アパート・マンションの違いを徹底比較!選び方のポイント

公開日: 2025/10/27

アパート・マンションの違いとは?法的定義がない曖昧な区分

賃貸住宅を探していると、「アパート」と「マンション」という言葉をよく目にしますが、「具体的にどう違うのか」「自分にはどちらが合っているのか」と疑問に感じる方は少なくありません。

この記事では、アパート・マンションの違い(構造・家賃・設備・遮音性等)と、ライフスタイル別の選び方を、国土交通省等の公式情報を元に解説します。

初めて賃貸住宅を探す方でも、自分に合った物件タイプを見つけられるようになります。

この記事のポイント

  • アパート・マンションには法的な明確な定義がなく、不動産業界の慣習的な区分
  • 一般的にはRC造・鉄骨造がマンション、木造・軽量鉄骨造がアパート
  • マンションは遮音性・設備・セキュリティに優れるが家賃が1-2割高め
  • アパートは家賃が安いが遮音性が低め
  • ライフスタイル別(学生、ファミリー、在宅勤務等)のおすすめを提示

一般的な区別基準

アパート・マンションには法的な定義がなく、不動産業界の慣習で区別されています。

一般的な区別基準:

項目 マンション アパート
構造 RC造・SRC造・重量鉄骨造 木造・軽量鉄骨造
階数 3階建て以上 2-3階建て
総戸数 数十〜数百戸 数戸〜十数戸
設備 オートロック・宅配ボックス等充実 基本的な設備のみ
家賃 高め 安め

ただし、この基準は統一されておらず、不動産会社により呼び方が異なる場合もあります。建築基準法上は、どちらも「共同住宅」として分類されます。

(出典: 国土交通省

構造別の特徴比較

構造の違いが、遮音性・耐震性・家賃に大きく影響します。

RC造(鉄筋コンクリート造)

特徴:

  • 鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造
  • 引っ張りに強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートで高い強度を実現

性能:

  • 遮音性: 非常に高い(床衝撃音レベル L-40~50)
  • 耐震性: 高い
  • 耐火性: 高い
  • 法定耐用年数: 47年

家賃: 最も高い(同じ立地・広さの木造アパートより2-3割高い)

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

特徴:

  • 鉄骨を芯にして周囲に鉄筋コンクリートを配置した構造
  • RC造より強度が高く、高層マンション(10階建て以上)に多い

性能:

  • RC造とほぼ同等(遮音性・耐震性・耐火性すべて高い)

軽量鉄骨造

特徴:

  • 厚さ6mm未満の鋼材を使用した構造
  • 木造より防音性・耐火性が高いが、RC造には劣る

性能:

  • 遮音性: 中程度(床衝撃音レベル L-60程度)
  • 耐震性: 中程度
  • 耐火性: 中程度
  • 法定耐用年数: 19年

家賃: 木造より若干高め、RC造より安い

木造

特徴:

  • 主要構造部が木材で構成される建築構造
  • 建築費が安いが防音性・耐火性は低め

性能:

  • 遮音性: 低い(床衝撃音レベル L-70~75)
  • 耐震性: 中程度(最近の建物は性能向上)
  • 耐火性: 低い
  • 法定耐用年数: 22年

家賃: 最も安い

ただし、築年数の古い木造アパート(2000年以前)と新しい木造アパート(2010年以降)では、防音性能が大きく異なります。最近の木造アパートは遮音性能が向上している物件もあります。

家賃・設備・遮音性の違い

家賃の違いと最新トレンド

家賃は、構造・築年数・立地により大きく異なります。

一般的な傾向(同じ立地・広さの場合):

  • RC造マンション: 基準
  • 軽量鉄骨造アパート: RC造より1割安い
  • 木造アパート: RC造より2-3割安い

2025年の最新トレンド:

  • マンションとアパートの家賃差が3割に拡大(日本経済新聞の報道)
  • 同じ予算でより広く新しいアパートを選ぶ傾向

(出典: 日本経済新聞

設備の違い

設備項目 マンション アパート
オートロック 多い 少ない
宅配ボックス 標準化 少ない
エレベーター 3階以上は必須 なし(2-3階建て)
防犯カメラ 多い 少ない
24時間ゴミ出し可 多い 少ない
管理人常駐 多い 少ない(巡回管理)

遮音性の違い

遮音性は、住み心地に最も大きく影響します。

RC造マンション:

  • 床衝撃音レベル L-40~50(優秀)
  • 隣室・上階の生活音がほとんど聞こえない
  • 在宅勤務、ピアノ演奏、小さな子供がいる家庭に向いている

軽量鉄骨造アパート:

  • 床衝撃音レベル L-60程度(中程度)
  • 足音・話し声が少し聞こえる場合がある

木造アパート:

  • 床衝撃音レベル L-70~75(低い)
  • 足音・話し声・テレビ音等がよく聞こえる
  • 生活音が気になる方には不向き

(出典: UR都市機構

ライフスタイル別のおすすめ

読者のライフスタイルに応じて、以下のように選びましょう。

学生・単身赴任の方

おすすめ: 木造・軽量鉄骨造アパート

理由:

  • 家賃を抑えられる
  • 短期間の居住が多く、設備充実度は重視しない
  • 日中は学校・会社にいるため、遮音性はそれほど重要でない

ファミリー・在宅勤務の方

おすすめ: RC造・SRC造マンション

理由:

  • 遮音性が高く、隣室・上階の生活音が気にならない
  • 在宅勤務で長時間室内にいる場合、防音性が重要
  • 小さな子供がいる家庭は、足音が響きにくいRC造が推奨

ペット飼育の方

おすすめ: RC造マンション

理由:

  • 遮音性が高く、ペットの鳴き声が響きにくい
  • ペット可物件はマンションに多い傾向

ただし、物件によりペット飼育が禁止の場合もあるため、事前確認が必要です。

防音性重視の方

おすすめ: RC造マンション(壁式構造)

理由:

  • 壁式構造は壁が厚く、防音性に優れる
  • 中層(5階建て以下)の建物に多い
  • ラーメン構造より防音性が高い

(出典: SUUMO

防音性の見分け方

内見時に、以下のポイントを確認しましょう。

壁の厚みを確認

壁を軽く叩いて、以下を確認します。

  • コンコンという音: コンクリート壁(遮音性高い)
  • ペコペコという音: 石膏ボード壁(遮音性低い)

構造を確認

物件情報には必ず構造が記載されています。

  • RC造・SRC造: 遮音性高い
  • 軽量鉄骨造: 中程度
  • 木造: 低い

二重サッシ・二重窓の有無

外からの騒音対策として、二重サッシ・二重窓が設置されている物件は防音性が高い傾向にあります。

まとめ:優先順位に応じて選ぼう

アパート・マンションには法的定義がなく、構造・階数・設備等で慣習的に区別されます。マンション(RC造・鉄骨造、遮音性・設備充実、家賃高め)、アパート(木造・軽量鉄骨造、遮音性低め、家賃安め)という傾向があります。

読者のライフスタイル(学生・ファミリー・在宅勤務・ペット飼育等)に応じて選択することが重要です。家賃重視ならアパート、防音性・設備重視ならマンションを選びましょう。

実際に内見して、壁を叩いて厚みを確認し、構造・遮音性を見極めることをおすすめします。

よくある質問

Q1アパートとマンションの法的な違いはありますか?

A1法的な定義はなく、不動産業界の慣習的な区分です。一般的には構造(RC造・鉄骨造がマンション、木造・軽量鉄骨造がアパート)や階数で区別されますが、基準は統一されていません。建築基準法上は、どちらも「共同住宅」として分類されます。不動産会社により呼び方が異なる場合もあるため、物件情報で構造を確認することが重要です。

Q2木造アパートの防音性はどのくらいですか?

A2一般的に遮音性は低く、隣室・上階の生活音(足音・話し声・テレビ音等)がよく聞こえます。床衝撃音レベルはL-70~75程度で、RC造マンション(L-40~50)と比べると防音性能が劣ります。ただし、築年数の古い木造アパート(2000年以前)と新しい木造アパート(2010年以降)では性能が大きく異なります。内見時に壁を叩いて厚みを確認し、夜間に訪れて生活音を確認することをおすすめします。

Q3マンションとアパート、どちらが良いですか?

A3読者のライフスタイルによります。学生・単身赴任で家賃を抑えたいならアパート、ファミリー・在宅勤務で防音性・設備重視ならマンションです。ペット飼育の場合はRC造マンションが推奨されます。立地・築年数・間取りも含めて総合的に判断しましょう。実際に内見して住み心地を確認することが重要です。どちらが絶対的に良いとは言えません。

Q4鉄骨造はマンションとアパートのどちらですか?

A4重量鉄骨造(厚さ6mm以上)は一般的にマンション、軽量鉄骨造(厚さ6mm未満)はアパートに分類されることが多いです。ただし明確な基準はなく、不動産会社により呼び方が異なる場合もあります。物件情報には必ず構造が記載されているため、「RC造」「軽量鉄骨造」等の表記を確認し、遮音性・耐震性を判断しましょう。床衝撃音レベル等の具体的な数値を確認することも有効です。