戸建てのテレビアンテナ工事費用相場と種類別メリット

公開日: 2025/11/11

戸建てのテレビアンテナ工事とは

新築戸建てを購入した際、「テレビが映らない」と驚く方は少なくありません。実は、新築住宅にはアンテナが標準装備されていない場合が多く、テレビを視聴するには別途工事が必要です。

この記事では、戸建てのテレビアンテナ工事の種類、費用相場、業者選びのポイントを、総務省の公式情報を元に解説します。

初めてアンテナ工事を検討する方でも、自分に合った選択ができるようになります。

この記事のポイント

  • 新築戸建てはアンテナが標準装備でない場合が多く、別途工事が必要
  • アンテナの種類は八木式(1.5-3万円)、デザイン(2-4万円)、4K8K対応BS/CS(3-5万円)
  • ケーブルテレビ・光テレビとの比較では、アンテナは初期費用3-7万円で月額0円、長期的に安い
  • 業者選びは相見積もり(3社以上)、施工実績、保証内容を確認することが重要
  • 訪問営業・電話勧誘で「最安」を謳う悪質業者に注意が必要

新築は標準装備でない場合が多い

新築戸建ての建築時には、駐車場・照明・エクステリア等が優先され、テレビアンテナは標準装備に含まれないケースが一般的です。そのため、引き渡し後に別途アンテナ工事を依頼する必要があります。

ハウスメーカーや工務店によっては、オプションでアンテナ工事を請け負う場合もありますが、外部業者と比較すると割高な傾向があります。

地デジとBS/CSの違い

地デジアンテナは地上波放送(NHK、民放等)を受信するためのもので、BS/CSアンテナは衛星放送(BS放送、CS放送)を受信するためのものです。

地デジアンテナだけでは衛星放送は視聴できないため、BS/CSも見たい場合は両方のアンテナ設置が必要です。また、4K8K放送を視聴する場合は、専用の4K8K対応BS/CSアンテナ(SHマーク付き)が必須となります。

アンテナの種類とメリット・デメリット

戸建てで使用されるアンテナには、主に3つの種類があります。それぞれの特徴、費用相場、適した環境を比較表で整理します。

アンテナの種類 費用相場 メリット デメリット
八木式アンテナ 1.5-3万円 受信性能が高い、電波が弱い地域でも使える 屋根上設置で外観に影響、台風・強風で破損リスク
デザインアンテナ 2-4万円 箱型で外観がスッキリ、外壁設置で破損リスク低 電界強度が弱い地域は不向き
4K8K対応BS/CS 3-5万円 新4K8K放送視聴可能(左旋円偏波対応) 従来のBSアンテナより高額

(出典: 総務省

八木式アンテナ(1.5-3万円)

八木式アンテナは、魚の骨のような形状の従来型地デジアンテナです。屋根の上に設置するため外観に影響しますが、受信性能が高く、電波が弱い地域(弱電界地域)でも使用できます。

設置費用は1.5-3万円程度で、他のアンテナより安価です。ただし、台風・強風で破損するリスクがあり、定期的なメンテナンスが必要です。

デザインアンテナ(2-4万円)

デザインアンテナは箱型の平面アンテナで、外壁に設置するため外観がスッキリします。新築戸建てで人気が高く、台風・強風の影響を受けにくいのも特徴です。

費用は2-4万円で、八木式より高額ですが、外観を重視する方には適しています。ただし、電界強度が40dBμV/m未満の弱電界地域では受信性能が不足する場合があります。電界強度は地域により大きく異なるため、専門業者による電波調査を事前に実施し、設置可否を確認することが重要です。

4K8K対応BS/CSアンテナ(3-5万円)

4K8K対応BS/CSアンテナは、新4K8K衛星放送を視聴するための専用アンテナです。従来のBSアンテナ(右旋円偏波、2071MHzまで)では新4K8K放送(左旋円偏波、3224MHzまで)を受信できません。

4K8K対応アンテナには「SHマーク」(スーパーハイビジョン受信マーク)が付いており、これが左旋対応・3224MHz受信可能の証明となります。費用は3-5万円で、従来のBSアンテナより高額ですが、今後の放送規格に対応できるメリットがあります。

アンテナ工事の費用相場

アンテナ工事の費用は、アンテナ本体の価格と工事費の合計です。一般的な費用相場は以下の通りです。

地デジアンテナ:2.3-5万円(工事費込)

業者調査によると、地デジアンテナの設置費用は、八木式で1.5-3万円、デザインアンテナで2-4万円、工事費1-2万円を合わせると、2.3-5万円程度が相場です。

電波が弱い地域では、ブースター(電波増幅器)の追加設置が必要となり、5千-2万円の追加費用が発生します。

BS/CSアンテナ:4-7万円(工事費込)

BS/CSアンテナの設置費用は、本体価格3-5万円、工事費1-2万円を合わせて4-7万円程度です。4K8K対応アンテナの場合、本体価格がやや高額になります。

地デジアンテナとBS/CSアンテナを同時に設置する場合、工事費を一部節約できる場合があります。複数のアンテナ設置を検討する場合は、同時施工を業者に相談することをおすすめします。

ブースター・配線等の追加費用

ブースター(電波増幅器)は、電波が弱い地域や複数台のテレビを設置する場合にほぼ必須です。費用は5千-2万円で、設置場所(屋根裏・外壁)により金額が変わります。

その他、分配器(1台のアンテナから複数のテレビに電波を分配する機器)、配線工事等で追加費用が発生する場合があります。見積もり時に、追加費用の有無を必ず確認しましょう。

ケーブルテレビ・光テレビとの比較

テレビを視聴する方法には、アンテナ設置以外にケーブルテレビ・光テレビの選択肢もあります。それぞれの初期費用・月額コスト・チャンネル数を比較します。

項目 アンテナ ケーブルテレビ 光テレビ
初期費用 3-7万円 1-3万円 2-5万円
月額コスト 0円 3-6千円 1-3千円
画質 高画質 やや劣る 高画質
チャンネル数 地デジ・BS/CS 専門チャンネル豊富 専門チャンネル豊富
メンテナンス 台風・経年劣化で必要 業者対応 業者対応

(出典: 新築のテレビアンテナ工事

初期費用と月額コストの違い

アンテナは初期費用3-7万円で月額0円のため、長期的には最も安価です。10年間で計算すると、ケーブルテレビ(月額3-6千円)は36-72万円、光テレビ(月額1-3千円)は12-36万円の費用がかかります。

ケーブルテレビ・光テレビは初期費用が安く、すぐに利用開始できるメリットがありますが、長期的にはコストが高くなります。コスト重視ならアンテナ、チャンネル数重視ならケーブル・光という選択が一般的です。

画質・チャンネル数・メンテナンス性

画質は、アンテナ・光テレビが高画質で、ケーブルテレビはやや劣る傾向があります。チャンネル数は、ケーブル・光が専門チャンネル(映画・スポーツ等)を豊富に提供し、アンテナは地デジ・BS/CSのみです。

メンテナンスは、アンテナが台風・経年劣化で破損した場合に修理費用がかかりますが、ケーブル・光は業者が対応するため個人負担は少ないです。

アンテナ工事の流れと業者選びのポイント

アンテナ工事は、電波調査、アンテナ設置、配線工事、動作確認の4ステップで進みます。所要時間は1-3時間程度です。

工事の流れ(電波調査→設置→配線→動作確認)

  1. 電波調査: 専門業者が電界強度を測定し、設置可能なアンテナの種類を判定します。弱電界地域(40dBμV/m未満)では高性能アンテナが必要です。
  2. アンテナ設置: 屋根または外壁にアンテナを固定します。八木式は屋根上、デザインアンテナは外壁が一般的です。
  3. 配線工事: アンテナから屋内のテレビ端子まで配線を接続します。ブースター・分配器が必要な場合は同時に設置します。
  4. 動作確認: 全チャンネルの受信テストを実施し、映像・音声に問題がないか確認します。

業者選びのポイント(相見積もり、施工実績、保証)

業者選びでは、以下の3点を重視することが重要です。

  • 相見積もり(3社以上): 同じ工事内容でも、業者により費用が数万円異なる場合があります。3社以上から見積もりを取り、費用の内訳(アンテナ本体、工事費、ブースター等)を比較しましょう。
  • 施工実績・口コミ確認: 公式サイトで施工事例を確認し、過去の実績が豊富な業者を選びます。口コミサイト・Googleレビューも参考になります。
  • 保証内容: 「10年保証」でも自然災害は対象外、移設不可、有償修理の条件など細則を確認します。保証書を必ず受け取り、内容を理解しておくことが重要です。

訪問営業・電話勧誘で「最安」「必ず映る」と謳う業者には注意が必要です。国民生活センターには、「電話で1.5万円と聞いたが、現地で8万円請求された」という相談事例が報告されています。書面での見積もり、契約書の確認、クーリングオフの活用で対策しましょう。

アンテナ工事でよくあるトラブルと対策

アンテナ工事では、受信不良、壁穴からの雨漏り、悪質業者の高額請求などのトラブルが報告されています。事前に対策を知っておくことで、リスクを軽減できます。

受信不良(電波強度・角度調整)

受信不良の原因は、電波強度不足(弱電界地域)やアンテナの角度調整ミスです。総務省近畿総合通信局によると、アンテナ設備の老朽化・設備不良もトラブルの一因とされています。

弱電界地域では、高性能アンテナ(八木式)やブースターの追加設置が必要です。専門業者に電波調査を依頼し、適切なアンテナを選ぶことが重要です。

壁穴からの雨漏り・施工不備

外壁にアンテナを設置する場合、壁に穴を開けて配線を通します。この際、防水処理が不十分だと雨漏りが発生する可能性があります。

施工後に壁穴周辺をチェックし、防水コーキングが適切に施されているか確認しましょう。施工不備が見つかった場合は、保証期間内であれば無償修理を依頼できます。

悪質業者の高額請求

訪問営業で安価を謳い、現地で高額請求する悪質業者が存在します。国民生活センターには、このような相談事例が複数報告されています。

対策として、以下の点を守りましょう。

  • 書面での見積もりを受け取る
  • 契約書の内容を確認する
  • 訪問営業・電話勧誘の即決は避ける
  • クーリングオフ制度を活用(契約から8日以内なら無条件解約可能)

まとめ:アンテナ工事の選び方と次のステップ

戸建てのテレビアンテナ工事は、アンテナの種類(八木式1.5-3万円、デザイン2-4万円、4K8K対応3-5万円)と費用相場を比較し、電波強度・外観・予算で選ぶことが重要です。

ケーブルテレビ・光テレビとの比較では、アンテナは初期費用3-7万円で月額0円、長期的に安いというメリットがあります。チャンネル数重視ならケーブル・光、コスト重視ならアンテナという選択が一般的です。

業者選びでは、相見積もり(3社以上)、施工実績、保証内容を確認し、訪問営業・電話勧誘の即決は避けましょう。

次のアクションは、専門業者に電波調査を依頼し、複数業者から見積もりを取得することです。信頼できる業者を選び、安心してテレビ視聴を開始しましょう。

よくある質問

Q1アンテナ工事の費用はいくらですか?

A1地デジアンテナは2.3-5万円(八木式1.5-3万円、デザイン2-4万円、工事費1-2万円)、BS/CSアンテナは4-7万円(本体3-5万円、工事費1-2万円)が相場です。電波が弱い地域ではブースター(5千-2万円)が必要な場合があります。複数のアンテナを同時設置する場合、工事費を節約できることもあるため、業者に相談しましょう。

Q2アンテナ工事の所要時間は?

A21-3時間程度です。電波調査、アンテナ設置、配線工事、動作確認を含みます。電波強度が弱い地域や複数箇所にアンテナを設置する場合は、時間が延長される可能性があります。天候(雨・強風)により工事が延期される場合もあるため、スケジュールに余裕を持って依頼することをおすすめします。

Q3アンテナは自分で設置できますか?

A3理論上は可能ですが、おすすめしません。高所作業による転落事故、アンテナの耐風・耐震基準未達、不適切な角度調整による受信不良のリスクがあります。また、電波法・建築基準法の遵守も必要です。専門業者に依頼することで、安全性と受信品質が確保されます。費用を抑えたい場合は、相見積もりで安価な業者を探す方が安全です。

Q44K8K放送を見るには何が必要ですか?

A44K8K対応アンテナ(SHマーク、左旋円偏波対応、周波数3224MHz受信可能)、対応ケーブル、対応ブースター、4K8K対応テレビが必須です。従来のBSアンテナ(右旋2071MHzまで)では新4K8K放送を受信できません。既存のBSアンテナがある場合でも、4K8K放送を視聴するには新しいアンテナへの交換が必要です。

Q5ケーブルテレビとアンテナ、どちらがお得ですか?

A5コスト重視ならアンテナ、チャンネル数重視ならケーブルテレビがおすすめです。アンテナは初期費用3-7万円で月額0円、10年間で3-7万円。ケーブルテレビは初期費用1-3万円で月額3-6千円、10年間で37-75万円かかります。長期的にはアンテナが安価ですが、専門チャンネル(映画・スポーツ等)を多く視聴したい場合はケーブルテレビの方が便利です。