固定資産税評価額とは
不動産を所有している方にとって、固定資産税の納税通知書に記載されている「評価額」が何を意味するのか、よく分からないという方は少なくありません。「この評価額は妥当なのか」「どうやって調べればいいのか」と不安に感じることもあるでしょう。
この記事では、固定資産税評価額の定義、調べ方、評価額からの税額計算方法、評価替えの仕組みを、総務省・国税庁の公式情報を元に解説します。
この記事を読めば、固定資産税の仕組みを理解し、必要な資金を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税評価額は市区町村が3年ごとに算定し、公示価格の約70%が目安
- 調べ方は課税明細書、固定資産課税台帳の閲覧、固定資産評価証明書の3種類
- 土地は路線価方式または標準宅地比準方式、家屋は再建築価格方式で算定
- 評価額に住宅用地の特例(200㎡まで1/6、超過部分1/3)を適用して課税標準額を算出し、標準税率1.4%を乗じて税額を計算
- 評価額に不服がある場合は審査申出制度(納税通知書受領後3ヶ月以内)を利用できる
定義(時価の約70%を目安に評価)
固定資産税評価額は、固定資産税の課税標準となる評価額で、市区町村が算定します。総務省によると、評価額は「適正な時価」を基準とし、公示価格の約70%が目安とされています。
例えば、公示価格3,000万円の土地の場合、固定資産税評価額は約2,100万円(3,000万円 × 0.7)が目安です。ただし、個別の土地・建物により異なるため、一概には言えません。
評価主体(市区町村)
固定資産税評価額は、不動産が所在する市区町村が算定します。評価基準は総務省が定める「固定資産評価基準」に従いますが、個別の評価は市区町村の固定資産評価員が行います。
評価結果は固定資産課税台帳に登録され、納税者は閲覧・縦覧が可能です。
評価替えの仕組み(3年ごと、次回は2027年)
固定資産税評価額は、3年ごとに見直されます。これを「評価替え」と呼びます。基準年度は2024年で、次回は2027年、その次は2030年です。
据置年度(2025年・2026年)は原則据え置きですが、新築・増改築・地目変更等があった場合は随時評価替えが行われます。
固定資産税評価額の調べ方
課税明細書(納税通知書に同封)
最も簡単な調べ方は、課税明細書(納税通知書に同封、毎年4-6月に送付)で評価額を確認する方法です。課税明細書には、土地・家屋ごとの評価額、課税標準額、税額が記載されています。
SUUMOによると、課税明細書の「価格」欄が固定資産税評価額です。
固定資産課税台帳の閲覧・縦覧
課税明細書を紛失した場合は、市区町村の固定資産税課で固定資産課税台帳を閲覧できます。閲覧は無料ですが、本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)が必要です。
縦覧期間(4-5月頃の約1ヶ月間)は、自分の不動産だけでなく、同じ市区町村内の他の不動産の評価額も縦覧できます。これにより、自分の不動産の評価額が周囲と比べて妥当かを確認できます。
固定資産評価証明書(市区町村の窓口で取得)
固定資産評価証明書は、市区町村の窓口で取得できる公的な証明書です(手数料300円程度)。住宅ローン審査や相続手続きで必要になることが多く、評価額・課税標準額・税額が記載されています。
HOME4Uによると、オンライン申請が可能な自治体もあります。
土地の評価額算定方法
路線価方式(市街地)
路線価方式は、市街地で使用される土地評価方法です。道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価格(路線価)に土地面積を乗じて算出します。
総務省資産評価室によると、路線価は固定資産税路線価(公示価格の70%程度)を使用します。
例:
- 路線価20万円/㎡、土地面積100㎡の場合
- 評価額 = 20万円 × 100㎡ = 2,000万円
標準宅地比準方式(市街地以外)
標準宅地比準方式は、市街地以外で使用される土地評価方法です。標準的な宅地の評価額を基準に、個別の土地の状況(形状・接道・高低差等)で補正して算出します。
路線価が設定されていないエリアでは、この方式を使用します。
家屋の評価額算定方法
再建築価格方式
家屋の評価額は、再建築価格方式で算定されます。同じ建物を再建築する費用を算出し、築年数に応じた経年減点補正率を乗じて評価額を算定します。
総務省資産評価室によると、再建築価格は、屋根・基礎・外壁等の部分別に評点を付け、合計して算出します。
経年減点補正率
経年減点補正率は、築年数が経過するほど低くなります。木造住宅は25年、鉄筋コンクリート造は60年で下限(0.2)に達します。
例:
- 木造住宅、再建築価格2,000万円、築10年の場合
- 経年減点補正率:約0.7
- 評価額 = 2,000万円 × 0.7 = 1,400万円
新築住宅は高額ですが、築年数が経過すると評価額が下がり、固定資産税も減額されます。
評価額から税額への計算方法
課税標準額の計算(住宅用地の特例:200㎡まで1/6、超過部分1/3)
固定資産税は、評価額ではなく「課税標準額」に税率を乗じて計算します。住宅用地には特例があり、評価額より低くなります。
長谷工の仲介によると、住宅用地の特例は以下の通りです。
| 区分 | 課税標準額 | 
|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡まで) | 評価額 × 1/6 | 
| 一般住宅用地(200㎡超過部分) | 評価額 × 1/3 | 
例:
- 土地300㎡、評価額3,000万円の場合
- 小規模住宅用地(200㎡):3,000万円 × 200㎡/300㎡ × 1/6 = 333万円
- 一般住宅用地(100㎡):3,000万円 × 100㎡/300㎡ × 1/3 = 333万円
- 課税標準額合計:666万円
標準税率1.4%(固定資産税)
固定資産税は、課税標準額に標準税率1.4%を乗じて計算します。市区町村により税率が異なる場合があるため、確認してください。
例:
- 課税標準額666万円の場合
- 固定資産税 = 666万円 × 1.4% = 93,240円
都市計画税0.3%(上限)
都市計画区域内の不動産には、都市計画税が課税されます。都市計画税は課税標準額に0.3%(上限)を乗じて計算します。自治体により税率が異なるため、確認してください。
例:
- 課税標準額666万円の場合
- 都市計画税 = 666万円 × 0.3% = 19,980円
- 合計 = 93,240円 + 19,980円 = 113,220円
新築住宅は一定期間(3年間、認定長期優良住宅は5年間)固定資産税が1/2に減額される軽減措置があります。
まとめ:固定資産税評価額を理解して税額を把握する
固定資産税評価額は、市区町村が3年ごとに算定し、公示価格の約70%が目安です。調べ方は課税明細書、固定資産課税台帳の閲覧、固定資産評価証明書の3種類があります。
土地は路線価方式または標準宅地比準方式、家屋は再建築価格方式で算定され、評価額に住宅用地の特例を適用して課税標準額を算出し、標準税率1.4%を乗じて税額を計算します。
評価額に不服がある場合は、審査申出制度(納税通知書受領後3ヶ月以内)を利用できます。ただし、不動産鑑定士による鑑定評価等の根拠が必要なため、まずは税理士・不動産鑑定士に相談することをおすすめします。
固定資産税の仕組みを理解し、適切に納税しましょう。
