土地の権利書(登記済証・登記識別情報)の見本と記載内容を徹底解説

公開日: 2025/11/6

土地の権利書とは?登記済証と登記識別情報の違い

土地を相続または購入した際、「権利書」という書類を受け取ることがあります。しかし、「権利書とは何か」「どこを見れば良いか」が分からず不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、土地の権利書(登記済証・登記識別情報)の見本と記載内容を、法務省法務局の公式情報を元に解説します。

実物の見本を見ながら、どの部分に何が書かれているか、紛失時の対応、売買・相続時の使い方まで理解できるようになります。

この記事のポイント

  • 権利書(登記済証・登記識別情報)は「登記名義人であることを証明する手段」であり、紛失しても所有権は失われない
  • 2004年以前は登記済証(朱印付き書面)、2005年以降は登記識別情報(12桁の暗号コード)が交付される
  • 登記済証には法務局の朱印・不動産の所在・所有者情報が記載され、登記識別情報には12桁コード・目隠しシールがある
  • 権利書は再発行できないため、紛失した場合は事前通知または本人確認情報(司法書士作成)で代替する
  • 目隠しシールは絶対に剥がさず、金庫・貸金庫等で厳重に保管することが重要

権利書の法的な役割

権利書(登記済証・登記識別情報)は、「登記名義人であることを証明する手段」です。不動産登記法に基づき、土地や建物の所有権を登記した際に交付される書類で、売買・相続・抵当権設定等の登記申請時に必要となります。

重要なのは、権利書は所有権を証明する書類ではなく、登記名義人であることを証明する手段に過ぎないという点です。紛失しても所有権は失われませんが、売買・相続時に代替手段が必要になります。

2004年以前と2005年以降の制度の違い

2004年以前と2005年以降で、権利書の形式が大きく変わりました。

項目 旧制度(2004年以前) 新制度(2005年以降)
名称 登記済証(登記済権利証) 登記識別情報
形式 朱印付き書面 12桁の暗号コード
秘匿方法 保管者の管理 目隠しシールまたは折り畳み式
法的効力 同等 同等
再発行 不可 不可

(参考: 日本司法書士会連合会

2005年不動産登記法改正により、登記済証から登記識別情報に移行しました。ただし、旧制度の登記済証も引き続き有効です。自分の権利書がどちらの形式か確認し、適切に保管してください。

登記済証(旧制度)の見本と記載内容

2004年以前に交付された登記済証は、朱印付きの書面で交付されます。

登記済証の外観(法務局の朱印)

登記済証の最大の特徴は、**法務局の朱印(「登記済」の印)**が押印されている点です。この朱印が、登記手続きが完了したことを証明します。

書面には、登記申請時に提出した「登記原因証明情報」(売買契約書、贈与契約書等)に法務局が朱印を押印したものが含まれます。

(参考: 司法書士による実物見本

記載されている情報(所在・地番・面積・所有者等)

登記済証には以下の情報が記載されています。

記載項目 内容
不動産の所在 土地の住所 大阪府高槻市〇〇町
地番 登記上の番号 123番45
地目 土地の用途 宅地、田、畑、山林等
地積 土地の面積 100.50㎡
所有者の住所・氏名 登記名義人の情報 大阪府高槻市〇〇町1-2-3 山田太郎
登記の目的 登記の種類 所有権移転、所有権保存等
受付年月日・受付番号 登記手続きの日時・番号 令和〇年〇月〇日 第〇〇号

(参考: 日本司法書士会連合会

これらの情報を元に、どの土地の登記済証かを確認できます。

登記識別情報(新制度)の見本と記載内容

2005年以降に交付される登記識別情報は、12桁の暗号コードで構成されます。

登記識別情報通知書の様式

法務省によると、登記識別情報通知書の様式は2020年に変更されました。現在の様式は、A4サイズの書面で、12桁の暗号コードが目隠しシールまたは折り畳み式で秘匿されています。

12桁の暗号コードと目隠しシール

登記識別情報の核心は、12桁の英数字暗号コードです。このコードが登記名義人であることを証明します。

法務局によると、12桁のコードは目隠しシールで覆われており、売買・相続時まで剥がさないことが推奨されています。一度剥がすと、第三者に知られるリスクが高まり、悪用される可能性があります。

重要: 目隠しシールは絶対に剥がさないでください。剥がした場合、登記識別情報が失効する可能性があります。

記載されている情報

登記識別情報通知書には以下の情報が記載されています。

記載項目 内容
12桁の暗号コード 登記名義人であることを証明するコード(目隠しシール)
不動産の所在 土地の住所、地番、家屋番号
登記の目的 所有権移転、所有権保存等
受付年月日・受付番号 登記手続きの日時・番号
登記名義人の氏名・住所 登記名義人の情報

(参考: 法務省

登記済証と登記識別情報の違いを比較

登記済証と登記識別情報の違いを改めて整理します。

比較項目 登記済証(旧制度) 登記識別情報(新制度)
発行時期 2004年以前 2005年以降
形式 朱印付き書面 12桁の暗号コード
秘匿方法 保管者の管理 目隠しシールまたは折り畳み式
法務局の関与 朱印押印 暗号コード発行
再発行 不可 不可
法的効力 登記名義人であることを証明 登記名義人であることを証明

(参考: オウチーノニュース

どちらも「登記名義人であることを証明する手段」であり、法的効力は同等です。自分の権利書がどちらの形式か確認し、適切に保管してください。

権利書を紛失したらどうなるか

権利書を紛失しても、所有権は失われません。ただし、売買・相続等の登記申請時に代替手段が必要になります。

代替手段①事前通知

事前通知は、法務局が登記名義人に通知書を送付し、本人確認後に登記を進める制度です。法務省によると、手順は以下の通りです。

  1. 司法書士が権利書なしで登記申請を行う
  2. 法務局が登記名義人の住所宛に「事前通知書」を送付
  3. 登記名義人が通知書に実印を押印し、印鑑証明書を添付して返送
  4. 法務局が本人確認後、登記手続きを進める

事前通知は費用がかからない代替手段ですが、通知書が届くまで2-3週間かかる場合があります。

代替手段②本人確認情報(司法書士・弁護士作成)

本人確認情報は、司法書士・弁護士が作成する本人確認書類です。登記申請時に提出することで、権利書の代替となります。

作成費用は数万円(司法書士・弁護士の報酬)かかりますが、事前通知より手続きが早く進む利点があります。

再発行はできない

登記済証・登記識別情報ともに再発行はできません。紛失した場合は、上記の代替手段を利用する必要があります。

権利書の保管方法と注意点

権利書は紛失・盗難を防ぐため、適切に保管する必要があります。

紛失・盗難を防ぐ保管方法

以下の方法で保管することを推奨します。

  • 金庫: 自宅の金庫で厳重に保管
  • 貸金庫: 銀行の貸金庫を利用(年間数千円~数万円)
  • 司法書士に預ける: 売買・相続時まで司法書士に預ける(有料の場合あり)

権利書は再発行できないため、紛失・盗難を防ぐことが最優先です。

目隠しシールは絶対に剥がさない

登記識別情報の目隠しシールは、絶対に剥がさないでください。一度剥がすと、12桁のコードが第三者に知られるリスクが高まります。

売買・相続時に司法書士が目隠しシールを剥がし、登記申請に使用します。自分で剥がす必要はありません。

売買・相続時の使い方

売買・相続等の登記申請時は、権利書の原本を司法書士に預けます。コピーでは登記申請できません

司法書士は権利書を元に登記申請を行い、手続き完了後に原本を返却します(登記識別情報は新たに発行されるため、旧権利書は返却される場合とされない場合があります)。

(参考: オウチーノニュース

まとめ

土地の権利書(登記済証・登記識別情報)は、登記名義人であることを証明する重要な書類です。2004年以前は登記済証(朱印付き書面)、2005年以降は登記識別情報(12桁の暗号コード)が交付されますが、法的効力は同等です。

権利書を紛失しても所有権は失われませんが、売買・相続時に代替手段(事前通知・本人確認情報)が必要になるため、金庫・貸金庫等で厳重に保管することが重要です。

登記識別情報の目隠しシールは絶対に剥がさず、売買・相続時まで保管してください。

個別具体的な登記手続きや権利書の取り扱いについては、司法書士または法務局に相談することを推奨します。

よくある質問

Q1権利書を紛失したら所有権は失われますか?

A1失われません。権利書(登記済証・登記識別情報)は登記名義人であることを証明する手段であり、紛失しても所有権自体は失われません。ただし、売買・相続時に代替手段(事前通知・本人確認情報)が必要になります。事前通知は法務局が登記名義人に通知書を送付し、本人確認後に登記を進める制度です。本人確認情報は司法書士・弁護士が作成する書類で、数万円の費用がかかります。

Q2権利書は再発行できますか?

A2できません。登記済証・登記識別情報ともに再発行は不可です。紛失した場合は、事前通知または本人確認情報(司法書士・弁護士作成、数万円)で代替する必要があります。事前通知は費用がかかりませんが、通知書が届くまで2-3週間かかる場合があります。本人確認情報は費用がかかりますが、手続きが早く進む利点があります。再発行できないため、金庫・貸金庫等で厳重に保管することが重要です。

Q3登記識別情報の目隠しシールを剥がしてしまったらどうなりますか?

A3失効する可能性があります。12桁のコードが第三者に知られると悪用リスクがあるため、目隠しシールは絶対に剥がさないでください。売買・相続時に司法書士が目隠しシールを剥がし、登記申請に使用します。自分で剥がす必要はありません。万一剥がしてしまった場合は、法務局に相談してください。12桁のコードを第三者に知られないよう、厳重に保管することが重要です。

Q4権利書のコピーでも登記申請できますか?

A4できません。売買・相続等の登記申請時は原本が必要です。コピーでは登記名義人であることを証明できないため、必ず原本を司法書士に預けてください。司法書士は権利書を元に登記申請を行い、手続き完了後に原本を返却します(登記識別情報は新たに発行されるため、旧権利書は返却される場合とされない場合があります)。原本は再発行できないため、紛失しないよう注意してください。

Q5登記済証と登記識別情報、どちらが有効ですか?

A5両方とも有効です。発行時期(2004年以前vs2005年以降)によって形式が異なるだけで、法的効力は同等です。登記済証は朱印付き書面、登記識別情報は12桁の暗号コード(目隠しシール)という違いがありますが、どちらも「登記名義人であることを証明する手段」として機能します。自分の権利書がどちらの形式か確認し、適切に保管してください。