土地ありで家を建てる費用の相場
土地を既に所有している場合、「家を建てる費用はいくらかかるのか」「土地購入費がない分、予算をどう配分すべきか」と悩む方は多いのではないでしょうか。
この記事では、土地ありで家を建てる費用の内訳・相場・注意点を、住宅金融支援機構のフラット35利用者調査データを元に詳しく解説します。
土地を所有している方でも、建築費用の全体像を正確に把握し、適切な予算計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 土地ありで家を建てる費用の全国平均は3,863万円(2024年度フラット35利用者調査)
- 建築費用は本体工事費(70-80%)、付帯工事費(15-20%)、諸費用(5-10%)の3つに分けられる
- 土地購入費が不要な分、建物や外構のグレードアップに予算を配分できる
- 坪単価は本体工事費のみで、総費用は坪単価×延床面積×1.25-1.3倍が目安
- 相続した土地の場合、2024年4月から相続登記が義務化されており、未登記だと住宅ローンが組めない
土地ありで家を建てる費用の全国平均
土地を既に所有している場合、土地購入費が不要な分、建築費用に集中して予算を組むことができます。
全国平均3,863万円(フラット35利用者調査)
住宅金融支援機構の2024年度フラット35利用者調査によると、注文住宅(土地あり)の全国平均費用は3,863万円です。
| エリア | 平均費用 | 平均延床面積 | 
|---|---|---|
| 全国 | 3,863万円 | 約120㎡(約36坪) | 
| 首都圏 | 4,200万円前後 | 約115㎡ | 
| 近畿圏 | 3,900万円前後 | 約120㎡ | 
| 東海圏 | 3,700万円前後 | 約125㎡ | 
| その他地域 | 3,500万円前後 | 約130㎡ | 
※地域によって建築費用・延床面積に差があります。
(出典: 住宅金融支援機構)
地域別の費用相場
地域別の費用相場を見ると、首都圏が最も高く、地方が低い傾向にあります。
- 首都圏: 人件費・資材費が高いため、建築費用も高め
- 地方: 人件費・資材費が安く、延床面積も広めに確保できる
土地ありのメリット
土地購入費が不要な分、以下のようなメリットがあります。
- 建物のグレードアップ: 高性能断熱材・太陽光発電システム等の導入
- 外構の充実: 庭・駐車場・門・塀等の外構に予算を配分
- 資金計画の柔軟性: 頭金を多く入れて住宅ローンを減らす等の選択肢
建築費用の内訳
土地ありで家を建てる費用は、本体工事費・付帯工事費・諸費用の3つに分けられます。
本体工事費(70-80%)
本体工事費は、建物そのものを建てる費用で、総費用の**70-80%**を占めます。
- 基礎工事: 地盤・基礎
- 木工工事: 柱・梁・床・壁
- 外装・屋根工事: 外壁・屋根
- 設備工事: 電気・水道・ガス・空調
付帯工事費(15-20%)
付帯工事費は、建物以外の工事費用で、総費用の**15-20%**を占めます。
- 外構工事: 庭・駐車場・門・塀
- 地盤改良工事: 軟弱地盤の場合(数十万~数百万円)
- 既存建物解体費: 既存建物がある場合(100-300万円)
- 電気・ガス・水道引き込み工事: 公道からの引き込み費用
諸費用(5-10%)
諸費用は、各種手続き・税金・保険等の費用で、総費用の**5-10%**を占めます。
- 登記費用: 建物表題登記・所有権保存登記(10-30万円)
- 印紙代: 建築請負契約書・住宅ローン契約書(数万円)
- 住宅ローン手数料: 融資手数料・保証料(数十万円)
- 火災保険料: 10年一括払いで20-40万円
- 不動産取得税: 建物の固定資産税評価額×3%(軽減措置あり)
- 固定資産税: 建物の評価額×1.4%(年間)
| 費用区分 | 割合 | 内容 | 
|---|---|---|
| 本体工事費 | 70-80% | 建物そのもの | 
| 付帯工事費 | 15-20% | 外構・地盤改良・解体等 | 
| 諸費用 | 5-10% | 登記・税金・ローン手数料等 | 
(出典: 伊予銀行)
本体工事費の詳細内訳
本体工事費は、建物の構造・仕様によって大きく変動します。
基礎工事・木工工事
- 基礎工事: ベタ基礎または布基礎(100-200万円)
- 木工工事: 柱・梁・床・壁の骨組み(延床面積により変動)
外装・屋根工事
- 外壁: サイディング・タイル・塗り壁等(200-400万円)
- 屋根: スレート・ガルバリウム鋼板・瓦等(100-200万円)
設備工事(電気・水道・ガス)
- 電気設備: 配線・分電盤・照明器具(100-150万円)
- 水道設備: 給排水管・設備機器(100-150万円)
- ガス設備: ガス配管・給湯器(50-100万円)
- 空調設備: エアコン・床暖房等(50-150万円)
坪単価の目安
本体工事費を延床面積で割ったものが「坪単価」です。
| 工法・仕様 | 坪単価目安 | 
|---|---|
| ローコスト住宅 | 40-60万円/坪 | 
| 中規模工務店 | 60-80万円/坪 | 
| 大手ハウスメーカー | 80-120万円/坪 | 
| 高級注文住宅 | 120万円/坪以上 | 
重要: 坪単価は本体工事費のみで、付帯工事費・諸費用は含まれません。総費用は「坪単価×延床面積×1.25-1.3倍」が目安です。
(出典: HOME4U)
付帯工事費と諸費用の詳細
付帯工事費と諸費用は、見落としがちですが重要な費用です。
付帯工事費(外構・地盤改良・解体等)
- 外構工事: 庭・駐車場・門・塀(100-300万円)
- 地盤改良工事: 土地状態により数十万~数百万円(軟弱地盤の場合200-300万円以上)
- 既存建物解体費: 木造住宅で100-150万円、鉄骨造で150-250万円
- 電気・ガス・水道引き込み工事: 公道から敷地内への引き込み(50-100万円)
諸費用(登記・税金・ローン手数料等)
- 登記費用: 建物表題登記(8-12万円)、所有権保存登記(5-10万円)、抵当権設定登記(5-10万円)
- 印紙代: 建築請負契約書(2-6万円)、住宅ローン契約書(2-6万円)
- 住宅ローン手数料: 融資手数料(借入額の2.2%程度)、保証料(借入額の2%程度、または金利上乗せ)
- 火災保険料: 10年一括払いで20-40万円
- 不動産取得税: 建物の固定資産税評価額×3%(新築住宅は軽減措置あり)
- 固定資産税: 建物の評価額×1.4%(年間、新築3-5年間は減額措置あり)
(出典: 伊予銀行)
土地ありで家を建てる際の注意点
土地を既に所有している場合、以下の点に注意が必要です。
相続した土地の場合の相続登記義務
相続した土地に家を建てる場合、2024年4月から相続登記が義務化されています。
- 期限: 相続を知った日から3年以内
- 罰則: 正当な理由なく登記しない場合、10万円以下の過料
- 住宅ローンへの影響: 未登記だと住宅ローンの抵当権設定ができないため、ローンが組めない
相続登記を先に済ませてから、建築計画を進めましょう。
(出典: 三菱UFJ銀行)
贈与・生前贈与の税金
親から土地の贈与を受ける場合、贈与税が課税されます。
- 暦年贈与: 年110万円までは非課税、超過分は累進税率10-55%
- 相続時精算課税制度: 2,500万円までは贈与税非課税、相続時に精算
税理士に相談して、最適な方法を選択することをおすすめします。
土地整備費用の変動
土地の状態により、整備費用が大きく変動します。
- 地盤改良工事: 軟弱地盤の場合、200-300万円以上かかる場合あり
- 既存建物解体: 木造100-150万円、鉄骨150-250万円
- 造成工事: 傾斜地・擁壁が必要な場合、数百万円
事前に地盤調査を実施し、整備費用を正確に把握することが重要です。
まとめ:土地ありで家を建てる費用をシミュレーションしよう
土地ありで家を建てる費用の全国平均は3,863万円です。建築費用は、本体工事費(70-80%)、付帯工事費(15-20%)、諸費用(5-10%)の3つに分けられ、これらを合計した総費用で予算を組む必要があります。
土地購入費が不要な分、建物のグレードアップや外構の充実に予算を配分できるメリットがあります。ただし、相続した土地の場合は相続登記義務(2024年4月施行)に注意し、未登記だと住宅ローンが組めないため先に登記を済ませましょう。
複数のハウスメーカー・工務店から見積もりを取り、坪単価だけでなく総費用(付帯工事費・諸費用含む)で比較することが重要です。適切な予算計画を立てて、理想の家づくりを実現しましょう。
