マンションで避けるべき階とは?各階の特徴を理解しよう
マンション購入や賃貸を検討する際、「どの階を選べばよいのか」「住んではいけない階はあるのか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、「住んではいけない階」という断定的な表現を避け、低層階・中層階・高層階それぞれのメリット・デメリットを客観的に比較します。
階数選びは、ライフスタイルや家族構成によって最適解が異なります。各階の特性を理解し、ご自身に合った選択ができるよう、具体的な情報を提供します。
この記事のポイント
- 「住んではいけない階」は存在せず、各階に一長一短がある
- 低層階(1~3階)はエレベーター不要・避難容易だが、防犯リスク・湿気に注意が必要
- 中層階(4~9階)は日照・風通し良好で価格バランスが良く、災害時も比較的安全
- 高層階(10階以上)は眺望・プライバシーに優れるが、エレベーター依存・風揺れ・災害時の避難困難に注意
- 家族構成・ライフスタイル・予算・優先事項を整理し、必ず内覧で実際の住環境を確認
低層階(1~3階)のメリット・デメリット
低層階のメリット
低層階には以下のような利点があります。
- エレベーター待ち不要: 朝の通勤時や荷物が多い時もスムーズに出入り可能
- 災害時の避難が容易: 地震や火災時に階段で避難しやすく、救助も届きやすい
- 庭付き物件もある: 1階では専用庭(テラス)が付いている物件も多く、ペットや子育てに便利
- 価格が比較的安い: 同じ間取りでも高層階より10-20%程度安い傾向
低層階のデメリット
一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- 外部からの視線: 道路や隣接建物から室内が見えやすく、プライバシーの確保が課題
- 防犯リスク: ALSOKによると、侵入窃盗犯の約半数が窓から侵入しており、1階は特に注意が必要
- 湿気・虫の侵入: 地面に近いため湿気がこもりやすく、虫も入りやすい
- 日照不足の可能性: 周辺建物の影響で日当たりが悪い場合がある
低層階が向いている人
低層階は以下のような方に適しています。
- 小さな子どもや高齢者がいる家族(ベビーカーや車椅子の出入りが楽)
- 災害時の避難を重視する人
- ペットを飼っている人(庭で遊ばせられる)
- エレベーター待ちのストレスを避けたい人
ただし、オートロック・防犯カメラ・窓に補助錠設置等の防犯対策は必須です。
中層階(4~9階)のメリット・デメリット
中層階のメリット
中層階は以下の点でバランスが良いとされています。
- 日照・風通し良好: 周辺建物の影響を受けにくく、採光と通風が安定
- 価格バランスが良い: 低層階より高いが高層階ほどではなく、コストパフォーマンスが高い
- 階段移動も可能: モコホームによると、4~7階は災害時にエレベーターが停止しても階段で移動可能な範囲
- 上下階騒音のリスクが比較的低い: 低層階・高層階の中間に位置し、騒音トラブルが少ない傾向
中層階のデメリット
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 眺望は中途半端: 高層階ほどの開放的な眺望は期待できない
- エレベーター混雑時の影響: 朝夕のラッシュ時にエレベーター待ちが発生する可能性
中層階が向いている人
中層階は以下のような方に適しています。
- バランス重視の人(価格・住環境・利便性のバランスを求める)
- 価格と住環境のコスパを重視する人
- 災害時の避難も考慮したい人
中層階は最も無難な選択肢とも言え、初めてのマンション購入・賃貸でも失敗しにくい階層です。
高層階(10階以上)のメリット・デメリット
高層階のメリット
高層階には以下のような魅力があります。
- 眺望・日照・プライバシーに優れる: 開放的な景色と十分な日照、外部からの視線も気にならない
- 騒音が少ない: 道路や隣接建物の生活音が届きにくい
- 虫が少ない: 蚊や蝿などの虫が高層階まで飛んでくることはほとんどない
高層階のデメリット
一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- エレベーター依存: 出入りにエレベーターが必須で、故障・メンテナンス時に不便
- 風揺れ: タワーマンション等の柔構造(建物が揺れることで地震エネルギーを吸収)により、風の強い日や地震時に揺れを感じやすい
- 高所恐怖症・高層階病: グローベルスラボによると、気圧差(100m上昇で10ヘクトパスカル低下)と建物の揺れにより、めまい・倦怠感を訴える人がいる(医学的因果関係は未証明)
- 価格が高い: 同じ間取りでも低層階より10-20%程度高い
- 災害時の避難困難: エレベーター停止時に階段での避難が困難、消防車のはしごも届かない高さ
- 洗濯物が乾きにくい: 風が強く、ベランダに洗濯物を干せない物件も多い
タワーマンション特有のリスク
イエシルコラムによると、タワーマンションの高層階では以下の問題も指摘されています。
- 高所平気症: 高層階で育った子どもが高所への恐怖心を持たず、ベランダからの転落リスクが懸念される
- 地震時の大きな揺れ: 柔構造により建物は倒壊しにくいが、揺れ幅が大きく、家具の転倒リスクが高まる
- エレベーター待ち時間: 朝夕の混雑時に5-10分以上待つこともある
高層階が向いている人
高層階は以下のような方に適しています。
- 眺望・日照を最重視する人
- エレベーター待ちを気にしない人
- プライバシーを重視する人
- 十分な予算がある人
ただし、高所恐怖症や地震時の揺れに敏感な方、小さな子どものいる家庭では、慎重に検討する必要があります。
各階で注意すべきポイント
1階は防犯対策必須
ALSOKによると、侵入窃盗犯の約半数が窓から侵入するため、1階では以下の防犯対策が必須です。
- オートロック付き物件を選ぶ
- 窓に補助錠を設置する
- 防犯カメラ付き物件を選ぶ
- カーテンを常に閉めてプライバシーを確保
最上階は夏の暑さ対策
最上階は屋根に直射日光が当たるため、夏は室温が上がりやすく、冷房費がかさむ傾向があります。
遮熱カーテンやブラインドの設置、断熱性能の高い物件を選ぶことで、ある程度対策できます。
中間階の上下階騒音
中間階では、上階の足音や下階への生活音が気になる場合があります。
内覧時に以下を確認しましょう。
- 床の材質(フローリングかカーペットか)
- 上階の生活音が聞こえるか(可能であれば時間帯を変えて確認)
- 管理規約で騒音に関するルールがあるか
災害時の避難のしやすさ
モコホームによると、災害時の避難を考慮すると、中層階(4-7階)が比較的無難です。
- 低層階(1-3階): 階段で避難しやすく、救助も届きやすい
- 中層階(4-7階): エレベーター停止時も階段移動が可能な範囲
- 高層階(8階以上): エレベーター停止時の避難が困難、消防車のはしごも届かない
マンション選びでは、災害時の避難経路や防災設備(非常階段、スプリンクラー、備蓄倉庫等)も確認しておくことが重要です。
自分に合った階の選び方
階数選びでは、以下の要素を整理しましょう。
家族構成
- 小さな子ども・高齢者がいる: 低層階(エレベーター不要、避難容易)
- 子どもが成長した世帯: 中層階・高層階(静かな環境、眺望重視)
ライフスタイル
- 在宅時間が長い・リモートワーク: 日照・静かさ重視で中層階以上
- 外出が多い: エレベーター待ち不要の低層階
予算
- 予算を抑えたい: 低層階(同じ間取りでも10-20%安い)
- 眺望にお金をかけたい: 高層階(プレミアム価格)
優先事項
- 防犯重視: 中層階以上(窓からの侵入リスクが低い)
- 災害対策重視: 中層階(避難容易とエレベーター利用のバランス)
- 眺望重視: 高層階(開放的な景色)
必ず内覧で実際の住環境を確認しましょう。日照、騒音、眺望、周辺環境(隣接建物、道路、公園等)は、実際に足を運ばなければ分かりません。
階数だけでなく、方角(南向き・北向き)、周辺環境、管理状況(清掃、修繕計画)も重要な判断要素です。
まとめ
「住んではいけない階」は存在せず、各階に一長一短があります。
低層階(1~3階)は避難容易・エレベーター不要ですが、防犯リスク・湿気に注意が必要です。中層階(4~9階)は日照・価格・災害時の避難のバランスが良く、最も無難な選択肢です。高層階(10階以上)は眺望・プライバシーに優れますが、エレベーター依存・風揺れ・災害時の避難困難に注意が必要です。
自分の優先事項(家族構成、ライフスタイル、予算、防犯・災害対策)を明確にし、必ず内覧で実際の住環境(日照、騒音、眺望)を確認して判断することが重要です。
不動産会社や管理会社に、各階の特性や過去のトラブル事例を確認しながら、ご自身に最適な階を選びましょう。
