戸建て火災保険の相場とは|価格を決める3つの要素
戸建て住宅を購入・所有する際、「火災保険の相場はどれくらいか」「適正な金額がわからない」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、戸建て火災保険の相場、価格を決める要素(建物構造・地域・補償内容)、具体的な保険料例、選び方のポイントについて、日本損害保険協会や金融庁の公式情報を元に解説します。
ご自身の状況に合った適正な保険料を判断し、必要な補償を確保できるようになります。
この記事のポイント
- 戸建て火災保険の相場は年間1.5万円~5万円程度(建物構造・地域により大きく変動)
- H構造(木造)はT構造(鉄骨・RC造)より保険料が高い
- 地域リスク(水災・地震)により保険料が変動する
- 補償範囲(火災のみ・水災含む等)により保険料が1.5~2倍変わる
- 地震保険は火災保険とセットでのみ加入可能で、保険料控除の対象
戸建て火災保険の相場|建物構造・地域・補償内容で変動
戸建て火災保険の相場は、以下の3つの要素により大きく変動します。
建物構造による違い(H構造・T構造)
建物の耐火性能により、保険料が大きく異なります。
構造級別の分類
- H構造(非耐火構造): 木造住宅など。火災リスクが高いため保険料が高い
- T構造(耐火構造): 鉄骨造・RC造・準耐火建築物。火災リスクが低いため保険料が安い
一般的に、H構造の保険料はT構造の約1.5~2倍になります。
地域によるリスクの違い(水災・地震)
所在地により、水災(洪水・土砂崩れ)や地震のリスクが異なります。河川近くの物件や津波リスクのある地域では、保険料が高くなる傾向があります。
補償範囲による違い(火災のみ・水災含む等)
補償範囲により、保険料が1.5~2倍変わります。
主な補償内容
- 基本補償: 火災・落雷・破裂・爆発
- 拡大補償: 風災・雹災・雪災
- 水災補償: 洪水・土砂崩れ(河川近くでは必須、高台では不要な場合もある)
- その他: 盗難・水濡れ・建物外部からの物体落下等
戸建て火災保険の具体的な相場|建物構造・地域別の例
日本損害保険協会や各保険会社の公式データを参考に、具体的な保険料例を示します。
H構造(木造)の保険料例
条件
- 建物構造: H構造(木造)
- 保険金額: 2,000万円
- 補償範囲: 火災・風災・水災含む
| 地域 | 年間保険料(目安) |
|---|---|
| 水災リスク低(高台) | 2.5万円~3.5万円 |
| 水災リスク中(平地) | 3.5万円~4.5万円 |
| 水災リスク高(河川近く) | 4.5万円~6万円 |
T構造(鉄骨・RC造)の保険料例
条件
- 建物構造: T構造(鉄骨造・RC造)
- 保険金額: 2,000万円
- 補償範囲: 火災・風災・水災含む
| 地域 | 年間保険料(目安) |
|---|---|
| 水災リスク低(高台) | 1.5万円~2.5万円 |
| 水災リスク中(平地) | 2.5万円~3.5万円 |
| 水災リスク高(河川近く) | 3.5万円~4.5万円 |
(注: 保険料は保険会社・商品・契約時期により変動します。複数社から見積もりを取得してください)
補償範囲を絞った場合の保険料例
水災補償を外すことで、保険料を約30~40%削減できます。
H構造(木造)・水災補償なし
- 年間保険料: 1.8万円~3万円程度
T構造(鉄骨・RC造)・水災補償なし
- 年間保険料: 1万円~2万円程度
ただし、河川近くや低地の物件では、水災補償を外すことは推奨されません。
火災保険料を決める要素|なぜ価格差が生まれるのか
火災保険料が変動する理由を詳しく解説します。
建物構造(H構造・T構造)
前述の通り、建物の耐火性能により保険料が変わります。木造住宅でも、準耐火建築物の認定を受けていればT構造に該当し、保険料が安くなります。
建築確認申請書や建物の登記簿謄本で構造を確認できます。
保険金額(建物の新価)
保険金額は、同等の建物を新たに建築・取得するために必要な金額(新価=再調達価額)で設定します。建物が古くても、新価で設定することが一般的です。
保険金額が高いほど保険料も高くなります。
所在地(地域リスク)
所在地により、以下のリスクが異なります。
- 水災リスク: 河川近く・低地・土砂災害警戒区域
- 地震リスク: 地震保険料は都道府県により異なる(最大3倍程度の差)
国土交通省のハザードマップで、物件の所在地のリスクを確認できます。
補償範囲(火災のみ・水災含む等)
補償範囲が広いほど保険料が高くなります。必要な補償を見極めることで、保険料を抑えられます。
補償選択のポイント
- 水災補償: 河川近く・低地では必須、高台では不要な場合もある
- 風災補償: 台風が多い地域では必須
- 盗難補償: 防犯対策が弱い地域では検討
契約期間(1年・5年・10年)
契約期間が長いほど、年間あたりの保険料が安くなります。ただし2022年10月から、火災保険の契約期間が最長5年に短縮されました(以前は10年)。
契約期間別の保険料例(H構造・保険金額2,000万円)
- 1年契約: 年間3.5万円
- 5年一括払い: 年間3万円程度(約15%割引)
地震保険について|火災保険とセットで加入
地震保険は火災保険とは別商品で、セットでのみ加入可能です。
地震保険の保険金額と保険料
地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%が上限です。例えば火災保険2,000万円なら、地震保険は最大1,000万円までです。
保険料は都道府県により異なり、地震リスクが高い地域(東京・神奈川・静岡等)では高く、リスクが低い地域では安くなります。
地震保険料の例(保険金額1,000万円)
| 都道府県 | H構造(木造) | T構造(鉄骨・RC造) |
|---|---|---|
| 東京都 | 年間3.6万円 | 年間2.3万円 |
| 大阪府 | 年間2.5万円 | 年間1.6万円 |
| 北海道 | 年間1.3万円 | 年間0.8万円 |
(注: 2025年時点の保険料率。改定により変動する場合があります)
地震保険料控除
地震保険は所得税最高5万円・住民税最高2.5万円の控除対象です。火災保険は控除対象外ですが、地震保険は税制優遇があります。
戸建て火災保険の選び方|適正価格と必要な補償の見極め方
火災保険を選ぶ際のポイントを解説します。
複数社から見積もりを取得する
保険会社により保険料が大きく異なるため、複数社(3社以上)から見積もりを取得し、比較することが重要です。保険料だけでなく、補償内容や特約も確認してください。
価格だけでなく補償内容を重視する
「安さ」だけで選ぶのではなく、「必要な補償が含まれているか」を重視してください。特に水災補償・地震保険は、物件の所在地に応じて必要性を判断します。
ハザードマップで物件のリスクを確認する
国土交通省のハザードマップで、物件の所在地の水災リスク・土砂災害リスクを確認し、必要な補償を判断してください。
保険金額は新価(再調達価額)で設定する
建物が古くても、同等の建物を新たに建築・取得するために必要な金額(新価)で保険金額を設定することが推奨されます。時価で設定すると、全損時に十分な保険金を受け取れない可能性があります。
まとめ|戸建て火災保険は建物構造・地域・補償内容で相場が変動
戸建て火災保険の相場は年間1.5万円~5万円程度ですが、建物構造(H構造・T構造)、地域リスク、補償範囲により大きく変動します。
単純に「安い保険」を選ぶのではなく、物件の所在地のリスクを確認し、必要な補償を確保することが重要です。複数社から見積もりを取得し、価格と補償内容を比較して、ご自身に最適な火災保険を選んでください。
地震保険は火災保険とセットでのみ加入可能で、地震による損害は火災保険では補償されません。地震リスクが高い地域では、地震保険への加入を検討しましょう。
