住宅ローン仮審査と本審査の違いを理解する重要性
住宅ローンを組む際、「仮審査に通ったから安心」と考える方は少なくありません。しかし、仮審査はあくまで「事前の見込み確認」であり、本審査が「正式な融資判断」となります。
この記事では、住宅ローンの仮審査と本審査の違い、それぞれの審査内容、通過のポイントを、住宅金融支援機構や金融機関の公式情報を元に解説します。
仮審査通過後でも本審査で落ちる可能性(約5%)があるため、審査期間中の注意点を正しく理解することが重要です。
この記事のポイント
- 仮審査は融資可能性の簡易確認(3~7日)、本審査は正式な融資判断(1~3週間)
- 仮審査は申告ベース、本審査は書類精査・物件評価・担保価値の確認を実施
- 仮審査通過後でも本審査で落ちる確率は約5%(転職・新規借入・申告内容の不一致等が原因)
- 審査期間中は転職・新規借入を避け、申告内容と書類を一致させることが重要
- 物件の担保価値や団体信用生命保険の加入可否も事前に確認すべき
仮審査(事前審査)とは:融資可能性の簡易確認
仮審査は、住宅ローンの申込者が融資を受けられる見込みがあるかを確認する簡易的な審査です。三井住友銀行によると、仮審査では年収・勤務先・既存借入状況を申告ベースで確認し、融資の可能性を判断します。
仮審査の目的:概算の返済能力を確認
仮審査の主な目的は、申込者の返済能力を概算で確認することです。金融機関は、申告された年収や勤務先情報を基に、融資可能額の目安を算出します。
この段階では、詳細な書類提出は不要で、身分証明書や収入証明書(源泉徴収票等)程度で審査が進みます。
審査項目:年収・勤務先・借入状況(申告ベース)
仮審査では以下の項目が確認されます。
- 年収: 返済能力の基準となる年収を確認
- 勤務先: 勤続年数や雇用形態(正社員・契約社員等)を確認
- 既存借入状況: 他社からの借入額や返済状況を確認
- 信用情報: 信用情報機関(JICC、CIC等)への照会で過去の延滞履歴をチェック
申告内容と実態が異なる場合、本審査で問題となるため、正確な情報を提供することが重要です。
審査期間:3~7日程度
仮審査の結果は、申込から3~7日程度で通知されます。結果は「融資可能見込み」という位置づけであり、本審査が最終的な融資判断となります。
本審査とは:正式な融資可否の最終判断
本審査は、仮審査を通過した申込者に対して、正式な融資契約に向けた最終判断を行う審査です。住宅金融支援機構の基準によると、本審査では提出書類の精査、物件の担保価値評価、団体信用生命保険への加入審査が実施されます。
本審査の目的:融資実行の最終決定
本審査は、融資を実行するかどうかの最終決定を行う重要な段階です。仮審査では申告ベースで確認していた内容を、正式な書類で精査し、融資の可否を確定します。
審査項目:書類精査・物件評価・担保価値の確認
本審査では、以下の項目が詳細に確認されます。
| 審査項目 | 内容 |
|---|---|
| 書類精査 | 源泉徴収票・住民票・売買契約書等を基に、申告内容と実態の整合性を確認 |
| 物件評価 | 購入予定の物件が融資に適しているかを評価(違法建築・再建築不可は融資不可) |
| 担保価値 | LTV(融資額÷担保評価額)を計算し、融資リスクを判断 |
| 団体信用生命保険 | 健康状態を審査し、保険への加入可否を判定 |
金融庁の報告によると、金融機関は担保価値(LTV)やDTI(年間返済額÷年収)を重視しており、これらが基準を満たさない場合、融資が不可となる可能性があります。
審査期間:1~3週間程度
本審査の結果は、申込から1~3週間程度で通知されます。金融機関や申込状況により期間は前後しますが、仮審査よりも時間がかかるのが一般的です。
仮審査と本審査の違いを比較
仮審査と本審査は、目的・確認項目・必要書類・期間が大きく異なります。住信SBIネット銀行の説明によると、仮審査は「見込み」、本審査は「確定」という位置づけです。
審査の目的・確認項目・必要書類・期間の違い
| 項目 | 仮審査 | 本審査 |
|---|---|---|
| 目的 | 融資可能性の確認 | 融資実行の最終決定 |
| 確認項目 | 年収・勤務先・借入状況(申告ベース) | 書類精査・物件評価・担保価値・団体信用生命保険 |
| 必要書類 | 身分証明書・収入証明書(源泉徴収票等) | 源泉徴収票・住民票・売買契約書・物件資料等 |
| 期間 | 3~7日程度 | 1~3週間程度 |
| 結果の性質 | 見込み | 確定 |
仮審査は「見込み」、本審査は「確定」
仮審査はあくまで融資の可能性を示す「見込み」であり、本審査が最終的な融資判断となります。そのため、仮審査通過後でも本審査で落ちる可能性があることを理解しておく必要があります。
仮審査通過後に本審査で落ちるケース
仮審査を通過しても、本審査で落ちる確率は約5%程度です。auじぶん銀行やモゲチェックの情報によると、主な理由は以下の通りです。
申告内容と書類の不一致
仮審査では申告ベースで審査が進むため、本審査で提出した書類と申告内容が異なる場合、融資が不可となります。
よくある不一致の例
- 年収の誤記載(残業代・ボーナスを含めて過大申告)
- 勤務先の変更(審査中に転職した場合)
- 借入状況の申告漏れ(他社からの借入を忘れていた)
審査期間中の状況変化(転職・新規借入・収入減少)
審査期間中に以下のような状況変化があると、本審査で落ちる可能性が高まります。
- 転職: 勤務先が変わると、審査のやり直しや融資不可となる
- 新規借入: 車のローンやクレジットカードの分割払いを新たに開始すると、返済負担率が上昇し、融資額が減額または不可となる
- 収入減少: 賞与カットや残業減少で収入が減ると、返済能力が低下したと判断される
物件の担保価値の問題
購入予定の物件が以下の条件に該当する場合、担保価値が低いと判断され、融資が不可となる可能性があります。
- 違法建築: 建築基準法に違反した物件
- 再建築不可: 建て替えができない物件(接道義務を満たさない等)
- 担保価値が低い: 物件の評価額が融資額を大きく下回る場合
団体信用生命保険の加入不可
団体信用生命保険(団信)への加入は原則必須です。健康状態により保険に加入できない場合、融資が不可となる可能性があります。
健康に不安がある場合は、引受条件緩和型の「ワイド団信」や、団信が任意加入のフラット35を検討することも選択肢の一つです。
審査通過のポイント:準備すべき書類とNG行為
本審査をスムーズに通過するためには、事前の準備と審査期間中の行動管理が重要です。
事前に準備すべき書類(源泉徴収票・住民票・売買契約書)
本審査では以下の書類が必要となります。事前に準備しておくことで、審査をスムーズに進められます。
主な必要書類
- 源泉徴収票(直近1~3年分)
- 住民票(家族全員分)
- 売買契約書(物件の契約書)
- 物件資料(登記事項証明書、建物図面等)
- 本人確認書類(運転免許証・パスポート等)
申告内容と書類の内容を一致させることが、審査通過の大前提となります。
審査期間中のNG行為(転職・新規借入・クレジットカードの延滞)
審査期間中は、以下の行為を避けることが重要です。
- 転職: 融資実行まで転職は避ける(融資実行後に転職するのが安全)
- 新規借入: 車のローン・クレジットカードの分割払いを開始しない
- クレジットカードの延滞: 支払い遅延は信用情報に傷がつくため厳禁
- 大きな買い物: 家具・家電等の大型購入は融資実行後に
まとめ:仮審査は「見込み」、本審査が「最終判断」
住宅ローンの仮審査は融資可能性の簡易確認(3~7日)、本審査は正式な融資判断(1~3週間)であり、それぞれの目的・審査項目・期間が大きく異なります。
仮審査通過後でも本審査で落ちる可能性(約5%)があるため、審査期間中は転職・新規借入を避け、申告内容と書類を正確に一致させることが重要です。
物件の担保価値や団体信用生命保険の加入可否も事前に確認し、スムーズな審査通過を目指しましょう。不明点があれば、金融機関や住宅ローンアドバイザーに相談することをおすすめします。
