マンションで避けるべき階とは?各階のメリット・デメリットを徹底比較

公開日: 2025/10/27

マンションで避けるべき階とは?各階の特徴を理解しよう

マンション購入や賃貸を検討する際、「どの階を選べばよいのか」「住んではいけない階はあるのか」と悩む方は少なくありません。

この記事では、「住んではいけない階」という断定的な表現を避け、低層階・中層階・高層階それぞれのメリット・デメリットを客観的に比較します。

階数選びは、ライフスタイルや家族構成によって最適解が異なります。各階の特性を理解し、ご自身に合った選択ができるよう、具体的な情報を提供します。

この記事のポイント

  • 「住んではいけない階」は存在せず、各階に一長一短がある
  • 低層階(1~3階)はエレベーター不要・避難容易だが、防犯リスク・湿気に注意が必要
  • 中層階(4~9階)は日照・風通し良好で価格バランスが良く、災害時も比較的安全
  • 高層階(10階以上)は眺望・プライバシーに優れるが、エレベーター依存・風揺れ・災害時の避難困難に注意
  • 家族構成・ライフスタイル・予算・優先事項を整理し、必ず内覧で実際の住環境を確認

低層階(1~3階)のメリット・デメリット

低層階のメリット

低層階には以下のような利点があります。

  • エレベーター待ち不要: 朝の通勤時や荷物が多い時もスムーズに出入り可能
  • 災害時の避難が容易: 地震や火災時に階段で避難しやすく、救助も届きやすい
  • 庭付き物件もある: 1階では専用庭(テラス)が付いている物件も多く、ペットや子育てに便利
  • 価格が比較的安い: 同じ間取りでも高層階より10-20%程度安い傾向

低層階のデメリット

一方で、以下のようなデメリットも存在します。

  • 外部からの視線: 道路や隣接建物から室内が見えやすく、プライバシーの確保が課題
  • 防犯リスク: ALSOKによると、侵入窃盗犯の約半数が窓から侵入しており、1階は特に注意が必要
  • 湿気・虫の侵入: 地面に近いため湿気がこもりやすく、虫も入りやすい
  • 日照不足の可能性: 周辺建物の影響で日当たりが悪い場合がある

低層階が向いている人

低層階は以下のような方に適しています。

  • 小さな子どもや高齢者がいる家族(ベビーカーや車椅子の出入りが楽)
  • 災害時の避難を重視する人
  • ペットを飼っている人(庭で遊ばせられる)
  • エレベーター待ちのストレスを避けたい人

ただし、オートロック・防犯カメラ・窓に補助錠設置等の防犯対策は必須です。

中層階(4~9階)のメリット・デメリット

中層階のメリット

中層階は以下の点でバランスが良いとされています。

  • 日照・風通し良好: 周辺建物の影響を受けにくく、採光と通風が安定
  • 価格バランスが良い: 低層階より高いが高層階ほどではなく、コストパフォーマンスが高い
  • 階段移動も可能: モコホームによると、4~7階は災害時にエレベーターが停止しても階段で移動可能な範囲
  • 上下階騒音のリスクが比較的低い: 低層階・高層階の中間に位置し、騒音トラブルが少ない傾向

中層階のデメリット

一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 眺望は中途半端: 高層階ほどの開放的な眺望は期待できない
  • エレベーター混雑時の影響: 朝夕のラッシュ時にエレベーター待ちが発生する可能性

中層階が向いている人

中層階は以下のような方に適しています。

  • バランス重視の人(価格・住環境・利便性のバランスを求める)
  • 価格と住環境のコスパを重視する人
  • 災害時の避難も考慮したい人

中層階は最も無難な選択肢とも言え、初めてのマンション購入・賃貸でも失敗しにくい階層です。

高層階(10階以上)のメリット・デメリット

高層階のメリット

高層階には以下のような魅力があります。

  • 眺望・日照・プライバシーに優れる: 開放的な景色と十分な日照、外部からの視線も気にならない
  • 騒音が少ない: 道路や隣接建物の生活音が届きにくい
  • 虫が少ない: 蚊や蝿などの虫が高層階まで飛んでくることはほとんどない

高層階のデメリット

一方で、以下のようなデメリットも存在します。

  • エレベーター依存: 出入りにエレベーターが必須で、故障・メンテナンス時に不便
  • 風揺れ: タワーマンション等の柔構造(建物が揺れることで地震エネルギーを吸収)により、風の強い日や地震時に揺れを感じやすい
  • 高所恐怖症・高層階病: グローベルスラボによると、気圧差(100m上昇で10ヘクトパスカル低下)と建物の揺れにより、めまい・倦怠感を訴える人がいる(医学的因果関係は未証明)
  • 価格が高い: 同じ間取りでも低層階より10-20%程度高い
  • 災害時の避難困難: エレベーター停止時に階段での避難が困難、消防車のはしごも届かない高さ
  • 洗濯物が乾きにくい: 風が強く、ベランダに洗濯物を干せない物件も多い

タワーマンション特有のリスク

イエシルコラムによると、タワーマンションの高層階では以下の問題も指摘されています。

  • 高所平気症: 高層階で育った子どもが高所への恐怖心を持たず、ベランダからの転落リスクが懸念される
  • 地震時の大きな揺れ: 柔構造により建物は倒壊しにくいが、揺れ幅が大きく、家具の転倒リスクが高まる
  • エレベーター待ち時間: 朝夕の混雑時に5-10分以上待つこともある

高層階が向いている人

高層階は以下のような方に適しています。

  • 眺望・日照を最重視する人
  • エレベーター待ちを気にしない人
  • プライバシーを重視する人
  • 十分な予算がある人

ただし、高所恐怖症や地震時の揺れに敏感な方、小さな子どものいる家庭では、慎重に検討する必要があります。

各階で注意すべきポイント

1階は防犯対策必須

ALSOKによると、侵入窃盗犯の約半数が窓から侵入するため、1階では以下の防犯対策が必須です。

  • オートロック付き物件を選ぶ
  • 窓に補助錠を設置する
  • 防犯カメラ付き物件を選ぶ
  • カーテンを常に閉めてプライバシーを確保

最上階は夏の暑さ対策

最上階は屋根に直射日光が当たるため、夏は室温が上がりやすく、冷房費がかさむ傾向があります。

遮熱カーテンやブラインドの設置、断熱性能の高い物件を選ぶことで、ある程度対策できます。

中間階の上下階騒音

中間階では、上階の足音や下階への生活音が気になる場合があります。

内覧時に以下を確認しましょう。

  • 床の材質(フローリングかカーペットか)
  • 上階の生活音が聞こえるか(可能であれば時間帯を変えて確認)
  • 管理規約で騒音に関するルールがあるか

災害時の避難のしやすさ

モコホームによると、災害時の避難を考慮すると、中層階(4-7階)が比較的無難です。

  • 低層階(1-3階): 階段で避難しやすく、救助も届きやすい
  • 中層階(4-7階): エレベーター停止時も階段移動が可能な範囲
  • 高層階(8階以上): エレベーター停止時の避難が困難、消防車のはしごも届かない

マンション選びでは、災害時の避難経路や防災設備(非常階段、スプリンクラー、備蓄倉庫等)も確認しておくことが重要です。

自分に合った階の選び方

階数選びでは、以下の要素を整理しましょう。

家族構成

  • 小さな子ども・高齢者がいる: 低層階(エレベーター不要、避難容易)
  • 子どもが成長した世帯: 中層階・高層階(静かな環境、眺望重視)

ライフスタイル

  • 在宅時間が長い・リモートワーク: 日照・静かさ重視で中層階以上
  • 外出が多い: エレベーター待ち不要の低層階

予算

  • 予算を抑えたい: 低層階(同じ間取りでも10-20%安い)
  • 眺望にお金をかけたい: 高層階(プレミアム価格)

優先事項

  • 防犯重視: 中層階以上(窓からの侵入リスクが低い)
  • 災害対策重視: 中層階(避難容易とエレベーター利用のバランス)
  • 眺望重視: 高層階(開放的な景色)

必ず内覧で実際の住環境を確認しましょう。日照、騒音、眺望、周辺環境(隣接建物、道路、公園等)は、実際に足を運ばなければ分かりません。

階数だけでなく、方角(南向き・北向き)、周辺環境、管理状況(清掃、修繕計画)も重要な判断要素です。

まとめ

「住んではいけない階」は存在せず、各階に一長一短があります。

低層階(1~3階)は避難容易・エレベーター不要ですが、防犯リスク・湿気に注意が必要です。中層階(4~9階)は日照・価格・災害時の避難のバランスが良く、最も無難な選択肢です。高層階(10階以上)は眺望・プライバシーに優れますが、エレベーター依存・風揺れ・災害時の避難困難に注意が必要です。

自分の優先事項(家族構成、ライフスタイル、予算、防犯・災害対策)を明確にし、必ず内覧で実際の住環境(日照、騒音、眺望)を確認して判断することが重要です。

不動産会社や管理会社に、各階の特性や過去のトラブル事例を確認しながら、ご自身に最適な階を選びましょう。

よくある質問

Q1マンションの1階は本当に危険ですか?

A1侵入窃盗の約半数が窓から侵入するため、防犯リスクは確かに高い傾向にあります。しかし、オートロック付き物件を選ぶ、窓に補助錠を設置する、防犯カメラが設置されている物件を選ぶなどの対策で、大幅にリスクを軽減できます。一方で、エレベーター不要・災害時の避難容易というメリットもあるため、防犯対策をしっかり行えば、十分に安全に暮らせます。

Q2タワーマンションの高層階は地震に弱いですか?

A2タワーマンションは柔構造(建物が揺れることで地震エネルギーを吸収する構造)を採用しており、倒壊リスクは低いです。ただし、地震時の揺れは低層階より大きく、家具の転倒リスクや酔いを感じる可能性があります。また、エレベーター停止時の避難困難も考慮が必要です。地震に強い建物ではありますが、揺れの大きさと避難の課題は認識しておくべきです。

Q3高層階病は本当にあるのですか?

A3高層階居住による体調不良(めまい・倦怠感)を訴える人がいるのは事実です。気圧差(100m上昇で10ヘクトパスカル低下)と建物の揺れが原因とされていますが、医学的な因果関係は証明されていません。個人差が大きく、全ての人に症状が出るわけではありませんが、高所や揺れに敏感な方は、事前に高層階の物件で体調を確認することをおすすめします。

Q4階数によって価格はどのくらい違いますか?

A4一般的に、高層階ほど価格が高くなります。同じ間取りでも、低層階と高層階で10-20%程度の価格差がある物件が多いです。眺望・日照の良さがプレミアムとして評価されるためです。最上階や角部屋はさらに高くなる傾向があります。予算を抑えたい場合は低層階、眺望にお金をかけたい場合は高層階を選ぶと良いでしょう。

Q5子育て世帯にはどの階がおすすめですか?

A5小さな子どもがいる場合、低層階(1-3階)がおすすめです。エレベーター待ち不要で出入りがスムーズ、ベビーカーの上げ下ろしも楽、災害時の避難も容易です。ただし、防犯対策は必須です。高層階は眺望が良い反面、高所平気症(高所恐怖心の欠如)のリスクも指摘されており、ベランダからの転落に注意が必要です。子育て世帯では、低層階または中層階が比較的安全です。