ブラックリストとは何か?正確な定義を理解する
過去に債務整理や延滞をした経験があり、「ブラックリストに載っているから住宅ローンは無理」と諦めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、「ブラックリスト」の正確な意味、住宅ローン審査への影響、審査に通る可能性を高める対処法を、全国銀行個人信用情報センター(KSC)・CIC等の公的機関の情報を元に解説します。
ブラックリストの実態を正しく理解し、住宅購入の可能性を見出せるようになります。
この記事のポイント
- 「ブラックリスト」とは信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に事故情報が登録された状態を指す
- 事故情報の登録期間は延滞解消後1-5年、自己破産は10年
- 事故情報登録中は住宅ローン審査がほぼ通らないが、登録期間経過後は可能性がある
- 対処法として、信用情報の開示請求、登録期間経過を待つ、頭金を増やす、配偶者名義での借入等がある
- 「必ず借りられる」と謳う業者は闇金の可能性が高いため注意が必要
「ブラックリスト」の正確な定義
「ブラックリスト」という名簿は存在しません。正式には、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に事故情報(異動情報)が登録された状態を指します。
信用情報機関とは
信用情報機関は、個人の信用情報(借入履歴、返済状況等)を管理する機関です。日本には以下の3機関があります。
| 信用情報機関 | 主な加盟業者 | 
|---|---|
| CIC(指定信用情報機関) | クレジットカード会社 | 
| JICC(日本信用情報機構) | 消費者金融 | 
| KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 銀行 | 
事故情報が登録される原因
以下のような状況で事故情報が登録されます。
- 61日以上の延滞: クレジットカードやローンの返済を61日以上延滞
- 債務整理: 任意整理、個人再生、自己破産
- 代位弁済: 保証会社が債務者に代わって返済
- 強制解約: 延滞等により契約が強制的に解約された
これらの情報が登録されると、金融機関は審査時に照会できます。
事故情報の登録期間
事故情報は永久に残るわけではなく、一定期間経過後に自動削除されます。
延滞・債務整理の登録期間(1-5年)
JICCによると、以下の登録期間が定められています。
| 事故情報の種類 | 登録期間 | 
|---|---|
| 延滞 | 延滞解消後1-5年 | 
| 任意整理・個人再生 | 契約終了後5年 | 
| 代位弁済 | 発生後5年 | 
(出典: JICC)
自己破産の登録期間(10年)
自己破産はKSC(全国銀行個人信用情報センター)に10年間登録されます。CICとJICCでは5年で削除されますが、銀行の住宅ローン審査ではKSCの情報も照会されるため、実質的に10年間は審査が困難です。
登録期間経過後は自動削除
登録期間を経過すると、事故情報は自動的に削除されます。削除のための特別な手続きは不要です。ただし、誤った情報が登録されている場合は、信用情報機関に訂正請求ができます。
ブラックリストでの住宅ローン審査への影響
事故情報が登録されている間は、住宅ローン審査がほぼ通りません。
審査がほぼ通らない理由
金融機関は住宅ローン審査時に必ず信用情報を照会します。事故情報が登録されていると、「返済能力に問題がある」と判断され、審査が否決されます。
重要: 「ブラックリストでも必ず借りられる」という謳い文句は闇金の可能性が高いため、絶対に利用しないでください。正規の金融機関は必ず信用情報を照会します。
登録期間経過後は審査の可能性がある
事故情報の登録期間が経過し、信用情報がクリアになった後であれば、住宅ローン審査に通る可能性があります。ただし、収入・勤続年数・頭金等の他の審査項目も満たす必要があります。
審査に通るための対処法
事故情報が登録されている状態でも、以下の対処法で審査通過の可能性を高めることができます。
信用情報の開示請求で正確性を確認
CIC・JICC・KSCに信用情報開示請求を行い、自分の信用情報を確認しましょう。
開示請求の方法:
- インターネット・郵送で申請可能
- 手数料は1,000円程度
- 開示報告書で事故情報の有無、登録期間を確認
誤った情報が登録されている場合は、訂正請求ができます。ただし、正確な事故情報は削除できません。
登録期間経過を待つ
最も確実な方法は、登録期間が経過するまで待つことです。延滞・債務整理は5年、自己破産は10年経過すれば事故情報が自動削除されます。
その間に、収入を増やす、勤続年数を伸ばす、頭金を貯める等の準備を進めましょう。
頭金を多く用意する
頭金を物件価格の20%以上用意すると、金融機関の審査が通りやすくなります。頭金が多いほど借入額が減り、返済負担率が下がるためです。
配偶者名義で借入を検討
配偶者がブラックリストに載っていない場合、配偶者名義で住宅ローンを組む方法があります。信用情報は個人単位で管理されるため、配偶者の事故情報は自分の審査に直接影響しません。
ただし、世帯収入を合算する場合は配偶者の信用情報も参照される場合があります。
フラット35等の審査基準が異なる商品を検討
フラット35は住宅金融支援機構が提供する長期固定金利ローンで、民間銀行と審査基準が異なります。信用情報に不安がある方でも、収入・勤続年数等の他の条件を満たせば審査に通る可能性があります。
審査に通った事例はあるか
登録期間経過後や軽微な延滞のケースでは、審査に通った事例があります。
登録期間経過後の申込
事故情報の登録期間(5-10年)が経過し、信用情報がクリアになった後に申し込んだケースでは、他の審査項目(収入・勤続年数・頭金等)を満たせば審査に通る可能性があります。
軽微な延滞のケース
61日未満の短期間の延滞であれば、事故情報として登録されない場合があります。この場合、「延滞履歴」として残りますが、「異動」として登録されるほど重大ではないため、審査に通る可能性があります。
ただし、延滞履歴も審査でマイナス評価となるため、できる限り避けるべきです。
まとめ:信用情報を正しく理解し、対処法を実践する
「ブラックリスト」とは信用情報機関に事故情報が登録された状態を指し、登録期間は延滞解消後1-5年、自己破産は10年です。
事故情報登録中は住宅ローン審査がほぼ通りませんが、登録期間経過後は審査の可能性があります。対処法として、信用情報の開示請求、登録期間経過を待つ、頭金を増やす、配偶者名義での借入、フラット35の検討等があります。
「ブラックリストでも必ず借りられる」と謳う業者は闇金の可能性が高いため、絶対に利用しないでください。正規の金融機関・保険会社を通じて申し込み、信頼できる専門家(ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー等)に相談することをおすすめします。
