住宅諸費用ローンとは?住宅ローンとの違いを解説
住宅購入を検討する際、「物件価格以外の諸費用が用意できない」「諸費用ローンを使うべきか迷う」と悩む方は少なくありません。
この記事では、住宅諸費用ローンの仕組み、利用条件、金利、メリット/デメリットを、金融機関の公式情報を元に解説します。
諸費用ローンの特性を正しく理解することで、無理のない資金計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 諸費用ローンは住宅購入時の諸費用(登記費用、仲介手数料等)を対象とする専用ローン
- 金利は住宅ローンより0.5-1.0%程度高く、年2-3%が相場
- 諸費用を住宅ローンに組み込む方法もあり、金利面では組み込みの方が有利
- 諸費用ローンは取扱金融機関が少なく、審査が厳しい傾向がある
諸費用ローンの対象費用と相場
諸費用ローンで借りられる費用は、住宅購入に必要な諸費用全般です。
対象費用
- 登記費用: 所有権移転登記・抵当権設定登記の登録免許税と司法書士報酬
- 仲介手数料: 不動産会社に支払う報酬(物件価格×3%+6万円+消費税)
- 火災保険料: 建物を対象とした保険(10年一括払いなら20-30万円)
- 引越費用: 引越業者への支払い
- 家具・家電購入費: 一部金融機関では対象外の場合あり
諸費用の相場
リクルートによると、諸費用は物件価格の3-10%が目安です。
| 物件種別 | 諸費用の相場 | 
|---|---|
| 新築マンション | 3-6% | 
| 中古マンション | 6-9% | 
| 新築戸建て | 3-6% | 
| 中古戸建て | 6-9% | 
(出典: リクルート)
例えば、3000万円の中古マンションなら、諸費用は180-270万円が目安です。
諸費用ローンと住宅ローンの違い
諸費用ローンは、住宅ローンとは別契約で、条件が異なります。
金利・借入期間・審査基準の違い
カーディフ生命によると、諸費用ローンの金利は年2-3%程度で、住宅ローンより0.5-1.0%程度高めです。
| 項目 | 住宅ローン | 諸費用ローン | 
|---|---|---|
| 金利 | 年0.5-1.5% | 年2-3% | 
| 借入期間 | 最長35年 | 最長15年程度 | 
| 審査基準 | 物件担保あり | 無担保または物件担保あり | 
| 対象費用 | 物件価格 | 諸費用(登記費用、仲介手数料等) | 
(出典: カーディフ生命)
諸費用ローンは金利が高く、借入期間も短いため、月々の返済負担が大きくなる傾向があります。
諸費用を住宅ローンに組み込む方法
一部の金融機関では、諸費用を住宅ローンに組み込むことができます。この場合、住宅ローンの低金利がそのまま適用されるため、諸費用ローンより総返済額を抑えられます。
ダイヤモンド不動産研究所によると、主要銀行17行のうち、住信SBIネット銀行・auじぶん銀行等が諸費用組み込みに対応しています。
諸費用ローンのメリット・デメリット
メリット
- 自己資金を温存: 諸費用分の現金を用意しなくて済む
- 急な支出に対応: 引越費用や家具購入費等、想定外の出費にも対応可能
- 手元資金の確保: 緊急時の予備資金を残せる
デメリット
- 総返済額増加: 金利が高いため、現金で払うより総額が増える
- 審査が厳しくなる: 借入額が増えるため、年収・勤続年数の基準が厳しくなる可能性
- 住宅ローン控除の対象外: 諸費用ローンは住宅ローン控除の対象外(組み込みは対象)
- 月々の返済負担増: 住宅ローンと合わせて月々の返済額が増える
住宅ローン比較.jpによると、諸費用を住宅ローンに組み込んだ場合は住宅ローン控除の対象となりますが、別途諸費用ローンで借りた場合は対象外です。
諸費用ローンの取扱金融機関と審査
諸費用ローンは、取扱金融機関が限られています。
主要銀行の対応状況
ダイヤモンド不動産研究所によると、主要銀行の諸費用対応状況は以下の通りです。
| 金融機関 | 諸費用組み込み | 諸費用ローン | 
|---|---|---|
| 住信SBIネット銀行 | ○ | ○ | 
| auじぶん銀行 | ○ | ○ | 
| 三菱UFJ銀行 | ○ | △(一部支店のみ) | 
| みずほ銀行 | ○ | △(一部支店のみ) | 
(出典: ダイヤモンド不動産研究所)
諸費用組み込みの方が対応している金融機関が多いため、まずは組み込みを検討することをおすすめします。
審査基準
諸費用ローンの審査基準は、金融機関によって異なりますが、一般的に以下の点が重視されます。
- 年収: 安定した収入があること(最低年収300万円以上が目安)
- 勤続年数: 勤続1年以上が目安(自営業は2-3年以上)
- 他の借入状況: クレジットカードのリボ払い、カードローン等の残高
- 物件の担保価値: 物件価格が妥当であること
フラット35との併用
住宅金融支援機構「フラット35パッケージ」では、フラット35と諸費用ローンを併用できます。
併用時の注意点
- フラット35は物件価格の100%まで借入可能
- 諸費用分は別途「フラット35パッケージ」で諸費用ローンを併用
- 併用時は金利が異なるため、総返済額の試算が必須
併用する場合、フラット35の低金利(年1.8%程度)と諸費用ローンの高金利(年2-3%程度)が混在するため、総返済額を事前に試算することが重要です。
まとめ
住宅諸費用ローンは、住宅購入時の諸費用を対象とする専用ローンです。
金利は住宅ローンより0.5-1.0%程度高く、年2-3%が相場です。諸費用を住宅ローンに組み込む方法もあり、金利面では組み込みの方が有利です。
諸費用ローンは取扱金融機関が少なく、審査が厳しい傾向があるため、まずは組み込みを検討し、難しい場合に諸費用ローンを選択することをおすすめします。
金融機関の条件を比較し、総返済額で判断することが重要です。
