住宅ローン控除のやり方完全ガイド|初年度と2年目以降の手続き

公開日: 2025/10/26

住宅ローン控除のやり方完全ガイド|初年度と2年目以降の手続き

住宅ローンを利用して住宅を購入した際、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の申請方法が分からない」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、初年度の確定申告と2年目以降の年末調整の手続きを明確に区別し、必要書類のチェックリスト、記載例の参照方法、よくあるミスと対策を国税庁国土交通省の公式情報を元に解説します。

住宅ローン控除を適切に受けることで、年末ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税・住民税から控除できます。

この記事のポイント

  • 住宅ローン控除は年末ローン残高の0.7%を最大13年間控除できる制度
  • 初年度は確定申告が必須(期限は翌年2月16日~3月15日)で、8点の必要書類を準備
  • 2年目以降は年末調整で手続き可能(会社員の場合)、必要書類は2点のみ
  • 省エネ基準適合証明書の提出漏れ、ふるさと納税との併用、住宅ローン残高証明書の紛失に注意
  • e-Taxなら24時間利用可能で早期還付のメリット、書面での確定申告も可能

住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローン残高の0.7%を所得税・住民税から最大13年間控除する制度です。控除を受けるには、初年度の確定申告が必須となります。

国土交通省によると、2025年時点では子育て世帯・若者夫婦世帯の借入限度額が維持されており、最大で以下の控除額が適用されます。

住宅の種類 借入限度額 控除期間 年間最大控除額
認定長期優良住宅 5,000万円 13年間 35万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 13年間 31.5万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 13年間 28万円
その他の住宅 3,000万円 13年間 21万円

(出典: 国土交通省

初年度の確定申告手続き(必須)

必要書類チェックリスト(8点)

初年度は確定申告が必須です。以下の8点の書類を準備します。

  1. 確定申告書: 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成可能
  2. 住民票の写し: 市区町村役場で取得(マイナンバーカードがあればコンビニ交付も可能)
  3. 登記事項証明書: 法務局で取得(原本が必要)
  4. 売買契約書または建築請負契約書: 不動産会社・建築業者から受領
  5. 住宅ローン残高証明書: 金融機関から10-11月に郵送される
  6. 省エネ基準適合証明書: 2024年以降に建築確認を受けた新築住宅で必須
  7. 源泉徴収票: 会社員の場合、勤務先から受領
  8. マイナンバー関係書類: マイナンバーカードまたは通知カード+身分証明書

確定申告書の作成方法(e-Tax・書面)

国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、控除額の自動計算が可能です。

e-Taxの場合:

  • マイナンバーカード・ICカードリーダーが必要
  • 24時間利用可能
  • 早期還付のメリット(通常2-3週間で還付)
  • 添付書類の一部省略が可能

書面提出の場合:

  • 税務署または郵送で提出
  • マイナンバーカード不要
  • 添付書類はすべて原本を提出

申告期限と提出先

確定申告の期限は、翌年2月16日~3月15日です。期限後申告も可能ですが、5年以内に限られます。

初年度の確定申告を忘れると、2年目以降の年末調整も受けられなくなるため、必ず期限内に申告してください。

2年目以降の年末調整(会社員の場合)

必要書類(2点)

2年目以降は年末調整で手続き可能です(会社員の場合。年収2,000万円超の会社員や個人事業主は2年目以降も確定申告が必要)。

  1. 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書: 初年度の確定申告後に税務署から9-12年分が郵送される
  2. 年末残高等証明書: 金融機関から毎年10-11月に郵送される

住宅借入金等特別控除申告書の書き方

控除申告書の記載項目は以下の通りです。

  • 住宅借入金等の年末残高
  • 控除額の計算(年末残高 × 0.7%)
  • 居住開始年月日

記載例はfreee等の民間サイトや税務署で確認できます。

紛失した場合の再発行手続き

控除申告書を紛失した場合は、最寄りの税務署に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を提出し、再発行を受けます。郵送・e-Taxでの申請も可能です。

よくあるミスと対策

省エネ基準適合証明書の提出漏れ

2024年以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準適合証明書の提出が必須です。提出漏れで控除を受けられないケースが増加しているため、事前に建築業者に確認してください。

ふるさと納税ワンストップ特例制度との併用

ふるさと納税のワンストップ特例制度との併用は不可です。確定申告するとワンストップ特例が無効になるため、ふるさと納税分も確定申告に含める必要があります。

住宅ローン残高証明書の発行時期

住宅ローン残高証明書の発行時期は10-11月ですが、確定申告期限は翌年2-3月です。発行時期と申告時期のズレを考慮し、証明書を紛失しないよう保管してください。紛失した場合は、金融機関に再発行を依頼します(手数料がかかる場合があります)。

その他の注意点

  • 期限後申告(5年以内なら受付可能)
  • 必要書類の不備(登記事項証明書の原本提出が必要等)
  • 控除額の計算ミス(国税庁のシミュレーションツールを活用)

複雑なケースは税理士に相談することを推奨します。

まとめ:初年度の確定申告を忘れずに

住宅ローン控除は初年度の確定申告が必須で、期限(翌年2月16日~3月15日)を守ることが最重要です。

必要書類8点を事前に準備し、国税庁の確定申告書等作成コーナーを活用すれば自力でも申請可能です。e-Taxなら早期還付のメリットがあります。

2年目以降は年末調整で手続きが簡略化されます(会社員の場合)。よくあるミス(省エネ基準適合証明書の提出漏れ、ふるさと納税との併用、住宅ローン残高証明書の紛失等)を事前に把握し、計画的に手続きを進めましょう。

複雑なケースは税理士に相談することも選択肢の一つです。まずは必要書類を確認し、住宅ローン残高証明書の到着を待って確定申告の準備を始めてください。

よくある質問

Q1確定申告を忘れた場合、後から申請できますか?

A1可能です。期限後申告として5年以内なら受付可能です。ただし、初年度の申告を忘れると2年目以降の年末調整も受けられなくなるため、早めに申告してください。還付申告の場合は延滞税等のペナルティはありませんが、期限内の申告を推奨します。

Q2マイナンバーカードがない場合、e-Taxは使えませんか?

A2税務署でID・パスワード方式の届出を行えば、マイナンバーカードなしでe-Tax利用可能です。ただし、本人確認書類を持参して税務署に行く必要があります。書面での確定申告も可能ですので、ご自身の状況に合わせて選択してください。

Q3中古住宅でも住宅ローン控除は受けられますか?

A3可能です。ただし、1982年以降に建築された住宅または新耐震基準に適合することが証明された住宅が対象です。築年数の制限が撤廃されたため、古い住宅でも耐震基準適合証明書等があれば控除を受けられます。詳細は国税庁のサイトでご確認ください。

Q4住宅ローン残高証明書が届かない場合、どうすればいいですか?

A4借入先の金融機関に問い合わせて再発行を依頼してください。通常10-11月に郵送されますが、紛失・未着の場合は再発行可能です(手数料がかかる場合があります)。確定申告期限までに取得する必要があるため、早めに対応してください。

Q5共有名義の場合、どちらか一方だけ控除を受けられますか?

A5夫婦それぞれが住宅ローンを借りている場合、各自が控除を受けられます。ただし、持分割合に応じた借入金額分のみが控除対象です。連帯債務の場合は持分割合に応じて控除額を計算します。詳細は税務署にご相談ください。