仲介手数料1ヶ月は違法?賃貸契約の上限と安く抑える方法

公開日: 2025/10/26

仲介手数料1ヶ月分は違法なのか?法的根拠を確認

賃貸物件を探していると、「仲介手数料1ヶ月分」を請求されることがあります。「これって違法じゃないの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、仲介手数料1ヶ月分の法的根拠、違法になるケース、適正な金額、減額する方法を、国土交通省の公式情報を元に解説します。

賃貸契約を結ぶ前に正しい知識を身につけ、納得した上で契約できるようになります。

この記事のポイント

  • 仲介手数料1ヶ月分は、依頼者の承諾があれば合法
  • 承諾なしで一方的に請求する場合は違法
  • 仲介手数料の上限は「賃料1ヶ月分+消費税(1.1ヶ月分)」
  • 減額交渉は可能だが、仲介手数料無料・半額の物件を探す方が確実
  • 契約前に必ず仲介手数料の金額と計算根拠を確認することが重要

仲介手数料の法的上限と原則

仲介手数料は、宅地建物取引業法第46条と国土交通省告示により上限が定められています。

法律で定められた上限額

賃貸借契約における仲介手数料の上限は、**「賃料1ヶ月分+消費税(1.1ヶ月分)」**です。これを超える請求は宅建業法第82条により100万円以下の罰金または1年以下の懲役に該当します。

項目 上限額
仲介手数料 賃料1ヶ月分+消費税
例:賃料10万円 11万円(10万円×1.1)

(出典: 国土交通省

原則は0.5ヶ月分、承諾があれば1ヶ月分も可能

国土交通省告示により、仲介手数料の原則は以下のように定められています。

  • 原則: 借主・貸主それぞれから賃料の0.5ヶ月分まで受領可能
  • 例外: 依頼者(借主)の承諾があれば、一方から1ヶ月分まで受領可能

つまり、依頼者の承諾がある場合は1ヶ月分も合法です。「1ヶ月分は必ず違法」という認識は誤りです。

違法になるケース:承諾なしで請求した場合

仲介手数料1ヶ月分が違法と判断されるのは、契約前に明確な説明と承諾がない場合です。

事前説明・合意が必要(2019年通達)

2019年10月の国土交通省通達により、報酬額について依頼者への事前説明・合意が必須となりました。

違法となる具体例:

  • 契約締結前に仲介手数料1ヶ月分の説明がなかった
  • 物件案内時に「0.5ヶ月分」と説明され、契約書で初めて「1ヶ月分」が判明した
  • 承諾を求められず、一方的に1ヶ月分を請求された

東京地裁判決(2019年8月)の事例

2019年8月の東京地裁判決では、契約後に1ヶ月分の仲介手数料が判明したケースで不動産会社が敗訴しました。

事前に明確な説明と同意がない場合、承諾が成立しないと判断され、原則の0.5ヶ月分のみが正当な報酬とされました。

仲介手数料を安く抑える方法

仲介手数料を減額する具体的な方法を紹介します。

仲介手数料無料・半額の物件を探す

最も確実な方法は、仲介手数料無料または半額の物件を専門に扱う不動産会社を利用することです。

メリット:

  • 交渉不要で確実に費用を抑えられる
  • 貸主から広告料を受け取る仕組みで運営されている
  • 物件の質やサービスは通常の不動産会社と変わらない

交渉のタイミングと注意点

直接交渉する場合、以下のタイミングが効果的です。

  • 内見前: 物件案内を依頼する前に「仲介手数料を0.5ヶ月分にできますか?」と確認
  • 申し込み前: 契約意思を示す前に交渉すると応じてもらいやすい

注意点:

  • 過度な値下げ交渉はサービス品質低下のリスクがある
  • 繁忙期(1-3月)は交渉が難しい傾向
  • 人気物件は交渉の余地が少ない

よくあるトラブル事例と対処法

国土交通省の相談事例集から、実際のトラブル事例と対処法を紹介します。

契約後に高額請求が判明したケース

物件案内時に仲介手数料の説明がなく、契約書で初めて1ヶ月分の請求が判明した場合、消費者契約法により契約の取消しを主張できる可能性があります。

対処法:

  • 重要事項説明書で仲介手数料の項目を必ず確認
  • 契約前に「仲介手数料は賃料の何ヶ月分ですか?」と質問
  • 説明がない場合は「事前に説明を受けていない」と主張

トラブル時の相談先

仲介手数料に関するトラブルが発生した場合の相談先は以下の通りです。

  • 国民生活センター(消費者ホットライン188): 消費者トラブル全般の相談
  • 各都道府県の宅建協会: 宅建業者に関する苦情・相談
  • 国土交通省の地方整備局: 宅建業法違反の通報

まとめ:仲介手数料1ヶ月分は承諾があれば合法

仲介手数料1ヶ月分は、依頼者の承諾があれば合法です。ただし、承諾なしで一方的に請求する場合は違法と判断されます。

契約前に必ず仲介手数料の金額と計算根拠を確認し、納得した上で承諾することが重要です。不明点がある場合は、専門機関(国民生活センター、宅建協会等)に相談することをおすすめします。

仲介手数料を抑えたい場合は、仲介手数料無料・半額の物件を専門に扱う不動産会社を利用する方法が確実です。信頼できる不動産会社を選び、納得のいく賃貸契約を結びましょう。

よくある質問

Q1仲介手数料は値引き交渉できますか?

A1交渉は可能ですが、成功するかは不動産会社次第です。仲介手数料無料・半額の物件を専門に扱う不動産会社を利用する方が確実に費用を抑えられます。交渉する場合は、内見前や申し込み前のタイミングが効果的です。ただし、過度な値下げ交渉はサービス品質低下のリスクがあるため、バランスが重要です。

Q2契約後に「1ヶ月分請求します」と言われたらどうすればいいですか?

A2契約前に説明と承諾がなければ違法の可能性があります。まずは不動産会社に「事前に説明を受けていない」と伝え、説明を求めてください。それでも納得できない場合は、国民生活センター(消費者ホットライン188)や各都道府県の宅建協会に相談することをおすすめします。重要事項説明書の記載内容も確認しましょう。

Q3敷金・礼金と仲介手数料の違いは何ですか?

A3敷金は退去時の原状回復費用の担保として貸主に預けるお金、礼金は貸主への謝礼金、仲介手数料は不動産会社への報酬です。このうち、仲介手数料のみが法律(宅建業法)で上限が定められています(賃料1ヶ月分+消費税が上限)。敷金は退去時に返還されますが、礼金と仲介手数料は返還されません。

Q4仲介手数料に消費税はかかりますか?

A4はい、かかります。仲介手数料は不動産会社が提供するサービスの対価であり、消費税の課税対象です。賃料10万円の物件の場合、仲介手数料の上限は「10万円×1.1(消費税込み)=11万円」となります。消費税を含めた金額で上限が定められているため、事前に総額を確認しましょう。