住宅諸費用ローンとは?金利・審査・組み込みとの違い

公開日: 2025/10/26

住宅諸費用ローンとは?住宅ローンとの違いを解説

住宅購入を検討する際、「物件価格以外の諸費用が用意できない」「諸費用ローンを使うべきか迷う」と悩む方は少なくありません。

この記事では、住宅諸費用ローンの仕組み、利用条件、金利、メリット/デメリットを、金融機関の公式情報を元に解説します。

諸費用ローンの特性を正しく理解することで、無理のない資金計画を立てられるようになります。

この記事のポイント

  • 諸費用ローンは住宅購入時の諸費用(登記費用、仲介手数料等)を対象とする専用ローン
  • 金利は住宅ローンより0.5-1.0%程度高く、年2-3%が相場
  • 諸費用を住宅ローンに組み込む方法もあり、金利面では組み込みの方が有利
  • 諸費用ローンは取扱金融機関が少なく、審査が厳しい傾向がある

諸費用ローンの対象費用と相場

諸費用ローンで借りられる費用は、住宅購入に必要な諸費用全般です。

対象費用

  • 登記費用: 所有権移転登記・抵当権設定登記の登録免許税と司法書士報酬
  • 仲介手数料: 不動産会社に支払う報酬(物件価格×3%+6万円+消費税)
  • 火災保険料: 建物を対象とした保険(10年一括払いなら20-30万円)
  • 引越費用: 引越業者への支払い
  • 家具・家電購入費: 一部金融機関では対象外の場合あり

諸費用の相場

リクルートによると、諸費用は物件価格の3-10%が目安です。

物件種別 諸費用の相場
新築マンション 3-6%
中古マンション 6-9%
新築戸建て 3-6%
中古戸建て 6-9%

(出典: リクルート

例えば、3000万円の中古マンションなら、諸費用は180-270万円が目安です。

諸費用ローンと住宅ローンの違い

諸費用ローンは、住宅ローンとは別契約で、条件が異なります。

金利・借入期間・審査基準の違い

カーディフ生命によると、諸費用ローンの金利は年2-3%程度で、住宅ローンより0.5-1.0%程度高めです。

項目 住宅ローン 諸費用ローン
金利 年0.5-1.5% 年2-3%
借入期間 最長35年 最長15年程度
審査基準 物件担保あり 無担保または物件担保あり
対象費用 物件価格 諸費用(登記費用、仲介手数料等)

(出典: カーディフ生命

諸費用ローンは金利が高く、借入期間も短いため、月々の返済負担が大きくなる傾向があります。

諸費用を住宅ローンに組み込む方法

一部の金融機関では、諸費用を住宅ローンに組み込むことができます。この場合、住宅ローンの低金利がそのまま適用されるため、諸費用ローンより総返済額を抑えられます。

ダイヤモンド不動産研究所によると、主要銀行17行のうち、住信SBIネット銀行・auじぶん銀行等が諸費用組み込みに対応しています。

諸費用ローンのメリット・デメリット

メリット

  • 自己資金を温存: 諸費用分の現金を用意しなくて済む
  • 急な支出に対応: 引越費用や家具購入費等、想定外の出費にも対応可能
  • 手元資金の確保: 緊急時の予備資金を残せる

デメリット

  • 総返済額増加: 金利が高いため、現金で払うより総額が増える
  • 審査が厳しくなる: 借入額が増えるため、年収・勤続年数の基準が厳しくなる可能性
  • 住宅ローン控除の対象外: 諸費用ローンは住宅ローン控除の対象外(組み込みは対象)
  • 月々の返済負担増: 住宅ローンと合わせて月々の返済額が増える

住宅ローン比較.jpによると、諸費用を住宅ローンに組み込んだ場合は住宅ローン控除の対象となりますが、別途諸費用ローンで借りた場合は対象外です。

諸費用ローンの取扱金融機関と審査

諸費用ローンは、取扱金融機関が限られています。

主要銀行の対応状況

ダイヤモンド不動産研究所によると、主要銀行の諸費用対応状況は以下の通りです。

金融機関 諸費用組み込み 諸費用ローン
住信SBIネット銀行
auじぶん銀行
三菱UFJ銀行 △(一部支店のみ)
みずほ銀行 △(一部支店のみ)

(出典: ダイヤモンド不動産研究所

諸費用組み込みの方が対応している金融機関が多いため、まずは組み込みを検討することをおすすめします。

審査基準

諸費用ローンの審査基準は、金融機関によって異なりますが、一般的に以下の点が重視されます。

  • 年収: 安定した収入があること(最低年収300万円以上が目安)
  • 勤続年数: 勤続1年以上が目安(自営業は2-3年以上)
  • 他の借入状況: クレジットカードのリボ払い、カードローン等の残高
  • 物件の担保価値: 物件価格が妥当であること

フラット35との併用

住宅金融支援機構「フラット35パッケージ」では、フラット35と諸費用ローンを併用できます。

併用時の注意点

  • フラット35は物件価格の100%まで借入可能
  • 諸費用分は別途「フラット35パッケージ」で諸費用ローンを併用
  • 併用時は金利が異なるため、総返済額の試算が必須

併用する場合、フラット35の低金利(年1.8%程度)と諸費用ローンの高金利(年2-3%程度)が混在するため、総返済額を事前に試算することが重要です。

まとめ

住宅諸費用ローンは、住宅購入時の諸費用を対象とする専用ローンです。

金利は住宅ローンより0.5-1.0%程度高く、年2-3%が相場です。諸費用を住宅ローンに組み込む方法もあり、金利面では組み込みの方が有利です。

諸費用ローンは取扱金融機関が少なく、審査が厳しい傾向があるため、まずは組み込みを検討し、難しい場合に諸費用ローンを選択することをおすすめします。

金融機関の条件を比較し、総返済額で判断することが重要です。

よくある質問

Q1諸費用ローンは審査なしで借りられますか?

A1審査は必須です。「審査不要」は貸金業法・不当景品類及び不当表示防止法違反の誇大表現です。金融機関が独自の基準で審査を行い、年収・勤続年数・他の借入状況等を総合的に判断します。諸費用ローンは借入額が増えるため、住宅ローン単体より審査が厳しくなる傾向があります。

Q2諸費用ローンを使えば自己資金ゼロで住宅購入できますか?

A2理論上は可能ですが、返済負担が大きくなるため推奨されません。物件価格100%の住宅ローン+諸費用ローンを組む場合、審査が非常に厳しくなり、金利上昇時の返済リスクも高まります。最低でも諸費用分は自己資金で用意すべきです。

Q3諸費用ローンの金利は変動金利と固定金利どちらがおすすめですか?

A3借入期間が短い(10年以内)なら変動金利、長期(15年以上)なら固定金利が一般的です。ただし、諸費用ローンは住宅ローンより金利が高いため、可能な限り早期返済を検討すべきです。繰り上げ返済手数料が無料の金融機関を選ぶことをおすすめします。

Q4フラット35で諸費用を借りる場合の注意点は?

A4フラット35は物件価格の100%まで借入可能です。それを超える諸費用分は別途「フラット35パッケージ」で諸費用ローンを併用する必要があります。併用時は金利が異なるため、総返済額の試算が必須です。フラット35(年1.8%程度)と諸費用ローン(年2-3%程度)の金利差に注意しましょう。

Q5諸費用ローンは繰り上げ返済できますか?

A5可能です。諸費用ローンは金利が高いため、住宅ローンより優先して繰り上げ返済すべきです。ただし、繰り上げ返済手数料が発生する金融機関もあるため、事前に確認が必要です。手数料無料の金融機関を選ぶか、一定額以上なら手数料無料になる条件を確認しましょう。