リフォーム時の住宅ローン控除完全ガイド|適用条件・手続き・節税効果

公開日: 2025/10/27

リフォームでも住宅ローン控除は適用できる

リフォームを検討する際、「住宅ローン控除は使えるのか」と疑問に思う方は少なくありません。

この記事では、リフォーム時の住宅ローン控除の適用条件、対象工事の種類、手続き方法を国税庁国土交通省の公式情報を元に解説します。

リフォームでも正しく条件を満たせば、所得税の控除を受けられることを理解できます。

この記事のポイント

  • リフォームでも住宅ローン控除は適用可能だが、ローン期間10年以上・工事費用100万円超等の要件を満たす必要がある
  • 対象工事は省エネ改修・バリアフリー改修・耐震改修等の特定工事に限定される
  • 控除率は0.7%で、控除期間は10年、借入限度額は最大2,000万円(特定増改築等)
  • 確定申告が1年目に必須で、2年目以降は年末調整で手続き可能
  • 補助金・助成金との併用は可能だが、補助金額を工事費用から差し引いた額で控除額を計算する

リフォーム時の住宅ローン控除の適用条件

ローン期間・工事費用の基本要件

リフォームで住宅ローン控除を受けるには、以下の3つの基本要件を満たす必要があります。

要件 内容
ローン期間 10年以上の住宅ローン(有担保)を利用
工事費用 100万円超(バリアフリー・省エネ改修は一部50万円超も対象)
工事種別 増改築・省エネ改修・バリアフリー改修・耐震改修等

(出典: 国税庁

リフォームローンと住宅ローンの違いに注意が必要です。リフォームローンは無担保・短期(5-15年)で金利が高め(2-5%)ですが、住宅ローンは有担保・長期(10-35年)で金利が低い(0.5-1.5%)ため、住宅ローン控除を受けるには後者を利用する必要があります。

適用可能な工事の種類

国土交通省によると、住宅ローン控除の対象となるリフォーム工事は以下の種類に限定されます。

  • 増改築・改築: 床面積の増加、間取り変更等
  • 大規模修繕: 屋根・壁・床等の過半の修繕
  • 省エネ改修: 断熱窓への交換、外壁断熱、太陽光発電設置等
  • バリアフリー改修: 手すり設置、段差解消、廊下幅拡張等
  • 耐震改修: 1981年以前建築の住宅の耐震補強

2024年時点では、これらの工事であっても、工事費用100万円超の要件を満たす必要があります。ただし、バリアフリー改修・省エネ改修の特例では、一部50万円超の工事も対象となる場合があります。

新築購入時の控除との違い

2024年(令和6年)時点では、リフォームと新築購入では、控除率は同じ0.7%ですが、控除期間と借入限度額が異なります。

項目 新築認定住宅 リフォーム(特定増改築等)
控除率 0.7% 0.7%
控除期間 13年 10年
借入限度額 最大5,000万円 最大2,000万円
最大控除額 455万円 140万円

(出典: 国税庁

新築購入時と比較すると、リフォームは控除期間が短く、借入限度額も低いため、控除額は相対的に少なくなります。

対象となるリフォーム工事の種類と控除額

省エネ改修(断熱改修・太陽光発電等)

省エネ改修は、住宅の断熱性能を向上させる工事で、以下の工事が対象となります。

  • 窓の断熱改修: 複層ガラス・断熱サッシへの交換
  • 外壁・屋根・床の断熱改修: 断熱材の追加・交換
  • 太陽光発電システムの設置: 省エネ性能の向上

省エネ改修の場合、省エネ基準適合が要件となり、工事完了後に「増改築等工事証明書」が必要です。借入限度額は最大2,000万円、控除期間は10年です。

バリアフリー改修(手すり・段差解消等)

バリアフリー改修は、高齢者や障害者の生活を支援する工事で、以下の工事が対象となります。

  • 手すりの設置: 廊下・階段・浴室等
  • 段差の解消: 床の段差をなくす工事
  • 廊下幅の拡張: 車椅子での移動を容易にする
  • 出入口の戸の改良: 引き戸への変更等

バリアフリー改修の場合、本人または同居家族が50歳以上、要介護認定、障害者等の要件を満たす必要があります。借入限度額は最大2,000万円です。

耐震改修(1981年以前の住宅)

耐震改修は、1981年(昭和56年)以前に建築された住宅の耐震性能を向上させる工事で、以下の工事が対象となります。

  • 耐震診断: 建物の耐震性能を診断
  • 耐震補強: 壁の補強、基礎の補強、屋根の軽量化等

耐震改修の場合、改修後に現行の耐震基準に適合する必要があり、建築士等による証明書が必要です。借入限度額は最大2,000万円です。

住宅ローン控除の手続き方法と必要書類

確定申告の流れ

リフォームで住宅ローン控除を受けるには、1年目は確定申告が必須です。確定申告は、工事完了の翌年の2月16日~3月15日に行います。

確定申告の手順:

  1. 必要書類を準備
  2. 「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成
  3. 確定申告書に添付して税務署に提出
  4. 所得税の還付(1-2ヶ月後)

必要書類の準備

確定申告に必要な書類は以下の通りです。

書類 取得先
住宅借入金等特別控除額の計算明細書 国税庁ホームページからダウンロード
増改築等工事証明書 工事業者(建築士・指定確認検査機関が発行)
住宅ローンの残高証明書 金融機関(年末時点)
登記事項証明書 法務局
工事請負契約書の写し 工事業者
源泉徴収票 勤務先(給与所得者の場合)

(出典: 国税庁

特に「増改築等工事証明書」は、省エネ改修・バリアフリー改修・耐震改修の要件を満たすことを証明する重要書類です。工事業者に依頼して発行してもらう必要があります。

2年目以降の手続き(年末調整)

給与所得者の場合、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の手続きが可能です。

年末調整に必要な書類:

  • 「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」(税務署から郵送)
  • 住宅ローンの残高証明書(金融機関から郵送)

これらの書類を勤務先に提出するだけで、所得税の還付を受けられます。自営業者・フリーランスの場合は、毎年確定申告が必要です。

補助金・助成金との併用可能性

リフォーム工事では、国土交通省や各自治体の補助金・助成金制度を利用できる場合があります。

主な補助金制度:

  • 長期優良住宅化リフォーム推進事業: 性能向上リフォームに最大250万円
  • こどもエコすまい支援事業: 省エネ改修に最大60万円
  • 耐震改修補助: 各自治体が独自に設定(10-100万円程度)

住宅ローン控除と補助金は併用可能ですが、補助金額を工事費用から差し引いた額で控除額を計算する点に注意が必要です。

計算例:

  • 工事費用: 200万円
  • 補助金: 50万円
  • 控除対象額: 200万円 - 50万円 = 150万円
  • 控除額(年間): 150万円 × 0.7% = 10,500円

補助金を活用することで、実質的な負担を大幅に減らせるため、各制度を積極的に確認することをおすすめします。

まとめ:リフォーム時の住宅ローン控除を活用しよう

リフォームでも住宅ローン控除は適用可能ですが、①ローン期間10年以上、②工事費用100万円超、③特定の工事種別(省エネ・バリアフリー・耐震等)の3要件を満たす必要があります。

控除率は0.7%、控除期間は10年、借入限度額は最大2,000万円で、確定申告の手続きが必要です。補助金・助成金との併用で節税効果をさらに高められるため、工事前に各制度を確認することが重要です。

税理士や金融機関に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1リフォームローンと住宅ローンの違いは?

A1リフォームローンは無担保・短期(5-15年)で金利が高め(2-5%)です。一方、住宅ローンは有担保・長期(10-35年)で金利が低い(0.5-1.5%)ため、住宅ローン控除を受けるには、ローン期間10年以上の住宅ローン(有担保)を利用する必要があります。リフォームローンでは住宅ローン控除の対象外となるため注意が必要です。

Q2新築購入時の住宅ローン控除との違いは?

A2控除率は同じ0.7%ですが、控除期間と借入限度額が異なります。新築認定住宅は控除期間13年・借入限度額最大5,000万円で最大控除額455万円です。一方、リフォームは控除期間10年・借入限度額最大2,000万円で最大控除額140万円です。詳細は国税庁の最新制度を確認してください。

Q3工事費用100万円未満のリフォームは控除を受けられない?

A3原則として工事費用100万円超が要件ですが、バリアフリー改修・省エネ改修の特例で一部50万円超の工事も対象になるケースがあります。ただし、本人または同居家族が50歳以上、要介護認定等の条件を満たす必要があります。詳細は税務署または税理士に確認することをおすすめします。

Q4中古住宅を購入してリフォームした場合は控除を受けられる?

A4可能です。中古住宅の購入資金とリフォーム資金を合わせて住宅ローンを組んだ場合、合計額に対して控除を受けられます。ただし、中古住宅の築年数要件(1982年以降建築または耐震基準適合)を満たす必要があります。借入限度額は最大3,000万円、控除期間は10年です。

Q5住宅ローン控除と補助金は併用できる?

A5併用可能です。ただし、補助金額を工事費用から差し引いた額で控除額を計算します。例えば、工事費用200万円、補助金50万円の場合、控除対象は150万円となります。補助金を活用することで実質的な負担を減らせるため、国土交通省や各自治体の制度を積極的に確認することをおすすめします。