固定資産税評価額とは?調べ方と計算方法を完全解説

公開日: 2025/10/27

固定資産税評価額とは

不動産を所有している方にとって、固定資産税の納税通知書に記載されている「評価額」が何を意味するのか、よく分からないという方は少なくありません。「この評価額は妥当なのか」「どうやって調べればいいのか」と不安に感じることもあるでしょう。

この記事では、固定資産税評価額の定義、調べ方、評価額からの税額計算方法、評価替えの仕組みを、総務省国税庁の公式情報を元に解説します。

この記事を読めば、固定資産税の仕組みを理解し、必要な資金を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 固定資産税評価額は市区町村が3年ごとに算定し、公示価格の約70%が目安
  • 調べ方は課税明細書、固定資産課税台帳の閲覧、固定資産評価証明書の3種類
  • 土地は路線価方式または標準宅地比準方式、家屋は再建築価格方式で算定
  • 評価額に住宅用地の特例(200㎡まで1/6、超過部分1/3)を適用して課税標準額を算出し、標準税率1.4%を乗じて税額を計算
  • 評価額に不服がある場合は審査申出制度(納税通知書受領後3ヶ月以内)を利用できる

定義(時価の約70%を目安に評価)

固定資産税評価額は、固定資産税の課税標準となる評価額で、市区町村が算定します。総務省によると、評価額は「適正な時価」を基準とし、公示価格の約70%が目安とされています。

例えば、公示価格3,000万円の土地の場合、固定資産税評価額は約2,100万円(3,000万円 × 0.7)が目安です。ただし、個別の土地・建物により異なるため、一概には言えません。

評価主体(市区町村)

固定資産税評価額は、不動産が所在する市区町村が算定します。評価基準は総務省が定める「固定資産評価基準」に従いますが、個別の評価は市区町村の固定資産評価員が行います。

評価結果は固定資産課税台帳に登録され、納税者は閲覧・縦覧が可能です。

評価替えの仕組み(3年ごと、次回は2027年)

固定資産税評価額は、3年ごとに見直されます。これを「評価替え」と呼びます。基準年度は2024年で、次回は2027年、その次は2030年です。

据置年度(2025年・2026年)は原則据え置きですが、新築・増改築・地目変更等があった場合は随時評価替えが行われます。

固定資産税評価額の調べ方

課税明細書(納税通知書に同封)

最も簡単な調べ方は、課税明細書(納税通知書に同封、毎年4-6月に送付)で評価額を確認する方法です。課税明細書には、土地・家屋ごとの評価額、課税標準額、税額が記載されています。

SUUMOによると、課税明細書の「価格」欄が固定資産税評価額です。

固定資産課税台帳の閲覧・縦覧

課税明細書を紛失した場合は、市区町村の固定資産税課で固定資産課税台帳を閲覧できます。閲覧は無料ですが、本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)が必要です。

縦覧期間(4-5月頃の約1ヶ月間)は、自分の不動産だけでなく、同じ市区町村内の他の不動産の評価額も縦覧できます。これにより、自分の不動産の評価額が周囲と比べて妥当かを確認できます。

固定資産評価証明書(市区町村の窓口で取得)

固定資産評価証明書は、市区町村の窓口で取得できる公的な証明書です(手数料300円程度)。住宅ローン審査や相続手続きで必要になることが多く、評価額・課税標準額・税額が記載されています。

HOME4Uによると、オンライン申請が可能な自治体もあります。

土地の評価額算定方法

路線価方式(市街地)

路線価方式は、市街地で使用される土地評価方法です。道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価格(路線価)に土地面積を乗じて算出します。

総務省資産評価室によると、路線価は固定資産税路線価(公示価格の70%程度)を使用します。

例:

  • 路線価20万円/㎡、土地面積100㎡の場合
  • 評価額 = 20万円 × 100㎡ = 2,000万円

標準宅地比準方式(市街地以外)

標準宅地比準方式は、市街地以外で使用される土地評価方法です。標準的な宅地の評価額を基準に、個別の土地の状況(形状・接道・高低差等)で補正して算出します。

路線価が設定されていないエリアでは、この方式を使用します。

家屋の評価額算定方法

再建築価格方式

家屋の評価額は、再建築価格方式で算定されます。同じ建物を再建築する費用を算出し、築年数に応じた経年減点補正率を乗じて評価額を算定します。

総務省資産評価室によると、再建築価格は、屋根・基礎・外壁等の部分別に評点を付け、合計して算出します。

経年減点補正率

経年減点補正率は、築年数が経過するほど低くなります。木造住宅は25年、鉄筋コンクリート造は60年で下限(0.2)に達します。

例:

  • 木造住宅、再建築価格2,000万円、築10年の場合
  • 経年減点補正率:約0.7
  • 評価額 = 2,000万円 × 0.7 = 1,400万円

新築住宅は高額ですが、築年数が経過すると評価額が下がり、固定資産税も減額されます。

評価額から税額への計算方法

課税標準額の計算(住宅用地の特例:200㎡まで1/6、超過部分1/3)

固定資産税は、評価額ではなく「課税標準額」に税率を乗じて計算します。住宅用地には特例があり、評価額より低くなります。

長谷工の仲介によると、住宅用地の特例は以下の通りです。

区分 課税標準額
小規模住宅用地(200㎡まで) 評価額 × 1/6
一般住宅用地(200㎡超過部分) 評価額 × 1/3

例:

  • 土地300㎡、評価額3,000万円の場合
  • 小規模住宅用地(200㎡):3,000万円 × 200㎡/300㎡ × 1/6 = 333万円
  • 一般住宅用地(100㎡):3,000万円 × 100㎡/300㎡ × 1/3 = 333万円
  • 課税標準額合計:666万円

標準税率1.4%(固定資産税)

固定資産税は、課税標準額に標準税率1.4%を乗じて計算します。市区町村により税率が異なる場合があるため、確認してください。

例:

  • 課税標準額666万円の場合
  • 固定資産税 = 666万円 × 1.4% = 93,240円

都市計画税0.3%(上限)

都市計画区域内の不動産には、都市計画税が課税されます。都市計画税は課税標準額に0.3%(上限)を乗じて計算します。自治体により税率が異なるため、確認してください。

例:

  • 課税標準額666万円の場合
  • 都市計画税 = 666万円 × 0.3% = 19,980円
  • 合計 = 93,240円 + 19,980円 = 113,220円

新築住宅は一定期間(3年間、認定長期優良住宅は5年間)固定資産税が1/2に減額される軽減措置があります。

まとめ:固定資産税評価額を理解して税額を把握する

固定資産税評価額は、市区町村が3年ごとに算定し、公示価格の約70%が目安です。調べ方は課税明細書、固定資産課税台帳の閲覧、固定資産評価証明書の3種類があります。

土地は路線価方式または標準宅地比準方式、家屋は再建築価格方式で算定され、評価額に住宅用地の特例を適用して課税標準額を算出し、標準税率1.4%を乗じて税額を計算します。

評価額に不服がある場合は、審査申出制度(納税通知書受領後3ヶ月以内)を利用できます。ただし、不動産鑑定士による鑑定評価等の根拠が必要なため、まずは税理士・不動産鑑定士に相談することをおすすめします。

固定資産税の仕組みを理解し、適切に納税しましょう。

よくある質問

Q1課税明細書を紛失した場合の対処法は?

A1市区町村の固定資産税課で固定資産課税台帳を閲覧・縦覧できます。閲覧は無料ですが、本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)が必要です。縦覧期間は4-5月頃の約1ヶ月間で、自分の不動産だけでなく、同じ市区町村内の他の不動産の評価額も縦覧できます。固定資産評価証明書を窓口で取得(手数料300円程度)することも可能です。

Q2固定資産税評価額と課税標準額の違いは?

A2固定資産税評価額は市区町村が算定する基準額です。課税標準額は評価額に住宅用地の特例(200㎡まで1/6、超過部分1/3)を適用した後の金額です。課税標準額に税率を乗じて税額を計算します。例えば、評価額3,000万円、土地300㎡の場合、課税標準額は約666万円(評価額の約22%)になります。

Q3評価額に不服がある場合はどうすればいい?

A3固定資産評価審査委員会に審査申出が可能です(納税通知書受領後3ヶ月以内)。ただし、不動産鑑定士による鑑定評価等の根拠が必要です。まずは税理士・不動産鑑定士に相談し、評価額の妥当性を確認することをおすすめします。審査申出が認められた場合、評価額が修正され、税額も減額されます。

Q4評価替えはいつ行われますか?

A4評価替えは3年ごとに行われます。基準年度は2024年、次回は2027年です。据置年度(2025年・2026年)は原則据え置きですが、新築・増改築・地目変更等があった場合は随時評価替えが行われます。評価替えにより評価額が変動するため、税額も変わる可能性があります。

Q5公示価格と固定資産税評価額の関係は?

A5固定資産税評価額は公示価格の約70%が目安です。ただし、個別の土地・建物により異なるため、一概には言えません。評価額÷0.7で公示価格の概算を推計できます。例えば、評価額2,100万円の場合、公示価格は約3,000万円(2,100万円 ÷ 0.7)と推計されます。