住宅ローンの融資実行日とは?決済日との違いと当日の流れ

公開日: 2025/11/11

住宅ローンの融資実行日とは

住宅購入の契約を進めている方にとって、「融資実行日」「決済日」「引渡日」という似た用語が混乱の原因となることがあります。

この記事では、融資実行日の定義、決済日・引渡日との違い、当日の流れ、必要な持ち物を、法務省の不動産登記制度や各金融機関の公式情報を元に解説します。

初めて住宅を購入する方でも、当日の流れを事前に把握し、安心して手続きを進められるようになります。

この記事のポイント

  • 融資実行日とは、金融機関から融資金が買主の口座に振り込まれる日
  • 決済日(売主への残代金支払日)・引渡日(鍵を受け取る日)と同日になる場合が多いが、新築マンション等では時期がずれる場合もある
  • 融資実行日は多くの金融機関で平日(銀行営業時間9-15時)に限定される
  • 当日は金融機関での融資実行手続き→残代金決済→所有権移転登記→鍵の引渡しという流れで、合計2-3時間程度かかる
  • 必要な持ち物は実印・印鑑証明書・本人確認書類等、書類不備があると手続きが延期となるリスクがある

融資実行日・決済日・引渡日の違い

融資実行日・決済日・引渡日は似た概念ですが、それぞれ異なる意味を持ちます。

融資実行日とは

融資実行日は、金融機関から住宅ローンの融資金が買主の口座に振り込まれる日です。通常は決済日・引渡日と同日ですが、新築マンション等では時期がずれる場合もあります。

決済日とは

決済日は、売主に残代金を支払う日です。買主の口座に融資金が入金された後、売主口座へ振込または現金で支払います。

引渡日とは

引渡日は、物件の鍵を受け取る日です。所有権移転登記が完了し、売主から買主へ物件の鍵や設備の取扱説明書等が渡されます。

3つが同日になるケースとならないケース

中古物件取引では、融資実行日・決済日・引渡日が同日になる場合が多いです。一方、新築マンション等では、建物完成前に売買契約を結ぶため、融資実行が先行し、完成後に引渡しとなる場合があります。つなぎ融資を利用するケースもあります。

融資実行日はいつになるのか

融資実行日のタイミングは、住宅ローン申込から金融機関のスケジュールまで複数の要因により決まります。

申込から融資実行までの期間

住宅ローン申込から融資実行まで、通常1-2ヶ月かかります。審査(事前審査・本審査)、契約書の準備、金融機関内部の手続き等に時間を要するためです。

金融機関による制限(平日のみ等)

多くの金融機関では、融資実行日を平日(銀行営業時間9-15時)に限定しています。土日祝日は金融機関が営業していないため、融資実行手続きや登記申請ができません。ただし、一部金融機関では対応可能な場合もあるため、事前に確認が必要です。

融資実行日の変更は可能か

融資実行日の変更は可能ですが、売主・買主・金融機関のスケジュール調整が必要で、全員の合意が前提となります。契約書に定められた決済期日を過ぎると契約違反となるリスクもあるため、早めに関係者へ相談することが重要です。

融資実行日当日の流れと所要時間

融資実行日当日は、複数の手続きを時系列で進めます。

時刻 手続き内容 所要時間 立会人
9:00-11:00 金融機関で本人確認・融資実行手続き 1-2時間 買主・金融機関担当者
11:00-12:00 売主へ残代金振込完了を確認 - 売主・買主・仲介業者
12:00-13:00 司法書士が所有権移転登記・抵当権設定登記を申請 30分-1時間 買主・売主・司法書士
13:00-14:00 鍵の引渡し・設備の取扱説明書受領 - 買主・売主

金融機関での融資実行手続き

金融機関で本人確認を行い、融資実行手続きを進めます。この手続きには1-2時間程度かかります。融資金が買主の口座に振り込まれたことを確認します。

残代金決済と所有権移転登記

売主へ残代金の振込が完了したことを確認します。司法書士が所有権移転登記・抵当権設定登記を法務局へ申請します。登記申請には30分-1時間程度かかります。

鍵の引渡しと最終確認

所有権移転登記が完了したことを確認し、売主から買主へ物件の鍵や設備の取扱説明書等が渡されます。物件の最終確認を行い、引渡しが完了します。

立会人は、売主・買主・不動産会社(仲介業者)・司法書士・金融機関担当者です。全体の所要時間は2-3時間程度です。

当日必要な持ち物と準備

融資実行日当日に必要な持ち物は多岐にわたります。書類不備があると手続きが延期となるリスクがあるため、事前に準備が重要です。

本人確認書類

以下のいずれかを準備してください。

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • パスポート(顔写真付き)

印鑑・印鑑証明書

以下を準備してください。

  • 実印
  • 印鑑証明書(発行3ヶ月以内)

その他の必要書類

以下を準備してください。

  • 通帳・キャッシュカード
  • 住民票(発行3ヶ月以内)
  • 火災保険証券
  • その他金融機関指定書類(金融機関により異なる)

金融機関から事前に送付される「持ち物リスト」を確認し、前日までに全て揃えることが重要です。書類忘れは手続き延期のリスクがあるため、チェックリストで確認してください。

まとめ:融資実行日は住宅購入の最終段階

融資実行日は住宅購入プロセスの最終段階であり、金融機関・売主・買主・司法書士・仲介業者が一堂に会する重要な日です。決済日・引渡日との違いを理解し、必要書類を事前に準備することで、当日をスムーズに進められます。

不安がある場合は、金融機関や仲介業者に事前相談することで、当日のトラブルを避けられます。準備を万全にして、新しい住まいでの生活をスタートさせましょう。

よくある質問

Q1融資実行日は土日祝日でも可能ですか?

A1多くの金融機関では平日(銀行営業時間9-15時)に限定されます。土日祝日は金融機関が営業していないため、融資実行手続きや登記申請ができません。ただし、一部金融機関では対応可能な場合もあるため、事前に確認が必要です。希望する場合は、住宅ローン申込時に金融機関へ相談してください。

Q2融資実行日に体調不良で欠席したらどうなりますか?

A2本人欠席は原則不可です。融資実行手続きには本人確認が必要で、代理人による手続きは認められないケースが多いです。やむを得ない事情がある場合は、速やかに金融機関・仲介業者へ連絡し、日程変更を相談する必要があります。契約書に定められた決済期日を過ぎると契約違反となるリスクもあります。

Q3融資実行日の変更は可能ですか?

A3可能ですが、売主・買主・金融機関のスケジュール調整が必要で、全員の合意が前提です。契約書に定められた決済期日を過ぎると契約違反となるリスクもあるため、早めに関係者へ相談することが重要です。変更希望の理由を明確にし、代替日程を複数提示することで、調整がスムーズになります。

Q4新築マンションの場合、融資実行日はいつですか?

A4新築マンションでは、建物完成前に売買契約を結ぶため、融資実行日と引渡日が数ヶ月ずれる場合が多いです。融資実行後、建物完成・検査完了を経て引渡しとなります。つなぎ融資を利用するケースもあります。具体的なスケジュールは、売主・金融機関へ確認してください。

Q5融資実行日当日、書類を忘れたらどうなりますか?

A5書類不備の場合、融資実行手続きを進められず、決済・引渡しが延期となる可能性が高いです。売主への違約金発生リスクもあるため、金融機関指定の書類リストを事前に確認し、前日までに全て揃えることが重要です。チェックリストを作成し、家族にも確認してもらうことで、書類忘れを防げます。