住宅ローン金利は今後どうなる?専門家の見通しと対策

公開日: 2025/10/27

住宅ローン金利は今後どうなる?

住宅購入を検討する際、「これから住宅ローン金利はどうなるのか」と不安に感じる方は少なくありません。特に変動金利でローンを組んでいる方、またはこれから組む方にとって、金利動向は返済計画に大きく影響します。

この記事では、住宅ローン金利の今後の見通しと対策を、日本銀行住宅金融支援機構の公式情報を元に解説します。

専門家の見解を公平に紹介し、金利上昇・横ばい・低下の各シナリオに応じた具体的な対策まで分かるようになります。

この記事のポイント

  • 日銀は2025年1月に政策金利を0.5%へ引き上げ、3月・5月は据え置き
  • 専門家の見解は金利上昇・横ばい・低下の複数シナリオに分かれる
  • 変動金利には5年ルール・125%ルールがあるが、未払利息のリスクに注意
  • 金利上昇に備えるには、固定金利への借り換え・繰上返済・返済計画の見直しが有効
  • 将来の金利動向を確実に予測することは不可能、複数の選択肢を準備しておくことが重要

住宅ローン金利の現状(2025年時点)

日銀の金融政策と金利の関係

日本銀行は金融政策の操作目標として「政策金利」を設定しています。この政策金利が変動すると、銀行の短期プライムレート(優良企業向けの短期貸出金利)が連動し、変動金利型住宅ローンにも影響します。

2025年1月の金融政策決定会合で、日銀は政策金利を0.25%から0.5%へ引き上げました。3月・5月の会合では据え置きとなっています。

一方、固定金利型住宅ローンは長期金利(10年国債利回り)を基準としており、海外金融情勢の影響を受けやすい特徴があります。

変動金利と固定金利の違い

住宅ローンには主に以下の2つのタイプがあります。

金利タイプ 基準 メリット デメリット
変動金利 短期プライムレート 金利が低い 金利上昇リスクがある
固定金利 長期金利(10年国債利回り) 返済額が確定 金利が高い

変動金利型には「5年ルール」(返済額の見直しが5年ごと)と「125%ルール」(返済額の増額幅を前回の1.25倍までに制限)がありますが、これらは元本が減らないリスクを完全に防ぐものではありません。金利が急上昇した場合、利息の支払いだけで精一杯になり、元金がほとんど減らない「未払利息」が発生する可能性があります。

専門家による今後の金利見通し

金利上昇シナリオ

大手シンクタンクのエコノミストレポートによると、2026年までに政策金利が1%に到達する可能性が指摘されています(ダイヤモンド不動産研究所)。

金利上昇の背景には、以下の要因があります。

  • 国内景気の回復
  • 物価上昇(インフレ)の継続
  • 日銀の金融政策正常化

ただし、「必ず金利は上がる」と断定することはできません。専門家の見解はあくまで予測であり、世界経済の動向や国内の経済状況により変わる可能性があります。

横ばい・低下シナリオ

一方で、金利が横ばいまたは低下する可能性を指摘する専門家もいます。

主な理由は以下の通りです。

  • 世界経済の不透明感(海外の景気後退リスク)
  • 国内の賃金上昇ペースが緩やか
  • 日銀が慎重な利上げ姿勢を継続

住宅金融支援機構は、「金利のある世界」での住宅ローン選びについて、複数の選択肢を比較検討することを推奨しています。

複数の専門家の見解を公平に

将来の金利動向を確実に予測することは不可能です。専門家の見解も「〜の可能性がある」「〜と見られている」という表現にとどまります。

読者の皆さまは、金利上昇・横ばい・低下の各シナリオを想定し、それぞれに応じた対策を準備しておくことが重要です。

過去の金利推移から見る今後の見通し

日本銀行の貸出約定平均金利の推移を見ると、住宅ローン金利は長期的に低水準で推移してきました。

しかし、2024年以降は金融政策の転換により、徐々に上昇基調に転じています。過去のデータから、以下のことが分かります。

  • 1990年代前半は金利が高水準(5%以上)
  • 2000年代以降は低金利時代(1%前後)
  • 2024年以降は政策金利の引き上げにより上昇傾向

過去の金利推移を参考にしつつも、現在の経済環境は当時と異なるため、過去のデータを単純に当てはめることはできません。

金利上昇時の具体的な対策

固定金利への借り換え

金利上昇リスクに備える最も直接的な対策は、変動金利から固定金利への借り換えです。

メリット:

  • 返済額が確定し、将来の金利上昇リスクを回避できる
  • 返済計画が立てやすくなる

デメリット:

  • 固定金利は変動金利より金利が高い
  • 借り換えには諸費用(手数料、登記費用等)がかかる

借り換えを検討する際は、現在の金利と固定金利の差、借り換え諸費用、残り返済期間を総合的に判断する必要があります。複数の金融機関の金利を比較し、シミュレーションを行うことをおすすめします。

繰上返済の活用

繰上返済は、通常の返済とは別に元金の一部を返済することで、総返済額を減らす方法です。

メリット:

  • 元金が減ることで、将来の利息負担を軽減
  • 返済期間を短縮できる(期間短縮型)
  • 毎月の返済額を減らせる(返済額軽減型)

注意点:

  • 繰上返済手数料がかかる場合がある
  • 手元資金が減るため、緊急時の備えとのバランスが重要

金利上昇局面では、少しでも元金を減らしておくことで、金利上昇の影響を軽減できます。

返済計画の見直し

金利上昇に備えて、現在の返済計画を見直すことも重要です。

  • 家計の見直し: 支出を削減し、返済余力を確保
  • 収入増の検討: 副業や転職等で収入を増やす
  • 返済シミュレーション: 金利が1%上昇した場合の返済額を試算

モゲチェックでは、日銀の追加利上げによる変動金利の予測と借り換えシミュレーションを提供しています。

まとめ:住宅ローン金利の今後への備え方

住宅ローン金利の今後の見通しは、金利上昇・横ばい・低下の複数シナリオに分かれており、専門家の見解も一致していません。将来を確実に予測することは不可能です。

大切なのは、各シナリオに応じた対策を準備しておくことです。固定金利への借り換え、繰上返済、返済計画の見直し等、自分の状況に合った方法を選びましょう。

金融機関や住宅ローン専門家に相談しながら、無理のない返済計画を立てることをおすすめします。

よくある質問

Q1変動金利は今後どのくらい上がりますか?

A1将来の金利動向を確実に予測することは不可能です。専門家の見解では、2026年までに政策金利が1%に到達する可能性が指摘されていますが、世界経済の動向や国内の経済状況により変わります。金利上昇・横ばい・低下の各シナリオを想定し、それぞれに応じた対策を準備しておくことが重要です。

Q25年ルール・125%ルールがあれば安心ですか?

A25年ルール(返済額の見直しが5年ごと)と125%ルール(返済額の増額幅を前回の1.25倍までに制限)は、急激な返済額の増加を防ぐ仕組みですが、金利上昇による利息負担を完全に防ぐものではありません。金利が急上昇した場合、利息の支払いだけで精一杯になり、元金がほとんど減らない「未払利息」が発生する可能性があります。

Q3固定金利への借り換えはいつするべきですか?

A3現在の変動金利と固定金利の差、借り換え諸費用、残り返済期間を総合的に判断する必要があります。一般的には、金利上昇局面の早い段階で検討することが有効とされていますが、個別の状況により異なります。複数の金融機関の金利を比較し、シミュレーションを行った上で判断することをおすすめします。

Q4フラット35と変動金利、どちらが有利ですか?

A4一概にどちらが有利とは言えません。フラット35は全期間固定金利のため返済額が確定し、金利上昇リスクを回避できますが、変動金利より金利が高めです。変動金利は金利が低い反面、金利上昇リスクがあります。自分のリスク許容度、返済期間、家計状況を考慮して選ぶことが重要です。住宅金融支援機構では、複数の選択肢を比較検討することを推奨しています。

Q5繰上返済は期間短縮型と返済額軽減型、どちらが良いですか?

A5期間短縮型は返済期間を短くし、総返済額を大きく減らせます。返済額軽減型は毎月の返済額を減らし、家計の負担を軽減できます。金利上昇局面では、元金を早く減らせる期間短縮型が有効とされていますが、家計の余裕がない場合は返済額軽減型を選ぶことも検討してください。