一戸建て新築費用の相場は?総額シミュレーションと内訳を解説

公開日: 2025/10/27

一戸建て新築の総費用はいくら必要?

一戸建て新築を検討する際、「総額でどれくらい必要なのか」「建築費用以外に何がかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、一戸建て新築の費用相場と内訳、総額シミュレーション、費用を抑える方法を、住宅金融支援機構国土交通省の公式データを元に解説します。

初めて一戸建て新築を検討する方でも、必要な資金を正確に把握し、資金計画を立てられるようになります。

この記事のポイント

  • 一戸建て新築の全国平均費用は建築費3,500万円前後、総額(土地代含む)は4,000-5,000万円が目安
  • 費用は「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つに分類され、諸費用は建売6-8%、注文10-12%を現金で準備が必要
  • 地域差が大きく、首都圏と地方で1,000万円以上の差がある
  • 2025年4月以降は省エネ基準適合が義務化され、基準を満たさないと住宅ローン控除が受けられない

一戸建て新築の費用相場

住宅金融支援機構のフラット35利用者調査(最新データ)によると、一戸建て新築の建築費用は全国平均で約3,500万円です。ただし、これは建物本体の費用であり、土地代や諸費用は含まれていません。

全国平均の建築費用

一戸建て新築の建築費用(建物本体)の目安は以下の通りです。

項目 全国平均
建築費用 約3,500万円
延床面積 約110㎡
坪単価 約105万円

(出典: 住宅金融支援機構

なお、坪単価は建築業者の種類によって大きく異なります。

  • ハウスメーカー: 60-100万円/坪
  • 工務店: 40-70万円/坪
  • ローコスト住宅: 30-50万円/坪

工期・品質・アフターサービスも異なるため、複数社から見積もりを取り比較することが重要です。

地域別の費用相場

一戸建て新築の費用は地域によって大きく異なります。首都圏と地方では1,000万円以上の差がある場合も少なくありません。

地域 建築費用(平均)
首都圏 約3,800万円
近畿圏 約3,600万円
東海圏 約3,500万円
その他地方 約3,200万円

(出典: 住宅金融支援機構

地域差の要因としては、土地代・人件費・資材運搬費などが挙げられます。

建築費用の内訳

一戸建て新築の費用は、「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つに分類されます。それぞれの内容を理解しておくことで、総額を正確に把握できます。

本体工事費とは

本体工事費は、建物本体の建築にかかる費用です。以下のような項目が含まれます。

  • 基礎工事
  • 構造・骨組み
  • 屋根・外壁
  • 内装・設備(キッチン・バス・トイレ等)

本体工事費は、総費用の約70-80%を占めます。ただし、以下のような費用は含まれないケースが多いため、見積もり時に確認が必要です。

  • 外構工事(庭・駐車場等)
  • 設計料
  • 地盤改良費

付帯工事費とは

付帯工事費は、建物本体以外の工事にかかる費用です。主な項目は以下の通りです。

  • 外構工事(庭・駐車場・門扉等)
  • 地盤改良工事
  • 水道引込工事
  • 照明器具・カーテン・エアコン等

付帯工事費は、総費用の約15-20%を占めます。地盤改良が必要な場合は、100万円以上追加で必要になることもあります。

諸費用とは

諸費用は、建築費用以外の各種費用です。主な項目は以下の通りです。

項目 内容 目安額
印紙税 建築請負契約書に貼付 1-2万円
登記費用 所有権保存登記・抵当権設定登記 20-30万円
不動産取得税 建物取得時に課税 0-20万円(軽減措置あり)
住宅ローン手数料 金融機関に支払う事務手数料 数万円-数十万円
保証料 保証会社への保証料 数十万円-100万円超
火災保険料 10年一括払いの場合 20-30万円

(出典: LIFULL HOME'S

諸費用は、建売住宅で6-8%、注文住宅で10-12%が目安です。重要なのは、諸費用は基本的に住宅ローンに含められないため、現金で準備する必要があることです。

総額シミュレーション

一戸建て新築の総額は、「土地購入費+建築費+諸費用」で計算します。地域別に具体的なシミュレーションを見てみましょう。

土地購入費を含む総額の目安

地域 土地代 建築費 諸費用 総額
首都圏 約2,000万円 約3,800万円 約380万円 約6,180万円
近畿圏 約1,500万円 約3,600万円 約360万円 約5,460万円
地方 約800万円 約3,200万円 約320万円 約4,320万円

(出典: 住宅金融支援機構三井住友信託銀行

※諸費用は建築費の約10%として計算

住宅ローン借入額の目安

総額から自己資金(頭金)を差し引いた額を住宅ローンで借り入れるのが一般的です。頭金は総額の10-20%を用意できると、借入額を抑えられ、月々の返済負担が軽くなります。

例えば、首都圏で総額6,180万円の場合:

  • 頭金20%(約1,240万円)を用意
  • 住宅ローン借入額: 約4,940万円

ただし、諸費用は現金で準備する必要があるため、頭金とは別に300-400万円程度の自己資金が必要になります。

費用を抑える方法

一戸建て新築の費用は高額ですが、補助金制度や省エネ基準への対応によって、費用を抑えたり税制優遇を受けたりすることが可能です。

補助金制度の活用

2025年時点で利用できる主な補助金制度は以下の通りです。

  • 子育てエコホーム支援事業: 省エネ基準に適合した新築住宅に最大100万円補助(国土交通省
  • 地域型住宅グリーン化事業: 地域の中小工務店が建てる省エネ住宅に最大140万円補助

補助金を受けるためには、省エネ基準への適合が必須です。2025年4月以降、新築住宅はすべて省エネ基準適合が義務化されており、基準を満たさない場合は住宅ローン控除も受けられません。

省エネ基準適合の重要性

2025年4月以降に新築する住宅は、省エネ基準適合が義務化されています。省エネ基準とは、断熱性能・一次エネルギー消費量の基準を満たすことを指します。

省エネ基準に適合することで、以下のメリットがあります。

  • 住宅ローン控除が受けられる(年末ローン残高の0.7%、最大13年間)
  • 補助金制度が利用できる
  • 光熱費が抑えられる(断熱性能向上により冷暖房費が削減)

設計段階で省エネ基準への対応を確認し、建築確認申請時に適合証明を取得することが重要です。

税制優遇の活用

新築住宅には、以下の税制優遇が適用されます。

  • 不動産取得税の軽減: 固定資産税評価額から最大1,200万円控除(国土交通省
  • 固定資産税の減額: 新築住宅は3年間(長期優良住宅は5年間)、固定資産税が1/2に減額
  • 住宅ローン控除: 省エネ基準適合住宅は年末ローン残高の0.7%、最大13年間控除

これらの税制優遇を活用することで、総費用の負担を軽減できます。

まとめ

一戸建て新築の総費用は、建物本体工事費・付帯工事費・諸費用の3つで構成され、全国平均で建築費3,500万円前後、土地代を含む総額は4,000-5,000万円が目安です。地域差・仕様差が大きく、首都圏と地方では1,000万円以上の差があるため、自分の地域の相場を把握することが重要です。

諸費用は建売6-8%、注文10-12%を現金で準備する必要があり、住宅ローンに含められないケースが多いため、事前に資金計画を立てておくことが不可欠です。

早めに複数社から見積もりを取り、省エネ基準への対応や補助金制度を活用しながら、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1一戸建て新築の総額でいくら準備すれば良い?

A1全国平均で3,500-4,000万円程度(土地代+建築費+諸費用)です。首都圏では5,000万円超、地方では3,000万円台が目安となります。諸費用は建売6-8%、注文10-12%を現金で準備する必要があるため、頭金とは別に300-400万円程度の自己資金を用意しておくことが重要です。

Q2省エネ基準とは?

A22025年4月以降、新築住宅は省エネ基準適合が義務化されています。断熱性能・一次エネルギー消費量の基準を満たさないと住宅ローン控除が受けられません。設計段階で省エネ基準への対応を確認し、建築確認申請時に適合証明を取得することが必須です。省エネ基準に適合することで、補助金制度の利用や光熱費の削減も期待できます。

Q3諸費用は住宅ローンに含められる?

A3基本的には含められません。印紙税・登記費用・不動産取得税・住宅ローン手数料等は現金で準備する必要があります。一部金融機関では諸費用ローンとして別途借入可能ですが、住宅ローンよりも金利が高く設定されることが多いため、注意が必要です。諸費用は建築費の10-12%が目安なので、事前に資金計画を立てておきましょう。

Q4ハウスメーカーと工務店で費用はどう違う?

A4ハウスメーカーは坪単価60-100万円、工務店は40-70万円、ローコスト住宅は30-50万円が目安です。ハウスメーカーは工期が短く品質が安定していますが、工務店は地域密着型で柔軟な対応が可能、ローコスト住宅は費用を抑えられる反面、仕様が限定される傾向にあります。工期・品質・アフターサービスも異なるため、複数社から見積もりを取り比較することが重要です。