戸建て火災保険の相場はどれくらい?
戸建てを購入したり所有したりする際、火災保険の保険料がどれくらいかかるのか気になる方は多いでしょう。「自分の保険料は適正なのか」「もっと安くできないか」という疑問を持つのは当然です。
この記事では、戸建て火災保険の相場、保険料を左右する要因、保険料を安くする具体的な方法を、金融庁や日本損害保険協会等の公式情報を元に解説します。
保険料は建物構造・所在地・補償内容により大きく変動するため、自分の条件での見積もり比較が必須であることを理解し、過不足ない補償で保険料を適正化できるようになります。
この記事のポイント
- 戸建て火災保険の相場は建物構造・所在地・補償内容により大きく変動する(一概に「○万円」とは言えない)
- H構造(木造)は年間3-5万円、T構造(鉄骨・省令準耐火)は2-3万円が目安(2025年時点)
- 保険料を左右する要因は建物構造・所在地・補償範囲・保険金額・特約の5つ
- 保険料を安くする方法として、適正な保険金額設定・不要な特約の見直し・長期一括契約・複数社見積もり比較が有効
- 1899年制定の失火責任法により、隣家火災でも賠償請求できないため、自身の火災保険加入が必須
戸建て火災保険の保険料相場(2025年最新版)
戸建て火災保険の保険料は、建物構造と所在地により大きく異なります。ここでは、2024年10月の料金改定後、2025年時点の相場を紹介します。
H構造(木造)の保険料例
H構造は非耐火構造の木造住宅で、最も保険料が高い構造級別です。保険金額2,000万円、火災・風災・水災を含む一般的な補償内容の場合、年間3-5万円程度が目安となります(保険の窓口インズウェブ調査)。ただし、所在地により1.5-2倍の開きがあり、地震・水災リスクの高い地域では5万円を超える場合もあります。
T構造(鉄骨・省令準耐火)の保険料例
T構造は耐火構造・準耐火構造・鉄骨造などで、H構造より保険料が安くなります。同条件(保険金額2,000万円、火災・風災・水災含む)で年間2-3万円程度が目安です。省令準耐火構造の木造住宅もT構造に分類されるため、通常の木造よりも20-30%安くなります。
地域別の保険料差(災害リスク)
所在地による災害リスクも保険料に大きく影響します。地震リスクの高い地域(太平洋沿岸の一部等)や水災リスクの高い地域(河川の近く、低地等)では、保険料が高く設定されます。同じ構造でも、所在地により保険料が1.5-2倍異なることもあります。
| 建物構造 | 年間保険料の目安 | 補償内容 | 
|---|---|---|
| H構造(木造) | 3-5万円 | 火災・風災・水災含む | 
| T構造(鉄骨・省令準耐火) | 2-3万円 | 火災・風災・水災含む | 
※保険金額2,000万円、所在地により変動 ※2024年10月改定後、2025年時点の相場
戸建て火災保険料を左右する5つの要因
保険料がどのように決まるのか、5つの要因を理解しておきましょう。
建物構造(M・T・H構造)
火災保険の保険料は、建物の構造級別により大きく異なります。M・T・H構造の3つに分類され、M構造(マンション)が最も安く、T構造(耐火構造・鉄骨造等)、H構造(非耐火構造・木造等)の順に保険料が高くなります。
木造でも、住宅金融支援機構の基準を満たす省令準耐火構造であればT構造に分類され、通常の木造(H構造)より20-30%安くなります。新築時に省令準耐火構造を選択することで、長期的に保険料を抑えられます。
所在地(災害リスク)
地震・台風・水害などの災害リスクが高い地域ほど、保険料が高く設定されます。太平洋沿岸の一部地域では地震リスクが高く、河川の近くや低地では水災リスクが高いため、保険料が上昇します。
補償範囲(火災のみ/水災含む)
火災保険の補償範囲は、火災のみから、風災・雹災・雪災・水災・盗難・破損等まで、幅広く選択できます。補償範囲が広いほど保険料は高くなりますが、必要な補償を削ってしまうと、災害時に無保険状態になるリスクがあります。自分の住む地域の災害リスクを考慮し、適切な補償範囲を選びましょう。
保険金額(再調達価額)
保険金額は、同等の建物を新築する際に必要な費用(再調達価額)で設定するのが一般的です。時価ではなく再調達価額で契約することで、災害時に建物を元通りに復旧するための全額が補償されます。ただし、保険金額が高いほど保険料も高くなるため、過大な保険金額設定は避けるべきです。
特約・オプション
個人賠償責任特約、類焼損害特約、地震保険など、特約やオプションを追加すると保険料が上昇します。必要な特約と不要な特約を見極め、過不足ない補償を選ぶことが重要です。
戸建て火災保険料を安くする6つの方法
保険料を適正化し、無駄なコストを削減する方法を紹介します。
適正な保険金額設定(過大契約を避ける)
保険金額を再調達価額より高く設定しても、支払われる保険金は再調達価額までです。過大な保険金額設定は保険料の無駄遣いになるため、適正な保険金額を設定しましょう。逆に、再調達価額より低く設定すると一部保険となり、損害額の全額が補償されないリスクがあります。
不要な特約の見直し
加入している特約の中に、自分には不要なものがないか見直しましょう。例えば、車を所有していない場合は車の損害に関する特約は不要です。ただし、個人賠償責任特約など、日常生活で役立つ特約もあるため、削りすぎには注意が必要です。
長期一括契約(5年)の活用
火災保険を複数年一括契約すると、損害保険会社の長期係数により割引が適用されます。5年一括契約なら年払いより約10%割安になります(2022年10月以降は最長5年)。一括払いのため初期費用は高くなりますが、長期的には保険料を抑えられます。
複数社見積もり比較
保険料は保険会社により異なるため、複数社から見積もりを取り比較することが最も確実な保険料削減方法です。同じ補償内容でも、保険会社により保険料が10-20%異なる場合があります。インターネットの一括見積もりサイトを活用すると、効率的に比較できます。
省令準耐火構造の活用
新築時に省令準耐火構造を選択すれば、通常の木造(H構造)よりT構造に分類され、保険料が20-30%安くなります。住宅金融支援機構の基準を満たす耐火性能が必要で、設計段階で検討すべきポイントです。
災害リスクの低い地域選び(購入時)
購入時に災害リスクの低い地域を選ぶことで、長期的に保険料を抑えられます。自治体のハザードマップを確認し、地震・水災リスクの低い地域を選択することも一つの方法です。
戸建て火災保険の選び方と見積もり比較のポイント
適切な火災保険を選ぶためのポイントを解説します。
失火責任法と火災保険の必要性
1899年制定の失火責任法により、失火者に重過失がなければ損害賠償責任がないため、隣家の火災で自宅が燃えても、隣家に賠償請求できません。そのため、自身の火災保険加入が必須となります。この法律が火災保険加入の法的根拠となっています。
地震保険のセット加入
地震保険は火災保険とセット加入が必須で、単独加入はできません。火災保険では地震・噴火・津波による損害は補償対象外のため、地震リスクの高い地域では地震保険への加入が推奨されます。保険金額は火災保険の30-50%が上限となります。途中付帯(火災保険契約後に地震保険を追加)も可能です。
複数社見積もり比較サイトの活用
複数社見積もり比較サイトを活用すると、一度の入力で複数の保険会社から見積もりを取得できます。補償内容を統一して比較することで、保険料の違いを明確に把握できます。ただし、比較サイトに掲載されていない保険会社もあるため、大手保険会社の公式サイトでも個別に見積もりを取ることをおすすめします。
まとめ:戸建て火災保険は条件次第で大きく変わる
戸建て火災保険の保険料は、建物構造(M・T・H構造)、所在地(災害リスク)、補償範囲、保険金額、特約により大きく異なります。H構造(木造)は年間3-5万円、T構造(鉄骨・省令準耐火)は2-3万円が目安ですが、所在地により1.5-2倍の開きがあるため、「必ず○万円」とは言えません。
自分の条件での複数社見積もり比較が必須です。適正な保険金額設定、不要な特約の見直し、長期一括契約の活用により、保険料を削減できます。
保険料削減と必要な補償確保のバランスが重要です。必要な補償(水災・風災等)まで削ってしまうと、災害時に無保険状態になるリスクがあるため、慎重に検討しましょう。
よくある質問
火災保険料は住宅ローンに含められますか?
含められません。火災保険料は住宅ローンとは別に契約者が直接保険会社に支払います。ただし住宅ローン契約時に金融機関が火災保険加入を融資条件とする場合が多く、同時に契約手続きを進めることが一般的です。
木造でも保険料を安くできますか?
省令準耐火構造で建築すればT構造に分類され、通常の木造(H構造)より20-30%安くなります。住宅金融支援機構の基準を満たす耐火性能が必要で、新築時に設計段階で検討すべきです。
保険金額を低く設定すれば保険料は安くなりますか?
安くなりますが、再調達価額より低く設定すると一部保険となり、損害額の全額が補償されないリスクがあります。例えば2,000万円の建物に1,500万円の保険をかけた場合、全焼しても1,500万円までしか支払われません。
地震保険は必ず加入すべきですか?
任意ですが、火災保険では地震・噴火・津波による損害は補償対象外のため、地震リスクの高い地域では加入推奨です。単独加入不可で火災保険とセット加入が必須です。保険金額は火災保険の30-50%が上限となります。
