固定資産税課税台帳とは?閲覧方法と課税明細書との違い

公開日: 2025/11/6

固定資産税課税台帳とは?閲覧方法と課税明細書との違い

不動産を所有している方の中には、「固定資産税の評価額を確認したい」「課税台帳はどこで見られるのか」と疑問に感じている方がいらっしゃいます。固定資産税課税台帳は市区町村が管理する公的帳簿で、一定の要件を満たせば閲覧可能です。

この記事では、固定資産税課税台帳の仕組み、記載内容、閲覧方法、課税明細書との違いを総務省法務局等の公式情報を元に解説します。

読者の皆様が、必要な情報にアクセスする方法を正しく理解できるようになります。

この記事のポイント

  • 固定資産税課税台帳は市区町村が固定資産の評価額・所有者を記録する公的帳簿(地方税法第380条に基づく)
  • 閲覧できるのは納税義務者本人・借地権者・借家人(自己の権利に関する部分のみ)・相続人等の一定の利害関係者
  • 閲覧方法は市区町村の税務課窓口で申請(本人確認書類・手数料数百円)、郵送可否は自治体による
  • 課税明細書は毎年4月に納税通知書に同封される書類で、課税台帳の内容を記載(無料・郵送)
  • 課税台帳と課税明細書は内容がほぼ同じだが、課税台帳の方が詳細で公的帳簿としての性格を持つ

固定資産税課税台帳とは何か

固定資産税課税台帳は、地方税法第380条に基づき市区町村が作成する公的帳簿です。固定資産の評価額・所有者を記録し、固定資産税の課税根拠となります。

固定資産課税台帳の法的位置づけ

地方税法第380条では、以下のように規定されています。

「市町村長は、固定資産の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の価格を明らかにするため、固定資産課税台帳を備えなければならない」

固定資産課税台帳は、土地・建物・償却資産の3種類に分かれており、さらに以下の5つの帳簿で構成されます。

  1. 土地課税台帳
  2. 土地補充課税台帳(登記されていない土地)
  3. 家屋課税台帳
  4. 家屋補充課税台帳(登記されていない建物)
  5. 償却資産課税台帳

課税台帳と登記簿の違い

課税台帳と登記簿は異なる公的帳簿です。

課税台帳は市区町村が管理し、固定資産税の課税根拠となる帳簿です。評価額・課税標準額が記載されます。

登記簿法務局が管理し、不動産の所有権・抵当権等の権利関係を記録する帳簿です。

両者は別の目的で作成されており、所在地番・地積・床面積等の情報は基本的に一致しますが、評価額・課税標準額は課税台帳のみに記載されます。

固定資産税課税台帳の記載内容

課税台帳には、固定資産の詳細情報と税額計算の基礎となる評価額・課税標準額が記載されます。

土地課税台帳の記載事項

土地課税台帳には、以下の情報が記載されます。

項目 内容
所有者 氏名・住所
所在 土地の所在地番
地番 登記上の地番
地目 宅地・田・畑・山林等の用途
地積 土地の面積(㎡)
評価額 固定資産評価基準に基づく価格
課税標準額 評価額から軽減措置を適用後の額(税額計算の基礎)

家屋課税台帳の記載事項

家屋課税台帳には、以下の情報が記載されます。

項目 内容
所有者 氏名・住所
所在 建物の所在地番
家屋番号 登記上の家屋番号
種類 居宅・店舗・工場等の用途
構造 木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造等
床面積 建物の延べ床面積(㎡)
評価額 再建築価格×経年減点補正率
課税標準額 評価額から軽減措置を適用後の額

評価額と課税標準額の違い

評価額は、固定資産評価基準(総務大臣告示)に基づき市区町村が決定する固定資産の価格です。3年ごとに評価替えが行われます(2025年時点での次回評価替えは2027年度です)。

課税標準額は、評価額から住宅用地特例(評価額の1/6・1/3)や新築住宅減額等の軽減措置を適用後の額です。固定資産税は「課税標準額×税率(標準1.4%)」で計算されます。

課税台帳には両方が記載されており、実際に課税される税額の根拠を確認できます。

固定資産税課税台帳の閲覧方法

課税台帳は、一定の要件を満たせば市区町村の税務課窓口で閲覧できます。

閲覧できる人(閲覧権限)

地方税法第382条で定められた閲覧権限者は以下の通りです。

  1. 納税義務者本人: 自己の固定資産について閲覧可能
  2. 借地権者・借家人: 自己の権利に関する部分(借地・借家の評価額等)のみ閲覧可能
  3. 固定資産を処分する権利を有する一定の者: 相続人・破産管財人等

第三者は原則として閲覧できません。個人情報保護法の対象となるため、閲覧には本人確認書類が必要です。

閲覧の手続きと必要書類

課税台帳の閲覧手続きは以下の通りです。

窓口申請の場合:

  1. 市区町村の税務課窓口へ訪問
  2. 閲覧申請書に記入(住所・氏名・閲覧対象の不動産情報等)
  3. 本人確認書類を提示(運転免許証・マイナンバーカード等)
  4. 手数料を支払い(数百円、自治体により異なる)
  5. 課税台帳を閲覧(コピー取得可能、別途手数料)

郵送申請の場合: 郵送可否は自治体により異なります。対応している自治体では、以下の書類を郵送します。

  • 閲覧申請書(自治体ウェブサイトからダウンロード)
  • 本人確認書類のコピー
  • 手数料(定額小為替等)
  • 返信用封筒(切手貼付)

詳細は市区町村の税務課に確認してください。

閲覧手数料の目安

閲覧手数料は自治体により異なりますが、一般的な自治体の事例として以下の目安となります。

項目 目安額
閲覧 200-400円/件
コピー取得 10-30円/枚

具体的な手数料は、市区町村の条例で定められています。事前に確認することをおすすめします。

課税台帳と課税明細書の違い

課税台帳と課税明細書は、内容がほぼ同じですが、作成主体・交付方法・費用等が異なります。

課税明細書とは

課税明細書は、毎年4月に市区町村から郵送される納税通知書に同封される書類です。課税台帳の内容(所在・地積・評価額・課税標準額・税額等)を記載しています。

納税義務者本人に無料で郵送されるため、自分の固定資産の評価額を確認する最も簡単な方法です。

課税台帳と課税明細書の比較

項目 課税台帳 課税明細書
性格 公的帳簿(地方税法第380条) 納税通知書の添付書類
作成主体 市区町村 市区町村
交付方法 窓口・郵送で申請 毎年4月に自動郵送
費用 数百円 無料
記載内容 詳細(全ての記載事項) 主要事項(評価額・課税標準額・税額等)
閲覧権限 本人・利害関係者 本人のみ

どちらを使うべきか

課税明細書を使う場合:

  • 毎年の評価額・税額を確認したい
  • 費用をかけずに情報を入手したい
  • 自分の固定資産のみを確認したい

課税台帳を使う場合:

  • 課税明細書を紛失した
  • より詳細な情報を確認したい
  • 借地権者・借家人として権利に関する部分を確認したい
  • 公的証明として利用したい

一般的には、課税明細書で十分な場合が多いです。紛失した場合や詳細確認が必要な場合に、課税台帳の閲覧申請を検討しましょう。

課税明細書の再発行について

課税明細書を紛失した場合、市区町村の税務課で再発行が可能です。

再発行の手続き

再発行の手続きは以下の通りです。

  1. 市区町村の税務課窓口へ訪問(または電話・郵送で申請)
  2. 再発行申請書に記入
  3. 本人確認書類を提示
  4. 手数料を支払い(無料~数百円、自治体により異なる)
  5. 課税明細書を受け取り

自治体により手続きが異なるため、事前に確認してください。

縦覧制度の活用

毎年4月1日~5月31日頃には、「縦覧制度」を利用できます。

縦覧制度は、自分の土地・家屋の評価額と他の土地・家屋の評価額を比較できる制度です(地方税法第416条)。自分の評価額が周辺と比べて妥当かを確認できます。

市区町村の税務課窓口で申請し、縦覧帳簿を閲覧します(無料)。課税明細書の再発行と併せて活用すると良いでしょう。

まとめ:課税台帳と課税明細書を使い分けよう

固定資産税課税台帳は、市区町村が固定資産の評価額・所有者を記録する公的帳簿です。納税義務者本人・借地権者・借家人・相続人等が閲覧可能で、市区町村の税務課窓口で申請(本人確認書類・手数料数百円)することで閲覧できます。

課税明細書は、毎年4月に納税通知書に同封される書類で、課税台帳の主要事項を記載しています。無料で郵送されるため、自分の固定資産の評価額を確認する最も簡単な方法です。

一般的には課税明細書で十分ですが、紛失した場合や詳細確認が必要な場合に課税台帳の閲覧を検討しましょう。評価額に不服がある場合は、縦覧制度を活用して周辺と比較し、必要に応じて審査申出(地方税法第432条)を行うことができます。

個別具体的な判断は、市区町村の税務課または税理士へ相談してください。

よくある質問

Q1固定資産税課税台帳は誰でも閲覧できますか?

A1閲覧できるのは、地方税法第382条で定められた一定の者のみです。具体的には、①納税義務者本人、②借地権者・借家人(自己の権利に関する部分のみ)、③相続人・破産管財人等の固定資産を処分する権利を有する一定の者です。第三者は原則として閲覧できません。個人情報保護法の対象となるため、閲覧には本人確認書類が必要です。

Q2課税台帳の閲覧手数料はいくらですか?

A2閲覧手数料は自治体により異なりますが、一般的には200-400円/件が目安です。コピー取得は別途10-30円/枚程度かかります。具体的な手数料は市区町村の条例で定められているため、事前に税務課に確認することをおすすめします。課税明細書(毎年4月に郵送)は無料ですので、紛失していない場合はそちらを活用すると良いでしょう。

Q3課税明細書と課税台帳はどう使い分けるべきですか?

A3一般的には課税明細書で十分です。課税明細書は毎年4月に納税通知書に同封され、無料で自動郵送されます。主要事項(評価額・課税標準額・税額等)が記載されており、通常の確認に使えます。課税台帳の閲覧が必要なのは、①課税明細書を紛失した、②より詳細な情報を確認したい、③借地権者・借家人として権利に関する部分を確認したい、④公的証明として利用したい場合です。

Q4課税明細書を紛失した場合、再発行できますか?

A4再発行可能です。市区町村の税務課窓口へ訪問(または電話・郵送で申請)し、再発行申請書に記入、本人確認書類を提示、手数料を支払い(無料~数百円、自治体により異なる)することで再発行されます。自治体により手続きが異なるため、事前に税務課に確認してください。毎年4月1日~5月31日頃の縦覧期間中は、縦覧制度も併せて活用すると良いでしょう。