住宅ローン金利推移(過去10年)と今後の見通し【2025年最新】

公開日: 2025/11/6

住宅ローン金利推移の過去10年(2015-2025年):今後の選択に活かすポイント

住宅ローンを検討する際、「過去の金利はどう動いてきたのか」「今後はどうなるのか」と気になる方は多いでしょう。

この記事では、過去10年(2015-2025年)の住宅ローン金利推移を、日本銀行・住宅金融支援機構の公式データをもとに解説します。主要なイベント(マイナス金利導入・解除等)と金利への影響、今後の見通しと金利タイプの選び方まで、わかりやすく説明します。

この記事のポイント

  • 過去10年は超低金利が継続(変動0.4-0.5%前後、フラット35 1.0-1.5%前後)
  • 2016年マイナス金利導入で史上最低水準、2024年解除で若干上昇も歴史的には依然低水準
  • 今後の見通しは不確実で、複数シナリオを想定した資金計画が重要
  • 変動・固定の選択は家族構成・リスク許容度を考慮して判断する

過去10年の住宅ローン金利推移グラフ(2015-2025年)

過去10年の住宅ローン金利は、全体として超低金利が続いてきました。日本銀行の統計によると、変動金利の基準となる短期プライムレートは0.4-0.5%前後で安定推移しています。一方、固定金利の基準となるフラット35は1.0-1.5%の間で変動しており、2016年に最低1.0%台を記録した後、2025年時点では1.8-1.9%台へ上昇しています。

変動金利の推移(0.4-0.5%前後で安定)

変動金利は短期プライムレートに連動します。2015年から2025年にかけて、大きな変動はなく0.4-0.5%前後で安定しています。2024年3月にマイナス金利政策が解除された後も、大幅な上昇は見られていません。ただし、金融機関が提示する優遇金利込みの実際の適用金利は、0.3%台から0.7%台まで金融機関により差があります。

フラット35(固定金利)の推移(1.0-1.5%で変動)

フラット35は長期金利(新発10年物国債の利回り)に連動します。2016年に1.0%台の史上最低水準を記録した後、2020年代に入ると緩やかに上昇。2022年以降は日銀の長期金利操作(YCC)運用見直しの影響で1.5%を超え、2024年のマイナス金利解除後は1.8-1.9%台で推移しています。変動金利と比較すると金利水準は高めですが、返済額が確定する安心感があります。

金融機関別の金利差

イー・ローンのデータによると、メガバンク・ネット銀行・地方銀行で金利差があります。ネット銀行は店舗コストを抑えているため、変動金利0.3%台の商品もあります。一方、メガバンクは0.5-0.6%台、地方銀行は0.6-0.7%台が一般的です。固定金利も同様に金融機関により0.2-0.5%程度の差があるため、複数社の比較が重要です。

過去10年の主要イベントと金利への影響

過去10年の金利推移には、日本銀行の金融政策が大きく影響してきました。

2016年マイナス金利政策導入(史上最低水準へ)

2016年1月、日本銀行はマイナス金利政策を導入しました。金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス金利(-0.1%)を適用し、市中への貸出を促進する狙いです。この政策により、住宅ローン金利は史上最低水準に低下。変動金利は0.4%台前半、フラット35は1.0%台まで下がりました。

2020年コロナ対策(超低金利継続)

2020年の新型コロナウイルス感染拡大に対し、日銀は金融緩和を継続しました。政策金利は据え置かれ、住宅ローン金利も超低金利が維持されました。この時期、多くの人が低金利を活かして住宅購入や借り換えを実行しています。

2022年長期金利上昇(YCC運用見直し)

2022年、日銀は長期金利の上限を0.25%から0.5%へ引き上げました(YCC運用見直し)。これにより長期金利が上昇し、フラット35の金利も1.5%を超える水準へ上昇。変動金利は影響が限定的でしたが、固定金利を検討する人にとっては負担増となりました。

2024年マイナス金利解除(若干上昇)

2024年3月、日本銀行の発表によると、マイナス金利政策を解除し、政策金利を0-0.1%程度に引き上げました。これにより変動金利・固定金利ともに若干上昇しましたが、歴史的に見れば依然として低水準です。住宅金融支援機構は「金利のある世界」への移行を指摘していますが、急激な上昇ではなく緩やかな調整が続いています。

今後の金利見通しと3つのシナリオ

今後の住宅ローン金利は、日本銀行の金融政策・経済環境・海外金利動向により変動するため、将来を正確に予測することはできません。ここでは3つのシナリオを提示します。

現状維持シナリオ(緩和継続・低金利維持)

日銀が追加利上げを慎重に進め、金融緩和を継続する場合、変動金利は0.5-0.7%前後、フラット35は1.8-2.0%前後で推移する可能性があります。このシナリオでは、現在の低金利環境がしばらく続くため、変動金利のメリットを活かしやすくなります。

段階的上昇シナリオ(日銀の政策正常化)

日銀が段階的に利上げを進める場合、年0.1-0.3%程度ずつ金利が上昇する可能性があります。変動金利は数年で1.0%前後、フラット35は2.5%前後へ上昇するかもしれません。このシナリオでは、変動金利の返済額が徐々に増えるため、繰上返済や固定金利への借り換えを検討する必要が出てきます。

急上昇シナリオ(インフレ加速)

国内外でインフレが加速し、日銀が大幅な利上げを迫られる場合、年0.5%以上の上昇もあり得ます。このシナリオでは、変動金利の返済額が急増するリスクがあり、125%ルール(返済額は直前の1.25倍までしか増えない仕組み)でも利息未払いが発生する可能性があります。ただし、このシナリオは現時点では可能性が低いとされています。

金利推移を踏まえた金利タイプの選び方

過去10年の金利推移を参考に、変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきかを考えましょう。

変動金利のメリット・デメリット(低金利だが上昇リスク)

変動金利は0.4-0.5%前後と低金利で、月々の返済額を抑えられます。ただし、将来金利が上昇すると返済額が増えるリスクがあります。125%ルールにより返済額の急増は防げますが、金利上昇分が元本に組み込まれる「未払い利息」が発生する可能性もあります。リスク許容度が高い方、繰上返済で早期完済を目指す方に向いています。

固定金利のメリット・デメリット(返済額確定だが金利高め)

固定金利(フラット35等)は1.8-1.9%前後で、返済額が確定するため家計管理がしやすくなります。金利上昇リスクを回避できる一方、変動金利より金利が高く、総返済額が増える可能性があります。家族構成が安定している方、教育費等の支出計画を立てたい方に向いています。

金利タイプ選択の判断基準

住宅金融普及協会によると、以下の基準で判断することが推奨されています。

  • リスク許容度が高い: 変動金利を選び、金利上昇時は繰上返済・借り換えで対応
  • リスク許容度が低い: 固定金利を選び、返済額を確定して安心感を得る
  • 中間: ミックスローン(変動と固定を組み合わせ)で両方のメリットを活用

どちらが正解というわけではなく、家族構成・収入の安定性・将来の支出計画に応じて選ぶことが重要です。

まとめ:過去10年は超低金利、今後の選択は不確実性を考慮

過去10年(2015-2025年)の住宅ローン金利は、マイナス金利政策の導入により史上最低水準を記録し、超低金利が継続してきました。2024年のマイナス金利解除で若干上昇したものの、歴史的に見れば依然として低水準です。

今後の見通しは不確実で、緩和継続・段階的上昇・急上昇の3つのシナリオが考えられます。変動金利と固定金利のどちらを選ぶかは、家族構成・リスク許容度・将来の支出計画を考慮して判断しましょう。

金融機関の試算ツールを活用し、複数社を比較することをおすすめします。専門家(ファイナンシャルプランナー)への相談も有効です。

よくある質問

Q1過去10年で住宅ローン金利が最も低かったのはいつですか?

A1変動金利は2016年のマイナス金利導入後に0.4%台前半を記録しました。フラット35は2016年8月に0.9%を記録し、これが過去10年の最低水準です。2024年3月にマイナス金利が解除された後は若干上昇していますが、歴史的に見れば依然として低水準が続いています。

Q2変動金利と固定金利の推移に違いはありますか?

A2変動金利は短期プライムレートに連動し、0.4-0.5%前後で安定推移してきました。一方、固定金利(フラット35)は長期金利に連動し、1.0-1.5%の間で変動が大きく、2022年以降の長期金利上昇により1.8-1.9%台へ上昇しています。変動金利は政策金利の影響を受けやすく、固定金利は市場の長期金利の影響を受けやすい点が違いです。

Q3今後住宅ローン金利は上がりますか?

A3将来の金利を正確に予測することはできません。日銀の政策正常化により段階的に上昇する可能性がある一方、緩和継続なら低金利が維持される可能性もあります。緩和継続・段階的上昇・急上昇の3つのシナリオを想定し、リスク許容度に応じて変動・固定を選択することが推奨されます。専門家やファイナンシャルプランナーへの相談も検討しましょう。

Q4借り換えのベストなタイミングはいつですか?

A4一般的には、金利差1%以上、残高1000万円以上、残期間10年以上が借り換えメリットの目安とされています。ただし、事務手数料・保証料・登記費用で30-100万円かかるため、手数料込みで試算が必須です。2025年は固定金利が上昇傾向にあるため、変動金利から固定金利への借り換えを検討する好機の可能性があります。金融機関の試算ツールを活用しましょう。