家を建てる費用【土地なし】総額相場と内訳を徹底解説

公開日: 2025/11/4

土地なしで家を建てる総費用とは

土地を所有していない状態で家を建てる場合、「総額でどれくらい必要なのか」とイメージできず不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、土地なしで家を建てる際の総費用、土地代と建物代の内訳、予算配分の考え方を、住宅金融支援機構国土交通省の公式統計を元に解説します。

土地と建物の予算配分、エリアによる土地代の違い、コスト削減ポイントを理解し、現実的な資金計画を立てられるようになります。

この記事のポイント

  • 土地なしで家を建てる総費用は全国平均約4,903万円(首都圏約5,680万円)
  • 費用の内訳は「土地代」「建物代」「諸費用」の3つで構成される
  • 土地代と建物代の予算配分は一般的に土地4:建物6程度
  • 建物代は坪単価50万〜80万円×建物面積で概算可能
  • 諸費用は総額の5-10%が目安(登記、ローン手数料、税金等)

土地代と建物代の内訳【全国平均】

住宅金融支援機構のフラット35利用者調査(2023年度)によると、土地付注文住宅の全国平均は以下の通りです。

項目 全国平均 首都圏平均
総費用 4,903万円 5,680万円
土地代 1,445万円 2,141万円
建築費 3,010万円 3,097万円
諸費用 約450万円 約440万円

(出典: 住宅金融支援機構

総費用のうち、土地代が約30%、建築費が約60%、諸費用が約10%を占めます。地域により土地代が大きく変動するため、総費用も変わります。

エリア別の土地代相場

土地代はエリアにより大きく異なります。

エリア 土地代相場
首都圏 2,141万円
近畿圏 1,693万円
東海圏 1,300万円
地方都市 800-1,200万円
郊外 500-800万円

(参考: フラット35利用者調査、2023年度)

首都圏は地方の2-3倍の土地代となります。土地代を抑えたい場合、郊外や地方都市を検討することも選択肢の一つです。

建物代の算出方法(坪単価)

建物代は、坪単価×建物面積で概算できます。坪単価は、建物価格を床面積(坪)で割った単価です。1坪=約3.3平方メートルです。

2025年の坪単価相場

坪単価は、建築会社により大きく異なります。

建築会社 坪単価相場
ローコスト住宅 50-60万円
地域工務店 60-70万円
中堅ハウスメーカー 70-80万円
大手ハウスメーカー 90-110万円

(参考: 住宅産業新聞等の坪単価相場調査、2025年時点)

例えば、建物面積35坪(約115平方メートル)、坪単価70万円の場合:

  • 建物代:35坪 × 70万円 = 2,450万円

坪単価には付帯工事費(外構、地盤改良等)が含まれないことが多いため、別途予算を確保する必要があります。

付帯工事費の目安

付帯工事費として、以下の費用が別途必要です(各工務店・ハウスメーカーの標準的な見積もり)。

  • 外構工事: 100-200万円(駐車場、門扉、フェンス等)
  • 地盤改良: 30-200万円(地盤の状態により変動)
  • 水道引込: 50-100万円(敷地外から水道管を引き込む場合)
  • 設計料: 建築費の5-10%程度

これらを含めた総額を試算することが重要です。

諸費用の内訳と目安

諸費用は、総額の5-10%が目安です。土地と建物それぞれに発生するため、合計で200-500万円程度となります。

土地購入時の諸費用

土地購入時には以下の諸費用が発生します。

項目 目安額
仲介手数料 土地代の3%+6万円+消費税
登記費用 10-20万円
不動産取得税 固定資産税評価額の3%
印紙税 1-3万円

(参考: 宅地建物取引業法による仲介手数料の上限等)

例えば、土地代1,500万円の場合:

  • 仲介手数料:1,500万円 × 3% + 6万円 + 消費税 = 約56万円
  • 登記費用:15万円
  • 不動産取得税:1,500万円 × 70%(評価額) × 3% = 約32万円
  • 印紙税:2万円
  • 合計:約105万円

建物建築時の諸費用

建物建築時には以下の諸費用が発生します。

項目 目安額
登記費用 10-20万円
印紙税 1-3万円
火災保険 10年一括払いで20-30万円
住宅ローン手数料 借入額の1-2%
つなぎ融資利息 30-50万円

(参考: 建物建築時の諸費用)

例えば、借入額4,000万円の場合:

  • 登記費用:15万円
  • 印紙税:2万円
  • 火災保険:25万円
  • 住宅ローン手数料:4,000万円 × 2% = 80万円
  • つなぎ融資利息:40万円
  • 合計:約162万円

つなぎ融資とは、建物完成前に土地代や着工金を支払うための一時的な借入です。

予算配分の考え方(土地4:建物6)

土地と建物の予算配分は、一般的に土地4:建物6程度が目安とされます。ただし、エリアや優先順位により調整が必要です。

住宅ローン借入可能額から逆算

住宅ローンの借入可能額は、年収の5-7倍程度が目安です。ただし、返済比率(年収に占める住宅ローン返済額の割合)は20-25%以内が無理のない返済計画とされます。

例えば、年収600万円の場合:

  • 借入可能額:600万円 × 6倍 = 3,600万円
  • 返済比率25%以内の年間返済額:600万円 × 25% = 150万円
  • 返済比率から逆算した借入可能額(金利1.5%、35年返済):約4,000万円

自己資金500万円の場合、総予算は4,500万円となります。

優先順位による予算配分

土地と建物のどちらを優先するか、家族の優先順位により予算配分を調整します。

  • 立地重視: 土地代に予算を多く配分し、建物をコンパクトに
  • 建物重視: 土地は郊外で安く購入し、建物に予算を配分

どちらを優先するかを明確にすることで、現実的な資金計画を立てられます。

コスト削減のポイント

総費用を抑えるためのポイントは以下の通りです。

土地の形状妥協

土地の形状を妥協することで、土地代を抑えられます。

  • 旗竿地: 道路に接する部分が狭い土地。相場より10-20%安い
  • 狭小地: 面積が小さい土地。建物を工夫すれば十分住める
  • 変形地: 形が不整形な土地。設計次第で活用可能

建物仕様の見直し

建物仕様を見直すことで、建築費を抑えられます。

  • シンプルな間取り: 複雑な間取りを避け、施工費を削減
  • 標準仕様の設備: オプション設備を減らし、コストダウン
  • 延床面積の縮小: 床面積を減らし、坪単価を抑える

補助金活用

各種補助金を活用することで、実質的な負担を軽減できます(2025年度時点)。

  • こどもエコすまい支援事業: 最大100万円
  • 地域型住宅グリーン化事業: 最大140万円
  • 各自治体の補助金: 地域により異なる

補助金は年度ごとに条件が変わるため、最新情報を確認しましょう。

まとめ:総費用を把握し現実的な資金計画を

土地なしで家を建てる総費用は、全国平均約4,903万円(首都圏約5,680万円)です。土地代、建物代、諸費用の3つで構成され、エリアや建築会社により大きく変動します。

土地と建物の予算配分は一般的に土地4:建物6程度が目安ですが、優先順位により調整が必要です。住宅ローン借入可能額から逆算し、自己資金とのバランスを見ながら総予算を決めましょう。

次のアクションとして、①ハウスメーカー・工務店への見積もり依頼、②土地探し、③住宅ローンの事前審査を進めましょう。複数社から見積もりを取り、総費用を正確に把握することが重要です。

よくある質問

Q1土地なしで家を建てる場合、自己資金はどれくらい必要ですか?

A1一般的には総費用の10-20%が目安です。全国平均約4,900万円の場合、500-1,000万円程度の自己資金が推奨されます。自己資金が多いほど住宅ローンの借入額が減り、総返済額を抑えられます。諸費用(総額の5-10%)は現金で用意する必要があることも考慮しましょう。

Q2坪単価に含まれない費用は何ですか?

A2坪単価には付帯工事費(外構工事、地盤改良、水道引込等)、設計料、諸費用(登記、税金、ローン手数料等)が含まれないことが多いです。これらを含めた総額を試算する必要があります。外構工事100-200万円、地盤改良30-200万円、諸費用200-500万円を別途予算として確保しましょう。

Q3土地代と建物代の予算配分はどう決めればよいですか?

A3一般的には土地4:建物6程度が目安ですが、優先順位により調整が必要です。立地重視なら土地に予算を多く配分し建物をコンパクトに、建物重視なら土地は郊外で安く購入し建物に予算を配分します。家族の優先順位を明確にして決めましょう。

Q4住宅ローンの借入可能額はどう計算しますか?

A4一般的には年収の5-7倍程度が目安ですが、返済比率(年収に占める住宅ローン返済額の割合)は20-25%以内が無理のない返済計画とされます。例えば年収600万円の場合、年間返済額150万円以内(月12.5万円)が目安です。金融機関で事前審査を受けて正確な借入可能額を確認しましょう。