住宅ローンは変動金利と固定金利どっち?選び方を解説

公開日: 2025/11/6

住宅ローンは変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか?

住宅ローンを組む際、「変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか」と迷う方は少なくありません。

この記事では、変動金利と固定金利の基本的な違い、それぞれのメリット・デメリット、金利上昇リスクのシミュレーション、ミックスローンという選択肢まで、全国銀行協会住宅金融支援機構金融庁の公式情報を元に解説します。

「どちらが絶対に得」ということはなく、自分の収入・貯蓄・リスク許容度に合った選び方を理解することが重要です。

この記事のポイント

  • 変動金利は当初金利が低いが金利上昇リスクあり、固定金利は返済額確定だが当初金利が高い
  • 2025年時点の金利水準は変動0.3-0.4%、固定1.5-2.0%と差がある
  • 金利が1%上昇すると月々の返済額は約1.4万円増加(借入3,000万円・35年返済の場合)
  • 変動金利には5年ルール・125%ルールという保護措置があるが完全に保護されるわけではない
  • ミックスローン(変動+固定)でリスク分散する選択肢もある

変動金利と固定金利の基本的な違い

変動金利と固定金利は、金利の決まり方と返済額の変動有無が大きく異なります。

変動金利型:市場金利に連動、半年ごとに金利見直し

変動金利型は、市場金利(短期プライムレート)に連動して金利が変動するタイプです。全国銀行協会によると、半年ごとに金利が見直され、5年ごとに返済額が見直される仕組みです。

短期プライムレートとは、銀行が優良企業に貸し出す際の最優遇金利で、日本銀行の政策金利に連動します。金利が上昇すれば返済額も増加し、金利が下降すれば返済額も減少する可能性があります。

固定金利型:借入時の金利が返済終了まで変わらない(フラット35が代表例)

固定金利型は、借入時の金利が返済終了まで変わらないタイプです。住宅金融支援機構が提供するフラット35が代表例で、返済額が確定するため将来のライフプラン(教育費・老後資金)を立てやすいのが特徴です。

市場金利が上昇しても返済額は変わらず、金利上昇リスクから保護されます。ただし、市場金利が下降しても恩恵を受けられません。

2025年の金利水準:変動0.3-0.4%、固定1.5-2.0%

金融庁の実態調査(2025年1月)によると、2025年時点の金利水準は変動金利0.3-0.4%、固定金利1.5-2.0%と差があります。

変動金利が主流で、地域差はあるものの多くの金融機関で0.5-1.0%の範囲で提供されています。固定金利は変動金利より1%以上高い水準ですが、金利上昇リスクを避けたい方に選ばれています。

変動金利のメリット・デメリット

変動金利は当初金利が低いため総返済額を抑えられる可能性がありますが、金利上昇リスクがある点を理解しておく必要があります。

メリット:当初金利が低い、総返済額が少なくなる可能性

変動金利の最大のメリットは、当初金利が低い点です。三菱UFJ銀行の解説によると、金利が上昇しなければ総返済額が固定金利よりも少なくなります。

借入3,000万円、返済期間35年、金利0.5%の場合、月々の返済額は約7.8万円です。固定金利1.5%なら月々約9.2万円となり、毎月約1.4万円の差が出ます。

デメリット:金利上昇リスク、未払利息の発生リスク

一方で、金利が上昇すれば返済額も増加します。全国銀行協会によると、金利上昇により利息部分が返済額を超えた場合、未払利息が発生する可能性があります。

未払利息とは、金利上昇により利息部分が返済額を超えた場合に発生する未払いの利息で、後で支払う必要があります。

保護ルール:5年ルール・125%ルール(ただし完全に保護されるわけではない)

変動金利には2つの保護措置があります。

ルール 内容
5年ルール 金利が上昇しても、返済額は5年間変わらない(ただし利息と元金の内訳は変動)
125%ルール 5年後の返済額見直し時に、前回の返済額の1.25倍までしか上げられない

(出典: 全国銀行協会

ただし、これらのルールは返済額の急激な増加を防ぐものであり、金利上昇のリスクそのものを消すわけではありません。利息と元金の内訳は変動し、未払利息が発生するリスクがある点に注意が必要です。

固定金利のメリット・デメリット

固定金利は返済額が確定するため、将来の計画を立てやすい一方で、当初金利が高いというデメリットがあります。

メリット:返済額が確定、金利上昇リスクなし

固定金利の最大のメリットは、返済額が確定し、金利上昇リスクがない点です。住宅金融支援機構によると、市場金利が上昇しても返済額は変わらず、将来のライフプラン(教育費・老後資金)を立てやすくなります。

借入3,000万円、返済期間35年、金利1.5%の場合、月々の返済額は約9.2万円で35年間変わりません。金利が上昇しても返済額は増えないため、安心感があります。

デメリット:当初金利が高い、金利が下がっても恩恵なし

一方で、固定金利は当初金利が変動金利より1%以上高く設定されています。三井住友銀行の解説によると、金利が下がっても恩恵を受けられず、総返済額が高くなる可能性があります。

変動金利0.5%と固定金利1.5%を比較すると、35年間で総返済額に約600万円の差が出る可能性があります(金利が上昇しなかった場合)。

どちらを選ぶべきか:判断基準とミックスローンという選択肢

変動金利と固定金利のどちらを選ぶかは、自分の収入・貯蓄・リスク許容度に応じて判断することが重要です。

変動金利が向いている人:手元資金に余裕がある、短期返済予定

三菱UFJ銀行の解説によると、以下のような方に変動金利が向いています。

  • 手元資金に余裕があり、金利上昇に対応できる方
  • 10-15年で完済予定の方
  • 繰上返済を積極的に行う予定の方
  • 金利上昇リスクを許容できる方

固定金利が向いている人:返済額を確定したい、長期返済予定

住宅金融支援機構によると、以下のような方に固定金利が向いています。

  • 返済額を確定し、将来のライフプランを立てたい方
  • 30年以上の長期返済予定の方
  • 金利上昇リスクを避けたい方
  • 手元資金に余裕がなく、返済額の増加が家計に影響する方

ミックスローン:変動+固定でリスク分散

三井住友銀行の解説によると、変動金利と固定金利を組み合わせるミックスローンという選択肢もあります。

例えば、借入3,000万円のうち1,500万円を変動金利、1,500万円を固定金利にすることで、金利上昇リスクを分散しながら当初の返済額を抑えることができます。

ただし、2つのローンを組むため契約手数料が2倍かかる点、金融機関によっては取扱いがない点に注意が必要です。

まとめ:自分の収入・貯蓄・リスク許容度で判断しよう

変動金利は当初金利が低いが金利上昇リスクがあり、固定金利は返済額が確定するが当初金利が高いという特徴があります。「どちらが絶対に得」ということはなく、自分の収入・貯蓄・リスク許容度に合った選び方を理解することが重要です。

2025年の金利上昇環境下では、固定金利やミックスローンも検討する価値があります。金利が1%上昇すると月々の返済額は約1.4万円増加するため、将来の金利動向を予測するのではなく、どちらのシナリオでも対応できる計画を立てることが大切です。

個別具体的なアドバイスはファイナンシャルプランナーや金融機関に相談し、無理のない返済計画を立てましょう。

よくある質問

Q1変動金利から固定金利に途中で変更できますか?

A1変動金利期間中は変更可能ですが、固定金利期間中の変更はできません。借り換えという手段もありますが、手数料(数十万円)がかかるため、最初の選択が重要です。借り換えを検討する場合は、金融機関に諸費用を含めた総コストを確認しましょう。

Q2金利が1%上昇したら返済額はどのくらい増えますか?

A2借入3,000万円、返済期間35年、当初金利0.5%の場合、金利が1.5%に上昇すると月々の返済額は約7.8万円から約9.2万円に増加します(約1.4万円/月の増加、年間約17万円)。5年ルール・125%ルールにより返済額の急激な増加は防がれますが、未払利息が発生する可能性があります。

Q32025年以降、金利は上がり続けますか?

A3将来の金利動向は不確実性が高く予測不可能です。金融庁・日本銀行も明確な見通しを示していません。「今後金利は上がる/下がる」という前提ではなく、どちらのシナリオでも対応できる計画を立てることが重要です。手元資金に余裕を持ち、繰上返済の準備をしておくと安心です。

Q4ミックスローンのデメリットはありますか?

A42つのローンを組むため、契約手数料が2倍かかります。また、片方だけを繰上返済する等の細かい管理が必要になります。金融機関によっては取扱いがない場合もあるため、事前に確認しましょう。ただし、リスク分散のメリットは大きいため、選択肢として検討する価値があります。