住宅ローン控除とは
住宅ローンを利用して住宅を購入した方は、初年度のみ確定申告が必要です。2年目以降は勤務先の年末調整で控除を受けられますが、初年度だけは自分で手続きしなければなりません。
この記事では、住宅ローン初年度の確定申告に必要な書類、手続きの流れ、よくあるミスと対策を、国税庁・国土交通省の公式情報を元に解説します。
初めて確定申告する方でも、チェックリスト形式で迷わず手続きできるようになります。
この記事のポイント
- 住宅ローン控除は年末残高の0.7%を最大13年間控除できる制度
- 初年度のみ確定申告が必要、2年目以降は勤務先の年末調整で可能
- 必要書類は住民票・登記事項証明書・売買契約書・年末残高証明書等
- e-Taxと書面提出の2つの方法があり、e-Taxは還付が早い(約2~3週間)
- 確定申告期間は2月17日~3月17日だが、還付申告は1月1日から受付開始、5年以内なら申告可能
住宅ローン控除の基本的な仕組み
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用して住宅を取得・新築・増改築した場合、年末のローン残高の0.7%を所得税・住民税から最大13年間控除できる制度です。
国税庁によると、控除を受けるための主な要件は以下の通りです。
- 合計所得金額が2,000万円以下
- 住宅の床面積が50㎡以上(新築の場合)
- 住宅ローンの返済期間が10年以上
- 住宅の取得日から6ヶ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住している
初年度は確定申告で住宅の要件を確認し、控除額を計算し、税務署に登録する手続きが必要です。2年目以降は勤務先の年末調整で控除を受けられるため、初年度のみの手続きです。
ただし、年収2,000万円以上の会社員や個人事業主は2年目以降も確定申告が必要です。
初年度の確定申告に必要な書類
住宅ローン控除の確定申告には、以下の書類が必要です。入手先別に整理しました。
税務署で入手する書類
| 書類名 | 入手方法 | 
|---|---|
| 確定申告書 | 税務署の窓口、国税庁のウェブサイトからダウンロード、e-Taxで作成 | 
| (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 税務署の窓口、国税庁のウェブサイトからダウンロード | 
自治体で入手する書類
| 書類名 | 入手方法 | 
|---|---|
| 住民票の写し | 市区町村役場の窓口、コンビニ交付(マイナンバーカード必要) | 
金融機関から入手する書類
| 書類名 | 入手方法 | 
|---|---|
| 住宅ローンの年末残高証明書 | 金融機関から毎年10月頃に郵送される | 
法務局で入手する書類
| 書類名 | 入手方法 | 
|---|---|
| 登記事項証明書(建物・土地) | 法務局の窓口、オンライン申請 | 
売主・不動産会社から入手する書類
| 書類名 | 入手方法 | 
|---|---|
| 売買契約書のコピー | 契約時に受領した書類を使用 | 
| 源泉徴収票 | 勤務先から毎年1月頃に交付される | 
国税庁の公式サイトでは、住宅の区分別(認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅、その他の住宅)に必要な証明書類が異なるため、事前に確認することを推奨しています。
確定申告の手順(e-Tax・書面提出)
確定申告の方法は、e-Tax(電子申告)と書面提出の2つがあります。それぞれのメリット・デメリットを比較しました。
| 項目 | e-Tax | 書面提出 | 
|---|---|---|
| 申告方法 | パソコン・スマートフォンで24時間申告可能 | 税務署に郵送または持参 | 
| 添付書類 | 登記事項証明書等はPDFで提出 | 原本または写しを郵送・持参 | 
| 還付時期 | 約2~3週間 | 約1~2ヶ月 | 
| 必要なもの | マイナンバーカードまたはID・パスワード | 確定申告書一式 | 
e-Taxでの申告方法
e-Taxは国税庁の確定申告書等作成コーナーで手続きできます。マイナンバーカードとICカードリーダー(またはマイナンバーカード対応スマートフォン)があれば、自宅から24時間申告可能です。
マイナンバーカードがない場合は、税務署でID・パスワードを発行してもらうことで利用できます。
書面での申告方法
確定申告書を国税庁のウェブサイトからダウンロードし、手書きで記入します。必要書類を添付して税務署に郵送または持参します。
確定申告期間は2025年の場合2月17日~3月17日ですが、住宅ローン控除は還付申告のため、1月1日から受付開始、5年以内なら申告可能です。
証明書方式と調書方式の違い
2024年から調書方式が導入されました。調書方式では、金融機関が年末残高等のデータを税務署に直接送信するため、証明書方式より提出書類が少なくなります。
ただし、国税庁によると、初年度は証明書類の提出が必要です。調書方式に対応していない金融機関を利用している場合は、従来の証明書方式で申告します。
よくあるミスと対策
初年度の確定申告でよくあるミスと対策を整理しました。
書類不足で申告が受理されない
登記事項証明書や売買契約書等の添付書類が不足していると、申告が受理されません。三井住友銀行によると、事前にチェックリストを作成し、必要書類を漏れなく準備することが重要です。
不明点は税務署に事前確認することを推奨します。
記入ミスで控除額が減る
住宅ローンの年末残高や床面積の記入ミスがあると、控除額が実際より少なくなる場合があります。申告書を提出する前に、必ず見直しを行いましょう。
申告期限を過ぎてしまう
確定申告期間は2月17日~3月17日ですが、還付申告は1月1日から受付開始、5年以内なら申告可能です。期限を過ぎても還付申告は受け付けられますが、還付金の受取が遅れるため、期限内の申告を推奨します。
2年目以降は年末調整で可能
初年度の確定申告が完了すると、税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」がローン控除の適用年数分(最大13年分)まとめて送付されます。
2年目以降は、この申告書と金融機関から送付される年末残高証明書の2点を勤務先に提出するだけで、年末調整で控除を受けられます。
国税庁によると、還付金は12月または1月の給与に含まれます。年末調整を忘れた場合は、確定申告で5年さかのぼって申告できます。
ただし、年収2,000万円以上の会社員や個人事業主は2年目以降も確定申告が必要です。
2025年の制度変更点
国土交通省によると、2025年度税制改正後も住宅ローン控除の基本的な仕組みは変わりませんが、子育て世帯・若者夫婦世帯への借入限度額上乗せ措置が2025年も継続されます。
住宅の環境性能別に借入限度額が異なるため、事前に確認することをおすすめします。
| 住宅の区分 | 借入限度額 | 
|---|---|
| 認定住宅 | 5,000万円 | 
| ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 
| 省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 
| その他の住宅 | 3,000万円 | 
(出典: 国土交通省)
まとめ
住宅ローン初年度の確定申告は手間がかかりますが、2年目以降は年末調整で簡単に控除を受けられるため、初年度のみの手続きです。
必要書類を早めに準備し、期限(2月17日~3月17日、還付申告は1月1日から可能)を守ることを推奨します。e-Taxを利用すると還付が早く(約2~3週間)、書類の郵送も不要です。
不明点は税務署や税理士に相談しながら、確実に手続きを進めましょう。
