中古一戸建て購入の基礎知識:メリット・デメリットを理解する
中古一戸建ての購入を検討する際、「新築と比べて安いけど大丈夫か」「築年数が古いとどんなリスクがあるのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、中古一戸建て購入のメリット・デメリット、購入時の注意点、リフォーム費用の目安を、国土交通省・国税庁の公式情報を元に解説します。
中古一戸建ての特性を理解することで、購入後の後悔を避けられるようになります。
この記事のポイント
- 中古一戸建てのメリット: 価格が新築の6-7割程度で安い、立地が良い、実物を確認できる、資産価値の下落が緩やか
- 中古一戸建てのデメリット: 修繕費がかかる、住宅ローン控除の適用要件(1982年以降の新耐震基準)、住宅ローンの借入期間が短縮される可能性
- 購入時の注意点: 新耐震基準(1981年6月以降)か旧耐震基準か、既存住宅売買瑕疵保険の有無、建物状況調査(インスペクション)の実施
- リフォーム費用の目安: 水回り(キッチン・浴室・トイレ)で100-300万円、外壁・屋根で100-200万円、内装全体で200-500万円
- 住宅ローン控除は2022年改正で築年数要件撤廃、1982年以降なら対象(旧耐震は耐震基準適合証明が必要)
中古一戸建てのメリット:価格・立地・資産価値
中古一戸建てには、新築にはない魅力があります。
価格が新築の6-7割程度で安い
中古一戸建ての最大のメリットは価格です。新築の6-7割程度で購入できるため、同じ予算でより広い家や好立地の物件を選べます。
例: 新築4,000万円 → 中古2,500-3,000万円程度
立地が良い物件が多い
駅近・都心部・学区の良いエリア等、人気の立地は既に開発が進んでいるため、新築用地が少なくなっています。中古市場では、こうした好立地の物件が豊富にあります。
実物を確認できる
新築の場合、完成前に購入するケースが多く、実物を見ずに契約することがあります。中古一戸建ては実物を確認でき、以下を事前にチェックできます。
- 建物の状態: 外壁、屋根、基礎のひび割れ等
- 周辺環境: 日当たり、騒音、隣家との距離
- 住民層: 地域の雰囲気、治安
資産価値の下落が緩やか
新築住宅は購入直後に1-2割程度価値が下がりますが、中古一戸建ては既に価値が下がっているため、さらなる下落が緩やかです。
中古一戸建てのデメリット:修繕費・ローン控除・耐震性
中古一戸建てには、新築にはないデメリットもあります。
修繕費がかかる
築年数が経過した一戸建ては、以下の修繕が必要になる場合があります。
| 項目 | 目安費用 | タイミング | 
|---|---|---|
| 外壁塗装 | 80-150万円 | 10-15年ごと | 
| 屋根修繕 | 50-100万円 | 15-20年ごと | 
| 給湯器交換 | 20-40万円 | 10-15年ごと | 
| 水回りリフォーム | 100-300万円 | 築20-30年 | 
購入前に建物状況調査(インスペクション)を実施し、修繕が必要な箇所と費用を把握しておくことが重要です。
住宅ローン控除の適用要件
2022年税制改正で築年数要件は撤廃されましたが、1982年以降の新耐震基準が要件です。
- 1982年以降: 築年数に関わらず控除対象
- 1981年以前(旧耐震基準): 耐震基準適合証明が必要
旧耐震基準の物件は、耐震診断・補強工事の費用(100-300万円)が別途かかる可能性があります。
住宅ローンの借入期間が短縮される可能性
金融機関は「法定耐用年数 - 築年数」を目安に審査します。木造一戸建ての法定耐用年数は22年のため、築20年の場合、借入期間は最大2年程度に短縮される可能性があります。
実務では、35年ローンを組めるケースも多いですが、金融機関により審査基準が異なるため、事前に確認してください。
購入時の注意点:新耐震基準・瑕疵保険・インスペクション
中古一戸建て購入時は、以下の3点を必ず確認してください。
新耐震基準(1981年6月以降)か旧耐震基準か
新耐震基準は、1981年6月以降の建築基準法改正で導入された耐震基準です。震度6強-7の地震で倒壊しない設計が求められます。
旧耐震基準(1981年5月以前)の物件:
- 耐震性に不安がある
- 住宅ローン控除は耐震基準適合証明が必要
- 資産価値・売却時に不利
購入前に、建築確認済証や登記簿謄本で建築時期を確認してください。
既存住宅売買瑕疵保険の有無
既存住宅売買瑕疵保険は、購入後に雨漏りや構造上の欠陥が見つかった場合、修繕費用を補償する保険です。国土交通省が推奨しています。
メリット:
- 購入後1-5年間、構造・雨漏りの修繕費用を補償(最大1,000万円)
- 保険加入には建物状況調査(インスペクション)が必要で、建物の安全性が確認されている証拠になる
売主が保険に加入しているか、契約前に確認してください。
建物状況調査(インスペクション)の実施
建物状況調査(インスペクション)は、建築士が建物の劣化状況を調査するサービスです。
調査内容:
- 基礎・外壁のひび割れ
- 屋根・雨樋の劣化
- 給排水管の状態
- 床下の腐食・シロアリ被害
費用: 5-10万円程度
購入前に実施することで、修繕が必要な箇所と費用を把握でき、購入後のトラブルを避けられます。
リフォーム費用の目安:水回り・外壁・内装
中古一戸建て購入後、リフォームが必要になる場合があります。費用の目安は以下の通りです。
水回りリフォーム
| 箇所 | 目安費用 | 
|---|---|
| キッチン | 50-150万円 | 
| 浴室 | 70-150万円 | 
| トイレ | 20-50万円 | 
| 洗面所 | 20-50万円 | 
| 合計 | 100-300万円 | 
外壁・屋根
| 箇所 | 目安費用 | 
|---|---|
| 外壁塗装 | 80-150万円 | 
| 屋根塗装・修繕 | 50-100万円 | 
| 合計 | 100-200万円 | 
内装全体(リノベーション)
内装全体をリノベーションする場合、200-500万円程度が目安です。間取り変更、断熱材追加、床暖房設置等を含めると、1,000万円以上かかる場合もあります。
購入前にリフォーム費用を見積もり、総予算に組み込んでおくことが重要です。
住宅ローン控除と税制優遇:2022年改正で築年数要件撤廃
中古一戸建て購入時は、住宅ローン控除の適用要件を確認してください。
2022年税制改正の内容
2022年税制改正で、住宅ローン控除の築年数要件(耐火建築物25年以内、非耐火建築物20年以内)は撤廃されました。
現行制度:
- 1982年以降の新耐震基準住宅であれば、築年数に関わらず控除対象
- 旧耐震基準(1981年以前)は耐震基準適合証明が必要
控除額の目安
中古住宅の場合、借入限度額は2,000万円(既存住宅)です。
- 控除率: 0.7%
- 控除期間: 10年間
- 最大控除額: 140万円(2,000万円 × 0.7% × 10年)
詳細は国税庁の公式サイトで最新情報を確認してください。
まとめ:中古一戸建ては価格・立地が魅力、購入前の確認が重要
中古一戸建ての購入には、価格が新築の6-7割程度で安い、立地が良い、実物を確認できる等のメリットがあります。
一方で、修繕費がかかる、住宅ローン控除の適用要件(1982年以降の新耐震基準)、住宅ローンの借入期間が短縮される可能性等のデメリットもあります。
購入前に以下を必ず確認してください。
- 新耐震基準(1981年6月以降)か旧耐震基準か: 旧耐震は耐震診断・補強工事が必要
- 既存住宅売買瑕疵保険の有無: 購入後1-5年間、修繕費用を補償
- 建物状況調査(インスペクション)の実施: 修繕が必要な箇所と費用を把握
リフォーム費用の目安を事前に見積もり、総予算に組み込んでおくことも重要です。住宅ローン控除は2022年改正で築年数要件が撤廃され、1982年以降なら対象となります。
