固定資産税の計算方法を完全解説!税額シミュレーションと軽減措置

公開日: 2025/10/27

固定資産税の計算方法とは?基本的な仕組みを理解しよう

不動産を所有すると毎年課される固定資産税。「どうやって計算されているのか」「いくらかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、固定資産税の計算方法を基本から解説し、土地と建物それぞれの軽減措置、税額シミュレーション、評価額の確認方法まで、総務省等の公式情報を元に分かりやすく説明します。

初めて不動産を所有する方でも、固定資産税の仕組みを正確に理解し、適切な税額を把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 固定資産税の計算式は「固定資産税評価額×税率1.4%」が基本
  • 住宅用地の特例により、200㎡以下は評価額の1/6、200㎡超は1/3に軽減
  • 新築住宅は3年間(マンションは5年間)税額が1/2に減額される
  • 評価額は公示地価の70%水準で、3年ごとに評価替えが行われる
  • 課税明細書で評価額を確認し、高すぎる場合は縦覧制度や審査申出を活用できる

土地の固定資産税計算:住宅用地の特例で大幅減額

小規模住宅用地(200㎡以下)は評価額の1/6

住宅用地には特例措置があり、課税標準が大幅に軽減されます。200㎡以下の小規模住宅用地は、固定資産税評価額の1/6に減額されます。

例えば、土地150㎡で評価額2,000万円の場合:

  • 特例適用前の課税標準:2,000万円
  • 特例適用後の課税標準:2,000万円 × 1/6 = 約333万円
  • 固定資産税:333万円 × 1.4% = 約4.7万円

一般住宅用地(200㎡超)は評価額の1/3

200㎡を超える部分は、評価額の1/3に軽減されます。例えば、土地250㎡で評価額3,000万円の場合:

  • 200㎡以下の部分:2,000万円 × 1/6 = 約333万円(評価額は㎡単価で按分)
  • 200㎡超の部分:1,000万円 × 1/3 = 約333万円
  • 合計課税標準:666万円
  • 固定資産税:666万円 × 1.4% = 約9.3万円

住宅用地特例が適用されない場合の注意点

住宅用地特例は、1月1日時点で住宅が建っていることが条件です。更地では適用されないため、税額が6倍になる可能性があります。空き家を解体する際は、固定資産税の増加を考慮した計画が必要です。

建物の固定資産税計算:新築減額特例を活用しよう

一般住宅は3年間、マンションは5年間1/2に減額

新築住宅には減額特例があり、120㎡相当分まで税額が1/2になります。一般住宅(戸建て)は3年間、マンション(3階建以上の耐火・準耐火建築物)は5年間が対象です。

例えば、新築戸建(評価額1,500万円、床面積100㎡)の場合:

  • 減額前の税額:1,500万円 × 1.4% = 21万円
  • 減額後の税額:21万円 × 1/2 = 10.5万円(3年間)

認定長期優良住宅はさらに優遇(5年・7年)

国土交通省が認定する長期優良住宅の場合、減額期間がさらに延長されます:

  • 一般住宅(戸建て):5年間
  • マンション:7年間

新築減額特例の適用期限と申請方法

新築減額特例の適用期限は令和8年(2026年)3月31日までに新築された住宅です。申請期限は購入翌年の1月末までなので、忘れずに市区町村に申請しましょう。

固定資産税の税額シミュレーション:土地と建物の実例

シミュレーション①:土地150㎡+新築戸建の場合

条件

  • 土地150㎡、評価額2,000万円
  • 新築戸建、評価額1,500万円、床面積100㎡

計算

  • 土地:2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 約4.7万円
  • 建物:1,500万円 × 1.4% × 1/2 = 約10.5万円(3年間)
  • 合計:約15.2万円(3年間)、4年目以降は約25.7万円
  • 都市計画税(0.3%)込み:約18.3万円(3年間)

シミュレーション②:土地250㎡+マンションの場合

条件

  • 土地250㎡、評価額3,000万円
  • 新築マンション、評価額2,000万円、床面積80㎡

計算

  • 土地:200㎡以下2,000万円×1/6 + 50㎡分1,000万円×1/3 = 約666万円 × 1.4% = 約9.3万円
  • 建物:2,000万円 × 1.4% × 1/2 = 14万円(5年間)
  • 合計:約23.3万円(5年間)、6年目以降は約37.3万円

シミュレーション③:更地の場合との比較

土地150㎡、評価額2,000万円を更地で所有する場合:

  • 固定資産税:2,000万円 × 1.4% = 28万円
  • 住宅を建てた場合:約4.7万円
  • 差額:約23.3万円(住宅用地特例により約1/6)

評価額の確認方法と高すぎる場合の対処法

課税明細書で評価額を確認する

毎年4-6月頃に市区町村から送付される納税通知書に、「課税明細書」が同封されています。ここに土地と建物の固定資産税評価額、課税標準額、税額が記載されています。

記載項目:

  • 固定資産税評価額
  • 課税標準額(軽減措置適用後)
  • 税率(1.4%が標準)
  • 税額

縦覧制度で他の物件と比較する

毎年4-5月頃、市区町村で「固定資産課税台帳の縦覧」が実施されます。自分の土地・建物の評価額が、同じエリアの他の物件と比べて妥当かを確認できます。

縦覧できる内容:

  • 同じ市区町村内の土地・家屋の評価額
  • 所在地、地目、面積等の基本情報

評価額が高すぎる場合の審査申出

評価額に不服がある場合、納税通知書を受け取った日から3ヶ月以内に、固定資産評価審査委員会に審査申出ができます。評価に誤りがあれば訂正されます。まずは市区町村の固定資産税課に問い合わせ、評価の根拠を確認することが推奨されます。

評価替えの仕組みと税額の変動

3年ごとの評価替えとは

固定資産税評価額は、地価の変動や建物の劣化を反映するため、3年ごとに見直されます。総務省によると、令和5年度の固定資産税税収は9.8兆円で、地方税収入の約4割を占める重要な財源です。

2024年の評価替えの影響

2024年(令和6年度)に評価替えが実施されました。地価が上昇したエリアでは評価額が増加し、税額も上がる可能性があります。ただし、急激な税負担増を緩和するための「負担調整措置」があります。

次回の評価替えは2027年

次回の評価替えは2027年(令和9年度)です。地価の動向や建物の経年劣化により、税額が変動する可能性があります。評価替えの年には、課税明細書で評価額の変化を確認しましょう。

まとめ:固定資産税の計算方法を理解して適切に備えよう

固定資産税の計算式は「固定資産税評価額×税率1.4%」が基本です。住宅用地の特例(200㎡以下1/6、200㎡超1/3)や新築減額(3年または5年間1/2)を活用することで、税額を大幅に軽減できます。

評価額は公示地価の70%水準で、3年ごとに評価替えが行われます。課税明細書で評価額を確認し、高すぎると感じた場合は、縦覧制度で他の物件と比較したり、審査申出を検討しましょう。

自治体の公式サイトで税率や軽減措置の詳細を確認し、適切な税額を把握して資金計画を立てることをおすすめします。

よくある質問

Q1固定資産税はいつ払うのですか?

A1毎年4-6月頃に市区町村から納税通知書が届き、年4回(6月・9月・12月・翌年2月が一般的)の分割払いまたは一括払いが可能です。自治体により納期が異なる場合があるため、納税通知書で確認してください。期限までに納付しないと延滞金(年14.6%程度)が加算されます。

Q2固定資産税をクレジットカードで払えますか?

A2多くの自治体でクレジットカード払いが可能です。ただし、決済手数料(税額の0.8%程度)がかかる場合があります。クレジットカードのポイント還元率と手数料を比較して判断しましょう。自治体によってはスマホ決済(PayPay、LINE Pay等)にも対応しています。

Q3固定資産税が払えない場合はどうなりますか?

A3延滞金(年14.6%程度)が加算され、放置すると財産差押えの可能性もあります。払えない場合は、自治体の納税相談窓口に早めに相談し、分割納付等の相談をすることが重要です。経済的困難がある場合、猶予制度を利用できる場合もあります。

Q4空き家の固定資産税は6倍になると聞きましたが本当ですか?

A4特定空家に指定されると、住宅用地特例(1/6軽減)が適用されなくなり、実質的に税額が6倍になります。特定空家とは、倒壊の危険がある、著しく衛生上有害な状態、景観を著しく損なう状態等の空き家です。適切な管理を行い、特定空家に指定されないようにすることが重要です。