」と感じますが、これは軽減措置の終了によるものです。

Q3古い家の固定資産税はゼロになりますか?

A3なりません。建物の評価額は残存価格(新築時の約20%)まで下がりますが、ゼロにはなりません。木造住宅は築25年以降、RC造は築40年以降に残存価格で固定されます。建物が存在する限り、固定資産税がかかります。これは「古い家なのに税金が下がらない」という現象の理由です。

Q4土地の固定資産税は下がりますか?

A4地価次第で上がることもあります。土地の固定資産税は公示価格の70%を基準に評価額が決まり、地価が上昇している地域では評価替えで評価額が上がる可能性があります。住宅用地には1/6・1/3の軽減特例がありますが、これは「評価額を軽減する」ものであり、地価上昇時は固定資産税も上がる傾向があります。

Q5災害で家が被害を受けた場合、固定資産税は減免されますか?

A5減免される可能性があります。災害減免法により、被害の程度に応じて減免されます。ただし、自動適用されず、市区町村の税務課に申請が必要です。被害の状況を写真で記録し、り災証明書を取得しておくことが重要です。申請を忘れると減免を受けられないため、速やかに相談しましょう。