住宅ローン控除の年末調整の手続きを知りたい方へ
住宅ローンで住宅を購入した会社員の方にとって、「2年目以降は年末調整で手続きできると聞いたが書き方が分からない」「必要書類を確認したい」「期限に間に合うか心配」といった疑問は少なくありません。
この記事では、住宅ローン控除の年末調整の書き方、必要書類、提出期限、書類紛失時の対処法を解説します。
国税庁の公式ガイドを元に、2年目以降の手続きを分かりやすく説明します。
この記事のポイント
- 初年度は確定申告必須、2年目以降は会社員なら年末調整で手続き可能
- 必要書類は「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と「住宅ローン残高証明書」の2点のみ
- 控除額は年末残高の0.7%(2022年以降入居)、借入限度額は省エネ性能に応じて設定
- 提出期限(11月末-12月初旬)を過ぎても、翌年2-3月の確定申告で控除可能
住宅ローン控除と年末調整の関係
住宅ローン控除は、初年度(入居した年)は確定申告が必須ですが、2年目以降は会社員なら年末調整で手続き可能です。
年末調整で住宅ローン控除を受けるには、税務署から送付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と金融機関発行の「住宅ローン残高証明書」の2つの書類を勤務先に提出します。
本記事では、初年度と2年目以降の違い、必要書類、手続きの流れを解説します。
初年度は確定申告が必須|手続きの流れ
住宅ローン控除の初年度(入居した年の翌年2-3月)は会社員でも確定申告が必須です。
確定申告の期間と必要書類
確定申告の期間は入居翌年の2月16日~3月15日です。
必要書類:
- 確定申告書
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅ローン残高証明書(金融機関発行)
- 不動産売買契約書・工事請負契約書のコピー
- 登記事項証明書
- 源泉徴収票
(出典: 国税庁)
確定申告後に証明書が送付される
確定申告後、税務署から「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」が送付されます(控除を受ける残りの年数分がまとめて送付)。
送付時期:
- 初年度の確定申告後、10月頃に郵送
- 控除期間13年の場合、残り9年分(2年目~10年目)がまとめて届く
(出典: 住信SBIネット銀行)
この証明書を2年目以降の年末調整で使用します。
2年目以降は年末調整で手続き可能
2年目以降は、勤務先の年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。
年末調整で必要な書類
年末調整で住宅ローン控除を受けるには、以下の2つの書類を勤務先に提出します。
1. 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書
- 税務署から送付される書類(初年度の確定申告後、10月頃に9年分まとめて郵送)
- 該当年度の証明書を使用(例:2025年分なら「令和7年分」)
2. 住宅ローン残高証明書
- 金融機関が発行する、年末時点の残高を証明する書類
- 毎年10月中旬頃に郵送される
(出典: 国税庁)
この2つの書類を勤務先が指定する期限(通常11月末-12月初旬)までに提出します。
提出期限と注意点
提出期限:
- 勤務先が指定(通常11月末-12月初旬)
- 期限を過ぎると原則年末調整では控除不可
- ただし、翌年2-3月の確定申告で控除可能
注意点:
- 控除証明書は年度別に分かれているため、該当年度のものを使用
- 残高証明書は毎年10月頃に届くため、届いたら即座に保管
住宅ローン控除の仕組みと控除額の計算
住宅ローン控除は、年末時点の住宅ローン残高に応じて所得税・住民税が控除される制度です。
控除額と控除期間
控除率:
- 2022年以降入居分:年末残高×0.7%
- 2021年以前入居分:年末残高×1%
控除期間:
- 新築住宅・買取再販住宅:13年
- 中古住宅:10年
控除の上限:
- 年ごとに所得税から控除
- 控除しきれない分は住民税から控除(上限97,500円)
借入限度額(2024年以降入居)
借入限度額は、住宅ローン控除の計算基礎となる借入残高の上限です。2024年以降入居分は省エネ性能に応じて設定されています。
| 住宅の種類 | 借入限度額 | 最大控除額(13年間) | 
|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 5,000万円 | 455万円 | 
| ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 409.5万円 | 
| 省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 364万円 | 
| その他の新築住宅 | 0円(控除なし) | 0円 | 
| 中古住宅 | 3,000万円 | 210万円(10年間) | 
(出典: 国税庁)
重要: 2024年以降入居の一般住宅(省エネ基準不適合)は住宅ローン控除が受けられません(借入限度額0円)。
申告書の書き方(ステップバイステップ)
「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」の記入方法を項目ごとに解説します。
記入項目の説明
1. 新築・購入・増改築等の区分にチェック
- 該当する項目(新築・購入・増改築等)にチェック
2. 居住開始年月日を記入
- 実際に住み始めた日を記入(例:令和5年10月1日)
3. 取得対価の額を記入
- 住宅・土地の購入価格を記入
- 税務署から送付された証明書に記載されている金額を転記
4. 住宅借入金等の年末残高を記入
- 金融機関から送付された残高証明書から転記
- 複数の金融機関から借入している場合は合計額
5. 控除額の計算
- 年末残高×0.7%(2022年以降入居)
- 借入限度額を超える場合は、借入限度額×0.7%
6. 控除を受ける金額を記入
- 計算した控除額を記入
- この金額が所得税・住民税から控除される
(出典: 住まいサーフィン)
書類紛失時の対処法
年末調整に必要な書類を紛失した場合の対処法を解説します。
控除証明書の再交付手続き
「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」を紛失した場合、所轄税務署に再交付を申請します。
再交付の方法:
- 所轄税務署の窓口で申請
- e-Taxで電子申請(即時取得可能)
- 郵送で申請(1-2週間)
(出典: 国税庁)
年末調整の提出期限(11-12月)に間に合うよう、早めに申請することをおすすめします。
残高証明書の再発行
住宅ローン残高証明書を紛失した場合、金融機関に再発行を依頼します。
再発行の方法:
- 金融機関の窓口・電話・インターネットで依頼
- 再発行には1-2週間かかる
- 手数料は金融機関により異なる(無料~数百円)
(出典: 三菱UFJ銀行)
年末調整に間に合わなくても、翌年2-3月の確定申告で控除を受けることが可能です。
よくあるトラブルと対処法
年末調整で住宅ローン控除を申告する際のよくあるトラブルと対処法を紹介します。
年末調整を忘れた場合
年末調整で住宅ローン控除を申告し忘れた場合、翌年2-3月の確定申告で控除を受けることができます。
確定申告の方法:
- 確定申告期間(2月16日~3月15日)に税務署で申告
- e-Taxでも申告可能
- 5年以内なら還付申告可能
(出典: ゼロリノベジャーナル)
転職した場合
年末に在籍している勤務先で年末調整可能です。ただし、前職の源泉徴収票も提出が必要です。
転職先に間に合わなければ、確定申告で控除を受けることができます。
まとめ:2年目以降は年末調整で簡単に手続き
住宅ローン控除は、初年度は確定申告が必須ですが、2年目以降は会社員なら年末調整で手続き可能です。
必要書類は「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」(税務署から送付)と「住宅ローン残高証明書」(金融機関から送付)の2点のみです。
控除額は年末残高の0.7%(2022年以降入居)で、借入限度額は省エネ性能に応じて設定されています。2024年以降入居の一般住宅(省エネ基準不適合)は控除が受けられないため注意が必要です。
提出期限(11月末-12月初旬)を守ることが重要ですが、期限を過ぎても翌年2-3月の確定申告で控除可能です。書類を紛失した場合は、早めに税務署・金融機関に再交付・再発行を依頼しましょう。
不明な点があれば、勤務先の経理部門や所轄税務署に相談することをおすすめします。
