固定資産税が上がる7つの理由|評価替えから増改築まで徹底解説

公開日: 2025/11/4

固定資産税が上がる理由を知りたい方へ

「去年より固定資産税が上がった」「なぜ税額が変わったのか」と納税通知書を見て驚いた経験はありませんか。

この記事では、固定資産税が上がる7つの理由を、総務省・国土交通省の公式情報を元に解説します。

評価替えの仕組み、新築軽減措置の終了、住宅用地特例の解除など、税額が変わる理由を理解することで、次の納税通知書を受け取った際に適切に対応できるようになります。

この記事のポイント

  • 固定資産税が上がる理由は主に7つ(新築軽減措置終了、評価替え、増改築等)
  • 最も一般的なのは「新築軽減措置終了」と「評価替えによる地価上昇」
  • 新築住宅は4年目に税額が倍増する(軽減措置終了のため)
  • 評価替えは3年ごとで、地価上昇地域では税額増、地価下落地域では税額減
  • 空き家を放置すると住宅用地特例が解除され、税額が最大6倍に跳ね上がる可能性

固定資産税が上がる7つの理由

固定資産税が上がる理由は以下の7つです。

  1. 新築住宅の軽減措置終了(4年目で倍増)
  2. 評価替えによる地価上昇(3年ごと)
  3. 増改築・リフォーム
  4. 住宅用地特例の解除(更地化・特定空家指定)
  5. 税率変更(稀)
  6. 用途地域変更
  7. 課税ミス訂正

このうち最も一般的なのは①と②です。

「固定資産税は必ず上がり続ける」わけではありません。地価下落地域では評価替えで税額が下がる場合もありますし、建物の経年劣化により評価額は年々減少します。

新築住宅の軽減措置終了で4年目に倍増

新築住宅は固定資産税が一定期間軽減される制度があります。

一般住宅は新築後3年間、マンションは5年間軽減

国土交通省によると、新築住宅の固定資産税は以下の期間、税額が1/2に軽減されます。

  • 一般住宅: 新築後3年間
  • マンション: 新築後5年間

この軽減措置は地方税法附則第15条の6により2026年3月末まで延長されています。

認定長期優良住宅は軽減期間が延長

耐久性・省エネ性等が優れた認定長期優良住宅の場合、軽減期間が延長されます。

  • 一般住宅: 新築後5年間
  • マンション: 新築後7年間

具体的な税額変化の計算例

: 評価額2,000万円の新築住宅、標準税率1.4%の場合

期間 税額
1-3年目 14万円(2,000万円×1.4%×1/2)
4年目以降 28万円(2,000万円×1.4%)

4年目から税額が倍増します。購入前に説明される重要事項ですが、見落としている所有者も多いのが実情です。

評価替えによる地価上昇(3年ごとの見直し)

固定資産税の評価額は3年ごとに見直されます。

評価替えの仕組みと実施タイミング

評価替えは、固定資産税の評価額を3年ごとに見直す制度です。

  • 令和6年度(2024年): 基準年度
  • 次回: 令和9年度(2027年)

評価額は公示価格の70%水準で算定されます。地価が上昇すれば評価額も上がり、固定資産税が増える仕組みです。

2024年評価替えの影響

MONEYIZMによると、2024年評価替えでは以下の傾向が見られました。

  • 東京都心・地方中核都市: 地価上昇により税額増
  • 地方都市: 横ばい・減少の地域もあり

地域により影響が異なります。

地域別の地価動向と負担調整措置

評価額が急上昇した場合、負担調整措置により税額の急変が緩和されます。前年度の課税標準額から段階的に引き上げられるため、評価額が上がっても一度に全額課税されるわけではありません。

また、地価下落地域では評価額が下がり、税額も減少する場合があります。

増改築・リフォームによる評価額の上昇

建築確認申請が必要なリフォーム

増改築で床面積が増えると建築確認申請が必要となり、自治体が把握して家屋調査を実施します。

ハピすむによると、再建築価格法により評価額を再計算し、増加分に応じて税額が上がります。

床面積増加による税額増

: 延床面積100㎡の木造住宅に20㎡の増築をした場合

増築部分の評価額(再建築価格×経年減点補正率)が加算され、税額が増えます。

家屋調査と再評価の流れ

内装リフォームや設備交換のみの場合、建築確認申請が不要で評価額は変わりません。床面積増加・構造変更を伴うリフォームは要注意です。

住宅用地特例の解除で税額が最大6倍に

住宅用地特例の仕組み

住宅の敷地には固定資産税の軽減措置があります。

区分 軽減率
小規模住宅用地(200㎡以下) 評価額の1/6
一般住宅用地(200㎡超) 評価額の1/3

特定空家・管理不全空家の指定

空家等対策特別措置法により、以下のいずれかに指定されると住宅用地特例が解除されます。

  • 特定空家: 倒壊の危険・衛生上有害・著しく景観を損なう等
  • 管理不全空家: 適切な管理がされていない(2023年改正法で追加)

国土交通省の資料によると、特例が解除されると税額が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。

更地化による特例解除

住宅を取り壊して更地化すると、住宅用地特例が解除され、評価額が6倍(または3倍)に跳ね上がります。

その他の理由(税率変更・用途地域変更・課税ミス訂正)

市区町村による税率変更

標準税率1.4%ですが、市区町村により税率が異なる場合があります。財政難により条例改正で税率を引き上げるケースは稀ですが、可能性はゼロではありません。

用途地域の変更

都市計画法により用途地域が変更されると、建蔽率・容積率が変わり評価額に影響する場合があります。

過去の課税ミスの訂正

過去に評価額を過少に算定していた場合、訂正により遡って増額されるケースがあります。

評価額に不服がある場合は、納税通知書受取後3ヶ月以内に固定資産評価審査委員会へ審査請求できます。都城市の公式サイトで手続き方法が確認できます。

まとめ

固定資産税が上がる最も一般的な理由は、新築軽減措置終了と評価替えによる地価上昇です。4年目の税額倍増は購入前に説明されるべき重要事項ですが、見落としている所有者も多いのが実情です。

評価替えは3年ごとで、地価上昇地域では税額増、地価下落地域では税額減となります。増改築・空き家の特定空家指定・更地化による住宅用地特例解除も要注意です。

評価額に不服がある場合は納税通知書受取後3ヶ月以内に審査請求できます。次の納税通知書を受け取ったら、理由を確認して適切に対応しましょう。

よくある質問

Q1固定資産税は毎年必ず上がりますか?

A1いいえ、必ずしも上がるわけではありません。地価下落地域では評価替えで税額が下がる場合もあります。また、建物の経年劣化により評価額は年々減少します。固定資産税が上がる理由は複数ありますが、地価動向や建物の状態により税額は変動します。

Q2評価替えで税額が急上昇した場合、全額を一度に払う必要がありますか?

A2いいえ、負担調整措置により、評価額が急上昇しても税額は前年度の課税標準額から段階的に引き上げられ、急変が緩和されます。一度に全額課税されるわけではないため、安心してください。ただし、段階的に引き上げられることで、数年間にわたり税額が上がり続ける場合があります。

Q3内装リフォームだけでも固定資産税は上がりますか?

A3内装リフォームや設備交換のみの場合、建築確認申請が不要で評価額は変わりません。固定資産税が上がるのは、床面積増加や構造変更を伴うリフォームの場合です。建築確認申請を提出すると自治体が把握し、家屋調査で評価額が再計算されます。

Q4固定資産税の評価額に納得できない場合、どうすればいいですか?

A4納税通知書受取後3ヶ月以内に、固定資産評価審査委員会へ審査請求できます。市区町村長から独立した第三者機関が審査します。審査請求する際は、評価額が不当に高いと考える根拠を示す資料を準備することをおすすめします。

Q5空き家を放置すると固定資産税はどれくらい上がりますか?

A5特定空家または管理不全空家に指定されると、住宅用地特例(評価額1/6)が解除され、税額が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。例えば、小規模住宅用地で年間5万円だった固定資産税が、特例解除後に30万円になることもあります。空き家を適切に管理するか、売却・解体を検討しましょう。