固定資産税は何年で下がる?戸建ての減税制度と推移

公開日: 2025/11/6

戸建ての固定資産税が下がるタイミングは2つある

戸建てを購入した際、「固定資産税は何年で下がるのか」と疑問に感じる方は少なくありません。

この記事では、戸建ての固定資産税が下がる2つのタイミング、新築減額措置の仕組み、3年ごとの評価替えによる評価額の推移を、総務省・国土交通省の公式情報を元に解説します。

新築時の固定資産税が高額で負担に感じている方が、いつ・どれだけ下がるのかを正確に理解できるようになります。

この記事のポイント

  • 固定資産税が下がるタイミングは①新築減額措置終了(4年目または6年目)、②3年ごとの評価替え
  • 新築減額措置は3年間(長期優良住宅は5年間)半額になる制度で、期間終了後は元に戻る(上がる)
  • 評価替えで建物評価額は経年減点補正率により徐々に下がるが、土地部分は経年劣化しない
  • 木造戸建ては築25年前後で評価額が最低値20%(新築時の約2割)に到達し、それ以降は下がらない
  • 建築費高騰・地価上昇時は固定資産税が下がりにくい場合がある

新築減額措置とは:一般住宅3年間、長期優良住宅5年間

新築住宅の固定資産税を一定期間半額にする制度が新築減額措置です。

減額措置の内容(固定資産税が半額)

2025年時点の制度では、国土交通省によると、新築住宅は一定期間、建物の固定資産税が半額になります。

減額内容:

  • 対象: 建物の固定資産税(土地は対象外)
  • 減額率: 1/2(半額)
  • 床面積要件: 50㎡以上280㎡以下

適用期間:一般住宅3年、長期優良住宅5年

減額措置の適用期間は住宅の種別により異なります。

住宅種別 減額期間 終了後
一般住宅(新築) 3年間 4年目に元に戻る
長期優良住宅 5年間 6年目に元に戻る

重要: 減額措置は「期間終了後に下がる」のではなく、「元の税額に戻る」ため実質的に上がります。

4年目(または6年目)に元に戻る=上がる

Live-Raryの解説によると、一般住宅の場合、4年目の固定資産税は約1.89〜1.94倍に上がります。

4年目の税額上昇例:

  • 新築時の固定資産税評価額: 1,200万円
  • 1-3年目の税額: 1,200万円 × 1.4% × 1/2 ≒ 8.4万円/年
  • 4年目の税額: 1,200万円 × 1.4% ≒ 16.8万円/年(約2倍)

この「4年目に上がる」現象を「下がる」と誤解しやすいため、注意が必要です。

評価替えとは:3年ごとに建物評価額が下がる仕組み

固定資産税評価額を3年に1度見直す制度が評価替えです。

経年減点補正率による評価額低下

総務省によると、建物は経年減点補正率により築年数が経つほど評価額が下がります。

経年減点補正率の仕組み:

  • 建物は使用により劣化する
  • 築年数が経つほど評価額が減少
  • 3年ごとの評価替え時に新しい評価額が適用される

木造戸建ての下がり方(築25年で最低値20%)

Rediaの解説によると、木造戸建ての経年減点補正率は以下のように推移します。

築年数 経年減点補正率 評価額(新築時を100%とする)
新築 100% 100%
築5年 約85% 約85%
築10年 約70% 約70%
築15年 約50% 約50%
築25年 約20% 約20%(下限到達)
築30年以降 約20% 約20%(据え置き)

木造戸建ては築25年前後で最低値20%(新築時の約2割)に到達し、それ以降は下がりません。

土地部分は経年劣化しない

重要な点として、土地は経年劣化しないため、築年数では評価額が下がりません。

土地の評価額変動要因:

  • 地価の上昇・下落
  • 周辺環境の変化
  • 用途地域の変更

地価上昇局面では、土地の固定資産税が逆に上がる場合があります。

築年数別の固定資産税推移:新築から築30年まで

具体的なシミュレーション例を見てみましょう。

新築〜築5年:評価額約85%

新築時:

  • 建物評価額: 1,200万円
  • 土地評価額: 800万円(200㎡、小規模住宅用地特例で1/6)
  • 固定資産税: (1,200万円×1/2 + 800万円×1/6) × 1.4% ≒ 10.3万円/年

築5年:

  • 建物評価額: 1,020万円(85%)
  • 土地評価額: 800万円
  • 固定資産税: (1,020万円 + 800万円×1/6) × 1.4% ≒ 16.1万円/年

築10年:評価額約70%

築10年:

  • 建物評価額: 840万円(70%)
  • 土地評価額: 800万円
  • 固定資産税: (840万円 + 800万円×1/6) × 1.4% ≒ 13.6万円/年

築25年〜:評価額約20%(下限到達)

築25年:

  • 建物評価額: 240万円(20%、下限)
  • 土地評価額: 800万円
  • 固定資産税: (240万円 + 800万円×1/6) × 1.4% ≒ 5.2万円/年

築30年以降: 建物評価額は20%で据え置かれ、それ以上下がりません。

ホームズの解説では、築20-25年で下限到達後は築30年・40年でもそれ以上下がらない現実が説明されています。

固定資産税が下がりにくいケース:建築費高騰・地価上昇

固定資産税が下がりにくい2つのケースがあります。

再建築費評点補正率の影響(物価上昇時)

建築費高騰時は、再建築費評点補正率により経年劣化を相殺して評価額が据え置かれる場合があります。

仕組み:

  • 再建築費評点補正率: 建築物価の変動を反映する補正率
  • 物価上昇時: 再建築費評点が上昇し、経年劣化分を相殺
  • 結果: 3年ごとの評価替えで期待したほど下がらない

近年の建築費高騰により、評価額が下がりにくいケースが増えています。

土地の評価額上昇(地価上昇局面)

土地部分は経年劣化しないため、地価上昇局面では逆に上がる可能性があります。

地価上昇の影響:

  • 都市部の再開発エリア
  • 交通インフラの整備(新駅開業等)
  • 周辺環境の改善

これらの要因により、建物評価額が下がっても土地評価額が上がり、固定資産税が据え置かれる場合があります。

まとめ:戸建ての固定資産税が下がる時期の見極め方

戸建ての固定資産税が下がるタイミングを整理します。

3つのポイント:

  1. 新築減額措置終了後(4年目または6年目)は上がる: 減額措置が終了して元の税額に戻るため、実質的に約2倍に上がります。
  2. 3年ごとの評価替えで建物評価額は徐々に下がる: 経年減点補正率により、木造戸建ては築25年前後で最低値20%に到達します。
  3. 築25年前後で下限到達後はそれ以上下がらない: 建物評価額は20%で据え置かれ、築30年・40年でもそれ以上下がりません。

次のアクション:

  • 市区町村の課税明細書で評価額を確認する
  • 小規模住宅用地の特例(評価額の1/6)が適用されているか確認する
  • 建築費高騰・地価上昇の影響を考慮する

固定資産税は自治体により税率が異なる場合があるため、詳細は市区町村の窓口に確認することをおすすめします。

よくある質問

Q14年目に固定資産税は下がりますか?

A1下がりません。一般住宅の新築減額措置(3年間半額)が終了して元の税額に戻るため、4年目は約1.89〜1.94倍に上がります。長期優良住宅の場合は6年目に同様の上昇があります。減額措置は「期間終了後に下がる」のではなく「元に戻る」ため、実質的に上がることを理解してください。

Q2固定資産税が下がる下限はありますか?

A2建物評価額の下限は新築時の約20%です。木造戸建ては築25年前後で下限到達し、それ以降は築30年・40年でもそれ以上下がりません。土地部分は経年劣化しないため下限はなく、地価の変動により上下します。経年減点補正率により、建物は使用により劣化する分だけ評価額が減少しますが、一定値で据え置かれます。

Q3土地の固定資産税も築年数で下がりますか?

A3土地は経年劣化しないため、築年数では下がりません。地価が下落すれば評価替えで下がる可能性はありますが、逆に地価上昇局面では上がることもあります。土地の評価額は周辺環境の変化、用途地域の変更、交通インフラの整備等により変動します。3年ごとの評価替えで地価が反映されます。

Q4長期優良住宅と一般住宅で減額期間は違いますか?

A4一般住宅は3年間、長期優良住宅は5年間の減額措置が適用されます。期間終了後は元の税額に戻るため、住宅種別の確認が重要です。長期優良住宅の認定を受けた住宅は、耐震性・省エネ性等の基準を満たすため、一般住宅より2年間長く減額措置が適用されます。

Q5建築費高騰時は固定資産税が下がりにくいと聞きましたが本当ですか?

A5本当です。再建築費評点補正率により、物価上昇が経年劣化を相殺して評価額が据え置かれる場合があります。近年の建築費高騰により、3年ごとの評価替えで期待したほど下がらないケースが増えています。建築物価の変動を反映する再建築費評点補正率が上昇すると、経年劣化分が相殺され、評価額が下がりにくくなります。