住宅ローン控除のやり方完全ガイド|初年度と2年目以降の手続き
住宅ローンを利用して住宅を購入した際、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の申請方法が分からない」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、初年度の確定申告と2年目以降の年末調整の手続きを明確に区別し、必要書類のチェックリスト、記載例の参照方法、よくあるミスと対策を国税庁・国土交通省の公式情報を元に解説します。
住宅ローン控除を適切に受けることで、年末ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税・住民税から控除できます。
この記事のポイント
- 住宅ローン控除は年末ローン残高の0.7%を最大13年間控除できる制度
- 初年度は確定申告が必須(期限は翌年2月16日~3月15日)で、8点の必要書類を準備
- 2年目以降は年末調整で手続き可能(会社員の場合)、必要書類は2点のみ
- 省エネ基準適合証明書の提出漏れ、ふるさと納税との併用、住宅ローン残高証明書の紛失に注意
- e-Taxなら24時間利用可能で早期還付のメリット、書面での確定申告も可能
住宅ローン控除の概要
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローン残高の0.7%を所得税・住民税から最大13年間控除する制度です。控除を受けるには、初年度の確定申告が必須となります。
国土交通省によると、2025年時点では子育て世帯・若者夫婦世帯の借入限度額が維持されており、最大で以下の控除額が適用されます。
| 住宅の種類 | 借入限度額 | 控除期間 | 年間最大控除額 | 
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅 | 5,000万円 | 13年間 | 35万円 | 
| ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 13年間 | 31.5万円 | 
| 省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 13年間 | 28万円 | 
| その他の住宅 | 3,000万円 | 13年間 | 21万円 | 
(出典: 国土交通省)
初年度の確定申告手続き(必須)
必要書類チェックリスト(8点)
初年度は確定申告が必須です。以下の8点の書類を準備します。
- 確定申告書: 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成可能
- 住民票の写し: 市区町村役場で取得(マイナンバーカードがあればコンビニ交付も可能)
- 登記事項証明書: 法務局で取得(原本が必要)
- 売買契約書または建築請負契約書: 不動産会社・建築業者から受領
- 住宅ローン残高証明書: 金融機関から10-11月に郵送される
- 省エネ基準適合証明書: 2024年以降に建築確認を受けた新築住宅で必須
- 源泉徴収票: 会社員の場合、勤務先から受領
- マイナンバー関係書類: マイナンバーカードまたは通知カード+身分証明書
確定申告書の作成方法(e-Tax・書面)
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、控除額の自動計算が可能です。
e-Taxの場合:
- マイナンバーカード・ICカードリーダーが必要
- 24時間利用可能
- 早期還付のメリット(通常2-3週間で還付)
- 添付書類の一部省略が可能
書面提出の場合:
- 税務署または郵送で提出
- マイナンバーカード不要
- 添付書類はすべて原本を提出
申告期限と提出先
確定申告の期限は、翌年2月16日~3月15日です。期限後申告も可能ですが、5年以内に限られます。
初年度の確定申告を忘れると、2年目以降の年末調整も受けられなくなるため、必ず期限内に申告してください。
2年目以降の年末調整(会社員の場合)
必要書類(2点)
2年目以降は年末調整で手続き可能です(会社員の場合。年収2,000万円超の会社員や個人事業主は2年目以降も確定申告が必要)。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書: 初年度の確定申告後に税務署から9-12年分が郵送される
- 年末残高等証明書: 金融機関から毎年10-11月に郵送される
住宅借入金等特別控除申告書の書き方
控除申告書の記載項目は以下の通りです。
- 住宅借入金等の年末残高
- 控除額の計算(年末残高 × 0.7%)
- 居住開始年月日
記載例はfreee等の民間サイトや税務署で確認できます。
紛失した場合の再発行手続き
控除申告書を紛失した場合は、最寄りの税務署に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を提出し、再発行を受けます。郵送・e-Taxでの申請も可能です。
よくあるミスと対策
省エネ基準適合証明書の提出漏れ
2024年以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準適合証明書の提出が必須です。提出漏れで控除を受けられないケースが増加しているため、事前に建築業者に確認してください。
ふるさと納税ワンストップ特例制度との併用
ふるさと納税のワンストップ特例制度との併用は不可です。確定申告するとワンストップ特例が無効になるため、ふるさと納税分も確定申告に含める必要があります。
住宅ローン残高証明書の発行時期
住宅ローン残高証明書の発行時期は10-11月ですが、確定申告期限は翌年2-3月です。発行時期と申告時期のズレを考慮し、証明書を紛失しないよう保管してください。紛失した場合は、金融機関に再発行を依頼します(手数料がかかる場合があります)。
その他の注意点
- 期限後申告(5年以内なら受付可能)
- 必要書類の不備(登記事項証明書の原本提出が必要等)
- 控除額の計算ミス(国税庁のシミュレーションツールを活用)
複雑なケースは税理士に相談することを推奨します。
まとめ:初年度の確定申告を忘れずに
住宅ローン控除は初年度の確定申告が必須で、期限(翌年2月16日~3月15日)を守ることが最重要です。
必要書類8点を事前に準備し、国税庁の確定申告書等作成コーナーを活用すれば自力でも申請可能です。e-Taxなら早期還付のメリットがあります。
2年目以降は年末調整で手続きが簡略化されます(会社員の場合)。よくあるミス(省エネ基準適合証明書の提出漏れ、ふるさと納税との併用、住宅ローン残高証明書の紛失等)を事前に把握し、計画的に手続きを進めましょう。
複雑なケースは税理士に相談することも選択肢の一つです。まずは必要書類を確認し、住宅ローン残高証明書の到着を待って確定申告の準備を始めてください。
